SHUFFLE!(Win)  ※初回版CD3枚組、通常版DVD1枚
メーカー Navel 総合評価 50点(凡作)
ジャンル ADV
発売日 2004/01/30
シナリオ あごバリア・Long Cube 「それ散る」などで知られる元BasiLメンバーが中心となって設立された新ブランドNavelの処女作。
前作の評判や原画陣の知名度から発売前から注目を集めた。
原画 西又葵・鈴平ひろ
サウンド アッチョリケ・内藤侑史・山田和裕・coldhand

※以下の評価は初回版Ver.1.1に基づいています

個人的エピソード
最初からさほど期待はしていなかったんですよ(マテ
とりあえず毎度手抜き絵が混じるとはいえ、原画さんの絵柄は好きなのと
王雀孫信者としてはいつか出るはずの王作品のお布施として買わないと…ってことで買いました(^^;

内容
とある遺跡で発見され、開いてしまった二つの扉。
その先には神族の住む神界、魔族の住む魔界がありました。
三つの世界は繋がり、人間界に大きな変化をもたらします。

物語の舞台は、とある国のとある街。
平和に暮らしていたある少年の家の隣に、二つの家族が引っ越してきました。
その家族こそ、神界の王「神」と、魔界の王「魔王」の家族。
どちらも一人娘の願いを受けて、少女達が幼い頃より恋慕してきた
少年の家の隣へと引っ越してきたのです。

幼い頃、わずかな時間での一人の少年との遭遇。
けれど少女達はその時の想いを忘れることなく、
その胸にずっと抱き続けてきたのでした。

少年と同居している幼馴染や、その他多くのものを巻きこんで、
波乱と絶望と、ちょっぴりの希望に満ちた生活が、今始まります。

「神にも魔王にも凡人にもなれる男」
友人達から皮肉と羨望のもとに、こう呼ばれる少年を中心として。
(メーカーWebサイトより)

システムとか
必要容量は約1.8GB。まあフルボイスで音楽もインストールしたらこんなものでしょうか。
……CD-DAにするんじゃなければ最初からDVD版出せよ、という気もしますが(ぉ

システム的にはごくオーソドックスな選択肢分岐型のADV。
CGを全て回収しようとすると一部難しいものもありますが、基本的に難易度は低いです。
ただしプリムラはネリネの後でないとクリアできないというフラグ制御がある(未確認)そうなので、それだけはご注意を。

セーブ数はクイックセーブ3個+通常セーブ32個。
これだけでも事足りるとは思いますが、このほかにファイル生成型の「拡張セーブ」が用意されており、実質的には無限にデータファイルを作ることが可能です。
というわけでセーブエリアが足りなくなることはまずないでしょう(^^;

スキップは既読/強制をオプションで決定、ボタン1つで実行というスタイル。
強制スキップについてはCtrl押下でも対応可能です。
速度はかなり高速で概ねストレスは感じませんが、どうせなら日付変更時のエフェクトも高速化して欲しかったところ(´Д`;
他のエフェクトは全て高速化できるのに何か意味があるんでしょうか?

バックログは240ページ読み返し可能。音声リプレイも可能で言うことなし。

鑑賞系はCG・BGM鑑賞、シーン回想のほか表情鑑賞(立ち絵パターンなどの鑑賞モード)が実装。
シーン回想ではHシーンのほか各キャラのエンディングを見ることができます。
表情鑑賞は割と珍しいかもですね。


さすがに何本もゲームを作ってきているだけあってかシステム的には満足度高かったです。
気になったのは上でも書きましたが日付変更時のエフェクトくらいでしょうか?
1ヶ所モタつくだけでも体感速度的にはかなり遅くなるので、深い意味がないなら端折った方がよかったかと。

絵とか
原画はどちらも同人業界では知らぬ者のいない有名人。
かく言う私も鈴平女史の絵は文句なしに好きですし、西又女史の絵も好きな部類に入ります。
……「手さえ抜かなければ」という注釈がつきますが(ぉぃ

西又葵さんが原画をやっているゲームの際にはいつもいつも書いているような気がして
ならないのですが、例によってバランスが危うい・手を抜いているようにしか思えない
そのようなCGが散見されるのが最大の難点でしょうか。
そういった面が出ている絵を除けば可愛いと思うのですが……いい加減素人じゃないんだし、
もう少し絵を安定させて欲しいというのは贅沢な願いなのでしょうか?(^^;
さすが「二次元的なフィクション」ですね(笑)
あ、鈴平さんの方は一部立ち絵に硬い感じの絵があったくらいで問題なかったと思いますデス。

と苦言は呈しているものの全体的な質としては塗りも含めて高値安定。
原画が好きで絵買いした人でも特に不満を感じることはないかと思います。


枚数の方は鑑賞モードによれば109枚(パターン違い除く)。
ゲームのボリュームを考えたらこんなものですかね。
イベントがさほど多くない関係もあって必要そうな場面には大抵絵が用意されていたように思います。

