みずいろ(PC) ※ディスク3枚組 | |||
メーカー | ねこねこソフト | 総合評価 | 70点(佳作) |
ジャンル | ADV | ||
発売日 | 2001/04/13 | ||
シナリオ | 片岡とも・米村純一 | 「ギャルゲー世界の普通」という特殊なテーマに沿って作られたねこねこソフト第3弾。 前2作の好評を受けてか前人気はかなり高かったです。 |
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原画 | 秋乃武彦 | ||
サウンド | キャッツ・リメイン・えび |
※以下の評価は4/11公開修正版に基づいています
個人的エピソード |
前作「銀色」がなかなか良かったので買いました。 それに「White」の頃と比べて原画さんが格段に上手くなりましたし。 |
内容 |
普通の街に住む、普通の主人公。 そんな彼の周りで微笑むのは 可愛い素直な妹、無口な先輩。 ポンコツ幼なじみ、元気なちびっこ、健気な後輩 ――そんな普通の少女達。 普通の人々が織り成す、そんな「普通」の物語…… (自前) #思いっきり適当に書きました。思いつかなかったので。 |
システムとか |
必要容量は300MB/1.3GBで選択。 声が出るのは大容量の方なので実際選択の余地はありません(^^; システムはNScripter、すなわち「月姫」と同じシステムで動いています。 下手な独自システムよりも安定しているのはわかりますけど、同人と同じというのはちょっと……。 でもまあ、修正ファイルを当てた後なら目だったバグはありませんでした。 我が家では時々CD-DAの再生ができない時がありましたけど、 再現性が無かったので何が原因だったのか不明(^^; 全体としては選択肢分岐型のADVですが、主人公達の幼少期を描いた過去パート以外には ほとんど分岐の意味はなく難易度的には限りなく0に近いと思います。 メーカーが推奨するようにオートモードを使うと楽です。 ……それをゲームと呼ぶのかどうかは疑問が残りますが(ぉ セーブ数は20個。上記の件からこれでも十二分です。 スキップは強制スキップのみ。シナリオ面で後述しますが、共通パートがほとんどないのでこれで構わないかと。 バックログは、ゲーム全体を幾つかのシーンで管理していて、そのシーンの頭までは戻れるという独特の形態を取っています。 便利かどうか微妙なラインですけど、前より格段に良くなっているのは確かです。 鑑賞系はCG・BGM鑑賞とキャラごとのイベント回想(Hシーン含む)、それとおまけストーリーが用意されています。 イベント回想とおまけストーリーは他メーカーにはなく、嬉しいところ。 |
絵とか |
原画は秋乃武彦さん。なかなかかわいらしい感じの娘さんを描く方です。 ただ、立ち絵に関しては瞳にかなり特徴があるので、受け付けない人もいるかも。 反面イベント絵は、原画的にも一般受けしそうです。なんでだろ? 塗りに関してはモノにもよりますが若干光の陰影が強すぎたり、あるいは逆に平面的すぎるように感じました。 まあ、構図なんかも含めた総合的な質としては高めに属すると思いますが。 枚数は鑑賞モードによれば129枚(パターン違い除く)。十分な数でしょう。 ですが、雪希・過去パートCGの一部が見られないのはちょっと残念でした。 |
音楽・音声とか |
BGMはCD-DAで再生、全25曲。うち2曲がボーカルです。 どの曲も質はかなり高く、またゲームの雰囲気にも合っていて良かったです。 販売予定のサントラは恐らく買うことになるでしょう(笑) 恒例のお気に入りは「みずいろ」の全Ver.(ボーカル・インスト・オルゴール)と 「スカーレット」、「水溜りに映る空」「降る雪」に挿入歌「ごめんね」あたり。 特に作中で1回だけ使われる「ごめんね」の使いどころは非常に上手いかと。 あと、セガカラあたりに「みずいろ」配信されませんかね? 音声の方は現代編のメインキャラのみフルボイス。 声質はなかなかキャラクターに合っていていいと思います。 一方、演技の方ですがこちらもまあまあといったレベルには達しています。 あ、今回は英語モードありません(ぉぃ |
シナリオとか |
まずはシナリオ構成上の特徴から。 このゲームでは、幼少期を描いた過去パートと現代パートが用意されています。 このうち攻略などゲーム的な意味を持つのは過去パートだけでして、過去でヒロイン決定→現代パート(=個別シナリオ)という風に進行していくわけです。 これには長短あるのですが、まずは長所だけ挙げておきますと各キャラの現代パートがすなわち個別ルートなわけでして、そのため新しいヒロインを攻略する度に全く違うテキスト・全く違う物語を楽しめるというものです。 過去にあった様々なソフトと比べても全体に占める個別ルートの比率はトップクラスなんじゃないでしょうか? 多様な物語を楽しめるという意味でこの作りはなかなか評価できます。 …どうせなら選択肢とかでその多様性を表現して欲しかったという気もしてしまいますが(爆) さて、お話全体としては「普通」に萌え系の学園ADVです。 キャラクター達もギャルゲーにありがちな設定を付与されてはいるものの、 それだけに終わることなく魅力的に描かれていますし、情景なんかの描き方も丁寧です。 それに使い古された「普通」の素材を殺さず、しっかりと一定以上のレベルのシナリオに 仕上げてくるあたり本来の力量は高いと思われます。 が、ここに「普通」ゆえに抱える問題が発生します。 非常に先の展開が読みやすいのです。 そのためプレイヤーを惹き付ける牽引力に若干欠ける印象を受けました。 さらに丁寧に書かれているのはいいんですが、前述した「全てが個別ルート」という特性+読める展開と 相まってボリュームが無駄に大きくなっているように思います。 正直、中盤あたりでかなりダレたシナリオもありました。 その辺があまり気にならなかったシナリオは楽しめたんですけど。 実際問題、最初にプレイした雪希以外だと「普通」度が低かったり、 日常を描いている分量が1番少ない日和のシナリオ評価が高いというのは この問題を如実に表しているような気がするんですが……。 ただまあ、萌えもしっかり用意されたソフトですんで、萌えれば案外気にならないのかもしれません。 萌えは最高の調味料とはよく言ったものです(誰もそんなの言ってません) |
総評 |
個人的には荒さがにじみ出た前作の方が好きだなぁ。 でもまあ、ある程度総合的に判断してこっちの方を上に。こっちはハッピーエンドだし。 普通を志したら普通すぎた佳作萌えゲー。 模倣や普通は決して悪いことではありませんが、割と実力があるはずのこのメーカーはそろそろそこから抜け出してもいい時期に来ていると思います。 既存作の影響がそこかしこに見える現状は決して誉められたものではないかと。 本音を言えば60点ってとこですが、総合的完成度の高さと次こそ「オリジナル」への進化をしてくれることに期待して若干高めの点をつけておきます。 コメント厳しいですが、そこは期待の裏返しということで。 |
書いた時点での総プレイ時間 | 21時間40分(コンプ) | ||
お気に入りのキャラ | 片瀬雪希・早坂日和 | ||
お気に入りのセリフ | 「私、嫌な子だね…」 |
初版2001/04/26 最終更新2001/05/31