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官職:太政官:

太政官

(最終更新日:98.07.08

 − 目次 −




 

太政官〔だいじょうかん〕


太政官とは、立法・行政・司法すべての政治を総轄し八省百官を統括する、天皇の代理機関とも呼べるもので、「大宝令」以後の二官八省の官制で、命令系統の最上位に置かれた機関です。
朝廷が実権を失った後も明治維新まで存続し、明治政府において再び最高官庁として実権を得ることになります(周囲の事情が異なるし構成も大幅に変わりますので、別のものと考えた方がいいですが)。

官内は、「大臣」「納言」「参議」という朝廷最上位の官吏たち、及び、太政官内に置かれた「左弁官局・右弁官局」「少納言局」の3つの役所で構成されています。この3局をまとめて「太政官内」と言ったようです。
「参議」以上の職は、朝廷の実際的な政治における最重要職なので、官職に対する俸給を与えられます。

組織上は、「神祇官」と並んで(というか、だいたい神祇官の方が優先されて)置かれていますが、たとえば太政官から神祇官へ出された書類(官符)の形式等によって、実際には太政官の方が上位の役所であったことが知られています。

ところで、令制期のものは〔だいじょうかん〕と言って、明治以降のものを〔だじょうかん〕と言うのが通例とされているそうです。もっとも、この語句の対象となるものは他にありませんし、特に根拠があってそうされているわけでもないらしいので、あまりこだわる必要はないと思いますが、参考までに。
当時、和名では〔おほい〔おおい〕まつりごとのつかさ〕と言っています。

 

太政官の別称


 『尚書〔しょうしょ〕省』『鸞台〔らんだい/らんたい〕』『蘭省』

唐名(中国の役所名にあてたもの)です。(※このうち、「蘭省」は、後世になると弁官(=大中少弁)だけを指して言うようになります。)

 『乾政官〔けんせいかん〕

実は別称ではなく、天平宝字2年(758年)の官名改称でこの名称に変更されたのですが、6年後の官名復旧で元の「太政官」に戻されます。

 『官〔かん〕のつかさ』

「つかさ」は「官」という意味ですから「官を管掌する官」てな感じです。

 『上官〔じょうかん〕

(現代ではどうか知りませんが、少し前までは、)「政官」の借字で、太政官の官人、の意だろう、といわれていたようです。


 

太政官組織(職員)構成


太政官組織は大臣・大中納言・参議、及び、左弁官局・右弁官局・少納言局の三局で構成されます。
(※ 時代が下ると、左右弁官局は合併されます。)


太政官組織 (※ 中納言・参議は令外の官)
要職 太政大臣
左右大臣・内大臣
大納言・中納言
参議
左弁官局 右弁官局 少納言局
職員 大中少弁大中少弁少納言
大少史大少史大少外記
史生史生〔ししょう〕史生
官掌官掌〔かじょう〕使部
使部使部〔しぶ〕
配下の省 中務省 式部省 民部省 治部省 兵部省 刑部省 大蔵省 宮内省  −   −   −   − 


養老職員令の規定では、職員構成は以下のようになっています。

  太政大臣(1名)
   
  左右大臣(各1名)
  ↓
  大納言(4名)

     少納言  → 大外記  → 史生
     (3名)   少外記    (10名)
           (各2名)

     左右大弁 → 左右大史 → 左右史生 → 左右官掌 → 左右使部  → 左右直丁
     左右中弁   左右少史  (各10名)  (各2名) (各80名)   (各4名)
     左右少弁  (各2名)
    (各1名)

            巡察使(非常置・若干名----その時の必要に応じて)

 (※ 養老令撰定の時期は、内大臣、中納言・参議、少納言局の使部は置かれていません。
    巡察使は、臨時に置かれる職です。)

 

太政官四部官(四等官・四分官)

(※ 詳細説明は別ページへリンクしています。)


 ・ カミ

太政〔だいじょう〕大臣

正一位/従一位

左大臣/右大臣/内大臣

正二位/従二位


 ・ スケ

大納言

正三位

中納言

従三位

参議

正四位下


 ・ ジョウ

大弁〔だいべん〕

従四位上

中弁〔ちゅうべん〕

正五位上

少弁〔しょうべん〕

正五位下

少納言

従五位上


 ・ サカン

大史

正六位上

大外記〔だいげき〕

正六位上(延暦二年に少外記が置かれるまでは正七位上)

少史

正七位上

少外記〔しょうげき〕

正七位上(延暦二年に設置)


 

太政官が勤める役

(※ほんの一例。)

 

○ 『摂政・関白』


大臣職を辞してから務めた例外もありますが、通常は、その時点で最も高位にある大臣が兼任する役です。
(※「延喜式に至るまで(廃置分合の期間:摂政・関白・その他令外の官職)」参照。)



○ 『内覧〔ないらん〕


太政官が天皇に対して奏聞する文書をあらかじめ内見する役です。
内覧の宣旨は、摂政・関白には立場上、必ず下されますが、関白でなくても(中納言程度でも)内覧の宣旨を下される人は少なくありません。その意味で、摂政・関白に准ずる立場ともいえます。



○ 『上卿〔しょうけい〕


首席の公卿のことで、会議や式典のメイン執行役です。大臣・納言が勤めます。

『記録所』の長官も「上卿」で大臣・納言が勤めますので、混同しないよう注意。....というか、結局、そうした臨時のリーダー「議長」とか「開催委員長」とか、そうしたものを「上卿〔しょうけい〕」というようです。
公卿、の意味で上卿と言っている例もあるようです。



○ 式典の際の役


・ 『節下の大臣〔せっかのだいじん/せちげのおとど〕


御禊の儀式のときに、「節旗〔せっき〕」の下に立つ役で、大臣が勤めます。略して単に『節下』と言うこともあります。
【節】=儀式の際に用いる旗。この旗そのものを指して「節下」と言っていることもあります。 【御禊〔ごけい〕】=大嘗会を行うため、その前月に天皇が鴨川で「みそぎ」する儀式。斎宮や斎院が祭祀の前や卜定後に行う鴨川での「みそぎ」を指しても言います。



・ 『内弁〔ないべん〕・外弁〔がいべん〕


節会のときに、承明門の内外でそれぞれの御用を勤める役で、大臣以下が勤めます。内弁は上卿、外弁は次席の公卿です。
【節会〔せちえ〕】=天皇参加のもと、群臣に宴を賜う儀式。



○ 文書管理


・ 『文殿別当〔ふどのべっとう〕』・『公文預〔くもんあずかり〕


文殿を管理する役です。
たとえば、左右弁官局の場合、それぞれに、史が一名『別当』、史生が各二名『公文預』となり、一年交替で勤めます。

【文殿〔ふどの〕】=太政官内にある公文書庫。役所ごとにあって、(時代によって変遷があるかもしれませんが)単に「文殿」と言っている場合は少納言局の文殿、時代が下るとこれを「外記文殿」とも言ったらしく、また、左右弁官局の場合はそれぞれ「左文殿」「右文殿」となっているようです。



○ 臨時のもの


・ 『巡察使〔じゅんさつし〕


役というより、諸国の巡察をする職のようですが、常置ではなく、巡察に応じて置きます。
内外の官(都や地方の役所)に於いて「清く正しく灼然なる人」を仮に充てます。巡察する事柄の子細や規則、また、使人の数(巡察使や、雑役を勤めさせる「召使〔めしつかい〕」を2名置くなど)はその時々の必要に応じて定めます。




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