Canvas2〜茜色のパレット〜(Win)  ※ディスク3枚組
メーカー F&C FC01 総合評価 50点(凡作)
ジャンル ADV
発売日 2004/04/23
シナリオ 宮村優・定池真実・田中タクヤ 大ヒット作「Canvas」の続編として発表当初から大いに注目を集めた。また誰もが続投するだろうと思っていた☆画野朗氏ではなく、七尾女史がメイン原画を担当したのも話題に。
原画 七尾奈留・ちこたむ・魚
サウンド Elements Garden

※7/9配布の修正ファイル ver.1.02を元に評価しています

個人的エピソード
今にして思えばなぜ買ったのでしょうか(マテ
前作の天音や恋は好きだったので、それクラスの萌えがあるなら…と期待して買ったような気が。
あとはまあ、個人的にはピーク過ぎた感はあるものの、七尾さんの絵は好きなので。

内容
道に迷い歩みを止めたとしても手をさしのべてくれる君がいる

主人公は、かつて画家を目指していましたが、ある挫折をきっかけに、
その道を諦め撫子学園の美術教師として勤めています。
絵に対する情熱だけは誰よりもあった彼が、その挫折以来筆を取ることすら戸惑い、
好きなことを純粋に好きと思えなくなってしまった。
自分でも今のままでいいわけがないと思いながらも、流されるままに過ぎていく日々。
惰性にまみれていた彼の前に現れるヒロイン達。
心に様々な想いを秘めたヒロイン達との交流によって、本当の自分を取り戻していく、
そんな自分探しの物語。
(パッケージ裏より)

※どうでもいいけど、言い切りがですます調かくらいは統一すれ(^^;

システムとか
必要容量は約900MB/約1.45GBのいずれかを選択。
フルボイス、BGMも全てインストールという仕様を考えれば妥当な範疇でしょうか。

システムとしてはごくオーソドックスな選択肢分岐型ADV。
1日に2回移動先選択がありますが、基本的にヒロインごとにいる場所は固定されているのでほぼルーチンワークで攻略は可能です。
会話選択肢も簡単なので攻略に詰まるようなことはまずないでしょう。

セーブ数はノーマル40+クイック5+オートセーブ40個。
上に書いたように攻略難易度が低いため、日付変更時のオートセーブおよび
クイックセーブだけでクリアする分には十分でしょう。

スキップは既読/強制の両方を実装。
どちらも1タッチで起動できる親切設計かつなかなか高速なので使い勝手は良いかと。

バックログは音声リプレイ可のタイプで50ページ前まで読み返し可能。
こちらも全く文句なし。老舗だけあってこの辺りの配慮には抜かりありません。

鑑賞系はCG・BGM鑑賞、シーン回想に加えてスタッフコメントコーナーを用意。

特筆すべきことがないくらい万事揃っているシステムだと思います。
惜しむらくは他のソフトよりも若干動作が重いように思われる点でしょうか。
我が家のマシンでは大して気になりませんでしたが、2,3年前のマシンだとちょっとストレスかも(^^;

絵とか
ぶっちゃけ七尾さん絵崩れてきてない?(暴言)
正直なところ第一印象は↑でした(^^;
塗りとの相性かとも思いましたが、そうでもないようでエリスの立ち絵および一部CGの
バランスが悪いように感じました。
とは言うもののさすがというか何と言うか一部崩れてしまっているものを除けば、他の原画さん
2名も含めて原画のレベルは総じて高いです。
個人的には中でも成長著しいちこたむさんの絵が特に良かったかなと。今後にも期待です。

ちなみに塗りの方はといえば言わずもがなのハイレベル。
前作同様の柔らかい色使いのCGは当初こそ不安だったものの、蓋を開けてみれば全く問題なく原画と調和していました。


枚数は鑑賞モードによると79枚(パターン違い、立ち絵除く)。
まあこんなものなんでしょうか。
逆転の発想じゃないですが、イベントらしいイベントが極端に少ないこともあってか数量的な不満は感じませんでした。
それ以外のところでもっと大きな不満があっただけという説もありますが(´Д`;

音楽・音声とか
BGMはMP2形式で収録、全19曲。うち2曲がボーカルです。
特に曲には期待していなかったのですが、BGMは場面にもあっていて質もなかなか良質でした。
エンディングでスタッフ名を確認して合点がいったわけですが、これは嬉しい誤算でしたね。

お気に入りは「そこにあった微笑み」「二人だけのポートレイト」「Strict discipline」に
OP曲「プラスチックスマイル(^^」
「そこにあった微笑み」なんかはシナリオ上の見せ場を見せ場らしく仕立て上げるのに一役も二役も立っていたと思います(ぉ


