2nd LOVE(PC)
メーカー FORCE 総合評価 70点(佳作)
ジャンル ADV
発売日 2000/02/12
シナリオ 深沢豊 「書淫、」同様5人という超少人数での制作が特徴。
精鋭揃いと言えば聞こえはいいんでしょうが……。
やっぱりどうしても小粒感は否めませんね(^^;
原画 蒼月裕忠
サウンド 石原伸悟

※以下の評価はLANGuexにて配布中のVer.1.1aに基づいています
  また同社作品「書淫、」との比較が多いことを初めにおことわりしておきます(ぉ

個人的エピソード
まだ「書淫、」を買う前に秋葉原を探し回っていた折、メッセのワゴンセールで
見かけたので「書淫、」の代わりに購入。
なんと代金1200円。同人ソフトよりも安いじゃん(^^;

内容
あなたとその隣の家に住む少女は、幼なじみの同級生。
二人はお互い相手の存在を気にしてはいるものの、
なかなか次のステップに踏み出せないでいる微妙な関係でした。
ある日の朝、あなたは自転車の荷台に少女を乗せ、家を出発……
ところが――事故はその時に起こりました。
突然のトラック割り込みによる交通事故……結果、あなたは無傷。
けれど少女は――死亡してしまいました。

数日後――。「あいつが死んだなんて……まだ、実感できないな……」
ため息をつきつつ、窓から誰もいない部屋を眺めた時です。
「な〜に、ため息なんてついちゃってるのよ?」突然、聞き慣れた声が後ろから聞こえてきました。
驚いて振り返ると、そこには他界したはずの少女が――ベッドの上にちょこんと座っているではありませんか!
しかもそのカラダの大きさは、ポケットに入れることができるくらいの、小さな小さな人形サイズ。
「ねぇ、ココって結構、居心地良かったんだね」
あなたのポケットに居座った少女は、にっこりと笑みを向けながら、そう話しかけました。

2nd LOVE。このお話は、そんなあなたと少女達の、ちょっと哀しくて、そして前向きな――二度目の恋の物語です
(パッケージ裏より)
#……これ読んで、あの話を誰が思いつくのでしょうか?(^^;

システムとか
必要容量は約50MB。
まあ、音声なし・BGMはMIDI・絵の枚数も少ないと来れば当たり前ですけど、本当に少ない容量ですね(ぉ

システムは選択肢を選んで進んでいくADVの様相を呈していますが、
実際のところはコマンド総当りによる一本道みたいなものなので(バッドエンドもあるんでしょうが)
ADVと呼ぶのが適切かはわかりません(^^;

セーブはファイルを生成するタイプなので無制限。
ただし、セーブできるのは選択肢に「セーブする」が表示されている時だけなので
無制限にセーブできるメリットはほとんどありません

メッセージスキップは既読のみ。速度はなかなか高速。
バックログ機能については用意されていません。
「書淫、」なんかはメモ機能である程度の代替が可能でしたが、この作品のメモ機能は過去10行分を表示するだけなので代替は不可能。
10行しか参照できないので実はメモ機能としても十分とは呼べません(^^;

鑑賞系はVer.1.1aにおいてはCG・BGM鑑賞・シーン回想と揃っています。
Ver.1.0だと鑑賞系の一切が存在しないのでそういった意味でも
是非バージョンアップをしておくことをオススメします(ぉ

絵とか
…………クセありまくり。
大抵の絵は大丈夫な私ですけど、この絵は辛いです。
クセとかいう以前に立ち絵のデッサンとか歪んでますし(爆)

塗りのレベルも決して高いとは言えませんし、質の面では首を傾げざるをえません。
メーカーの方針なんでしょうか?
「絵なんぞ飾りですよ! 上の人はそれが(以下略)」みたいな。

枚数の方は38枚(パターン違い含む)
例によってパターン違いを除くと27枚。
ついに今まで扱った中で1番枚数の少なかった「プリンセスメモリー」
抜き去るソフトが現れてしまいましたよ……(´Д`;
枚数まで少なすぎということで絵の項目についてはフォロー不可。
有り体に言ってダメです。

