漫画家高瀬斉の“酒縁男友”HP 君も酒通になれる
お酒に関する“つぶやき”

     
              全体の90%にアルコールや
       糖類などお米以外の原料を
       使っている日本酒がなんで
       “醸造酒”っていえるんだ?

              県単位でもメーカー単独
       あるいはどこかの酒販店でも
       いい、「醸造酒宣言」する者
       出でよ
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日頃お酒についていろいろ考えていることをつぶやきます

1999.12.1
 日本酒には製法上及び原材料によって「普通酒・本醸造酒・純米酒・吟醸酒」の4つに分けられているのはご存知の通りだが、このうちの約70%を占めるのが「普通酒」である。
 酒造組合中央会が平成9年に発行した「日本酒読本」なるものをみると「日本酒は特定名称酒と、広く一般に愛飲されているものとがある」と出ている。「広く一般に愛飲されている」のが“普通酒”なのは言うまでも無い。ところが、この冊子の中の「種類を知っておきましょう」のコーナーには一切“普通酒”の説明は出て来ない。
 中央会が今年10月1日に開いたホームページの中の用語検索を見てみても“普通酒”は出てこない。これはどういう事なのだろう。一番沢山飲まれているお酒の説明が何も無いとは・…?
 アルコールや糖類、酸味料などを混ぜ込んだお酒は恥ずかしくて表に出せないって事なのか?消費者に混ぜものって事をあまり公にしたくないってことなのか?
 そりゃ元々、50年前、原料不足の時代に出来た日本酒の“代用品”でしかないお酒だけど、それを日本酒として売って来ているんだったら堂々と消費者に情報を流すのが筋って言うものではないだろうか。
 日本酒が売れなくなったんじゃない、日本酒の代用品が売れなくなっただけなのだ。
 50年も、よく代用品が売れてきた物である。
 さっさと混ぜ物酒は本来の「リキュール」に戻すのが筋って言う物だろう。それが日本酒の生きる道だ。

2000.2.7
昨年の秋からいくつかの会でお酒の簡単なアンケートをお願いして来たのだが、
その結果、
お酒を飲むのは好きでもその飲んでいる日本酒と言うアルコール
飲料に関しての知識は
ゼロに等しいと言う結果が出てしまった。
まー予期したこととは言え、見事にノー知識である。
もっとも戦後50年、メーカー側からほとんど日本酒に関しての情報が出て
こなかったと
言うこともあるのだろうが・・・・。
全体の30%以上が日本酒には防腐剤が入っていると答えている。
40歳以上の方は50%
の人がそう答えているのにも驚きだったが
(昭和48年に防腐剤のサリチル酸は禁止されている)、若い学生さんたちが
日本酒のアルコール度数を30%と答えている人が多く、中には

40%、60%と答えていたのにはぶったまげてしまった。
こういう現状から少しでも、消費者の皆さんに日本酒を知ってもらおうと昨年の
12月から
西荻窪の三ツ矢酒店の2階フロアーで「日本酒教室」を
月一(第一日曜日)で始めています。

毎回生徒さんが10数人みえていますが、若いカップルが多いいのが嬉しいです。
3月から、第一土曜日の教室も開こうかという話も出ています。
まっ少しづつ、日本酒の知識を広げていこうと思っています。

