園遊会(中編)


フィーア「それでは皆様、しばし飲食とご歓談をお楽しみ下さい。」

各自散らばっていったが、その中でも特に目をひく二人が歓談の輪を避けて庭
の端へ向かっていた。悪の秘密結社の二人組み、アレクとフェルだ。そして、
向かっている先には、ハインドがいた。アレクとハインド。二人とも真っ黒で
ある(笑)

アレク「私は悪の秘密結社代表取締役社長、アレクシス・リシーヌだ。」
フェル「・・・・・・社員のフェル・ペンタリエです。」
ハインド「どうも。ハインド・フォン・キルリードです。」
アレク「うむ。少し話がある。」
ハインド「何か?」
アレク「率直に言おう。我が社に入らんか?」
ハインド「・・・・・・」
アレク「我が社の営業目的は「真の悪をこの世に広める事」なのだ。今の世の
中は間違った悪が多すぎる。そこで我が社は・・・・・・」

その後30分間の演説を聞く間にハインドは思った。ウィル以外にもこういう
奴はいるものだと。

美雪「えと・・・・・・ソフトドリンクはあるかな?」
キートン「どれになさいますか?」
美雪「じゃあ、アイスティーを。」
フィーア「美雪さん・・・・・・」
美雪「何か?」
フィーア「本当に・・・・・・本当に申し訳ありませんでした。」
美雪「あ・・・・・・その、気にしないでください。私も気にしないって決めました
から。」

美雪はそう言っていたが、フィーアには少し辛そうな美雪の表情が見て取れた。
拓磨は少し憮然としながら側を離れた。

一方、ヨハネスはすっかり龍を気に入ったようで、自分の持ってきた日本酒を
龍に飲ませようとしていた。

ヨハネス「ささ、これは私の秘蔵の逸品でな。わざわざファーイーストの方か
ら取り寄せた物だ。」
龍「はぁ・・・・・・」
ヨハネス「遠慮するな。ぐっといけ!」
龍「(意を決しておもいっきり日本酒をあおる)」
ヨハネス「おお、いい飲みっぷり!ささ、もう一杯!」
龍「(顔真っ赤)いえ、これ以上は・・・・・・」
ヨハネス「たった一杯で若い者が何を言っとるか!さあ、もう一杯!」
サクラ「師匠、飲みすぎは身体に毒ですよ!」

終始この調子である。
会場のあちこちで会話が交わされている。

フリード「こんにちわ。」
セラフィナ「あら、こんにちわ。本日はお招きありがとう。」
フリード「いえいえ。相変わらず洋服のセンスがいいですね。まあ洋服も、そ
の美貌のおかげで目立っているのでしょうが。(^^)」
セラフィナ「うふふっ。ありがとう。そう言って頂けると嬉しいわ。」

ジョウ「・・・・・・」
拓磨「ジョウさん、いました?」
ジョウ「いや、いないようだ。」
拓磨「どうしたんでしょうね、一体?」
ジョウ「・・・・・・これ以上気にするのはよそう。」
拓磨「・・・・・・そうですね。」

フリード「こんにちは。」
椿「どーも。」
フリード「ドレス、よく御似合いですよ。」
椿「どーも。」
フリード「(これ以上は無理と悟り去って行く)」
フィーナ「(クスクスと笑いながら)随分と冷たいのね。」
椿「軽いだけの男に興味はないの。」

キートン「ヨハネス様、そろそろ・・・・・・・」
ヨハネス「おお、出番か。」
キートン「はい。準備は出来ています。」

キートンが指した方向には、フルーツがずらりと並べられていた。

フィーア「さて皆様、ここで一つ余興を御見せしましょう。帝国武術師範役
ヨハネス・リューネベルグ様がここにある果物を見事に切り分け
てくれます!」

紹介されたヨハネスは一礼すると、果物が盛ってある皿の前へと進んだ。そし
て、深呼吸をすると抜刀し、目の前の果物に向かって剣を3回ひらめかせた。
その瞬間、果物は見事に切り分けられ、皿の中でフルーツポンチとなっていた。
無論、皮は全て下に落ちている。ヨハネスが一礼すると、会場の各所から拍手
が沸き起こった。

