園遊会(前編)


サングロイア郊外
ローエンハイン邸庭園。

本日はかねてより計画されていた園遊会の日である。この会は、史上最悪の
帝国貴族、ウィル・フォン・ローエンハインがあちこちでしでかした不始末
の尻拭いの為、苦労性の妹が計画した会というのが内部(帝国貴族一党内)で
の見解である。(笑)

トップバッターで着いたのは、ラ・ターシュ家御一行と悪の秘密結社御一行
さすがにこういう会に慣れているのか、堂々としている。

シリウス「随分とでかい屋敷だな。アンの所と同じくらい大きいじゃないか。」
アン「そうですね。・・・・・・シリウス様、やっぱりそういう姿(正装)もかっこ
いいです〜(^^)」
シリウス「そ、そうか(^^)・・・・・・アンもそのドレス、似合ってるよ。」
アン「本当!シリウス様にそう言ってもらえて、嬉しい☆(*^^*)」
アレク「・・・・・・(横目で不愉快そうにシリウスとアンを見ている)」
翼「(アレクを見上げて)どうしたんですか?」
アレク「(慌てて振り返り)いや、なんでもない。」
フェル「(周囲に警戒の目を光らせながら)アレク様、気をつけてくださいよ」
ヘカテ「相変わらず心配症ですね、フェル。」
フェル「今回はどこで誰が襲ってきてもおかしくないですからね。ま、そんな
事は無いだろうけど。」

また門の方が騒がしくなった。今度はウィンフィールド・ドーリングの面々
である。萩代美雪は緊張しているようだ。

美雪「(きょろきょろと辺りを見回しながら)ひょっとして場違いじゃないか
なぁ・・・・・・あたし。」
拓磨「招待されたのは萩代なんだからさ、堂々としてていいんだよ。」

それを聞いて美雪は少し安心したようだった。

セラフィナ「おもしろい会になるといいわね。ふふふっ」

それとなくセラフィナは呟いた。

マックスカンパニーの面々も到着。門をくぐり始める

椿「あんた、とうとうそのカッコで来たわね。」
ジョウ「いいじゃないか。あ、拓磨君も似たようなもんだ。」
龍「どっちにしろ浮いている気が・・・・・・おや?」

龍は庭園に入ると一人の老人を見つけた。彼の記憶では、確か帝国貴族一党
のヨハネス・リューネベルグ。帝国武術師範だったはずだ。こんな機会でもな
いと他流の人と話す機会も無いので、彼は思い切って話し掛けてみた。

龍「失礼。ヨハネス・リューネベルグさんですか?」

老人は太刀を磨く手を止め振り返った。

ヨハネス「いかにも。貴殿は?」
龍「僕は西門一刀流に属する者で、一条龍といいます。」
ヨハネス「おお、西門一刀流。御高名はかねがね伺っておりますぞ。」
龍「どうも。(刀を見て)なかなかの逸品ですね。」
ヨハネス「うむ。これは帝国崩壊時に何とか持ち出せたものの一つでな。帝国
伝来の歴史ある逸品で・・・・・・」

この話は長くなると予想されたので、ジョウは二人の側から離れ、同じような
恰好をしている拓磨に話し掛けた。

ジョウ「やぁ。」
拓磨「あ、どうも。」
ジョウ「・・・・・・気にならないか」
拓磨「・・・・・・ええ。」
ジョウ「・・・一番の当事者が居ないってのもおかしな話だよな。」
拓磨「まだ準備が出来ていないのかもしれませんよ?」
ジョウ「いずれにしろ、油断は禁物だな。」

だが、開会の時になっても「一番の当事者」ウィル・フォン・ローエンハインは
現れなかった。

乾杯の為のグラスが各員に配られた。中身は割と上等なシャンパンだ。

シリウス「う・・・・・・(炭酸駄目なんだよなぁ)」
アン「シリウス様、 どうしたんですか〜?」
シリウス「いや、何でもない・・・(アンの前だからなぁ、我慢するか。)」
爺「私は仕事中だから、なにかジュースをもらえますかな?」
キートン「かしこまりました。アップルサイダーを御持ちします。」


そんなシリウスを、アンは微笑みながら見上げていた。

美雪「どうしよう、あたし・・・・・・お酒飲めないのに」
拓磨「乾杯は礼儀として口だけでもつけろ」
美雪「ん、解った」

そんな美雪を見て、拓磨は「萩代、まだ少し緊張しているな」と思った。

その他の人にもグラスがまわり、フィーアの開会スピーチが始まった。

フィーア「皆様、本日はこうして交流の場を持てた事を大変嬉しく思います。
少しでもお楽しみいただければ幸いです。それでは・・・乾杯!」

一斉にグラスが上がった。

フィーア「どう、状況は?」
キートン「意外と酒の飲めない人が多いらしいですな。ソフトドリンクを多め
にしておいて正解でした。」
フィーア「御兄様は?」
キートン「大丈夫です。薬がよく効いておられるようで。」
フィーア「良かった。出てきたらきっとぶち壊しだもんね。」
キートン「では、飲食をはじめますか。」
フィーア「ええ。」




TOPへ        蔵書目録へ