あいかぎ〜ひだまりと彼女の部屋着〜(Win) ※ディスク2枚組
メーカー F&C FC02 総合評価 55点(凡作〜及第点)
ジャンル ADV
発売日 2002/08/30
シナリオ うらわ・MIYA 「ピアキャロ3」以来になるFC02の新作。
「ピアキャロ」の世間的評価が微妙だったせいか発売前の話題はそれほどでもなかった気が(^^;
原画 鈴平ひろ・巻田佳春
サウンド DOORS MUSIC ENTERTAINMENT


個人的エピソード
いや〜、私、原画さんのうちの1人鈴平さんの絵大好きなんですよ。
なのでついつい買ってしまいました。
それに「こんな美味しい素材でマズい料理ができるはずない」と思いましたし(^^;

内容
物事というのは、いつでも降って湧いたようにやってくる。
卒業までもうわずか…というその日、父さんが事故で死んだ。
突然のことだった。
海外出張中の姉に頼れない俺は自分一人では何も出来ない存在だということを知った。
そんな中一言、声をかけてくれる人がいた。

「あら、そんな顔してどうしたの? ほら、笑顔笑顔♪」
姉の友人で俺の担任、いつも笑顔で、でもどこか抜けていて、誰からも愛される優しい先生。

「あ、あの、私に出来ることがありましたらなんでも言ってください」
先生の妹で俺のクラスメイト。
いつも誰かの後ろを隠れるようにとことこついてまわっているような内気な女の子。

そこからはじまる二人との同棲生活。
彼女たちと過ごす限られた時間。
なくしてしまった心のかけらを思い出させてくれる優しい日々。

俺は彼女たちとの時間の中、どんな気持ちで卒業の日を迎えるのだろう…。
(メーカーHPより)

システムとか
必要容量はフルインストール時で約1.15GB。
片手落ちで申し訳ないですが音声をインストールしなかった場合の容量は未調査です(^^;
ファイル構成から判断すると恐らく500〜600MBといったところでしょうが……。

システムは移動先選択+普通の選択肢分岐というスタイルのADV。
ルート確定後は単なる選択肢分岐型ADVになるのもオーソドックスなスタイルと言えましょう。
普通の選択肢分岐の部分の難易度は低いのですが、移動先選択時にどこに誰がいるのかわからない上に、同時期に2ヶ所以上で姿を見せるキャラもいるので全体としては難易度やや高め。
F&C作品で攻略見ずにやってバッドEDに行ったのは久しぶりです(^^;

さて、ここからは普段どおりのシステム解説。
セーブ数はゲーム終了時に行われるオートセーブ1、クイック(以下Q)セーブ3、選択肢表示の際に行われるオートセーブが1、通常のセーブが40の計45個。
実際に使うのはほとんど選択肢セーブとクイックセーブだけかと思います(ぉ
というわけでセーブ数的には十分。
個人的にはQセーブがあるならQロードも欲しいところですが…まあ無い物ねだりですかね。

スキップは既読/強制ともに実装。オプションで選択してスキップボタンで実行可能。
強制スキップに関してはCtrlキー押下にも対応しています。
速度もそれなりに速く不満を持つことはないと思います。

バックログは音声再生可能なタイプで30ページ前まで戻れます。
……量が量なのであまり役には立ちません(´Д`;
シナリオを読ませるタイプのゲームでないのが救いでしょうか(マテ

鑑賞系はCG・BGM鑑賞、シーン回想と一通り揃っています。

ゲームを動作させるシステムには不満ないのですが、プロテクトに大きな不満が。
このソフトではこのようなプロテクトが採用されているのですがこれはいかがなものかと。
少なくとも私はウチのドライブとの相性が悪いのかと本気で悩んでしまいました(^^;
プロテクトをかけるのは勿論自由ですが正規ユーザーが迷惑を被らない方法にして欲しいものです。

絵とか
なんでこの二人をセットにしちゃったかなぁ…?
そんなことを思わずにはいられません。

CGに関してはさすがというか安定して高いレベルの塗りだと思います。
なんですが原画が……正直色んな意味で問題を抱えているんじゃないかと。
絵柄が全く似ていないお二方をどうして同じゲームで使っているのか理解できません。
これならどちらかに統一した方が良かったのではないでしょうか。
またイベント絵はどれもいいと思うのですが、巻田氏担当分の一部立ち絵が崩れているように思いました。
祐希の立ち絵、首がなんかズレてて怖いです(ぉぃ
こういうレベル差があることを鑑みてもやはり同時起用には疑問が残ってしまいます。


枚数の方はCGモードによれば100枚(パターン違いは除くが立ち絵、背景CG含む)。
純粋にイベントCGとしてカウントすると65枚。
まあサブキャラに関してはイベント自体も少ないし、こんなものでしょうか。
とりあえずプレイしていて少なさは感じなかったので特に問題はありません。

