ねこねこファンディスク(PC) ※CD2枚組
メーカー ねこねこソフト 総合評価 75点(佳作〜良作)
ジャンル ファンディスク
発売日 2002/01/25
シナリオ 片岡とも・高嶋栄二・東トナタ 読んで字の如く、「銀色」「みずいろ」などで知られるねこねこソフトのファンディスク。例によって低価格路線で一部ユーザーを心配させた(笑)
原画 秋乃武彦・紫珪・綾瀬悠・神代舞
サウンド CATS・リメイン・SoundUnion・まにょ


個人的エピソード
まあ私、基本的に色々言ってますけどねこねこソフトは好きなので(^^;
発売前に気にしていたのは「みずいろファンディスクみたいな内容だったら嫌だなぁ」
という一点のみだったのですが……。

内容
ファンディスクものの例に倣ってコンテンツを紹介。
あくまで内容紹介なので軽く触れるに留めます。

◆えちぃモード
読んで字の如くHシーンがメインの(というかほとんどそれしかない)ADVモード。
内訳は「みずいろ」ネタ5編(細かく分ければ6編)+「銀色」1編。

◆ショートストーリー
一転してシリアスな内容のサイドストーリー的なシナリオを収録。
内訳は「銀色」2編+「みずいろ」1編+「White」1編。
物にもよるが、ショートの名の通りえちぃモードの話よりも短い(ぉ

◆戦えブルー
特撮ヒーローもののオマージュ(あるいはパロディ)的内容のシナリオを収録。
全5話構成の常時独特なノリで突き進むおバカなお話。

◆その他
「みずいろ」の日和改め“まじかるひよりん”を主役にした不条理シナリオ「まじかる」シリーズ2編、
オリジナルのキャラを主役に据え、「みずいろ」の雪希・進藤、「銀色」の夕奈をゲストキャラに迎えた同じく不条理シナリオの「探偵・片瀬健三郎」シリーズ2編を収録。
……別にいいですけど、なんで不条理系の話ばっかり入ってるんでしょう?(^^;

◆バルドバレねこ
このファンディスクのメインコンテンツ(マテ

まあこれは半分冗談としても(半分は本気)、実際この手のファンディスクに収録される
ミニゲームとしては群を抜いてよく出来ています。
元々戯画から出ている「バルドバレット」のキャラデータを載せ替えたもののようですが、
完成度に定評のあるソフトが元なだけにこれも取っ付きやすい割に非常に奥が深いです。
ACTゲームが好きな人ならこのコンテンツだけで実売価格分の満足は得られるんじゃないかと思います。


この手のものとしては珍しく壁紙・アクセサリーなどが収録されていないのが独特といえば独特でしょうか。
その代わり?に今までの作品から選曲したサントラCDが付属しています。
(3/12修正:ディスク1に壁紙データが収録されているそうです)

システムとか
必要容量は約1GB。
また「バルドバレねこ」をプレイする場合はさらに130MB程度の空き容量が必要になります。
フルインストール以外に選択の余地がないのはちょっと辛いかもしれません。

各コーナーはジャンルとしてはミニADVと銘打ってはいますが、実際のところ選択肢があるシナリオそのものがほとんどなかったりするので、ミニADVというよりはデジタルコミックに近いものを想像していただければ。

また動作システムは例によってNScripterを使用。

セーブ数は20個。十二分な数だと言えましょう。
今回のソフトに関して言えば選択肢もほとんどないですし、ミニADV1つあたりのプレイ時間は
せいぜい30分強というところですからそもそも使うことがあるかも微妙なくらいです(^^;

スキップは既読スキップをついに実装(Ctrlキー押下で強制スキップも可)。
今作では活躍の場は少ないですが以前から希望していた機能なので採用はありがたい限り。

バックログはこのシステム特有の形態を採用。
「全体を幾つかのシーンに分けてその頭までは戻れる」という手法を採っています。
また今回からホイールにも対応したみたいです。

鑑賞系はCG鑑賞とシーン回想を用意。個人的にはBGM鑑賞がないのが残念です。
あとシーン回想と普通にミニADVをプレイするのが同じのような気がしてならないのは私だけでしょうか?(ぉ

まあこんなものでしょう。特に不便な点はないかと思います。
「バルド〜」についてのシステム説明は(既存作の流用なので)割愛しますが、先述したようにシンプルにまとまっていてよく考えられたシステムデザインだと思います。

絵とか
原画は複数名いますが、どれも悪くはないと思います。割と手広く受ける絵柄かと。
CGの塗りの方も水準かそれよりやや高いレベルで安定しています。
ただ複数名いるせいもあってどうしてもバラつきが目立ってしまいます。

