アンのらぶらぶ大作戦☆プロローグ
〜デートのお約束☆〜
オーシャンコロシアムでは今日、4試合行われる。正確にいえば既に3試合目まで終わり、残る1試合は現在始まったばかりだ。そしてここ、特別観戦室ではさっさと1試合目で出番を終えたシリウスが試合を観戦していた。いや、シリウスだけでは無い。一撃必殺同士の対決に興味があるものが多いのであろう、観戦室は普段以上にごった返していた。
アナ「相対距離9に、両者移動されました」
2機の間がかなり離れる。特別観戦室からはシャトーエドワールが近く、自走型ファイヤーバードアタックが遠くに眺められる。
アナ「ファイヤーバードアタックです。自走型ファイヤーバードアタックの大好きな
武器と聞いています」
その声に観戦室の観客は皆自走型ファイアーバードアタックのアップの画面に注目する。自走型ファイアーバードアタックを紅い輝きが包む。
ε『ロックオン』
ε『これが最後の攻撃です。Mr.シュワルツ、あててください』
シュワルツ「チェーンジ、ファイヤー・バード」
観戦室の空気がどよめく。ファイヤーバードアタックが実際に使われる所を見たのはみな初めてのようだ。しかも位置的に、実際に自分達に向かって攻撃されたかのような錯覚を覚える。焔の鳥がシャトーエドワールに襲いかかる。観客は皆息を飲んだ。だが、崩壊したのは右手に構えていた的だけだった。そして大技を放った自走型ファイヤーバードアタックにむかってシャトーエドワールの三連装遅燃性高熱敬榴弾砲が襲いかかる。その攻撃で自走型ファイアーバードアタックの胴部装甲が大きく削られる。
その後、互いに間合いの取り合いが続き、そして試合開始後10分……
アナ「シャトーエドワール、トンファーを選んだようです。これは作戦通りなのでしょ
うか」
天狼『ロックオン』
アン「ぬんっ!」
シャトーエドワールのトンファーは自走型ファイアーバードアタックの胴体、それも先程の攻撃で装甲が破壊されていた部分に綺麗にきまった。
アナ「きゃぁぁぁぁぁっ! 自走型ファイヤーバードアタックの胴部が……、だめで
す、早く、早く逃げてぇ!!」
被弾部分が危険な輝きを放っている。シャトーエドワールは慌ててその場を離れた。輝きは機体中のあちこちに伝染する。
ε『なんて所に被弾したんです。爆発します』
脱出する余裕は無い。輝きが爆発の閃光となり、機体が光へと変わる。
特別観戦室に強い輝きが差し込んだ。
観客「……最期まで見せてくれる……」
最期では無い。強制転送装置がしっかり作動している。
勝負あり、軍配はアンリエットのシャトーエドワールに上がったようだ。それを確認した観客達は腰をあげ、出口へと向かって消えて行った。そんななかシリウスだけは、人ごみが無くなったら帰ろうかな、などと考えていているのかぼーっと座っていた。別段この後に予定がある訳でも無い。そして人の姿がまばらになってきた頃、一人の少女が特別観戦室に姿を表わした。先程の試合で見事勝利した、アンリエット・ド・ラ・ターシュ嬢である。シリウスは彼女を見つけると挨拶でもかわそうと思い、彼女に歩み寄った。
シリウス「おや?アンリエットちゃん……じゃなかった、アンじゃないか。
おめでとう、なかなかやるじゃないか(^^)」
アン「ありがとうございます……シリウス様も、1試合目、おめでとうございま
す(^^)」
シリウス「見てくれてたんだ、ありがと(^^)」
アン「あ、シリウス様……(ト゛キト゛キ」
シリウス「ん?なんだい?」
アン「ずーっと前アンと付き合ってくれるっておっしゃってましたよねぇ?
覚えてます?」
シリウス「ずーっと前?……そういえばそんな事あったね(^^)」
アン「えーと、明日、お暇ですかぁ?日曜日ですし」
シリウス「ん?ああ、空いてるよ。別に日曜日じゃなくても俺はほとんどいつでも
暇なんだけどな(^^;」
アン「よろしければ、デートしていただきたいんですけどぉ……(*^^*)」
シリウス「デート?まあ、一緒に何処かに行くくらいなら構わないぜ」
アン「あの、シリウス様らしい場所に連れていってくださいませんかぁ?(*^^*)」
シリウス「俺らしい場所?……そう言われても思い付かないなぁ(^^;
少なくともデートに向いた所が無いのは事実だぜ」
アン「アンねぇ、シリウス様のことをもっと知りたいんですぅ☆
だからぁ、シリウス様のお好きな場所に行きたいなぁ……」
シリウス「そういわれても、俺にはどうにもならないしなぁ(^^;
それに英雄のサーガで騎士を導くのはいつも麗しい女性の役目だぜ
(^^)」
アン「え〜、どうにもならないんですかぁ。そんな所もカワイイッ☆」
シリウス「(か、カワイイ!?俺がカワイイ?(悩)
ま、いいか。褒め言葉には違いないんだし……)」
アン「でもでも、アンのこと『麗しい女性』なんて言ってくださるなんて……嬉し
いですー(;_;)」
シリウス「お、おい、泣くな、泣くんじゃないっ(アセアセ」
アン「エグエグ……はい、シリウス様がそうおっしゃるんなら、泣きませんっ。
そーいえばシリウス様ってぇ、いっつも甲冑とか着てらっしゃるんですよ
ねぇ。この前ここでお会いしたときもそうでしたし……」
シリウス「いつもってワケじゃないけど、なんとなく鎧って好きなんだ。
この前も新しいやつ注文したばかりだしな」
アン「もちろんアンとのデートの時も着てきてくれるんでしょ?じゃあねぇ、アン、
お姫様のかっこで行こっと☆」
シリウス「俺としては鎧はまずいかな、とか思ってたんだが(^^;
まぁ、ご希望ならなんの問題も無いな(笑)」
アン「じゃ、その次のデートの時には騎士以外の装いでお願いしますぅ(^^)」
シリウス「おう、まかせときな。その時は君も、「お姫様」は無しだよ。
君のいつもと違った恰好も見てみたいしな」
アン「はぁ〜い、わかりましたっ☆でもでも、アンとデートしてくださるなんて
嬉しいです(^^)これでもう婚約したも同然……(妄想中)」
シリウス「おいおい、一人で違う世界に行かないでくれよ(^^;」
アン「きゃ〜ん、シリウス様のえっちぃぃぃ(*^^*)でも、アン、シリウス様とだった
ら……きゃっ、恥ずかしいっ(*^^*)」
シリウス「おーい……聞こえてないな(^^;(一体何を想像してるんだろう?)」
アン「聞こえてますよぉ、シリウス様の声なんですからっ☆
えーと、じゃ、明日の午後1時という事で。忘れないでくださいね(^^)」
シリウス「忘れるワケないよ。それで、待ち合わせ場所は何処にするんだい?」
アン「ん〜っと、サンライズ通りの時計台でお待ちしてま〜すっ(^^)」
シリウス「ああ、分かったぜ。どこ行くかなんてのはその時決めればいいしな。
とにかく、遅れないように気を付けなきゃな」
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