LostPassage(Win) ※ディスク2枚組
メーカー DEEPBLUE 総合評価 55点(凡作〜及第点)
ジャンル 教育実習アドベンチャー
発売日 2002/06/28
シナリオ 御子石大郁 かつて「Campus」「好きだよっ!」を作ったスタッフが多く関わった作品。
きみづか+蓮見の豪華原画コンビが話題を呼んだ。
原画 きみづか葵・蓮見江蘭
サウンド 石川智久

※以下の評価は修正パッチver.1aに基いています

個人的エピソード
とりあえず絵的には好きだったのと、友人から聞いたストーリーの概要が
あまりにも途方もない話だったのでやってみたくなってしまいました(^^;
我ながら難儀な性格だなぁと思います、はあ。

内容
古都・京都。

現代社会から失われつつある日本情緒を色濃く残すその街へ、
主人公・三崎彰は教育実習のため久方振りの帰郷を果たす。

幼なじみで月読神宮の当主・宇佐観月。
おとなしく内向的な従妹の山吹沙雪。
元担任でつかの間の恋人でもあった綾小路育美。
独特の空気を持つ留学生、エリナ・レミンカイネン。
頑張り屋の同期・実習生の夏越理乃。
不遇の巫女藤森めぐみ。

いくつかの再会といくつかの出会いを経て、物語は静かに、そして大きく動き始める……
(メーカーHPより転載)
※まさかこれがあんな話に展開するとは……(´Д`;

システムとか
必要容量は700MB/1.4GBのいずれかを選択。
フルインストすると起動にCDも不要になるので、容量に余裕があるならそっちがオススメ。

ゲームシステムは基本的に選択肢分岐型のADV。
特定のEDを見ないと進めないEDや、特定EDを見ることで追加される選択肢などが多数あるので全ED・CGの回収まで考えると若干難易度は高めでしょうか。

セーブ数は20個。まあ困る数ではないと思います。
とりあえず不足は感じませんでした。

スキップはボタンによる既読スキップ及びCtrl押下による強制スキップを実装。
速度はかなり高速なので使い勝手はいいと思います。

バックログは相当量――厳密に調べたわけではありませんが恐らく最初まで戻れるかと。
音声再生機能がないのが少し残念ですが、戻れる量の多さゆえに不便はありません。
また「一つ前の選択肢に戻る」機能も用意されています。

鑑賞系はCG・BGM鑑賞にシーン回想と一通り揃っています。
まあこの辺は当然と言えば当然かもですね(^^;

システムは基本的には必要な物は全部揃っていて問題ないかと。
難点らしい難点といえば一部操作に対する反応が鈍いところと、メッセージウィンドウ内の文字が死ぬほど読みにくいことくらいでしょうか。
あと、本当にどうでもいいことですが気になったので一応ツッコミ。
動作システム名が「AdvSystem Ver.0.85」になっているんですが……これは仕様ですか?(ぉ
バージョン表記が1.00に満たないシステムで動作するゲームは初めて見ました(^^;

絵とか
絵は本当に綺麗です。
このソフトを買う人のほとんどが絵目当てだと思うのですが、
少なくともその期待を裏切らない出来にはなっていると思います。
原画のレベルも高いですし、塗りも原画さんのタッチを生かした塗りになっているかと。
全画面にした時に若干ジャギが目立つのが気になる人もいるかもしれませんが……(^^;
(私はウィンドウモードでやったのであまり気になりませんでした)

枚数の方は鑑賞モードによれば197枚(パターン違い、重複カウント含む)
独断と偏見に基いてパターン違いや重複分を取り除いて数えなおすと124枚。
必要十分な数だと思います。
個人的には血塗れの巫女さんCGや観月が姿を変える怪物のCGがあるだけで満足(マテ
あ、ちなみにHシーンのほとんどが半脱ぎですのでそういうのが好きな方にはオススメ。

音楽・音声とか
BGMはPCMで再生、全22曲。うち2曲がボーカルです。
質に関しては悪くは無いがあまり印象には残らないというのが本音。

個人的にはもう少し日常のシーンに合うような曲に気合を入れた方が良かったのではないかと。
「教育実習アドベンチャー」のはずなのに伝奇物で使うような曲が多すぎるように感じました。
……まあ、それもシナリオを紐解いて見ればやむなしという感もないでもないのですが(^^;
日常で使われる曲の印象の薄さがBGM全体に対する印象を弱くしているのかな?と。

