AIR(PC) ※ディスク2枚組 | |||
メーカー | Key | 総合評価 | 85点(良作〜名作) |
ジャンル | ADV | ||
発売日 | 2000/09/08 | ||
シナリオ | 麻枝准・涼元悠一 | 通称「台風」、2000年最も売れたエロゲ。 発売日の秋葉原特典攻勢は凄かったです。 いや、マジで。時計とかいらないんだけど(^^; |
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原画 | 樋上いたる | ||
サウンド | 折戸伸治 with Key・戸越まごめ |
個人的エピソード |
自称・鍵っ子としては買わないわけにはいかず購入(笑) というかエロゲリストとして「台風」とまで称される物を買わないってのは。 |
内容 |
その町には夏が訪れていた。 人形を操るひとりの青年。その周りには子供がふたりだけ。 観客の興味を引くには、青年の芸は退屈すぎた。 子供たちは興味を失い、その場を走り去った。 青年は旅のひと。彼の道連れはふたつ。 手を触れずとも歩き出す、古ぼけた人形。 「力」を持つ者に課せられた、はるか遠い約束。 そんな彼に、話しかけるひとりの少女。 人なつっこく、無邪気に笑う。 彼女との出会いをきっかけに、この土地での暮らしが始まる。 ――夏はどこまでも続いてゆく。彼女が待つ、その大気の下で。 (パッケージ裏より) |
システムとか |
必要容量は約370MB、昨今のゲームにしては少なめでしょうか。 基本的なシステムは選択肢分岐型のオーソドックスなADVです。 システムはビジュアルアーツ共通システムのAVG32を採用。 相も変らぬ安定っぷりで安心してみていられます。 誤字はともかくバグやらフリーズとはほとんど無縁ですから。 セーブ数は32個。 難易度は前作「Kanon」同様、低めに抑えられている(美凪トゥルーエンドなどは例外ですが)し、読み返し機能もあるので少なく感じることはないかと思います。 スキップは既読スキップを搭載。 確認はしていませんが共通システムということでCtrlキー押下による強制スキップも可能かと思われます。 読み返しはメッセージウィンドウ横にあるボタンをクリックすることで可能ですが、 このボタンが小さくてクリックしにくいことこの上ないのでPageUp,PageDownキーによる操作をオススメします。 ホイールマウスを使用している人ならここの「AIR Plus」を使うとさらに楽です。 で、この読み返しなんですがバックログの量は相当なものです。 いつも読み返し可能量を調べるのですが途中で疲れてやめたほどに(^^; #マニュアルに書いてあれば楽なのになぁ 鑑賞系はCG鑑賞と音楽鑑賞のみ。 まあ、Hシーン目当てでこのソフトを買う人間がいるとも思えませんからこれで問題ないでしょう(ぉぃ |
絵とか |
背景が凄く綺麗です。イベントCGの塗りも素晴らしいです。 …………え? 原画についても書かなきゃいけないんですか?(爆死) とまあ上記のような寒いネタは置いておいて絵の項目です。 既に書いたように背景及び塗りに関しては何も言うことがありません。 ビジュアルアーツ系のスタッフを総動員したという噂さえあるという事実が示すように業界最高峰でしょう。 水が光を照り返す様子なんか幻想的ですらあります。 原画の樋上さんは前作と比較して、さらに画力が上がっていますがクセがあるのは否めませんね(苦笑)。 もっとも、このクセを無くしてしまったら女史ではないという意見も(^^; もっとも、私は既に洗脳済みなんで「佳乃の驚いた時の立ち絵が可愛いなあ」とか思ってました<ダメじゃん 「Kanon」の時はHシーンの度に”…(^^;”と思わされたデッサン狂いも今作では格段に減って何よりです。 まあ、物語中1番盛り上がるであろう「浜辺のシーン」で頭身のバランスが面白いことになってるのはどうかと思ったりもしますけど(ぉぃ さて、CGの枚数の方は鑑賞モードによれば78枚(パターン違い除く)。 パターン違いも含めると122枚になります。ヒロインは3人ということになっている(謎)ので少なくはないかと思います。 |
音楽とか ※音声はありません |
「夏影」と「鳥の詩」。これだけでもうお腹いっぱいです。マジで最高! と書いて次の項目に進んでしまいたいのですがダメですか? ダメですね。 さて素晴らしい音楽です。シーンを盛り上げると同時に単体で聞いても良いという。 前作「Kanon」も名曲揃いでしたが、個人的にはそれを上回っています。 前作の曲は大好きなんですが泣かせるためにピアノやオルゴールを多用している印象があったのに対して、今作では様々な音を使い、かつ曲の完成度は下げていないという……。 #テクノまであるのには驚きましたけど(^^; CD-DA再生で全25曲、うち3曲はボーカル曲です。 BGM再生用にディスク1枚割いているだけあって曲数も多いですし、1曲の尺も長くて(軒並み3分以上)聞き応え十分です。 2000年の18禁ソフトで「sense off」と楽曲部門のトップを争うでしょう。 さて恒例のお気に入り曲です。……3,4曲を除いて全てお気に入りなうえに、 気に入ってない曲も決して嫌いではないということで数が多すぎるので書きません(ぉぃ とりあえず「夏影」「縁」「鳥の詩」は聞いておくべき、否、聞け! |
