プライベートナース(PC) ※ディスク2枚組
メーカー AngelSmile 総合評価 65点(及第点〜佳作)
ジャンル ハートフルヒーリングADV
発売日 2001/06/15
シナリオ JUN 今流行り?の「癒し」をテーマにしたADV(メーカー談)
実は珍しいナースの純愛ものだったりも。
…そう言えば、DiskDreamってどうなったの?(禁句)
原画 根須魂介
サウンド V.Hearts

※このソフト独特のシステムについてはメーカーサイトを参照することを推奨します

個人的エピソード
根須さんの絵はかなり好きな部類に入るので。
それと同メーカーの前作「浪漫珠」のシナリオを瀬川さんが褒めていたのを受けて購入。
同じシナリオさんなら、話に大崩れはないでしょってことで(^^;

内容
病弱ながらも、幼なじみの彩乃と学生生活を送っていた主人公、力道広樹。
そんな彼の家に、突然訪れた「プライベートナース」のまりあ。

広樹の母から彼の治療を依頼されたまりあは、広樹の治療をするために
やってきたのだった。
その期間は1ヶ月…彼女は、広樹の家に住み込むと言った。

自由気ままな生活を信条とする広樹は、そんなまりあを拒絶する。
だがどんなに断っても、まりあは広樹の元を離れようとはしない。

そんなまりあに、広樹は条件付きでの採用を認めた。
その条件とは、1週間以内に、広樹の気持ちを変え、治療したいと思わせる事。

まりあは笑顔で、その条件に頷くのだった。
そんな広樹を複雑な顔で見つめる、幼なじみの彩乃。

こうして、3人の新しい日々が始まるのだった……。
(マニュアルより)
#なんか言葉が反復されてて実は日本語的にアレな個所が(爆)

システムとか
必要容量は約470MB。最近じゃ少ない部類に入りますね。

基本的なシステムは選択肢分岐型のADV。
え〜っと、山ほど言いたいことがあります。ストレス溜まりまくりです。
個人的にはキーボードに対応してない時点で既にストレスが……(^^;
まあ通常どおり順々に書いていくことにします。

セーブ数は27個。数としては困りません。
ただ、このセーブが1日単位で管理されていて、ロードした時にその日の頭まで戻されてしまうという仕様はかなり不便に感じました。1日1日が短いゲームならそれでも構いませんが、そうではありませんので。

スキップは既読/強制ともに用意されています。
ただ、スキップをかけても描画速度は速くなりませんし、コミックディスプ(メーカーサイトを参照のこと^^;)など全画面を利用した演出に関しては一切のスキップがかかりませんので、繰り返しプレイ時にはストレスを感じるのではないかと。
またシーン単位で管理しているためか全く同じテキストが含まれていてもルートが違うと飛ばせない仕様もちょっと不便に感じてしまいました。
スキップ関係の評価はかなり低いです。

バックログは用意されていません。
こういったシナリオ重視のソフトでは必須じゃないかと思うんですけど…(^^;

鑑賞系はCG・BGM鑑賞とAfterDiaryと呼ばれる後日談/おまけシナリオ+Hシーン回収モード
(Hシーンはランダム性が高いために本編だけでは回収しきれないのです)が用意されています。
またEDおよびコミックディスプ使用シーンについてはCG鑑賞モードでイベント回想もできるようです。
この辺だけは嬉しい配慮ですね。

さんざん書いたのでわかるかと思いますが、システム評価は極めて低いです。
明らかにこのシステムのせいでプレイのテンポが悪くなっています。
聞いた話ですが、ウィンドウで動かしているとフリーズすることがあるとか…。
私はずっとフルスクリーンでやっていて発生しなかったので何とも言えませんが。
ま、とにかく一言で言ってダメシステムだったということです(´Д`;

絵とか
原画さんの特徴は幼めな顔に対して肉感的な肢体を描くことでしょうか。
割と手広く受ける絵柄ではないかと思います。
個人的には手の中で形を変える柔らかそうな胸がツボです(バカ
あと中学校時代の彩乃が激萌え(帰れ

塗りの方はいわゆるアニメ塗りではなくて、絵画調の塗りを思わせる塗り方。
質の方はまあ標準といったところです。

ただ…ですね。立ち絵のジャギが物凄く目立ちます。
お願いですからαブレンドとか使ってください(^^;
昔、「星空ぷらねっと」でも似たようなこと書きましたけど、やっぱり系列だからなんですかね?

