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 人を殺すことが、こんなにもあっけないことだなんて知らなかった。
 そりゃあ、私の全身は冗談みたいにガクガクと震えて、呼吸も満足にできないありさまだけれども。
 紅く濡れた両手に、今にも叫び出してしまいそうだけれども。

 驚くほど血が飛び散った。
 そんなことは解りきっていたのに、やっぱり驚いた。
 命が噴き出して、流れ出して。
 何が起こったのか解らないであろう身体が、最期の抵抗を示してもがき、痙攣し―――
 やがて動かなくなるまで、恐ろしく長い時間に思われた。
 
 それでも。

 あいつが今まで苦しみ続けてきた時間に比べたら。
 なんてあっけない。

 こんなに、簡単なことだったんだ。

 きみをかいほうすることも。
 はんざいしゃになることも―――


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なにやら不穏なものを書いてしまいました。
すみません。全部暗いです……