音声関係については男女問わずフルボイス。
今回はメインヒロイン・エリス役の中家菜穂さん(これがデビュー作とのこと)を筆頭にあまり普段F&Cでは見かけない名前が多かったようなイメージがありますが、エリスと霧以外は良かったと思います。
エリスはキャラには合っていると思うのですが……とりあえず今後に期待ということで。
霧の方は演技も悪くないし声も合っているとは客観的には思うのですが、どうしても個人的に馴染めませんでした。
主観丸出しで申し訳ない。

シナリオとか
いつものF&C−萌え=?

昨日今日この手のゲームを始めた人でなければ、F&Cのシナリオは大抵「いつもの」の一言で十分表現できてしまうわけですが……このゲームはそこから萌えを差し引いただけ、の二言で表現できてしまうという非常にレビュアー泣かせのシナリオとなっています(^^;
実際冒頭の1行を見て出来の想像がつく方はこれ以降は読まなくても問題ないでしょう。

とはいえ、これだけで済ませてしまうのもどうかと思いますし、世の中には「いつもの」で通じない方もいらっしゃるでしょうから以下シナリオ雑感をば。

率直に言ってシナリオには多々問題があるのですが、まず第一に挙げられるのがシナリオの淡泊さ・薄さです。
別に淡泊なシナリオが悪いなどと言うつもりは毛頭ないのですが、イベントらしいイベントもほとんどなく
朝起きてエリスと会話→昼食をどこで食べるかの選択→移動先で二言三言会話
→放課後の移動選択→移動先で二言三言会話

というルーチンワークを延々と繰り返すだけでは飽きる云々以前にキャラクターが掘り下げられないというデメリットが発生します。

前作は主に萌え方面で高く評価されただけのことはあってキャラクターは魅力的に描かれていたと思うのですが、本作においてはどのようなキャラクターかが見えてこず、結果として魅力についても乏しく映りました。
特に作中の主人公が深い思い入れを抱いている霧についてはこの傾向が顕著で、主人公が彼女の人間的魅力について語れば語るほど自分との溝が深まるのを感じる皮肉な現象が(^^;

また、先述の「イベントらしいイベントがほとんど無い」というのがもう1つ問題を引き起こしています。
それはつまり――何とかの一つ覚えのようによく使っていますが――ヒロインや主人公が惹かれる理由が見えないという問題です。
例外的に可奈シナリオではある程度の背景を用意してあるのですが、それを除くと「見えにくい」ではなく「見えない」としか評しようがないくらいに理由付けが弱いのはいかがなものかと。
車のパンクの修理工場を教えただけで惚れられたようにしか見えない某キャラなどは閉口ものでした(ぉぃ


それ以外に気になった点としては、主人公の言動の不安定さでしょうか。
複数名でシナリオを分担している関係なのでしょうが、主人公の生徒に対する反応や絵を描くことに対する忌避感の根深さ、ブランクの大きさ……といった点がシナリオによって大きく異なり、スタッフ間の摺り合わせ不足を感じました。
絵に対する主人公の心情というのは、このゲームのテーマとしては最も鍵となるポイントだと思うのですが…(´Д`;

また、個人的には主人公自身に最後まで馴染めなかったのも痛かったですね。
日中学校では寝てばかりで、態度はなぜだか妙に偉そう――こんなキャラ、学園ものならどこにでもいるはずなのに生徒ではなく先生という位置づけにされるだけで、こんなに痛い人になるとは思いませんでした(マテ

本来なら「ただ○○についてはなかなか良かったと思います」というフォローが入るべきなのでしょうが、申し訳ない。
この作品については特にフォローらしいフォローも浮かびませんです(´Д`;
あ、一部ムチャ過ぎるHシーンはある種面白かったデス!(ぉ

総評
まあなんつーか天音に相当するキャラも恋に相当するキャラもいなかった時点で
私の負けは確定していたような気がしないでもないです。ううっ。

まとめ。初代「Canvas」のファンディスクだと思って買えるなら。
結構前作キャラゆかりの人が多いので前作が病的に好きな人ならファンディスクとしてアリかも。
逆にそうでない人にはオススメしません。あ、DQN主人公が好きな人は買う価値ありですよ(マテ

書いた時点での総プレイ時間 15時間30分(コンプ)
お気に入りのキャラ 特になし(強いて挙げれば鷺ノ宮沙綾)
お気に入りのセリフ 特になし

初版2004/07/29