ピンク・パンツァー(Win) ※ディスク2枚組
メーカー ライアーソフト 総合評価 65点(及第点〜佳作)
ジャンル ADV+育成SLG
発売日 2002/06/07
シナリオ 高尾登山・天野佑一・星空めてお・睦月たたら バカゲー専科ライアーソフトの第7弾。
今回はSLGの要素もあるということで、バグが付き物の同社にまともに作れるのか?という心配をされたとかされないとか。
原画 (メイン)せんばた桜
(サブ)K.TEN (ミニイベント)桜瑞
サウンド ノーブランドサウンズ

※以下の評価は6/7配布修正版に基いています

個人的エピソード
なんか毎回ここのソフトやる度に書いている気もするのですが、
私ここのファンなんですよ。ファンなだけに評価はいつも厳しめなんですけど(^^;
というわけで今回もブランド買いで。……これでバグがなければいい会社なのになぁ(ぉ

内容
強力な伝染病の流行で、一度は滅びかけた世界。
数十年間の無政府状態と暗黒時代を経て人類は国家と文明を取り戻したが、
科学技術や文化的成熟は大きく後退することになった。
そして、日本においても新たな政府統治による『新世界歴』が始まって50余年が経過した頃、
隣国『大陸連合』との戦争が始まった。

2年間の泥沼の戦争状態。大規模な作戦を行う余裕のない日本。
ヨーロッパ方面にも不安を抱え、戦力を大規模投入できない大陸連合。
小競り合いの続く中、戦争という極限状態にあって、技術革新だけは着々と進んでいった。

主人公は新兵器実験部隊の小隊長を命じられ、素人同然の5人の女性兵士を部下に与えられる。
命令は富士山麓の基地から最前線・北海道まで新兵器の稼働データを取ること、
そして途中、本土に侵入しているゲリラを掃討し実戦データを取ること。

無謀ともいえる指令の特権として、
主人公は「隊員はすべて、隊長のあらゆる命令に従う契約を済ませており、
よって隊員からのあらゆるクレームを上層部は無視する」という約束を与えられる。
……これを利用して鬼のスパルタ教育でエリート部隊を育て上げるか、
セクハラ三昧でハーレム部隊にしてしまうかは、あなた次第。

素人よせ集め部隊の明日はどっちだ!?
(メーカーサイトより転載+一部改変)

システムとか
必要容量は200/530MBのいずれかから選択可能。

ADV部分については単純な選択肢分岐型ADVですし、日本海側と太平洋側のどちらから北海道を目指すか(道中で発生するサブイベントが違う)という物や一部サブイベントを見るか見ないかというレベルの選択肢しかないので説明は割愛します。

ということで育成SLG部分についての説明。
このゲームでは部隊コマンドと個人コマンドを使い分けつつ育成を進めていきます。
具体的な使い分け方の目安としては戦闘能力を上げるためには部隊コマンド、
好感度を上げたい場合はその隊員の個人コマンドを使用という感じでしょうか。
個人EDを見るだけなら、部隊コマンドをメインにしつつ適当に個人コマンドを挟んでいけば極めて簡単にクリアできるでしょう。

ですが、全キャラ同時攻略・全イベント回収などをしようとするなら話は別です。
その場合は難易度的にもかなり高めになるかと思われます。
私も全部で7周ほどクリアしてますが、まだ条件がわからず見れないイベントありますし。
少数ながら存在するパラメータ条件が細かいイベントの回収が難しいんですよね…(´Д`;

このパート、それなりに面白くできているとは思うのですが残念な点が一つあります。
それは育成する必要のないパラメータが多数あるということです(^^;
衛生・補給・食糧のパラメータは放置しておくと低下を続けるのに1になっても何も問題がないというのはちょっとどうかと。
育成する必要がないなら用意しなければいいのにと思っちゃいました(ぉ


他に特徴として挙げられるのは戦車による戦闘です。
ただまあ、これは単純にジャンケンのルールに従っただけの物なので詳しい説明は不要かと。
グー・チョキ・パーをそれぞれ「強襲」「専守」「計略」に置き換えて敵とカードを出し合うという物です。
これも育成同様、全員同時攻略時以外は極めて簡単だと思われます。


ここからはようやく普通のADV部分のシステム解説。
セーブ数は100個。難易度は低いですし特に困ることはないかと思われます。

スキップは既読/強制の両方を実装。Tabキーで実行する形式になっています。
が、Tabを使ったスキップは強制終了を食らうことがあるので個人的にはCtrl押下によるメッセージ早送りを推奨。

バックログは99ページ前まで戻ることが可能。量的には十分です。
ログから通常の文章に復帰した時に強制終了するという大きな問題はありますけど(´Д`;
…ところでマニュアルに書いてある「音声をもう一度再生する」機能が使えないのは仕様ですか?

