− 目次 −
『府』とされる役所は警衛を担当する武官の役所で、いずれも他の役所の配下にはありません。
都には御所警衛のために置かれた『六衛府』があり、地方には外敵に対して置かれた西の『大宰府』、東の『鎮守府』とがあります。
六衛府 = 左右近衛府 左右兵衛府 左右衛門府
大宰府 (※「太宰府」と書くのは地名で、役所名は「大宰府」と書きます。) 鎮守府
『六衛府』は『諸衛〔しょえ/しょえい〕(のつかさ)』とも言い、左右の近衛・兵衛・衛門の総称です。
また、近衛が内裏の内側を警衛するのに対し、内裏の外側を警衛する兵衛・衛門は、総称して『外衛〔げえ/がいえ〕(のつかさ)』と言います。
内重〔うちのえ〕=閤門〔こうもん〕=陰明門・宣陽門から内側(=内裏中心部)
近衛府官舎は大内裏の出入口である殷富門・陽明門の北腋にそれぞれありますが、内裏内の月華門・日華門内にもそれぞれ「陣座〔じんのざ〕」(=詰め所)が置いてあり、また内裏の出入口である陰明門・宣陽門にはそれぞれの大将の内裏内宿所、さらに内裏内にも大将の「曹司〔そうし/そうじ〕」(=控室・執務室)が一室設けられています。
中重〔なかのえ〕=陰明門・宣陽門の外、宜秋門・建春門から内側(=内裏内周辺部)
兵衛府官舎は大内裏の出入口である殷富門・陽明門の南腋にそれぞれありますが、内裏の出入口である陰明門・宣陽門にもそれぞれ「陣」(=詰め所)を置いています。
外重〔とのえ〕=宜秋門・建春門の外、殷富門・陽明門から内側(=大内裏内)
衛門府官舎は大内裏の外、左京・右京にそれぞれありますが、大内裏内の宜秋門・建春門にもそれぞれ「陣」(=詰め所)を置いています。
![]() |
概ね、近衛府・大宰府 → 兵衛府・衛門府 → 鎮守府、の順に格付けがなされているようです。
四部官(四等官・四分官) | 近衛府 | 兵衛府・衛門府 | 大宰府 | 鎮守府 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
カミ | 〔かみ/ たいしょう〕 | 大将 | 従三位 | 〔かみ/ とく〕 | 督 | 従四位下 | 〔かみ/ そつ/そち〕 | 帥 | 従三位 | 〔かみ/ しょうぐん〕 | 将軍 | 従五位上 |
スケ | 〔ちゅうじょう〕 | 中将 | 従四位下 | 〔すけ〕 | 佐 | 従五位上 | 〔だいに〕 | 大弐 | 従四位下 | − | ||
〔しょうしょう〕 | 少将 | 正五位下 | 〔しょうに〕 | 少弐 | 正五位上 | |||||||
ジョウ | 〔じょう/ しょうげん〕 | 将監 | 正六位上 | 〔たいじょう〕 | 大尉 | 従六位上 | 〔だいじょう /だいげん〕 | 大監 | 正六位下 | 〔じょう/ ぐんげん〕 | 軍監 | 正七位上 |
〔しょうじょう〕 | 少尉 | 正七位上 | 〔しょうじょう /しょうげん〕 | 少監 | 従六位上 | |||||||
サカン | 〔さかん/ しょうそう〕 | 将曹 | 正七位下 | 〔だいさかん〕 | 大志 | 正八位下 | 〔だいさかん〕 | 大典 | 正七位上 | 〔さかん/ ぐんそう〕 | 軍曹 | 従八位上 |
〔しょうさかん〕 | 少志 | 従八位上 | 〔しょうさかん〕 | 少典 | 正八位上 |