Kanon(PC) | |||
メーカー | Key | 総合評価 | 70点(佳作) |
ジャンル | ADV | ||
発売日 | 1999/06/04 | ||
シナリオ | 麻枝准・久弥直樹 | 発売前から大いに盛り上がったブランド Keyのデビュー作。 これをデビュー作と呼ぶべきかは微妙(^^; |
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原画 | 樋上いたる | ||
サウンド | 折戸伸治・Key・OdiakeS |
個人的エピソード |
同じスタッフが作った「ONE〜輝く季節へ〜」は私の魂のソフトです。 それだけあればお金を払って買うには十分な理由だと思います。 |
内容 |
1999年、冬。 新しい年に馴染む間もなく、俺は両親の都合で住み慣れた街を離れることになった。 編入の都合で一足先に引っ越しを済ませることになった俺は、 その街に住むいとこの家に居候させて貰うことになった。 昔、親に連れられて何度か訪れたことのある街は、思い出の中の姿そのままに俺を迎えてくれた。 7年ぶりに再会したいとこ。 記憶の中の少女の姿は無かったけど、再会を喜んでくれる笑顔は昔のままだった。 再会と出会い。雪の降る街で、新しい生活が始まる。 そんな中で出会った5人の少女たち。 雪が溶ける頃、冬の日の物語もまた、思い出に還る…。 (パッケージ裏より) |
システムとか |
ゲーム内容ですがオーソドックスなコマンド選択式のADVです。 かつて「ONE」は「選択肢が意地悪だ」と言われましたが、今回は意地悪な選択肢はほとんどありません。 お話を進めたい娘に好意的なものを選んで行けば話は確実に進展して行く筈です。 システムも安定していて大きな不満はありません。 ただウィンドウを消す操作は1操作でできた方がよかったし、キーボード操作も受け付けてほしかったですね。 また、舞のシナリオなどわかりにくい部分もあるのでバックログは用意するべきだったかと。 |
絵とか |
これに関してはかなりいいと思います。 背景CGなんかは元リーフの“鳥の”さんが手がけたそうで「さすが」と言ってしまうほど綺麗です。 イベントCGもかなりいい感じに仕上がってます。 立ち絵も「ONE」よりもイベントCGに近いできになってるし。 原画の樋上いたるさんの絵が上手くなったのもポイント高いですね。 しかし、Hシーンや一部の立ち絵でデッサンの狂いが生じているのも事実でして…。 そういうのにうるさい友人DJ-DIE氏なら「なにこれ、パース狂ってるんだけど」とでも言いそうです(笑) |
音楽とか ※音声はありません |
「ONE」でも高く評価された音楽は今回も折戸伸治氏が担当。 一部「ONE」でも作曲していたOdiakeS氏やKEY氏(シナリオの麻枝氏らしい)も参加していますが素晴らしい音楽です。 初回版にはアレンジCDが付いているのですが、ある友人などは「これだけで2000円の価値がある」と言っていました。 単品で聞いた場合「ONE」よりも水準は高く劇中での使い方も上手いのですが、なぜか私の場合ゲームをやめた後に深く残る曲がありません。「いい曲だな」とか「ああ、これのMIDIデータ持ってる」とは思うもののそれだけです。 似たような曲調のものが多いせいかも、とか自分では思うんですが。 いくらなんでもオルゴール系多用しすぎです、折戸さん。 |
シナリオとか |
いいことはいいが、自分には合わない。 そんなところが正直な感想でしょうか。と総評だけ書いて詳細へ。 発売前のキャッチフレーズが「“思い出”に還る物語」というだけあって主人公の(忘れてしまった)思い出に関わる話が大半です。あと「夢」と「奇跡」がキーワードでしょうか。 相変わらずシナリオのテンポがよく、軽快な笑いをおりまぜながら話を進行させてます。 数あるゲームの中でも学校での日常生活の会話がこんなに楽しいのはこのライターさんの書くシナリオだけでしょう。(もっとも「ONE」の主人公よりはマトモな主人公なのであのテンションは消えてますが) しかし、この日常部分(全キャラ共通パート)が長すぎて2回目以降はスキップさせないとかなりの時間を取られ、イラつくこと必至です。 さて、その後物語は徐々にシリアスに展開していきます。 途中からだんだんシリアスになって最後で泣かせるというのは最早泣きゲーのお約束ですね。 このシリアスになるあたりから急にファンタジー色が強くなってきます。 「ONE」が序盤から“えいえんの世界”なるファンタジー色全開の世界観を何のフォローもなく出していたのに比べると、伏線とかも張ってあるのでまあ展開に置いて行かれるということはないでしょう。 ちなみにどういう風にファンタジーなのかと言うとやっぱり「奇跡」がキーワードです…ってわかんないね。 さて様々なところで「泣ける」と評判の「Kanon」。 私も泣きたくて買ったわけですが結論から言うと泣けませんでした。 こっちに「さあ、泣くぞ!」的な考えがあったせいもあるのでしょうが、先の展開がわりと読めたところと(さすがに1stプレーは無理でしたが)「泣かせてやるぜ」的魂胆があまりに見え見えだったのでなんか冷めてしまったからです。 一生懸命笑わそうとしてるネタが寒い、みたいな…ってそれは言い過ぎか(^-^;) (一応、フォローしておくと泣きそうになった所やグッときた所はありましたよ) たしかに「死」というのは人を泣かせる上で1番便利な武器ですが、どのシナリオでもそういう成分を利用してしまうというのはいかがなものでしょうか(以上ちょっとネタバレ) 同一世界観を共有するのは同じゲームである以上絶対ですが、 同じような終盤の展開ばかり見せられてもユーザーは冷めるだけだと思うんですが。 「死」と「奇跡」ばっかり使って人を惹きつけるのなんか宗教だけでいいです(酷い)。 この点に関してはゲーム中の1ゼリフを引用させていただきます。 「奇跡ってね、そんなに安っぽいものじゃないのよ」 もっとも客観評価すれば文章の見せ方や演出は上手いし、前作みたいなユーザーへの選択肢強制やらユーザー置いてきぼりシナリオもないんでいいシナリオとも言えますが…。 結局のところ、相性が悪い。ただそれだけのことなのかもしれません。 |
総評 |
はっきり言って私的には「『ONE』を超えて」という期待は完全に裏切られた形になったわけですが、世の中では「ONE」以上と「ONE」以下は半々くらいみたいです。実際そうなんだろうと思います。 まあ、今回はどうしても回りの期待に流される形でスタッフも「泣かせてやる」と意気込みすぎた気がします。 作品としては後発にあたる「AIR」の方が、荒削りになってますから(^^; まとめ。完成度の高い泣きゲーのお手本的なソフト。 私にはあまり合いませんでしたが、客観視すればもう10点くらい加点してもいいかも。 私も嫌いってわけじゃなくてネタとしてはよく使いますけどね(ぉ |
書いた時点での総プレイ時間 | 30時間弱(コンプ) | ||
お気に入りのキャラ | 水瀬名雪・美坂栞 #1番マトモだから(ぉぃ | ||
お気に入りのセリフ #よくネタに使うセリフとも言う(爆) |
「そんなこと言う人、嫌いです」 「うぐぅ」 「あぅ〜」 「奇跡ってね、そんなに安っぽいものじゃないのよ」 |
初版1999/07/31 最終更新2001/03/29