鑑賞系はCG・BGM鑑賞とシーン回想、さらに作中に出てくる戦車を見ることが可能です。
これにも言いたいことはあるのですが……まあ絵の項目で後述します。


ここまで読めばわかりそうな気がしますが、バグが多すぎる点を除けば悪くないシステムだったと思います。
もう7作目なんだから、いい加減まともに品質管理してほしいものです。
※我が家では正規の手段でアンインストールできないという問題も発生しました(´Д`; 相性の問題?

絵とか
個人的にはサブ原画のK.TENさんの方が好きだったりしますが、まあ悪くはないと思います。
CGの塗りもレベルとしては標準程度…とここまではいいんですけど少々他で不満が。

今回イベントの際にミニウィンドウによるSDキャライベント画を挿入する(知ってる方は「Lien」をイメージしてください)という新しい演出が取り入れられていますが、その煽りがフェイスウィンドウと立ち絵の少なさに返ってきています。
元々見た目的に地味なゲームなのに立ち絵も顔も1〜2種類しかないというのはちょっと…。
もうちょっと手間をかけて欲しかったです(^^;

枚数は鑑賞モードによると87枚(一部パターン違い含む)+ミニイベント15枚。
独断と偏見に基いてパターン違い風のCGを除くと枚数は72枚といったところ。
プレイ時間からすればもうちょっとあってもいい気がしますが、とりあえず枚数に不満はありません。

しかしここでもやはりバグの被害が。
見ても登録されないCG・シーンがかなりの数存在します(´Д`; 勘弁してください。

音楽・音声とか
BGMはCD-DAで収録、全19曲。うち1曲がボーカル曲です。
今回はミリタリーを扱ったということで自ずと軍楽風の曲や落ち着いた曲が多いのが特徴。
多少バラつきこそあるものの例によって質自体は比較的高め
この辺は安心して聞けるところではありますね。

恒例のお気に入りは「薫風遼歌」「鏡花水月」「落日悲唄」あたり。


音声は女性キャラのみ一部収録。
予算の都合などもあるのでしょうが一人二役が当たり前の現状はちょっと寂しいです。
長崎みなみさんなんか四役くらいやってますから(^^; もうちょっと人を使って欲しいところ。
演技とかはイエローテイル系の面々で特に問題ないとは思うんですが…(^^;
また今回はイベント数があまり多くないわけですしフルボイスでも良かったかと。

例によってシステム面の問題で音声指定ミス・BGM再生ミスがあるのが残念です。

シナリオとか
悪くないけど物足りない(^^;
世間一般の作品と比較すればそれほど悪くもないのですけど、同じ会社の作品と比べるとどうにも。

ライアーの売りであるバカコメディ的な部分に関しては今回もなかなか良くできていると思います。
例によって元ネタを知らないと笑いの要素も半減してしまうちょっとブラックなパロネタばかりなので、
人を選ぶのが難点といえば難点ですがそれほどマイナーなネタを扱っているわけではないですし、
パロが嫌いな方以外は楽しめることでしょう。
また比率的には少ないですけどシリアスな部分も一定のレベルはクリアしていると思います。
トゥルーエンド前の展開なんかは結構盛り上がりましたし。

この辺りはさすがに手堅く自分達の持ち味を生かした作りをしていると思います。


なんですが、SLGを採用したこととサブイベントを増やしたことで一つ大きな問題が生じています。
ほとんどが共通ルートで各ヒロインのシナリオが少ないという問題です。
日本海ルート・太平洋ルートという大きなルートの違いはありますが、
それぞれのルートを1回ずつクリアしてしまえば後はほとんどの場面をスキップするハメになってしまいます(´Д`;

この結果としてプレイ時間の割にボリューム感がありません。
まあSLG部分でも時間がかかるわけで、それほど長いADVシナリオは用意できないのはわかるんですけどね。

またイベントが少ないためキャラの掘り下げが浅くなってしまい、キャラを生かしたネタなどが使えずパロネタ一辺倒になってしまっているというのも少々残念でした。
それでも面白いことは面白いですがやはり笑いにもう少し多様性が欲しかったところです。
サブイベントが悪いとは思いませんが(Hシーンとか増えますし)、もう少しメインに力を注いでも良かったかと。

総評
バグがマジで多すぎ。最近のライアー作品ではダントツじゃないでしょうか。
感想書くまでに10回も強制終了くらいましたよ…(´Д`;

まとめ。もっと管理をしっかりしてほしい作品。
私はそれほど点数評価にバグ云々を持ち込まないのでこの評価ですが、そういうのを気にする人ならキレても仕方ないバグ状況。
厳しい見方ですが、それを抜きにしても今回は手堅いだけという印象を受けました。
初期の頃のもっと突き抜けた何かが欲しいと思う今日この頃です(^^;
点数の方は悩みましたが一般的な人がバグ修正済のをプレイしたらこんなものかな、と。

書いた時点での総プレイ時間 18時間15分(全ED確認、イベントは一部未見)
お気に入りのキャラ モコ
お気に入りのセリフ 「怪獣です! 古今東西怪獣に勝った戦車なんてないですよ!」

初版2002/06/15