マ イ ホ ー ム の 買 い 方

一級建築士  村田 光雄

阪神淡路大震災後、神戸市西区、垂水区地域を応急危険度判定士として廻った結果、感じた点を記載します。

マンションか?
  一戸建てか?
       

マンション購入に対して、阪神淡路大震災後、地震被害で復興再建時に修繕か?立替か?管理運営でいろいろな問題が生じ一戸建て住宅志向が多くなっています、しかしすべて快適と言う訳にはいきません。

いずれにしても、次のような物件はさけるべきです。

  1. 中古物件で、違反建築(建築基準法に適合していない建物)のもの、建て替えや増築が出来ない物件
  2. 建物が不同沈下しやすい宅地(軟弱地盤の埋立地)の物件
  3. 湿地帯や風通しのない地形で、シロアリや害虫の発生しやすい宅地の物件
  4. 狭小敷地の物件(ミニ開発の建売住宅は特に危険)
  5. 設計者と施工者が同じ物件(○○工務店、設計施工)
  6. 1階に駐車場や店舗を設ける事によって、上階にある壁が下階にない物件


木造3階建てについて

  1. 1階が車庫等で2・3階が住居部分になっていると、耐震上構造的に不利になります。又、違反建築の可能性も多く、極めて危険な住宅と理解して下さい。
  2. 水廻りが2階にあり、設備の配置等で階下に水漏れしない事が大事です。
  3. ハウスメーカーで3階建てのモデルプランを多くもって実績のあるメーカーなど、購入の対象やプラン作りの参考になるでしょう。

平成11年8月2日以降役所(神戸市の場合)ヘ確認申請書を提出した物件は中間検査が、義務づけられてます。必ず、中間、完了検査の検査済み証と確認申請書副本をもらって下さい。それ以前の物件は中間検査は、ありません。耐震上、安全かどうか、調べようがありません。中古物件より、これから建てる物件を、待つ方が賢明でしょう。


購入に際して

物件を購入する時に買い主に対して、売り主側業者又は媒介業者が「重要事項説明」を行います。説明をする人は「宅地建物取引主任者」の資格者で証明書を提示しながら行います。
買い主の人は次の事柄を注意して下さい。

  1. 売り主業者、媒介業者、免許番号
  2. 都市計画法、建築基準法に基づく制限内容(用途地域、建ペイ率、容積率、接道関係等)
  3. 工事完了時の内容説明、図面提示(確認申請書、建物の設計図、地盤の地耐力調査書等)
  4. 建築確認申請書副本、完了検査済み証は必ず受け取って内容を確認して下さい。

「重要事項説明」を形通りに聞くだけではなく、内容について注意しないと意味ありません。業者側も事務的に済ませたいので、買い主の貴方は十分理解するまで説明を受けて下さい。又、現地の近くに工場やドブ川等、住宅に取って環境悪化要因は説明から省略されるケースがあり、こまめに現地調査をする姿勢は必要です。


建売住宅を買う人ヘ (建築条件付き住宅も建売と同じです)

  1. 現状有姿(げんじょうゆうし)取引です。物件を十分調査し、住んでから不具合が出ても損害賠償や契約の解除は出来ません。修理やアフターサービスの範囲はどうなっているのか、注意が要ります。  普通は2年ですが、すべての住宅の瑕疵担保期間を10年とする法律が制定されようとしてます。    しかし、10年の保証内に地震で全壊しても建て直しの保証はありません。
  2. 「有利」、「お買い得」、「掘り出し物」等、不動産についてのキャッチフレーズは、売りつける為の一つの手段です。衝動買いは禁物です。わかる人に相談したり、本で勉強することも大事です。

阪神淡路大震災で、多くの住宅がつぶれましたが、未だに神戸市垂水区、西区では耐震上問題のある建売住宅が造られ、販売されています。残念ながらどうすることも出来ません。最近、確認申請書欄の監理者の責任を問う動きがあります。監理者としての責任追及も、他物件の改善には役立ってない状況です。