■2000.2.16
 日本酒のアルコール添加については色々な意見が出ているが、その是非は
ともかく、最近見た某メーカーのホームページには少々驚いた。
と言うのも、そのHPには現在の本醸造酒のアルコール添加量は江戸時代に 行われていた「柱焼酎」の添加量と同じで、もう300年以上の歴史のあるもの だから純米指向をうんぬんする方々は如何な物かと書いてあるのだ。
おい、おいである。
確かに江戸時代の「童蒙酒造記」(1685)には白米1石に焼酎1斗と書かれて
いる。これは現在の数字に直すと白米1tにつき焼酎120gである。
また秋田の「秀よし」に残されている古文書にも白米1・5tに対し焼酎180g
とある。白米1tに付120gの焼酎添加である。
それみろ、現在の本醸造酒は白米1tにつき約120gの添加だから同じでは
ないか。と言われそうだが、よく考えて欲しい。
現在の本醸造酒の添加アルコールは100%アルコールである。それに対し
江戸時代の焼酎はせいぜい30〜35%アルコールだろう。
ならば100%アルコールに換算すれば、せいぜい白米1tに付40g前後の
添加量でしかないのだ。
「柱焼酎」で有名な伊丹酒を例にとっても、アルコール100%換算で白米1tに
対し10数gの添加量にしかならない。
このように江戸時代のアルコール(焼酎)添加量は現在の本醸造酒と比べて
1/10〜1/3と言う数字なのである。
上辺の数字だけを持ってきて辻褄合わせをして何になると言うのだろう。
江戸時代と比べ、技術も設備も酵母も段違いに良くなっている現在、酒質の
矯正や腐造防止に利用された江戸時代のアルコール添加、なにを今更
受け継がねばならないのか。しかも増量と言う形で。
現代の杜氏さんは本来の「米・米麹・水」だけで美味しいお酒を造れないとでも
いうのだろうか?こんなに設備や技術が整って来たと言うのに。
9月10日追記:本醸造酒のアルコール添加量、白米1tに対し約120リットルという数字は一体誰が決めたのだろう?その数字が1番いいと決めたのは誰なんだろう?
業界は100リットルや110リットル、130リットル、140リットルなど色々試して120リットルと決めたのか?そんなことは聞いたこともない。少なくとも満州で造られた「三増酒」は“ニ増”“四増”やアルコールの添加時期などを色々試醸して「三増」に決めた経緯があるが「本醸造酒」に関してはそういうことは寡聞にして聞いたことがない。要するにいい加減ということなのだろう)
■3月15日 
日本酒=醸造酒はウソだ
 戦後の日本人はアルコール飲料に関して言えば、偽物ばかり飲まされてきたといっても過言ではないだろう。
 ワイン、赤玉ポートワインと称した偽ワイン、ビール(これは明治時代からだが)、本場ドイツではビールといえない副原料たっぷりのビール、ウイスキー、本場英国ではウイスキーと呼べない茶褐色のアルコール飲料、そして日本酒、ご存知の通り混ぜ物だらけ・・・・・。
 最近は、ワインもビールもウイスキーも本物は容易に手に入るが日本酒は依然と混ぜ物ばっかり。
 物の本を開けば、日本酒はビール、ワイン、老酒などと並び世界の醸造酒であると書かれてある。しかしよく考えてみればどこが醸造酒なんだろう?
 日本酒の90%以上はアルコール添加酒だろ?
 アルコールや糖類の添加されたお酒は酒税法上はリキュールだよね。
 リキュールを醸造酒だなんてどの顔して言えるんだ?
 酒税法で、アルコールや糖類他を添加しても日本酒としているのは勝手さ、だけどそれを醸造酒と呼ぶのはちょっと違うんじゃないのかなー。
 世界に日本酒を紹介する気運が大きくなっているようだけど、この事をはっきりさせないとただ赤っ恥をかくだけだぜ。
 業界はアルコールその他を混ぜた物を醸造酒として、海外に紹介しているのだろうか?
 それとも、純米酒とそれ以外の日本酒を区別してるのだろうか?
 イギリスやフランスで吟醸酒が日本の3倍くらいの値で売られているという話を聞くが、アメリカのようにリキュールとしての酒税が掛けられて高くなっているのだろうか?
 
