第5回 水質調整剤
観賞魚や水草水槽に水質調整剤というものを多かれ少なかれアクアリストは添加するでしょう。その中でなにを添加すべきでなにを添加せざるものなのかを認識していかなくてはならないでしょう。
昨今、観賞魚用品では水質調整剤と称するものが数多く見受けられます。それらはどのようなもので本当に効果があるのでしょうか。
塩素中和
まず、最初に水道水を使用する場合水道水に含まれる塩素を中和せねばなりません。
この方法としてはチオ硫酸ナトリウムやビタミンC等の還元剤を利用する方法と活性炭などを利用し物理的に吸着させる、触媒を利用して還元する方法などがあります。
観賞魚ではカルキ抜きと呼ばれるチオ硫酸ナトリウムを使用したものが大半で、若干活性炭フィルターで前処理を行う方法のものがありますが、コストが高くついているようです。
まず、魚を飼育する水槽ではカルキ抜き(液体や錠剤、粉末等)を使用してもさほど問題はないでしょう。しかし、厳密にディスカスやアピスト等の低伝導度を好む魚の産卵や発色を目的とする場合は問題となる場合があります。海水魚やグッピー、金魚や鯉などの場合は何ら問題はないと考えられます。
水草水槽ではどうでしょう。水草水槽ではナトリウムイオンが藻類の発生に起因することがあります。そのため本来はナトリウム型の還元剤は利用するべきではありません。
そのため、低伝導度を好む生物や水草を飼育する場合は活性炭フィルターを使用することが好ましいのです。水草水槽の場合はカリウムが欠乏するためカリ型の還元剤を利用することがよりよい方法ということがいえます。アクアガーデンでは水質調整剤はすべてオリジナルに配合されたものを使用しています(プロデュースド バイ AGHを参照)。pH調整剤
pHを調整するものにはいろいろのものがあります。降下させるものはたいていリン酸等の弱酸が使用され、上昇させるものには炭酸化合物が使用されます。
ここで考えなければならないことは天然水系でpHが高い状態、低い状態ではなにが起因してそのpHが存在するのかを考えなければなりません。単にpHだけをみれば酸性物質であればなにを投入してもpHは降下するでしょう。
通常、水槽では魚を多く飼育すれば腐植が進行しpHは下がる傾向にあります。アフリカなどの河川産シクリッドではpH4に生息するものもいます。ここでは蒸留水のような水に若干の腐植物が溶け込みpHを降下させ4という値を示しているのです。この水には酸を中和するアルカリ度はほとんど存在しないためこのようなpHが存在するのです。わかりやすくいえば水道水に酢酸を1滴落としてもpHはほとんど変化しません。これは水道水に含まれるアルカリ度がそれをうち消すのです。しかし、蒸留水に1滴の酢酸を加えればpHはたちまち低下します。この違いなのです。ここでは例を酢酸とたとえましたが天然水系ではたいていは硝酸塩が起因する有機酸がほとんどで、火山地帯では硫酸塩が多少関わることもあります。
これらのことからpHが高いのでリン酸を入れる等のことは藻類の発生を招き、他のアルカリ物と反応しその生物が生存するところには存在しない沈殿物を生成し、環境を変えてしまうことになりかねません。
また、上昇させたいとき、腐植酸等の老廃物が酸性を呈しているのにそこにアルカリを入れればpHは上昇しますが老廃物を取り除いたわけではないことを理解下さい。これらが蓄積されある一線を越えればその中の生物はすべてその弊害により死亡することでしょう。この場合は老廃物を取り除く、すなわち水を少量ずつ頻繁に交換することが最善です。 また、pHブロック等のpHを一定に保つような製品もあります。これらもpHは理想かもしれませんが、それら以外の数多くのアクアリストが測りとれない水質項目は理想からどんどんはずれていくということをご理解下さい。
もし、硬度を下げたい、pHを下げたいという場合は使用水をイオン交換等の処理を行うことが理想です。また、水質を測り理解すれば天然に存在する酸やアルカリと同じ性質にするものをうまく使えば目的を達せられますが少々熟練が要ります。重金属吸着、表皮保護剤 ビタミン剤
魚の粘膜を保護し、重金属を吸着します。といううたい文句やビタミンを補給しますと言ううたい文句で販売される水質調整剤が数多きあります。
これらはすべて有機物が使用されそれらの製品の腐敗を防止させるための安息香酸化合物などの防腐剤が使用されています。その防腐剤のほとんどは水に溶けにくいためそれを溶解させるために活性剤(石鹸のようなもの)が使用されています。これらは環境や水槽内生物にどのような影響を与えるのかよくわかりません。現在、これらの保存料は化粧品や食品分野では人体に対して良くないので改善する方向へと向かっています。しかし、入れなければ微生物による汚染で食中毒を起こすことになる可能性があります。
たぶん、魚や水草はこの増殖した微生物の方が安全だと思いますが。
そのため、これらのものは使用しにくいが粉末の方が良いでしょう。また、過度の投入は濾過細菌に負担をかけることになります。
安全な天然抗菌剤などを配合した商品が普及することが望まれるでしょう。濾過細菌
バクテリアという名前やスラッジ(沈殿物)を分解します。という酵素などが数多く販売されています。
その中で濾過バクテリアは誰もが一度は水槽は投与したことがあるでしょう。
しかし、本当に品質を保持できる濾過細菌は冷凍状態か凍結乾燥状態のものに限られます。現在市販されているもので無菌培養液状で窒素充填を施され高温環境にさらされないものはある程度効果は期待できるでしょう。そのほかは投与しても役に立たないか濾過細菌に負担をかける逆効果になる可能性もあります。
それらを頭に入れ使用下さい。
宮 本