美雪「はぁ・・・・・・パチパチ(・・)」
拓磨「なかなかやるな、あの老人・・・・・・」

龍「す、すごいですねぇ・・・・・・」
ヨハネス「いやいや、あれぐらいどうって事無いわい。」
龍「はぁ。」
ヨハネス「貴殿もやってみるか?(^^)」
龍「いえ、結構です。」

美雪「あ、結構おいしい(^^)」
拓磨「ああ。」
美雪「どうしたの?楽しくない?」
拓磨「いや、そんなことないよ。」
美雪「……?なら、いいけど。」

アン「シリウス様、このフルーツポンチ、サイダーは入ってないみたいです
☆(^^)」
シリウス「じゃあ、俺も食おう。」

アレク「ほぉ・・・・・・見事な剣さばきだな。」
フェル「ええ。」
アレク「今度あの御仁に剣を習いに行ってみるかな・・・・・・」
フェル「止めといた方がいいと思いますけど・・・・・・」

どうせズタボロになるだろうということが、フェルには分かっていた。

フィーア「じゃあ、ダンスタイムに入りましょうか。」
キートン「そうですな。」

ローエンハイン一党による演奏が始まった。ダンスタイムの始まりである。

アン「アレクお兄様、翼ちゃん誘ってきたら?(^^)」
アレク「・・・・・・(複雑な表情をする)」
アン「シリウス様、踊りましょ♪(^^)」
シリウス「ああ。足踏んだら御免な。(^^)」

美雪「妹尾さんも踊ってくればいいのに。」
拓磨「え・・・・・・俺、こういう踊りはやったことねえからなぁ・・・(汗)」
美雪「折角きたんだから、妹尾さんも楽しまなくちゃ、ね。」

そう言われて、拓磨は女性陣の中で相手を見つける事にした。

フィーア「あら・・・・・・・妹尾拓磨さん、ですよね。」
拓磨「あっ、はい。」
フィーア「あなたは踊らないんですか?」
拓磨「今相手を探している所なんですよ。・・・・・・もしよろしければ、踊りませ
んか?」
フィーア「私でよろしければ。(^^)」

拓磨「えと・・・・・・どうやって踊ればいいのかな?」
フィーア「そんなに難しくありませんよ。こうやって、音楽に合わせてステッ
プを踏んでいけば・・・・・・」
拓磨「う〜ん・・・・・・こんな感じかな?」
フィーア「なかなかお上手ですわ。(^^)」

最初は慣れない拓磨だったが、運動に関するカンはいい方なので、みるみるう
ちに上達していった。

フリード「フィーナさん、踊らないのですか?」
セラフィナ「お誘いがあれば踊るつもりだけど。」
フリード「私ではいかがですかな?」
セラフィナ「もちろん。よろしくお願いするわね。」

二人は華麗にステップを踏み始めた。二人ともかなりうまく、そのステップは
会場を魅了していった。

フリード「フィーナさん、お上手ですねぇ。どこでダンスを?」
セラフィナ「ふふ、昔……少しね。あなたこそ、随分とお上手ね。」
フリード「ダンスからビリヤードまで、良い男に必要な技能は一通りマスター
したつもりですよ。」

美雪「あ、ジョウさん。」
ジョウ「やぁ。あ、そうだ。どうせだから踊らないか?」
美雪「え、でも・・・」
ジョウ「大丈夫、大丈夫。」

そう言って二人は踊りだした。が・・・・・・

美雪「きゃっ!(足踏んだ)」
ジョウ「いて!」
美雪「ご、ごめんなさい!(*>_<*)」
ジョウ「あ、大丈夫大丈夫。」
美雪「きゃあっ!(よろける)」
ジョウ「おっと(支える)」
美雪「す、すいません!(*@_@*;;」
ジョウ「大丈夫?」

さて、日も傾き、会はお開きになると思われた。が・・・・・・

S・E「ガシャァァァァァァァァァン!!!」

どうやらまだ一幕の残っていたようだ。




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