日本酒=醸造酒を捨て去るのなら、いくらでも今のままでいいだろうけど、そうでないのなら早くアルコールその他の添加日本酒をリキュールの世界に戻すべきだと思うけどなー。
 そうすると日本酒(純米酒)のシェアが10%以下になるけどいいではないの。
 吟醸酒だって0%からの出発で今の5%にまでなって来たんだから。

■2000・4・3
 
先日開催された「純米酒フェスティバル2000」には1000人を超えるお客様にいらして頂いて大盛会だったのだが、参加頂いた方々にお願いしたアンケートを見ると面白い結果が出た。その中で、「日本酒の消費の減った理由」として“イメージが悪い”と答えた方が男性では45・2%もいたのに対し、女性はそれより低い数字だった。また、同じ理由として“アルコール度数が高い”と答えた方は男性5・1%、女性11・4%であった。これをみると、酒造組合やメーカーサイドが日本酒のイメージが悪いからもっと若者や女性向の見栄えのいい、低アルコールのお酒を開発せねばならないなどと声高に叫んでいることがいかに愚かなことか分かるだろう。
 小生は以前から常々
敢えて若者・女性向の日本酒など造るより、美味しい本物の日本酒を初めから提供すべきだと言ってきたのだが、はからずもそれが間違っていなかったと言うことである。
 実際、会場では若い女性が女性向の低アルコール酒を横目に、無濾過生原酒を美味しそうに飲んでいるのである。(^。^)
 因みに「あなたの普段飲んでいる日本酒は?」の質問に対して一番多かった答えが“純米酒”
二番目が“純米吟醸”であった。

2000・5・6 
 現在の日本酒といわれているものは、考えてみれば足し算、引き算、掛け算、割り算の
なんだよね。アルコールと糖類、酸味料添加、付け香が足し算、炭素濾過などが引き算、加水は足し算(水を足す)、引き算(アルコール度数を引く)、割り算(割り水って言うしね)みんな該当するね。ブレンドが掛け算ってとこか。(^・^)
 これって、よく考えてみれば大手メーカーの酒なんだよね。大量に造って全国に売りさばく酒、大量に必要だから桶買いなども含めて均一の品質にするためにはどうしてもブレンドが欠かせないし、コストを下げるためには添加物(増量)も必要だし、大量かつ全国展開する上で変質しにくいお酒を販売するには濾過をどうしてもはずせないしね。
 地方の中小の造酒家がこういう造りに何故右へならえをせねばならないのか、そろそろ考えてもいいのではないだろうか。
 少量を地元に売る、これが地酒の原点ならば「純米無濾過原酒」をもっと消費者にアッピールするべきなのではないのか。「アルコール度が高いと売れません」「炭でお化粧しないと・・・」「アル添は江戸時代からの酒文化ですから」等という声がもろに聞こえてきそうだなー。
 まっ考え方は人それぞれだからどういうお酒を造ってもいいけどね。
 消費者としたら美味しいお酒が飲みたいだけさ。
 “算数の酒”なんて飲みたくないな。

2000・5・30
 柴田書店発行の「日本酒・百味百題」(小泉武夫監修・岩崎信也執筆)を読んでみた。
歴史、製造、味覚など100の項目がそれぞれ見開き2ページ完結で書かれているので実に見やすく出来ている。
 しかし内容的には、今まで発行されてきたお酒の本の寄せ集めといった感は否めないし、又いくつか首をかしげるところもある。例えば、一番気になった点が「
現在市販されている一般の日本酒で長期熟成酒以外に黄色く見えるものは、酒自体の色ではなく、変質による着色を疑った方がよい。多くは保管状態が悪く、日光に当たって着色してしまった物だから・・・」の部分(201頁)。これって、一昔前の本に書かれてあることじゃないのかい?
まだ数こそ少ないものの「無濾過」で出しているお酒が増えていることを筆者は知らないはずはあるまい。「無濾過」のお酒は美味しそうな琥珀色が付いていて当たり前、これを変質による着色と消費者に取られたらメーカーはたまらない。
 日本酒の啓蒙のために出した本が消費者に誤解を与えるとしたら悲しいぞ。