「みずいろ」関係の絵は問題ないのですが、例えば「銀色」旧版の立ち絵と新版のイベント絵の違い・「ソルジャーブルー」での一部絵の崩れなどそういったバラつき、違和感が生じているのは否めません。
その辺がちょっと勿体ないかな、と思いました。

枚数の方は42枚(パターン違い除く)
多くはありませんが、まあこの手の作品としては妥当な枚数だと思います。
HCGが3分の1以上を占めるのはちょっと珍しいかもですが(ファンディスク系はHは薄いことが多いので)

音楽・音声とか
BGMはPCMで収録。鑑賞モードがないので自分で数えた限りでは全33曲。
うち9曲が新曲で、他は既存作で使われた物の流用となっています。

新曲が少ないのは残念ですがどの曲もレベルはかなり高いです。
まあ曲の出来には定評のあるブランドですし、この辺りは当然といったところでしょうか。
新曲の中のお気に入りは「スカーレット(Vocal Ver.)」「山田さんのテーマ(仮)」「たたかえブルー」
特に「スカーレット」の使い方と「ブルー」の頭の悪さはかなり良かったと思います(ぉ


音声は男性も含めたメインキャラのみフルボイス。
「ブルー」以外に関しては元々ある作品と同じキャストなのでキャラには合っていますし、
演技力の方もとりあえず及第点は点けて構わないかと。
まあこの辺りはコメント不要でしょうかね。

シナリオとか
この項目も内容欄と同様にコンテンツごとに評することにします。

◆えちぃモード
実用には十分耐えうるえち度合いだと思います。
少なくとも「みずいろ」のキャラが好きな人なら満足すること請け合いでしょう。
ただ個人的に気になったのはどのシナリオも似たような話に終始していることです。
主人公がちょっと強引に迫ってコスプレさせて、ゲーム本編とは違って結構彼女も乱れて…というパターンの踏襲。
これを偉大なマンネリズムと見るのは自由ですが、私は面白みに欠けると思いました。
ねこねこのおまけHと言えばコスプレなのかもですが、いくらなんでも全部が全部というのは…ねえ(^^;

◆ショートストーリー
どの話もボリュームが少なめなのはちょっと残念ですが、よくできているかと。
「銀色」3章のその後を描いた「朝奈」と「みずいろ」のサブストーリー「チョコレート」が良かったです。
これには素直に満足です。

◆戦えブルー
個人的には嫌いではないんですが、ウケたというほど笑いはしませんでした(^^;
特撮ヒーローのお約束に基いて、それをパロった話の構成や演出自体はいいと思うんですが、どうも同じネタの繰り返しが多くて最初のうちはともかく5話もやるとさすがに飽きます。
まあそういうパロディやお約束が好きな方なら笑えるでしょうし、逆にそれが寒く感じる人にはとことんまで寒いシナリオかと。

◆その他
不条理話の常で合わない人にとってはやはりうすら寒いシナリオでしかないでしょう。
難しいことを考えずに話の流れに身を委ねるのがポイントです。
これも特別ウケたというわけではありませんが、個人的には同じギャグ系の「戦えブルー」よりも楽しめました。
まあこれは単純に「まじかる」や「片瀬健三郎」が2話構成なのに対して、「ブルー」は5話構成なので飽きの度合いに差が生じただけという気がしますけど(^^;

あと全体に共通したことですが、「みずいろ」の登場頻度がやけに高いです。
出世作だから当たり前と言えば当たり前ですが……。
これじゃまるで「ねこねこファンディスク」というより「みずいろファンディスク」みたいです(ぉ

さて、最後にシナリオ面を総括すると
悪くはないけど、人を選ぶし同じネタを使いすぎ(^^;
とまあ、こんなところになるんですかね。ま、ファンディスクなんでそれも可かもですが。

総評
まあなかなか良かったと思います。ファンディスクとしては合格点でしょう。

まとめ。ねこねこ(特にみずいろ)ファンなら。

ねこねこの作品をある程度しっかり遊んでいないと全く楽しめないこと・新規で書き下ろされた話が人を選ぶ性質が強いことなど敷居がやや高い感が無きにしも非ずですが、まあファンなら満足のいく出来になっているかと。
点数の方はファンディスク65〜70点に「バルド〜」でいくらか加算して75点ということにしておきます。

書いた時点での総プレイ時間 約8時間(コンプ・うち3時間はバルドバレねこプレイ時間)
お気に入りのキャラ 結花@ソルジャーブルー
お気に入りのセリフ 「困った時は根性だよ、ブルー」

初版2002/02/06 最終更新03/12