神戸市内で建売住宅を買う予定の人は、2001年10月01日以降に確認申請を出された物件を買うようにして下さい。理由は、2階建ての建売住宅に関しても、中間検査を実施するようになりました。関西の他自治体では、業界団体の猛烈な反対にあって、実施は困難だそうですが、神戸市は市長選挙の関係でしょうか?業界団体を押し切った見たいです。 ただ、注意したいのは建売にもかかわらず、建築確認を建売でないように偽って出す場合が考えられます。市役所の住宅局審査課ヘ、どの様な扱いになっているか確かめて見る必要があると思います。

平成8年神戸市垂水区、建売で住宅金融公庫の高耐久住宅の例 

角柱と土台に4寸材を使わなければならないところが、土台寸法が足りなく 3、5寸でした。又、1ヶ所、柱の下に基礎が、ない。その他、耐震用補強金物も一切使用せず。筋交いも十分固定されずに施工。これは震度5を越えるとつぶれると思われる。ちなみに高耐久は高耐震ではありません。【危険な施工例 (写真) の施工例は別件ですが、普通の建売住宅の施工例です。


平成9年神戸市垂水区、建売住宅の例

「基礎はべた基礎仕様で、外壁にベニヤを貼るので、絶対地震に大丈夫」の宣伝でしたが、よく現地を見ると、べた基礎ではなく、べたコンクリートでした(厚みが薄く基礎の役割をしていない)、柱の下に基礎がない(建売には結構みられる)、外壁のベニヤは、コンクリートパネルで、耐震用の「構造用合板」ではない。 素人相手に詐欺まがいの行為です。しかし建築士の中には、構造の専門外(意匠屋と呼ばれる)の方が多く、確認申請のみの仕事をして、この行為を助長しているのです。


マンションを買う人ヘ

  1. 物件が昭和56年6月1日以降の着工であるか否か?新耐震設計法適用かどうかは、重要なことです
  2. 設計業者と施工業者の関係をチェック、監理が大事です。新幹線のトンネル事故も施工不良を監理出来ていないからです。
  3. マンション入居後の管理規約の内容を十分チェックしておくこと。
  4. モデルルームのみのチェックに頼らず、完成時の図面もチェックを欠かさないことです。事前説明と違っているケースがありますので、十分な注意が、必要です。
  5. 「重要事項説明書」で共通事項についても確認しておいて下さい。
  6. 中古では、「抵当権抹消されてない」、「賃借権が設定されている」、「管理費、修繕積立金の未払い」 等、徹底チェックを怠らないことです。


違反建築物を購入すると

購入にあたっては、確認通知書副本・検査済証があるかどうか確認するとともに、現地調査をしっかり行い、不明な点は、専門家ヘ相談することです。

私個人的な意見としては、建売住宅は、基本的に全て危険と認識しています。
大切な家族を、地震から守りたい人は、構造計算付き住宅をお薦めします。


ニュース  (2000/02/07)

4分の3の木造住宅が「危険」。木耐協の耐震診断結果。

             日経アーキテクチュア 20000207号
日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(木耐協)は,98年1月〜99年12月に実施した木造住宅の耐震診断結果をまとめた。対象は木耐協の会員会社がある40都府県の1万3632戸。
調査の結果,27%の住宅が「やや危険」,48%が「倒壊または大破壊の危険がある」と診断され,補強や改修が必要な住宅は4分の3を占めた。「安全」「一応安全」と診断されたのは25%。また現行建築基準法下で建てられた住宅でも,多くが,壁量は満たしているものの配置バランスが悪く,「危険」と見なされた。





ご相談、ご意見、苦情、体験談等は、メールで遠慮せずにお願いします。
尚、具体例の会社名の公開予定はありません。


村田 光雄個人としての見解は、【建て売りは、おおむね危険物件が多く、やめた方が良いです】

   【トランクルームヘ】    【マイホームの建て方ヘ】   

   【構造計算書付き木造住宅ヘ】   【危険な施工例 (写真)




株式会社 三洋工房建築事務所
(地図)  神戸市西区伊川谷町有瀬1491番地の6
TEL(078)974−0014
村田 光雄



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