2000・6・12
 先日、あるお酒の勉強会の利き酒で参考品として30%の醸造アルコールを飲んでみた。
もろに、あの甲類焼酎の味である。と同時に先日行ったN市の韓国クラブで飲んだ「真露」を思い出した。不味くて飲めたものではない。「不味いよ」っていったら、お店の女の子が「これ偽物ね、飲むと頭痛くなる」ときたもんだ。本場の“真露”があるといって別のを出してきたのだが・・・・・。この
醸造アルコールって何で出来ていると思います?今までは東南アジアの「廃糖蜜」つまり、サトウキビから砂糖を採って残った廃液にまだ残っている糖分を醗酵させ蒸留した物と言われてきたけど、今はこの「廃糖蜜」より安い原料で作られた格下のアルコールが醸造アルコールとして輸入されているんだと。
 その原料って何だ?と聞いても輸入業者は分からないと答えるそうだ。
 日本酒業界は外国産のお米を原料として使うことに拒否反応を示しながら、もう一つの日本酒の原料となっている
醸造アルコールを外国から、しかも原材料も分からない物を輸入してブッ込んでいるという現実を消費者はどう思う?
(9・2追記:「廃糖蜜」より安い原料とは?と書いたが最近、ある人から現在の化学を持ってすれば、セルロースさえ含有していればアルコールを取ることができる、という話を聞きました。また、一番安価にアルコールを採るのはアマゾンの雑草からだとも言っていました。日本酒のもう一方の原料がアマゾンの雑草なのだろうか?) 。追記:南米や東南アジアで採れる
「タピオカ」が醸造アルコールの原料として増えているそうだ

2000・7・31
 今月、青森の弘前市と山形・鶴岡市の酒会に続けて出てきた。
 弘前は市内の居酒屋「土紋」主催「第14回土紋試飲会」で会費が12000円、鶴岡の会は「鶴岡酒造組合」主催「第1回日本酒パーティ」、会費10000円というものだ。
 両方とも普通の酒会とすれば大分会費が高く設定されている。
 事実、鶴岡では3000円というのが今までの常識なのだそうだ。
 会費を高くするというのは確かに出す料理、お酒の質が良いのは当然なのだが、それ以上に出席する人の質もアップするということである。金持ちばかりが出席者ということではない。酒席での酒品の良い人たちがメインになる、ということである。
 安い会費だと、ただ酔っ払うという人、出されたお酒を我勝ちにバッグに詰めて持っていってしまう人・・・などが目立つのだそうだ。
 高ければ良いというものではないが、ゆっくりとゆったりと落ち着いた雰囲気でお酒と料理を楽しめるというのはやはり捨て難いものがある。
 東京などではお酒の会も数多くあるので、毎回10000円以上の会費では財布が持たないということもあるだろうが、地方で年に1、2回こういった会が開かれているということは、今までの酒会の運営に一石を投じることになるような気がする。

2000・8・20

 以前、篠田次郎先生の「幻の日本酒を飲む会ニュース」で生貯蔵酒のことが出ていた。ご存知の通り生貯蔵酒は出来たお酒をそのまま貯蔵して瓶詰めの時に一度だけ火入れするお酒のことである(普通の市販酒は搾った後と瓶詰め出荷する時の2度火入れする)。
ニュースの中では「よーく工程を観察すれば、“貯蔵による熟成”などカケラもなく、“生”ではなく“加熱瓶詰”にほかならない」と書かれてある。冷房蔵で大量に造られたお酒をそのまま加熱処理して瓶詰めにして出荷、これが生貯蔵酒だといっているのである。
 日本酒の製法品質基準では生貯蔵酒の貯蔵期間に関しては何も規定がない。1分でも1日でも貯蔵は貯蔵ということになるのだろう。
 搾ってすぐ火入れして瓶詰め=生貯蔵酒ということなのだ。
 「生詰酒」というのもある。これは搾ってすぐ火入れして貯蔵、瓶詰め出荷の時火入れせずに出荷というものだが、この“貯蔵”も数分、数時間というものであれば「搾ってすぐ火入れし瓶詰め出荷」ということで、何のことはない「生貯蔵酒」=「生詰酒」なのだ。しかし、火入れしても生だって言うズーズーしさをどうしようもないねって思っていたら日本酒メーカーってもっとコスイこと考えてたんだねー。「生貯蔵酒」の「生」の字が大きく「貯蔵酒」の文字が小さく書かれているのは“生酒”と消費者に思わせるためのコスイ意図かと思っていたけど、本当は“貯蔵”期間が殆どないから「貯蔵酒」の文字を恥ずかしそうに小さくしてんだね。(^。^)

