サフィズムの舷窓(PC) ※ディスク2枚組
メーカー ライアーソフト 総合評価 70点(佳作)
ジャンル 耽美推理ADV(ぉ
発売日 2001/05/18
シナリオ 高尾登山・睦月たたら・星空めてお・天野祐一 バカゲー専科のライアーソフト第4弾。
今回、パッケは花とゆめコミックス、OPムービーは世界名作劇場のパロというバカっぷり。
その分、本編のバカさはトーンダウン(^^;
原画 K.TEN
サウンド 九十九百太郎(雑音工房NOISE)


個人的エピソード
いや、やっぱりライアーFC第一期会員で、しかも会員番号が2桁のヤツが買わないというのもちょっと…と思って。
それにこのメーカーはバグさえなければ結構優秀なんですよ(ぉ

内容
男子禁制の巨大船上学園“H.B.ポーラースター”で、
次々と少女達が襲われる事件が発生した。

人呼んで“レズの王子様”杏里・アンリエットは、
日頃から「ボクの愛しい子猫ちゃん」と称する恋人たちと、熱烈な愛の日々をおくる問題児。
学園はその杏里を犯人と決めつけ、退学処分を宣告した。
もし3週間以内に真犯人を見つけられなければ、本当にこの船を降りなければならない。

親友の大天才・天京院鼎の協力を得て、杏里は真相の究明へと乗り出した!

――退学までの期限は3週間、きみは真犯人を発見できるか?
(パッケージ裏より)

システムとか
必要容量は200/600MBのいずれかを選択。
まず最初に一言。強制終了するようなバグがありません(笑)
ライアーと言えばバグといった感さえあったので、これには素直に驚き。

ゲームの流れについて解説すると以下のようになります。

最初に3人の次期被害容疑者が提示され、そのうちの1人を選択してゲーム開始。
以後、そのヒロインのシナリオが展開されていくことになります。
あとは1日に午前/午後の2回マップを移動して様々なヒントを集めて1週間に1回安楽椅子探偵役の鼎の元に提出。
ヒントが一定量あればシナリオ続行。なければゲームオーバーといった作りで3週間目の日曜日にEDを迎えます。

この移動マップではちゃんと誰がどこにいるかも表示されますし、それほど多くのヒントを要求されるわけでもありませんので(鼎は天才ですから^^;)ある程度セーブ&ロードを繰り返す覚悟さえあれば、ヒントをくれるキャラがいないかリロードしてチェック。
いればヒント入手、いなければヒロインに会いに行くというプレイスタイルで自力攻略も十分可能です。
難易度的には中の下といったところでしょうか。

作中、選択肢分岐はそれほど大きな意味を持たないというのが特徴ですね。

セーブ数は10個。
ヒントを求めて何度もリロードすることを考えると若干少ないかもしれません。
スキップはいわゆるメッセージスキップではなく、シーンスキップ。
強制と既読の両方を実装しているはずですが我が家では、既読フラグを認識してくれませんでした(^^;
あとBGMが鳴らなくなることが
バックログは最大で99ページまで可能。
ただし選択肢があった場合はそこまでしか読み返せません。

珍しいところだと「直前の選択肢まで戻る」機能があります。
リロードが面倒な人はこちらを使うのもいいでしょう(ぉ

鑑賞系はCG・BGM鑑賞にイベント回想と一通り揃っています。
また3ヒロインをクリアするとおまけシナリオ「サフィズムの幻想」が出現します。
こちらは全10話となかなかボリュームもあって嬉しい仕様。
シーンスキップ時の不満以外は問題ありません。前作前々作と比べれば格段の進歩です(爆)

絵とか
スレンダーというか細身の女の子が特徴でしょうか。
割と一般受けする路線なんじゃないかと思います。
これまでの同社作品は立ち絵はほとんどなく、顔ウィンドウでそれを補っていましたが、今作では豊富な立ち絵が用意されています。
やはり画面栄えという点から見て、この改善は評価するべきでしょう。
……やっと他のメーカーに並んだというだけですが(^^;

