ラブ・ネゴシエイター(PC) ※ディスク2枚組
メーカー ライアーソフト 総合評価 70点(佳作)
ジャンル 不条理ネゴベンチャー
発売日 2001/09/28
シナリオ 天野祐一・高尾登山・睦月たたら・星空めてお もはやバカゲーメーカーとしてそれなりに有名になってしまったライアーの第5弾。メーカー知名度上がってるのに「行殺」「B2K」ほどの話題性がないのが切ないです(^^;
原画 アンボイナ=アフロライド
サウンド 九十九百太郎・椎名晴美・Taz


個人的エピソード
以前にも書いたことですが、この会社のファンクラブに入ってるんですよ。
ここのソフトのネタとはかなり相性がいいもので、今回も迷わず購入。
ま、その割にオススメ度とかは結構厳しく書くのが常なんですが(^^;

内容
AD2030。舞台は東京湾上に建設された新首都。
摩天楼がそびえ立ち、何百万もの人が住む大都会。
その片隅に、恋愛交渉人として雑居ビルに事務所をかまえる主人公・根越栄太。
彼の前には入れ替わり立ち替わり、愛を知らず、愛に迷い、愛をはき違えた少女達が現れる。

恋愛交渉人として彼女達を説得していくうちに、主人公はいつしか、
この都市に潜む巨大な陰謀へと巻き込まれていく。
ドラッグ「ヒートアイス」をバラまく者の真意は? 巨大な政治権力に巣くう者とは?
謎の宗教集団の実態は?

次々と起こる事件を縦糸に、根越に関わる女性が横糸として絡み、都市(まち)という
巨大な人間模様を織りあげる。
(パッケージ裏より)
#書いてることに嘘はないのにどうも納得いかないのは何故?(笑)

システムとか
必要容量は200/600MBのいずれかを選択。
まあ最近ではこれくらいは普通になりましたね。

基本的にゲームは選択肢を選んでいくことで進行。
サブヒロインに焦点を当てた共通シナリオ6話と、途中の選択肢の結果として出現するヒロインシナリオを交互にプレイしていくことになります。
1プレイにつき、一話完結型のシナリオ10本前後からなるアニメなどを想像していただければよいかと。

また途中、愛に迷ったヒロインたちを説得する「ネゴバトル」というものがあります。
これはプレイヤーは提示された3つの選択肢の中からベストと思われるものを入力して、それが有効な言葉であればポイントアップというもの。
まあ早い話がタイピングゲームなんですが(^^;
これの成否が各キャラの陵辱ルートへのフラグになっていたり、またゲージMAXでクリアするとモノローグHシーンが出現したりと割と重要なシステムみたいです(ぉ

時間制限はかなり緩いので難易度をノーマルにしていれば、まずクリア可能かと思われますが「どうしても無理!」という方はF1〜3キーに選択肢が対応しているので、その簡易入力方法を取るのも可でしょう。
……ちなみに私はコンプリート後に気づきました(^^;

さて、ここからは普通に。
セーブ数は10個。正直やや足りない感が強いでしょうか。
スキップと先述のネゴバトル簡易入力を使えば再プレイはかなり早く進みますが…。

スキップは既読/強制を設定後Tabキーで実行。
いわゆるシーンスキップで、今回は既読フラグも認識されます(ぉ

バックログは99ページ、ないしは1つ前の選択肢まで。まあ量としては十分でしょう。
他に「1つ前の選択肢まで戻る」機能も実装されています。

鑑賞系はBGM・CG鑑賞とシーン回想およびネゴバトルモードを用意。
シーン回想でのヒロイン視点でのモノローグHシーンは面白い試みかと。
……それほど有効な試みではないのがポイントですが(^^;

あとライアーといえばバグとまで言われたこともあったわけですが、バグについて。
とりあえず無修正の状態では「名前表示が変になる」「ネゴバトルモードの12面で必ず強制終了する」などの症状を我が家では確認しております。
まあゲームの進行には差し支えないので問題ないといえば問題ないのですけど。
#10/3現在修正版が配布されています

絵とか
なんというかロリィな絵柄ですね。
胸とかはそれなりにあるのに何故かみんなロリな感じがするという……(^^;
そんなわけである程度人を選り好みするかなとは思います。
まあ、「ロリコンハードボイルド」とかメーカー側が言ってるくらいですから、やむをえないでしょう。