恒例のお気に入りは「明日を探そう」「背中合わせの想い」あたり。


一方の音声はメインヒロインのみフルボイス。
キャストはどの方もキャラクターに合っていて、かつ演技も良かったと思います。
なんですが、それを台無しにしているのが音声ノイズのキツさ(´Д`;
最近やった中じゃ、随一の音質の悪さだったんじゃないかと。
せっかくいい人達使ってるんですから、もうちょっとマシなレートで収録してほしかったです。

シナリオとか
これって「教育実習アドベンチャー」だったんじゃ?(爆)
今さら言っても詮無いことだとわかっていても言わずにはいられません。
このソフトの感想はこの一言で集約できます(ぉ

この作品には6ヒロイン+トゥルーエンドルートの計7本のシナリオがあるのですが、その全てに共通した特徴としてやけに大量の薀蓄が挙げられます。
ここ数年の間に出たどのエロゲよりも歴史と金魚の薀蓄は多いでしょう(ぉぃ
無論、話の流れに絡んでくるシナリオ・薀蓄が多いのですが中には「この話にその薀蓄はいらんだろ」というような物もあるので、特に日本史に興味のないプレイヤーには辛いかと思われます。
どのシナリオでも何らかの形でいらん薀蓄出てきますから…(^^;

また共通した問題として関係を深める描写が極めて薄い、というものがあります。
ゲーム開始以前からの知り合いであるヒロイン4人は全員主人公に好意を持っているという設定なので、その辺の描写が弱いですし開始後に知り合うヒロインに関しても仲を深めていく描写の薄さは同様です。
恋愛物としてこれはあまり誉められたことではないかと思われます(^^;

さて、ここからは7シナリオを3つに分類して簡単に評していきます。

まずは第1グループ、郁美・理乃・エリナについて。
この3本のシナリオは基本的には普通の恋愛話です。まあその恋愛模様の描写が薄いのが難ですが…。
ただ普通なだけに薀蓄であったり、エリナのラストで唐突に挿入される伝奇物的な展開は不要であったような気がしてなりません。
薀蓄なんかのせいで普通の恋愛物にすらなりきれてないのは切ないです(ぉぃ

次の第2グループ、観月・沙雪・めぐみについて。
この3本のシナリオはトゥルーエンドへの前振りです。それ以上でもそれ以下でもありません。
シナリオ的には思いっきり伝奇物の話で教育実習どこ吹く風状態(^^;
仲でも沙雪シナリオの壮絶な電波ぶりには戸惑いますが、トゥルーに向けての設定説明の話と割り切れれば今までは無用の長物だった薀蓄なども絡んできてこのグループの話は割と楽しめるかもです。

最後はトゥルーエンド。
シナリオさんが書きたかったのはこの話だけなんだろうなぁと思う話(ぉ
ここまで来ると最早完全に伝奇物で恋愛要素があるかも怪しくなってきますが、話としては結構楽しめます。
だてに今までのストーリーの全てを踏み台にしてないです。
内容的には記紀(古事記と日本書紀ですね)をベースにした架空戦記物といった感じ。
歴史に興味のない方にはやはりひたすら退屈でしょうが、シナリオさんの空想はなかなか興味深かったです。
ぶっちゃけこの話だけ用意してた方が良かったんじゃ…は禁句ですかね?(^^;


まとめるとシナリオさんの趣味が出すぎているのが難点だけど、それをある程度受け入れられれば…な話。
真っ当に恋愛物を期待してた人は間違いなく痛い目に合うかと(^^;

総評
う〜ん、私的にはある意味期待通りですが……。
これ原画さんのファンで「教育実習〜」を信じた人は怒るんだろうなぁ。

まとめ。看板に偽りありな微妙ゲー。
トゥルーは結構面白い(70点くらい)と思うのですが、いかんせん他が微妙すぎ。高い評価はつけられません。
個人的にはちょっと斜めから見てツッコミでも入れつつやるのがいいゲームだと思います(ぉぃ

書いた時点での総プレイ時間 17時間30分(コンプ)
お気に入りのキャラ 山吹沙雪・三輪御前(ぉぃ
お気に入りのセリフ 「だって……あたしと観月ちゃんはライバルだもん…」

初版2002/08/25