2000・9・8
 いや〜、ぶったまげたなー。日本酒関連のHPを見ていたら読者からの質問に答えるという形のQ&Aコーナーがありその中で「吟醸酒はアル添してこそ本物の吟醸酒になるわけで、アル添出来ない純米吟醸酒は吟醸酒の世界では格下と位置付けられています」だってよ。この回答者が以前出したお酒の本の中でも同様のことを書いていたので小生の漫画の中でも批判したことがあるのだが、まだこんなことを平気で書いてんだねー。アル添吟醸こそが本物で純米吟醸は格下だなんて、何を根拠にしているのか?恐らく「菊姫」の柳社長の説の受け売りなんだろうけど。柳社長は個人の信念でアル添しなきゃ良い吟醸にならないと思っているだけで、これが吟醸酒の全てではないぜ。
 この回答者、読者が自分で古酒を造りたいという質問に「瓶に入った市販酒をいくら新聞紙で包んで縁の下に放置しておいてもまず飲むに耐える質の古酒にはならない」とも答えているが、ちょっと待てよだよなー。瓶に入った市販酒をそのまま何年か放置して古酒として売ってきたメーカーはいくらでもあるだろう。実際、小生だって納戸に6、7年放置しておいたお酒をある会で「古酒」として出したら皆さん美味しいっていてくれたぜ。
 商品としての「古酒」は高いから自分で数年寝かせて「古酒」を造れと小生は言っているくらいだから変な回答は止してくれだよな。
 日本酒の本を出しているんだったらもっときちんとした回答してほしいね。

2000・9・15

 今日の朝刊を見ていたら、板橋の商店街が町おこしの一環としてPB酒を出したという記事が載っていた。栃木県の蔵元に頼み「N草」という名のお酒で売り出すのだそうだ。記事の中ではこのお酒の種類が何なのか書かれていないのだが、写真に写っているラベルを見ると本醸造のようだ。
 このように、PB酒を出すのはいいことだと思うし応援もしたいのだが如何せん出す酒が駄目だ。商店の親父(息子も入っているかな?)と蔵元で決めるのだろうけど、その酒質のコメントが「飲み飽きずキレの良いスッキリとした美味さ」だもんなー。これって“10年一日の如し”という言葉がそのままって感じだよね。過去いろんなところで出してきたPB酒(だけでなく日本酒全体にいえるのだけれど)の酒質説明と何ら変わっていないんだよね。どうせ出すのなら、他にはないその土地でしか味わえない酒質のものを出さないと続かないと思うし意味ないんじゃないのかなー。「どっしりとした味わい深い旨味はわが町の名物〇〇にピッタリ」といったコメントが出来るような酒質のものを出してこなくちゃ。ラベルの酒名だけ日本で初めてっていうのじゃねー。うがった見方をすれば蔵元で売れ残った本醸造酒をただ違う瓶に詰めてるだけってんじゃないのっ、とでもいいたくなるようなお酒じゃ町おこしなんかは無理だと思うんだけどな。
 せめて、本来の日本酒である純米酒にしてほしいね。こういうところから日本酒を元に戻す“蟻の一穴”になれるんだよ

2000・11・26 11月18日付の当欄における酒税法改正試案に関する小生の意見の中の「清酒のアルコール添加基準」に於ける解釈に大きなミスをしてしまったのでこれを訂正しお詫びいたします。24日時点ですぐに訂正すべきでしたが24、25と出かけていましたので今朝(26日)になってしまいました。
                   以下訂正文