シナリオとか |
このゲームは、クリアフラグによって新しいシナリオが増える仕様になっています。 有名どころだと「痕」を考えていただければ大体間違いではないかと(クリアさせる順番などは「AIR」の方がよく考えられていますが)。 最初は「DREAM」というシナリオ群しか選べませんが、そこで3人のヒロインのエンディングを見ると「SUMMER」シナリオが選択可能になります。 そしてそれが終わると最終シナリオ「AIR」を選ぶことができるようになるという構成です。 さて、仕様説明が終わったところで評論に移行します。まずは難点から。 シナリオ攻略を進めるにつれて考えるためのヒントは提示されるとはいえ、 全ての謎に対する明確な解は用意されていません。 相変わらずの難解さというか、作り逃げというか……勿論、謎と解が作品の主題ではないことは百も承知ですが謎だけ与えられて答えがないというのは辛いです。 考察サイトを盛り上げるための陰謀なんじゃないかとさえ邪推してしまいます(ぉぃ また前作でもさんざん指摘された事実ですが、日常の描写が長すぎるというのも問題です。 やり取りが多少面白くても長すぎ&同じパターンの繰り返しでは飽きがきてしまいます。 各ヒロインのシナリオに移行してからは展開が加速するものの、それまでは本っ当〜に長かったです(^^; さらに前作よりも幼くなったヒロイン達のキャラ立てにも疑問が残ります。 ここまで幼いと(それなりの理由付けは用意されていますが)犯罪めいた意識や、言い方は悪いですが精神障害を持った方を目の前にしているようで素直に「萌え」とか恋愛感情を抱くことができなくなってしまったというのが本音。 いくらなんでもやりすぎだったのではないでしょうか? あと、主人公の傍若無人な性格や「SUMMER」以降プレイヤーの意志が介在する局面がほとんどなくて傍観者でいなくてはならない点などは多くのレビューサイトで指摘されるところです。 幸いにして私はほとんど気になりませんでしたが(後者に至っては全く)。 さて、ここからが誉めどころです。 難点で挙げたものと矛盾するようですが、シナリオ攻略が進むにつれて新たな謎・以前の謎を解くための鍵が与えられるという構造は最も好きな形なので気に入りました。 やっていくにつれて自分内部での評価が上がっていったのですが、それはこのシナリオ構造のせいだと思っています。 あとはやはり単純にシナリオの面白さでしょうか。 正直「DREAM」は大したことないと思うのですが「SUMMER」「AIR」はかなりのものかと(まあ時代考証にうるさい人なんかは色々思うところがあるのでしょうが^^;)。 #「SUMMER」で転生ネタを持ち出された時点で敗北確定という説も(ぉ #"the 1000th summer"ってコピーで気づけよって気もしますが そして何より「泣き」の要素でしょう。 前作では泣かせることを意識しすぎた作りと何でも奇跡で解決してしまう話の流れに反感を覚えてまるで泣けなかった私ですが、今回は号泣しました。 特に最終シナリオ「AIR」では何度も涙が込み上げてくる始末。 まだ感動系で泣けたのか、と自分でも驚いてしまったほどです(笑) まあ、これには「AIR」のテーマであるところの家族愛というものが私にとって最大の泣きツボであるということが多分に影響しているとは思いますが、その要素を排しても十分感動できるシナリオではなかったかな、と。 「SUMMER」以降で文句をつけるとすれば賛否分かれている「AIR」のラストくらいのものです。 本人たちは満足かもしれませんが、あんなに頑張った結末がアレでは可哀想です(いつもこんなこと書いてる気がする)。 「Kanon」の時と言っていることが正反対で恐縮ですが安直な奇跡でもいいから皆が笑える結末が見たかったです。 色々考えて今ではあのラストも受け入れられるようになりましたけど。 願わくば、あの2人には幸せな記憶を。 とまあ、長々と書いてますが要するに泣いた私の負け、です(爆) やっぱり家族ネタは反則だよなぁ(かつてE.T.で20分大泣きしつづけた人)。 |
総評 |
堪能しました。良かったですよ〜。 個人的には「Kanon」より数段上かと思うのですが、この辺は人次第ですね。 まとめ。シナリオ・絵・音楽と上質で「台風」の名に恥じないソフト。 業界が誇れる作品の1本だと思います。 「AIR」シナリオ終盤だけの印象なら90点オーバー確定なんですが、難点として挙げた序盤のあまりの流れの悪さとキャラクター達の異常なまでの幼さが災いしてこの点まで落ちました。 それとまぁ、ラストは「受け入れられる」けど「好きじゃない」ということで(^^; 間違いなく今年最高クラスの1本なんで是非やってみてくださいな。 |
書いた時点での総プレイ時間 | 16時間20分(コンプ) | ||
お気に入りのキャラ | 神奈 | ||
お気に入りのセリフ | 「これは余の命ではなく、願いである。柳也どの、死なないで欲しい」 #終盤はメモ取るゆとりなかったです、泣いていたので(^^; |
初版2000/10/17