直線上に配置

ドニーイエン(甄子丹) 忽然一周からの記事 (1/2)

私の父が一番好きなアクションスターは甄子丹だ。甄子丹のカンフーは本物に近く、アクションは実に素晴らしいと、父はいつも話していた。成龍に関してはハリウッドに行ってから偉くなりすぎたと父は思っているようだ。父のドニーへの賞賛はずっと続いていた。英語のわからない父は、彼がハリウッドに渡り活躍し、成功したことを知らない。白人が彼のカンフーを見て大感激し、ドニーをマスターイエンと呼んでいることなど、父は知る由もない。ハリウッドに渡ったマスターイエンが何故だかわからないが、かなり成龍に似てきたことも、父はしらない。

甄子丹は外国の雑誌には、両乳首をみせ油を塗りテカテカした上半身裸の肉体を惜しげもなく撮らせている。香港では、1つの乳首が見える写真ですら撮らせたことはなかったのに。甄子丹の話によると、黒人スターのウェスリー・スナイプスが甄子丹の大ファンで一度自宅に招待されたとき、スナイプスの部屋がドニーのDVD、ビデオテープ、雑誌で一杯だったという。甄子丹によれば、現在流行しているヒップホップは、彼が20年前に踊ったブレークダンスがベースにあるという。

仕事について、現在の甄子丹は、選り好みできる立場にある。「盗墓者羅拉II」の悪役のオファーがあったが、ことわったという。約2時間のインタビューは90%がハリウッドにおける甄子丹の成功に終始する内容であった。3年前にハリウッドに渡り成功しているドニーは自信に満ち溢れている。辛い事は特にないという。向こうではみんなが彼を尊重してくれるという。

3年前に分かれた萬綺雫のこと、当時仕事がうまく行っていなかったことなど、彼は一切語ろうとはしない。別れた奥さんと暮らす7歳になる子供がいることについても、話そうとはしない。私は「お子さんと会うことはないのですか?」と問いかけてみたが、彼の答えは、「次の質問は?」という、成龍がよく使うフレーズをそのまま使ったものだった。その時のドニーの答えぶりは、強い意思を持ち、きっぱりとしていて、成龍そっくりだった。このことについては、ドニーファンの父には言わないでおいたほうがいい。父の体調は最近思わしくなく、興奮させたくないから。

ハリウッドに渡ったスターのほとんどが、過去のことについては全て記憶の彼方に葬ってしまう傾向にあるようだ。成龍は、隠し子のことや、奥さんのことや、スキャンダルのことなど、一切語ろうとはしない。同様に、甄子丹も99年以前のことに関しては口を閉ざして触れようとはしない。

私は意地悪く荒探しをしているわけではない。けれども、99年当時の新聞記事に、彼の仕事が順調でないこと、当時のガールフレンドである萬綺零が別れ話を持ち出し、ドニーがマスコミの前で彼女に対し自分の誤りを認め、謝罪し、復縁を迫ったこと、だが彼女は戻ってこなかったことなどが書いてあったから、聞いてみたくなったのだ。今日も昔の話を持ち出すと、甄子丹は、「そんなことはなかったよ。どうして僕が謝罪するの?新聞に書いてあることはでたらめだ。」と答えた。

彼に萬綺雫とはその後連絡はとっていないのですか?と質問したとたん、ドニーの顔から笑顔が消え、いらいらした様子を見せ、きっぱりとこう言った。「そういう話はしない約束だよ。話さないっていったら話さないよ。」映画会社の宣伝マンに対し怖い顔をして確かめるように「今日は『英雄』の話だけって約束じゃなかったの?」といった。

甄子丹が既にハリウッドにおいて安定的な地盤を築いたことは確かであり、『英雄』の中の彼は皆がうらやむほどカッコいい。人生は皮肉なもので、ハリウッドで活躍する以前の彼の人生は順調とはいえなかった。外国にいって彼の人生は息を吹き返したのだ。もしも私が以前の彼の資料に目を通さなかったら、彼に7歳の子供がいて前妻と暮らしていることを思い出すことはなかったかもしれない。このようなプライベートな話を一度話題にすると、その場の空気は一変し、まるで戦争前夜のように緊迫したものになってしまう。状況から判断すると、もしも私が敢えてもう一度同じ質問をしたら、甄子丹はその場を立ち去ってしまいそうだった。英雄は気が短い!

甄子丹は恋愛面では順調ではなく、彼が話してくれるハリウッドでの活躍ぶりとはまるで正反対であるといえよう。話はまるで羅生門のようだ。95年に『精武門』を撮影し、そこで萬綺雫に出会い、2人は即座に恋におちた。甄子丹の妻は当時妊娠8ヶ月であった。妻は他の女性に走ってしまったドニーを嫌い、別居状態になり、その後離婚した。慰謝料として毎月5万ドルを支払うこと、2人名義の不動産の家賃収入を半分妻に支払うことなどが決められた。だが、妻は慰謝料の額が少なすぎると不満をもっていた。ある時、甄子丹が子供に会おうと妻の家を訪ねていったが、拒絶されてしまった。2人は言い争いになり、妻は警察に暴力をふるわれたと届け出た。ドニー側は殴られたのなら傷を病院でチェックするよう要求したが、妻は拒否した。最終的には警察側で家庭紛争のケースとしてリストに載ることになった。事件のおきた後、ガールフレンドの萬綺零が甄子丹は責任感のある立派な人であると力強くドニーを弁護した。また自分は第3者ではないことも認めた。妻との揉め事は泥沼化していき、妻側が夫の不貞と暴力を理由に離婚を申し立てる結果となった。家庭裁判所の判決で子供の養育権は妻側に与えられた。

(2/2)へ続く →

トップ アイコン
トップページヘもどる