音楽・音声とか
BGMはWMA形式で収録、全16曲。
うち2曲がボーカル曲です(片方は厳密にはハミングですが)
質の方は安定して聞けるけどそれ以上ではない、といったところ。
良くも悪くもBGMとしての役割に止まっていると言えばわかりやすいでしょうか。
印象に残るBGMが少ないのに加えて使うシーンが少ない曲やOP曲のアレンジが多いので、
曲数が少なく感じるのがちょっと残念なところかもしれません。

お気に入りはOP「みっつのマグカップ」とそのアレンジの1つ「伝わる想い」。


音声はサブキャラも含めてフルボイス。
声優陣はF&C作品ではおなじみのイエローテイルの面々。
どのキャラも演技・性質ともに合っていて満足行く出来でしたが、個人的には特にかわしまりのさん演じる千香の声が素晴らしく良かったかと。
思わず「護ってあげたい」という気持ちにさせる声ですよ、あれは。

シナリオとか
F&Cって(色んな意味で)変わらないよね、本当(^^;
同社の王道路線の作品を1本でもやったことがある方はその際の記憶を掘り起こして下されば、この作品の感想も概ねその感想と同じになると思われます、以上(マテ

……というわけにも参りませんので以下いつも通りに感想。まずは誉めどころから。

誉めどころとしてはまず一にもニにも萌えが挙げられると思います。
中でもメインヒロインの葉月姉妹は「主人公に好意を抱いていて大人しく献身的な妹」と「主人公の憧れの女性で、天然ボケでそれでいながら包み込んでくれる優しさを併せ持った姉」というある意味お約束なキャラクター像ということもあり、多くの方がどちらか(あるいは両方)に魅力を感じることでしょう。
この辺りはさすがキャラ立てに定評のあるメーカーだけのことはあります。
サブキャラはメインと比べると正直かなり人を選ぶとは思いますが、それなりの魅力はあるかと。

またあくまで同社を始めとするいわゆる「純愛ゲー」相場で見ての話ですがHは濃い目です。
未遂も含めて全てのキャラクターに複数のHシーンが用意されていたのには正直驚き。
声優さんの濡れ場演技の上手さもあって、それ相応のレベルに達していると思います。
少なくとも「ピアキャロ3」でHシーンがないヒロインがいたFC02の作品とは思えません(笑)


え〜、ですが誉めるところは残念ながら私にはこの2ヶ所しか思いつきませんでした。
全体としての印象も決して良くはありません。
というのも端的に言って話が盛り上がらず面白くないからです。
これだけでは抽象的なのでもう少し詳細に書くことにしましょう。

まずそもそもの問題として主人公やヒロインの心理描写が圧倒的に足りません。
どうして主人公に惹かれるのか然り、どうしてヒロインに惹かれるのか然り、
何をもって過去を振り切る気になるのか然りetc.……それらの描写があまりにも不足していて
全くプレイヤーの感情を揺さぶりました。
必然的にキャラクターが取る行動の説得力も弱い物になってしまっています。

また、ドラマ性に乏しく淡々とした話なのも痛いところでしょう。
しかもやってみればわかりますがプロットレベルではいくつも見せ場的イベントがあるのにドラマ性を感じません。
つまりシナリオ的な演出がかなり拙いんですよね(´Д`;
もう少し「溜め」だとか「引き」だとかを有効に使った方がいいと思います。

メインヒロインシナリオにもこれらの問題はあるにはありますが、大きなマイナスになる
ほどの物ではありません。が、サブヒロインのシナリオではこの難点があまりにも顕著です。
(重要な案件に関して「しばらく考えさせて」と言っておいて数分後に決断、とか。
 普通の話だったら一日くらいは「溜め」の時期があると思いますが…^^;)
正直なところ無理せずにドラマを描くことを放棄すればいいのに、とさえ思いました(ぉぃ
キャラクターは魅力的なんですから、それを活かす方向で作った方が良かった気が(^^;
プレイ時間が比較的短めなのが救いといえば救い……なんでしょうか。

総評
まあ、ある意味「いつもの出来」なんでダメージは少ないです。
とりあえず絵はかわいかったし、十分ハァハァもできますし(笑)

まとめ。あまりにもF&CらしすぎるF&C作品。
良くも悪くも同社の特徴が色濃く出ているので好きな方以外にはオススメしません。
万一萌えるキャラが見つからなければ地雷確定ですし(^^;
個人的にはメインヒロインだけにするとかした方がもう少し評価できたかな?と思います。

書いた時点での総プレイ時間 15時間10分(コンプ)
お気に入りのキャラ 葉月千香
お気に入りのセリフ 特になし

初版2002/09/12