音楽・音声とか
BGMはOgg Vorbisで収録、全23曲。うち3曲がボーカル曲となっています。
安心して聞ける質ではあるし場面場面には合っていたので、ゲームのBGMとしての
水準点は超えているかと思います。

……が、過去に同じ音楽スタッフが手がけた作品から期待したほどの質ではなかった
というのも率直な感想です。
ごくごく普通の水準程度で、このスタッフを買っている私としてはより一層の奮起を期待しています。

そんな中のお気に入りは「Purple Moon」「滲む鏡像」とOP「Mirage Lullaby」辺り。


一方の音声ですが、こちらはサブキャラも含めたフルボイス。
意図的に(?)「それ散る」とキャストを被せている方が散見されるような気がしないでもないですが、それは下種のかんぐりというヤツでしょうかね(^^;
まあ、それはさておき概ねどの方の演技もレベルは高かったと思います。
個人的には亜沙先輩の演技はちょ〜〜〜っとアレかな? と思いましたが…。

シナリオとか
昨今の萌えゲーを1本のカタログに。
いつものように内容を手短に圧縮するとこんな具合。

勘違いしないで欲しいのは「萌えゲー」は全然褒め言葉として使っていない、ということ。
これだけは最初にはっきりと書いておいた上で内容をば。

このゲームは基本的にはコテコテのスラップスティックラブコメディです。
ある日突然「小さい頃からずっと好きだった」という美少女が2人も主人公の前に現れて、そこから始まるドタバタの日々、そんな中で前から身の回りにいた人との関係も徐々に変わってきて……みたいな極めてベタなお話がそこにあります。
私はベタな話が大好きな人間なので本来ならば大歓迎!
――と言いたいところなのですが、現実はそう上手くはいきません。
この作品には1つスラップスティックとして致命的な弱点があるのです。

ギャグがつまらないという致命的な弱点が(´Д`;
正直なところ、サブキャラの神王、魔王のおバカっぷりや冷やかし役の魔弓がいたから何とか耐えられたようなもので、彼らが絡まないシーンなどは退屈の極み。
後述しますがキャラクターの魅力にやられてでもいなければ、単に女の子達が主人公にベタボレで一生懸命アプローチしようが、取り合いしようが文字通りドタバタ劇なだけで面白みなどないわけで。
こればっかりはセンスなのでどうしようもないかもですが、もっと頑張ってください…。

で、チラッと書いた「キャラクターの魅力」ですが…書き分けが弱いです。
弱いと言うと言いすぎかもしれませんが、5人のヒロインのうち3人までが既にフラグが立っている状態で、しかも3人のアプローチまで似たり寄ったりでは没個性的と評されても仕方ないのではないかと。
(しかもうち2人はシナリオ進行も似たような感じですしね^^;)
「類型的なキャラ」というのとは全く別にゲーム中でキャライメージを被せすぎて埋没してしまっているわけです。

またシナリオがイベントのパッチワーク状態で関係を深める過程が見えないというのも残念なところ。
プレイしていて何とな〜くで個別シナリオに入っているような印象を受けました。
これら2点の結果として「萌えゲー」なのに萌えないという状態になっている気が。
キャラ立てのスキルそのものは決して低くはないと思うのですが……。
日常描写を通じてもっとヒロインの魅力を掘り起こすなどの工夫があれば良かったかも。

さて、さんざん苦言を呈していますが、最後にもう1つ苦言を呈しなくてはなりません。
「カタログ」とまで呼ばれるくらいですから当然実装されている電波唐突過ぎるシリアス話について。
多くのゲームと同様、この作品でも別にシリアスな話を無理に挿入する必要はないのに真面目な話が最後に始まります。

内容についてあえて多くは語りませんが、ただ一言だけ。
プレイヤーの予想を上回る展開をすればいいというものではありません。
これだけで出来については十分お察しいただけると思います(苦笑)

総評
手前味噌ですけど「萌えゲーのカタログ」というのはなかなか秀逸な表現だと思います。
イベントをパッチワークにしただけのような中身の薄い日常、ギャグ?的な軽いノリ、終盤になって始まる泣かせ系のエピソード(大抵は不発に終わる)……とあらゆる要素を揃えた感が。

まとめ。版画を買うくらい2人の絵が好きなら(マテ
もしくはギャグに対する許容範囲が広く、キャラが立ってて絵が良ければ十分に萌えられる方なら。
…すみません、ことシナリオに関する限り私にはサブキャラ以外褒める場所が思いつきません(´Д`;

書いた時点での総プレイ時間 14時間(コンプ)
お気に入りのキャラ 神王&魔王コンビ、魔弓=タイム
※サブキャラばっかりだというのは秘密だ
お気に入りのセリフ 特になし

初版2004/05/24