AliveRenewal(PC) ※ディスク2枚組
メーカー Witch 総合評価 55点(凡作〜及第点)
ジャンル ADV
発売日 2001/03/30
シナリオ 悠月魅夜 99年末に発売された同社デビュー作のリメイク版。
「新作と言っても過言ではないほど作り直した」という
気合いの入りようが話題に……なった、よね?(ぉ
原画 真広雄海・瀬之本久史
サウンド MAO・ケンゾウ(Studio MAO)

※以下の評価は01年4月12日配布のVer.1.0.0.3に基づいています

個人的エピソード
原画陣の絵は好きなんで、発売された頃に買おうかとも思ったんですけど、
なんだかまた中途半端に終わりそうな気がしたので回避してたり(^^;
それでも結局やることになってる辺りが惚れた弱みというヤツでしょうか。

内容
季節は初冬。
祐二と祐里子、そして柚木の3人はよく学生室でお茶を飲み、談笑をする「仲良しトリオ」
平凡ではあるが、穏やかな生活を送っていた。

そんな中、祐里子の後押しもあって祐二と柚木は付き合い始める。
それは、微笑ましいまでに幼い付き合い方であったけれど、確かな「しあわせ」がそこにあった。

しかし、幸福な時間はそう長くは続かなかった。
二人で初めて過ごすクリスマスイブが近づいてきたある日、
突然、自分の目の前で柚木はこの世を去ってしまう。

悲しみに暮れ、柚木の面影の中で生きてゆこうとする祐二。
そして彼を救おうとする少女――祐里子と久遠。
……物語は、そこから始まる。
(パッケージ裏を元に編集)

システムとか
必要容量はおよそ530MB。
圧縮のやりようによってはもっと減らせそうですがまあいいでしょう。

システムは至極オーソドックスな選択肢分岐型のADV。

ヒロインをクリアしていくことで「2nd Story」「Another Story」といった
新要素への扉が開くというクリアフラグ立て要素もありますが、
このソフトの場合は選択肢が追加されるとかではなく、強制的に
新ルートに乗せられるタイプなので詳述は不要かと。

セーブ数は99個。うち1つはオートセーブです。
どのようなシーンかのメモも入れることもできて、使い勝手はなかなか

スキップは強制のみ。
半端ではなく共通部分が多いシナリオなので、既読スキップを付けて欲しかったです(^^;
バックログはなし。
個人的にはシナリオを読ませたいと思って作ったソフトには必須の機能だと思っているのですが…。

鑑賞系はCG・BGM鑑賞のみ。
Hは薄いのでシーン回想がないのはさほど気になりませんでした。

システム全体としてはメッセージ送りの速度など細かいところまで調節できるようになっている割にスキップ・バックログのような最初に実装してほしい機能に欠けているように感じました。惜しいですね。

絵とか
相変わらずロリィな感じはありますが、かわいい絵を描く方たちですね。
というか、私の場合この原画陣のファンなんで(^^;

質の方は原画・塗りともにかなりのハイクオリティ。
特に不満はありません。
相変わらず立ち絵が豊富で変化も大きく見ていて飽きませんし、イベント絵の方も
デッサン狂いの無さもさることながら、立ち絵と雰囲気の乖離がないのが
良かったです。

枚数の方は鑑賞モードによると97枚(重複・パターン違い含む)。
重複カウント分やパターン違いを除くと81枚。
とりあえず不満はない数が用意されてると思います。

音楽・音声とか
BGMはCD-DAで収録、全30曲。
質のほうは水準といったところなんですけれど、
ちょっと頻繁に曲が変わりすぎてかえって流れが悪くなっているシーンが散見されました。
キャラテーマ作ったから、それを積極的に使いたいってのはわかりますけどね(^^;

恒例のお気に入りは主題歌「ALIVE」と「HEAVEN」「SISTER」あたり。
ボーカル曲は割とレベル高いんじゃないかと思います。


音声は大きく3つに分けられるストーリーのうち最初に遊べる
「1st Story(ってまんまだし^^;)に出てくる女性のみフルボイスです。
声質はキャラクターに合っていますし、演技の方もなかなかですが、
録音ボリュームがおかしいのか時々妙に声が小さくなるのが気になりました。
しかも叫んだり大声出すシーンで、この現象が目立つので(^^;

またCD容量の都合だそうですが、「1st Story」がフルボイスなのに対して
「2nd Story」以降が全くの音声なしでは違和感を感じずにはいられません。
メーカーさんは「これでも違和感はないと判断し…」と仰ってましたが、そんなわけがないでしょう?(苦笑)

シナリオとか
あー、えっと、とりあえず一言。
ちゃんと終わらせろ。以上

一応フォローしておくと「AliveRenewal」という物語としては完結してるんですよ。
ですが作品としては全くの未完。
と言ってもこんなのいきなり書かれても意味不明だと思いますので
シナリオの順を追って解説していきます。


まずは「1st Story」
これが従来の「Alive」に近い話なんですかね?(やってないので知りませんが)
ヒロインのエゴが丸出しなストーリーなので、人を選ぶとは思いますが、まあ悪くはないかと思います。
主人公のヘタレっぷりとわずか3週間ほどで乗り換えられちゃう切り替えの早さにはゲンナリでしたけど。

ただ共通シナリオが多すぎるのと、柚木が死ぬまでの甘い馬鹿ップルぶりを
描いていた部分が全編通じて最も出来がいいという残酷な事実は
ちょっとどうかと思ってしまいますが(^^;


次に「2nd Story」
「1st Story」の久遠シナリオをやると、彼女だけが予想もつかない(というかぶっ飛んだ)
シナリオ展開を見せるのですが(cf.「リプレイ」)そのシナリオの変形版。
「1st」の裏を眺める形とでも言えばいいんですかね?

シナリオさんの描きたかったことはわかりますが、なんであんな存在を出す必要があったのかは理解しかねます。
なんというか話を無駄に大きくしすぎな気がするんですけどね(爆)


最後は「Another Story」…個人的にはいらないと思うパート(ぉぃ
「2nd Story」に出てきたわけのわからん人物達による寸劇。
意味深な言葉を吐くだけ吐いて終わるうえに「To be continued」とか表示されて終わります。
「FAKE(仮)」というソフトへの伏線のようですが、正直こういうやり方は好きになれません。

「Milkyway」の時にも思ったんですが、共通世界観で自分達のメーカーの
作品を作るのはいいと思うんです。
でもそれは「前作知ってる人はニヤリ」というレベルに留めるべきであって、
「知らなきゃ意味不明」とか「次回作への伏線」というのは絶対にやってはいけないと思うのですが。

あくまでゲームは1本で完結させるものであって、別に長期連載漫画の単行本1冊とは
違うのだということを自覚したうえで物を作ってほしいです。

総評
ファンなら。
プレイ中、そんな言葉がずっと頭の片隅にありました(^^;

まとめ。話膨らませすぎな意欲作?
最後まで全力投球でしっかり完結させられないなら、そこに作品を作る意味はありません。
このメーカーさんにはもっとそういう部分を考えて欲しいです。

キャラの立て方は抜群に上手いので同社の「Milkyway」的なラブコメ路線の方が向いていると思うんですが、いかがなものでしょう?

評価は50点にするか迷いましたが原画の魅力に負けて5点アップ。
個人的評価としては「1st Story」だけで完結させた方が綺麗にまとまったかと。

書いた時点での総プレイ時間 7時間10分(コンプ)
お気に入りのキャラ 高坂久遠・如月刹那
お気に入りのセリフ 特になし

初版2001/07/19 最終更新12/20