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さらにもう一品、チャーシューがのったわけは..



 シナチクで味をしめた華僑の一品料理屋はさらに具をプラスすれば儲かるに違いないとそろばんをはじく。シナチクと相性がいいのはとにかく豚肉である。ところが豚肉と一緒に煮た筍は食べても豚肉は残す。豚肉の煮たのは日本人の好みに合わないらしい。それにしてもあんなおいしいものをどうして食べないんだろう。豚肉そのものが嫌いなのだろうか。ひょっとするとあの脂が嫌われている理由かもしれない。味だろうか、見た目だろうか..彼らは一生懸命に考える。そこで物は試しと、広東名物の焼き豚を1、2枚薄く切ってのせてみた。
 シナチクと焼き豚の組み合わせである。するとこれが思いがけず評判上々なのである。誰一人残す事なく、しかもおいしそうにたべるのである。広東の焼き豚は、炉を使って時間をかけ、じっくり焼き上げる。だからその間に余分な脂は下に滴り落ち、出来上がりは香ばしくまことに美味なのである。
 広東の焼き豚とは、そう、あの叉焼(チャーシュー)である。よし、これでいこう!そこで南京街の店々ではシナチクにもう一品、チャーシューを添える事で衆議一決した。そして誕生したのが今日のラーメンの原風景なのである。