  来年度の酒税法改正の試案が出て「発泡酒」の酒税がビール並みになるというので、ビールメーカーはハンターイの大合唱だ。新聞には「発泡酒」のことしか書かれていないが(※24日夕刊から新聞でも日本酒のことも取り上げ始めた)、日本酒に関しても大きな改正点があるようだ。アルコール添加酒はリキュール並みの酒税にするという。小生が10年来アル添酒はリキュールにせよと言って来たことが少し現実になってきた感じだが、添加アルコールは当該清酒のアルコール分の総量の10%未満のものはOKらしい。
 この「当該清酒のアルコール分の総量の10%未満」というのは、仮に純米酒のことを考えると白米1tから取れるアルコールは約360〜400Lとされるからこの10%は約40L、ということは現在アル添が白米1tあたり約120L添加できる“本醸造酒”はこの“10%”の中には入らないことになる。ということは、現在の酒税法上“日本酒”と呼ばれている中で来年度の酒税法改正で“日本酒”として課税される物は“純米酒”しかないということだ。これは国税庁としては大英断だろう。大手メーカーに牛耳られている感のある業界が大反対することは目に見えているがこの英断を“官”は遂行できるか?
 しかし、日本酒を醸造酒とするなら、アルコール添加はゼロにするくらいの思いっきりが欲しかったと思う。この“10%未満”という数字はフランスワインの数字からきているそうだ。ワインにはアルコールを添加して造る「強化ワイン」というのがあることは知っていたけど、一般のワインにも総量の10%未満のアルコール添加が認められているのだろうか。もしそうだとしてもなにも日本酒がフランスを真似することはないんだよね。日本は日本さ。
 しかしこういった中途半端が後々、後悔することになるのだよね。いつもいうけど、外国人に「
日本はアルコールが添加してあっても醸造酒というのですか」と聞かれたら何と答えるのか?「日本酒は醸造酒ではありません」とでも答えるのか?どの本見ても日本酒は醸造酒と書いてあるのに・・・。やる時ばズバッと大鉈でしょう。
 しかし、“10%未満”のアルコール添加酒は何と呼ぶのだろう?「純米酒」ではないのだからやはり(アル添率のきわめて低い)「本醸造酒」というのだろうか?
 それにしても
税率だけリキュール並みにして呼称は「清酒」のままっていうんじゃ何の意味も無と思うのだが。
 小生が「アル添酒をリキュールにせよ」という中には、清酒(日本酒)の枠を外れて今までより自由な酒造りが出来ることによる、より
美味しい普通酒提供っていう意味合いが含まれているんだぜ。国税庁さん、どうせやるなら呼称も別物にしなきゃ。
 そうか、
これを機に全メーカーは国税庁にリキュール免許申請を行うべきだよな。国税庁は速やかにこれを受けてよね。国税庁が清酒のままの呼称というのなら、メーカー側から動いてアル添日本酒をリキュールとして売ればいいのだ。勇気あるメーカーよ出でよだな。
 今回の酒税法の改正の中には「融米造り」や「米粉糖化液使用」に関しても見直しするらしい。どんどんやれーである。日本酒の特徴の一つは“並行複醗酵”だといいながら今や液化仕込みの中には糖化と醗酵を別々にする、ビールと一緒の“単行複醗酵”になっているものもあるやに聞く。

 日本酒よ本来の姿に戻れ、である。それでこそ「浮かぶ瀬」もあるのだ。「発泡酒」なんぞの増税なんて考えるより、もっと売れる日本酒にして、増収を図るべきではないのか国税庁さん。日本酒はもっと売れますよ。消費者に喜ばれる本物の日本酒造りを指導してこその管轄局の真価だろう。
 酒造メーカーよ、この改正に反対せよ。「税金だけでなく呼称もアル添酒は全てリキュールにしてくれなきゃいやだ」と大声で反対せよ。日本酒業界が助かる道はこれしかないよ。

2000・11・27 日本酒メーカーは酒造法改正を機にリキュール免許を申請せよと書いたが、それより国税庁が酒造メーカーにリキュール免許を速やかに交付すべきだよな。もともと本来リキュールであるべき酒を50年以上も造ってきたんだから何も問題はないはずではないか。
 しかし、大手メーカーは売れない普通酒をより伸ばす最後のチャンスだと思うのだけど。これを危機と感じているようでは先はないね。この改正に対して拍手を送っているメーカーもいるはずである。そろそろ中央会も二つに分かれたほうがいいんでないのかな。