CGの塗りの水準はごくごく普通といったところですが、全体的に輝度がかなり
高めに設定されているのでちょっと目が疲れるかもしれません。

枚数は74枚(パターン違い除く)。
このメーカーの特徴かと思いますが、決してイベント絵の枚数は多くないし、
そもそも立ち絵の枚数も各キャラ1枚〜2枚程度しかありません。
しかし、相変わらず豊富な顔ウィンドウによる演出でそれを補っているためプレイ中は
気にならないかと思います。この辺の省労力化はうまいですよね。

音楽・音声とか
BGMはCD-DAで収録、全22曲。
うち1曲はボーカル曲で、さらに1曲はボーナストラックの女性ボーカルVer.です。
質の方は結構高め。
シリアスハードボイルド風味とコメディという2つの要素を持ったゲームに相応しく
それぞれを示すような曲調の物がしっかり用意されています。
個人的にはハードボイルド面担当のスウィングみたいな曲調のが好み。

お気に入りは主題歌「 The theme of Love Negotiator '99 soul ver.」の他に
「Bitter, you hold me but.」「Skyscraper in the dawn.」あたり。
タイトルもなんか無駄にかっこいいです(爆)


音声は主要キャラのみ一部収録。
基本的にはHシーンと途中「ON AIR」と書かれたマークが表示されている時だけ音声が出ていると思っていいでしょう。
メンツはF&C系でおなじみのロックンバナナ・イエローテイルな面々。
キャラに合っていると思いますし、演技力の面でも合格点をつけていいと思います。
でも「サフィズム」の時も書きましたが、やっぱり音声の有無はイベントごとで管理して欲しいです。
同じイベントの途中なのに急に音が途切れるのはやっぱり違和感ありますって(^^;

シナリオとか
悪ノリアホコメディ。
ぶっちゃけライアーのソフトは全てそうなんですが、この言葉で表現できます(^^;

基本的にはこのゲームは全編通じて、主人公・栄太のおかしなハードボイルド観や周りのちょっと奇妙なサブヒロイン達を描いたコメディです。
途中や終盤若干シリアスなムードになることはあっても、決してその路線に乗り換えるのではなく、またすぐに元のおバカなラインに戻ってきます。
そういう意味では同社の「ぶるまー2000」に近いと言えるかもしれません。

で、これはおバカなコメディです。
そして、突然新しいキャラが出てきたり、説明不足だったり飛躍してる感のあるところがこのゲームには結構たくさんあります。
ありますが、それらはとりあえず気にしないことにします。
バカコメディにシナリオの説明力とかを指摘してたらそっちの方がバカですから(ぉ

コメディにおいて大事なことは結局笑えるか否かだと思います。
その点に関して言えば、このソフトは十分にその役目を果たしているかと。
あまり人を選ばない(といっても多少のオタ知識は必要になりますが)ネタも結構ありますし、
エロゲ業界の話題をそれ相応に知っていれば作中の業界ネタには大笑い
……するか本気で「こんなのネタにして大丈夫か?」と思うかでしょう(マテ

セリフの掛け合いのテンポも非常にいいですし、そういう意味でよくできたコメディだと思います。

個人的に惜しむらくは笑いが若干ブラックな方向に偏っていることと、同系統の
「ぶるまー2000」と比較してシナリオ終盤での盛り上がりにやや欠けるかなということくらいでしょうか。
別にシリアスにしなくてもいいですけど、ラストはもう少し無駄に壮大にした方が
逆に笑いの要素も増えたような気がします。

総評
やっぱりこことは相性いいですね。
で、いつもついつい期待しすぎてしまう、と(苦笑)

まとめ。よくできたバカコメディ。
実際お手軽に楽しめるコメディとしては結構よくできていると思います。
私なんかはついついこのメーカーには「もっと笑いを!」と要求してしまいますが(^^;
頭が悪くて笑えるソフトをご所望なら買っても損することはないでしょう。

書いた時点での総プレイ時間 約11時間(コンプ)
お気に入りのキャラ 日向一重、ナタリア=リフストスカヤ、岡田勇気、滝みゆき
お気に入りのセリフ 「まずは命令を。我らは、根越、お前を助けるために来たのだ」
「当たると萌えるぞ、96マルチ!」
「八百万の神様、私に力を貸してっ! 封印解除!」
「あ、告白するなら伝説の木の下にしてよね。別に鐘の下でもいいけどさ」
#こんなゲームです(笑)

初版2001/10/03