あと、メッセージウィンドウ部の絵だけワンテンポ遅れて処理されるのはなんでなんでしょう?
表示される時も、次の絵に切り替わる時もウィンドウのところだけちょっと遅れるのに
プレイ中随分違和感を覚えました。

しかしながら、このゲームの特徴であるコミックディスプやアクティブキャラクター(背景とキャラの融和とでも言えば伝わるでしょうか?)は非常にうまく機能していたように思います。
基本部分には難があるのに、映像的な演出の面では突出しているという…
なんともアンバランスで絵の項目の総評は難しいです(^^;

枚数の方は鑑賞モードによれば319枚(パターン違い含む)。
ここから例によってパターン違いらしきものを抜くと80枚程度というところ。
こう見ると恐ろしいまでのボリューム減ですが、頻繁にイベント絵の表情が切り替わるので
(特にHシーンでは)少ないと思うことはないかと。

音楽・音声とか
BGMはCD-DAで収録、全14曲。
「癒し」がテーマだからか知りませんが、ピアノ曲が多いのが特徴です。
もうちょっと曲数を増やしてほしいような気もしますが、贅沢は言いません。
質的には水準やや上といったところ。
ただ、これには「ピアノ曲が好き」という私の嗜好も大きく影響してますが(^^;

恒例のお気に入りは「幻の憂鬱」「心の傷痕」とOP「空を見つめて」
「空を見つめて」はいかにも癒し系(もう死語か?)って感じでよかったです。


で、音声の方は女性のみフルボイス。
演技の方は可もなく不可もなくというのが本音。
いささかこ○ろぎさ○みさんの演技にも飽きてきてしまったので……(ぉ
#まあ1本のゲームで彩乃の幼少期〜大学生までと、その母親を演じ分けているのは見事だと思いますけれど。

それとまりあはやっぱりちょっとミスキャスト感が否めませんでした(^^;

シナリオとか
まず最初に言ってしまいますが、「癒し」というよりは「主人公の成長」をテーマにしたストーリーです。
でも、まりあシナリオを見るとそれだけでもなさそうというテーマの見えなさが問題だったりもするんですが(ぉ

極力ネタバレ抜きでわかりやすくまとめてしまえば
「長年の病気のせいですっかりヘタレになっていた主人公がまりあの存在や治療を介して、自分を支えてくれていた大切な存在に気付いたり、物事に諦めずに立ち向かう気持ちを思い出してヘタレから脱却できるまでのお話」というゲームです(マテ
まあ、これも広義では癒しの範疇に入るのかもしれませんが…。

あまりにも主人公の精神の変化に合わせて病状が改善されていくので、
本気で主人公の病気は精神面に由来するんじゃ?とか思いました(^^;


与太話はさておきシナリオの感想をば。

「成長物語」という観点に立てば、なかなか上手く描けていると思います。
最初は疎んじていたまりあへの気持ちの変化、自身の身体や生活に対する意識の変化など
自然な流れで納得するに足る出来でした。
初期の主人公のマイナス思考や、彩乃シナリオにしばしば見られる相手への子供っぽい反応などは人を選ぶと思いますが、そこさえ気にならなければ一定以上の満足は得られるかと思います。
彩乃と美緒はシナリオも適度にまとまっていますしね(^^;


さて、「彩乃と美緒は」と書いたようにまりあについては言いたいことが。
なんで、このシナリオだけファンタジーなんでしょう?

「広樹の成長」をテーマとする限りファンタジーにする意味はありませんし、
逆にまりあのファンタジー色全開の設定を前面に押し出すならもっと違う物語があり得たような気がします。
そういう意味で、彼女のシナリオによって全体のテーマが見えにくくなった印象が。

最後のクライマックスまでの流れも他と比べて妙に冗長ですし
メインということで力を入れすぎて逆にバランスが崩れているように思いました(ぉ

全体を通じて見られる難点として、それぞれのシーンが微妙に断片的に感じるというのがありますけど、私だけかもしれません。
なぜか日常シーンをバラバラと配置しているように感じるんですよね〜。


――追記
珍しくおまけシナリオについて。
「AfterDiary」…恋人同士になったらHもするだろ!というのはわかるんですが、
単純に14個のおまけシナリオ+その8割以上にHシーンというのはボリューム過多です(^^;
個人的には完璧に食傷状態になってしまいました。

総評
まあ、なんというか。
ちょっと評価がわかれそうなソフトではあります。
私のツボからはちょっとずれていますけれど、人によってはハマるでしょうね〜。

まとめ。実験作的な印象を受けるソフト。
コミックディスプを活用した映像的な演出はかなりのレベル。
シナリオも成長物語としてはなかなかのもの。
それをシステムの破綻とテーマの不明瞭さで打ち消しているという(^^;

シナリオ70点、システムで5点マイナスということで65点にしておきます。
個人的にはAfterDiaryでさらに5点マイナスしたいですし、人によってはシステムでもっと評価を下げそうですが…それはちょっと辛すぎるかなということで。

書いた時点での総プレイ時間 12時間15分(コンプ)
お気に入りのキャラ 宮森彩乃(特に中学校Ver.←ぉ)
お気に入りのセリフ 「人を変えるのに専門家とかは関係ないよ」
「バカ…バカバカバカ! 思いっきり自信持てばいいでしょ!」

初版2001/06/25