イベント絵については塗りは若干彩度が強すぎる印象を受けましたが、それでバランスを欠いているわけでもありませんし、水準には達していると思います。
枚数は70枚(パターン違い含む)。パターン違いは少数のみ。
相変わらず数字的には多くないはずなのに、不思議とそれを実感させません。
この辺りの作りは上手いですね〜。

音楽・音声とか
BGMはCD-DAで収録、全16曲。うち1曲がボーカルです。
質はまあまあといったところ。
正直、同社他作品のことを鑑みるともうちょっと高いクオリティでもいいかと思いますが…。
ゲームの雰囲気に合わせてかピアノ曲など穏やかな曲が多いのが特徴です。
お気に入り曲は「Twinkle Talk」「波は穏やか」といったところ。
個人的にはもうちょっと曲数を増やして欲しかったところ(^^;

音声はHシーンを始めとした一部イベントのみ。
質の方はバラつきはあるものの平均すれば及第点以上でしょうか。
F&Cなんかでもしょっちゅう見かける顔ぶれが散見されます。
ただ、以前「夜が来る!」でも文句を言ったような気がしますが、音声有無の管理はイベントごとでお願いしたいです。
同じイベントでも急に音声が切れて驚かされることが何度か(^^;

シナリオとか
まず最初に一言。今回、バカ度低いです(ぉぃ
実際、主人公の設定や大天才にして友人の鼎が作る発明品にはなぜかミキサーが付属している点なんかはバカに属する要素ではあるんですが……。
ことライアー作品に関する限り、「別に普通じゃん」で終わってしまいます(^^;
まあこっちが「行殺」「B2K」と2本続いたバカパロコメディ路線を期待しすぎた感もありますが(^^;

さて勝手な期待を裏切られた悲しみを書き連ねても仕方ないので本論へ。

耽美推理ADVというコピーのうち、「推理」については正直誉められたものではありませんが(途中であっさり犯人判っちゃうし、そもそも主人公は推理してないし^^;)、「耽美」についてはなかなか雰囲気出してるのではないかと。

主人公・杏里が気持ちのいい、そこらのヘタレ主人公よりもよっぽど男らしい魅力を持っていて「自分が女子校にいて、こんな先輩がいたら惚れるな」と思わせてくれますし(マテ
いちいち大げさな愛のセリフもそれらしい雰囲気を醸し出してます(笑)

そして相変わらずキャラクターの立て方が上手く好感が持てますし、会話のテンポが良くてプレイ中にだれるということがありません。
また最後までの引っ張り方・まとめ方もなかなか良く出来ていると思います。
それぞれ終盤でシリアスな展開になりますが、そうなっても水準以上を保ちつづけているのは見事です。

どのシナリオも平均は超えていますが、脇役も忘れ去ることなくしっかり出演させているソヨンシナリオと、ヘビーな展開と最後の杏里の漢らしさに胸が熱くなること請け合いのアイーシャシナリオがオススメです。

総合的に見て、コミカルな部分もシリアスな部分も上手く描けている良質シナリオではないかと。
実際、誉めてばっかりですし。
ギャグを期待しすぎた私みたいな人間以外は満足でしょう(^^;

総評
相変わらず見た目とは裏腹に結構いいもの作るなぁ…。
そんな風に思っちゃいました。ファンの贔屓目と笑いへの期待を裏切られた悲しみに揺れながら(^^;

まとめ。ヅカファン推奨ソフト(爆)
真面目な話、クオリティはなかなか高いです。
私がライアー初体験なら間違いなく75点はつけていると思います。

ただ、もっと笑わせてくれることを期待した分、評価は落ちてしまいました。
質は高いですし、次も買わせて頂きますけど。
ライアーっ子の私はちょっと厳しく70点としておきます。

書いた時点での総プレイ時間 約12時間(コンプ?←CG2枚抜け)
お気に入りのキャラ 杏里・アンリエット、ファン・ソヨン、子猫ちゃん達(ぉぃ
お気に入りのセリフ 「…ちがうわ、好きなの。ジェラシーを燃やしている時の自分が。
あなたが好きだって、よりはっきりと確かめられるでしょう?」
「どうあってもキミとともにある。そう決めたんだ。だから絶対に離さない」

初版2001/05/24