音楽とか ※音声はありません
BGMはMIDIで再生。全10曲。
数に関しては少なすぎて何も言う気がしません(ぉぃ
もうちょっと多くたってバチは当たらないと思うんですけれどね。

質の方はまあ水準程度といったところでしょうか。
ちょっと曲ごとの出来にバラつきがあるので、中には水準を下回る
クオリティの物も混じっていたりしますが(^^;

お気に入りはタイトルでも流れる「元気を出して」と「Hシーン」あたり。

ところで「寂しげな瞳」って作中で使われてないような気がするんですが、
どうなんでしょう? 詳しい方の回答待ってます。
(※竹山ストーリーで家庭教師を断ると流れるそうです。sinさん、どうもありがとうございました)

シナリオとか
相も変わらず、構成力に富んだシナリオです。
ただし続編的な位置にある「書淫、」には劣りますけれど。

例えるならば、広義でのミステリ或いは数学の証明問題解答
色んなところに潜ませていた伏線を最後に一気に回収して、それをもって予想もしなかったような物語の全体像を導き出すという手法は見事というよりほかありません。

このシナリオ、始めた直後は大した話ではありません。
個人的には嫌いではないし、レベルが低いとまでは思いませんが(^^;

「死んだはずの恋人が姿を変えて戻ってくる」というモチーフは他でも見かけますし、
その後展開する物語も「ようやく傷を乗り越えて次の恋を見つける」というよくあるものにすぎません。
その後の展開についても(以下ネタバレ)
ループして、再び別のヒロインと恋に落ち、彼女の傷を癒したところで再びループするという展開、
またループしている結果としての複数のシナリオがパラレルワールド的になっているという世界観も含めて

(ネタバレ終わり)
それ自体は別段珍しいものではないでしょう。

むしろ各ヒロインの攻略手順さえ決められた一本道ぶりに腹を立てる人も多いかもしれません。
(最後までやれば、一本道なのはある種の必然だとわかるんですが^^;)

私がこのシナリオを評価する点、それは終盤――華月光のシナリオと
最終シナリオ「3TH LOVE(誤植に非ず)」――の衝撃の展開ゆえです。

光シナリオで提示された驚きの事実と最終シナリオで示されるそれを上回る
驚愕の真実は、文字通り「あっ」と言わされるのに十分なものでした。
#“事実”と“真実”の使い分けに注目してください(ぉ

そういった「物語に予想を裏切られる快感」を味わいたい方なら必ず満足できるかと思います。

個人的には不満らしい不満は、わずか4時間でコンプリートできてしまうという
そのボリュームのあまりの小ささと萌え不足(笑)だけだったりします。
シナリオについては本当にほとんど不満はないですね。

ただし、恐らくEDについては賛否両論分かれるかと思います(私は好きですが)。
人によっては「夢オチの一種」という一言で片付けてしまうでしょう(^^;

「何が“2nd LOVE”だったのか」「誰の“2nd LOVE”を扱いたかったのか」を
物語全体を踏まえて考えれば、かなり深い終わらせ方だと思うんですけどね…。

総評
いや〜、EDはマジで度肝を抜かれました。
あの人の2度目の恋を描いた物語だったんですね〜(謎

まとめ。シナリオの構成美に浸るソフト。
同社の「書淫、」ほどの完成度はありませんがやはりデザインに関してはかなり優秀と言えるでしょう(まあ「書淫、」より前に出ているので完成度が低いのはある意味当然ですね)。

ただ両方をやってみてメーカー色というか作家性みたいな物を掴んでおかないとちょっと辛い面があるのは否めません
「入り込む」よりは「作られた世界で演じる」ような面が強く出ているソフトなんで(^^;

個人的には「書淫、」との比較に基づいて75点あげてもいいシナリオなんですが、
他がダメなのとEDがやや人を選ぶ感が強いので70点としておきます。
でもまあ、格安で手に入ると思うのでお勧めはできますです〜。

書いた時点での総プレイ時間 4時間10分(コンプ←マテ)
お気に入りのキャラ 華月光・浅野静
お気に入りのセリフ 特になし

初版2001/06/30 最終更新2002/06/03