2000・11・28 当該清酒のアルコールの10%未満というところで、純米酒なら白米1tにつき約40L未満の添加量と書いたが、これは江戸時代の“柱焼酎”の添加率に近い数字だね。江戸時代の人間もフランス人も元の味を殺さない限度という所では同じ尺度を持っていたということかな。それじゃこの3倍ものアルコールを添加してきた本醸造酒って一体なんなんだーてことさ。

2000・12・5 来年の参院選に勝てないからって自民党の反対食らったら即増税案を引っ込める大蔵省って一体なんなんだ。本当に必要な増税なら国民だって認めるさ。簡単に引っ込めてしまうような増税案なんて初めから出すな。何の信念も無くただ収税増のみしか頭にないお役人に既存の上手くいったら儲けもん精神なのか。情けないなー。

2000・12・17 先日のある忘年会で、今度3・6リットル1000円という酒が出るらしいという話を聞いた。1升500円だぜ。酒税が250円ほどだから1升250円以下の原価ということだ。どういう米で、どういう造りをしたらこの酒から儲けが出るのだろう。こういうお酒を造って商売が楽しいのかねー。こういうお酒も、1升3000円の純米酒も同じ日本酒だって消費者は思わされているんだからひどいよな。「悪貨は良貨を・・・」の典型だよね。こないだ国税庁から発表されたH11BYの清酒製造状況を見ると純米は横ばい、本醸造が1番減少(前年比86・5%)、普通酒(101・2%)と増醸酒が(103・9%)が少し増えている。増醸酒というのは三倍増醸酒のことで1部の蔵を除いて普通酒の調味液として使われているもので、普通酒と増醸酒が増えたということは大手メーカーがシャカリキに安酒増量パックを造った結果だろうね。間違ってはいけないのは製造数量が増えたのであって、消費者が買った数量ではないからね。安酒造って日本酒は不味いといわれて・・・・。自分で自分の首を絞めているのが分からないのかなー。

2001・1・7 先日お会いした某酒屋さんが曰く「高瀬さん、蔵元の中には、高瀬さんは日本酒のことで稼いでいるのなら日本酒の悪口を言わないほうがいいよ、と言ってる人がいますよ」と。確かに俺は日本酒や料理のことをテーマにした漫画が多いいよ。日本酒業界のことも批判しているよ。だけど日本酒の悪口を描いてる気は全然無いさ。日本酒業界に良かれと思って描いてるつもりだけど真のところが伝わらないんだなー。というか情けなくなったね。第一、俺は酒蔵からただでお金もらっているわけじゃないし、漫画本や似顔絵の対価として代金を頂いているだけだからね。これは、蔵元だけでなくほかの一般読者から頂く代金と一緒さ。漫画を描いてそれを買って頂いて収入を得るというのが俺の仕事だから・・・。
 最近よく誤解している人がいるようだけど、俺は決して「純米酒」だけがお酒だとはいってないよ。日本酒=醸造酒というならアルコールや糖類他の添加物の入った「本醸造酒」や「普通酒」はありえないでしょ、これらはリキュールでしょ、といってるだけさ。日本酒を現在のままの姿で行くのなら、消費者にはっきりと「日本酒の大部分は添加物のあるリキュールで、わずかですが一部本来の添加物の無い醸造酒としての純米酒もあります」というべきではないのか。たった1割の純米酒をもって全体を醸造酒だと強弁する日本酒業界の厚かましさというか、嘘情報屋というか。
 今や日本酒業界は
海に放り投げられた淡水魚だということをもっと自覚しなければだめだ。そのうち死ぬぜ。早く気づいて淡水に戻らないとね。
 今朝のTV番組「地方発日本新世紀・改革派知事が日本を変える」」で石原都知事、浅野宮城県知事、北川三重県知事がそれぞれ21Cの言葉として“日本再生”“個性”“自立”というキーワードを提示していた。これはまさにそっくり日本酒業界が掲げねばならない言葉ではないのか。“日本酒再生”するには50年以上代用品を本物っぽく売ってきた、いわば海水を真水だといって売ってきたところからの“自立”(淡水魚が海水から飛び出すことの勇気)、そして日本中どこいっても同じようなつまらない味の酒から“個性”ある味を目指す真の地酒を醸し出すことが必要なのではないのだろうか。
 「高瀬さんの意見は確かに正論です」とメーカーは言う。「でも、正論で飯は食えませんから」と続く。正論の通らない業界ってなんなんだ、嘘で固めて消費者をだまして、そんな業界って続くと思えるかい?口に入るものを造っている業界だぜ。主原料のお米は外国産を拒否しながら(全てではないけど)、もう一つの原料であるアルコールは何から造られているかも分からず外国から輸入して醸造酒といいながらジャブジャブ入れている国ってホント、ノー天気としか思えないね。

2001・1・20 先日、面白い話を聞いた。何年か前の話だがある大きなメーカーがアメリカに日本酒を輸出するということになり、国税庁の先生のご意見を聞いたときの会話。「アメリカは醸造酒しか日本酒として売れない、アルコール添加したものは蒸留酒にされるので税金がうんと高くなる、だから本当の純米酒を輸出しないとダメだ。アメリカでは分子の検査で、米から取れたアルコールか添加したエチルアルコールかがすぐわかるから混ぜた純米酒出しちゃだめだよ」
笑っちゃうよな。今はどうか知らないけど、その当時、純米酒として売られていたお酒にアルコールが添加されていたんだねー。
 しかし、米焼酎を混ぜたら分子検査で分かるのだろうか?
 明治時代にもアル添は確かにあったけれど、あくまでも当時の酒造環境が今より劣悪であったがゆえの腐造対策に過ぎない。当時は、無添加酒(当時は“純米酒”の言葉は無い)が当たり前で、腐造しかけた醪に米取り焼酎を添加したものは格下酒として安く売られていたのだ。その“格下酒”が今は日本酒でございと、でかい顔してまかり通っているんだから消費者もなめられたもんだよね。
 造る方も、純米造って、失敗したらアル添すればいいや、なんていう頭があるから進歩が無いんだよ。昔の杜氏は、今より条件が悪いのに必死こいて無添加酒(純米酒)造ってたんだぜ。安易に走る業界は廃れるのがこの世の習いなら、日本酒業界一体どうなる?

2001・2・21昨年の9月8日のこの欄でお酒に関する某HPのことを批判して書いたが、先日、小生のお酒の勉強会に出てくれている方からメールが来て、やはりこのHPをみてびっくりしていた。小生も早速のぞいて見てぶったまげたぜ。「山廃もと」の事を書いているのだが、以下無断でその文章を記すが毎日さん悪しからず。
 
 「お酒は酵母のアルコール発酵によって造られるものですが、お酒を造るとき、その酵母を大量に育てる(培養する)工程があります。このとき、仕込みタンク内にお米を入れるのですが、その山となったお米を棒で突つく作業を山卸といいます。これは、いわば精米歩合を高める作業なのですが、この作業をしなくても酵母が順調に育成されるようになったため、それを止めて酵母を育てるようになったのです。これが山卸廃止 → 山廃と呼ばれる理由です」 (棒線筆者)
 おいおい、「山卸」って仕込みタンク内の山となったお米を棒で突っつく作業のことかい?「山卸」は「もと摺り」ともいうけど、簡単にいえば「生もと育成工程」の初めに、半切り桶に仕込んだ物量を櫂で擂砕することだよ。
しかもご丁寧に「山卸」は“精米歩合を高める作業”だってんだから・・・・。
精米歩合を高める作業って精米機で削る以外にあるのかい?
このQ・Aをみて「山廃」ってさー、と得意げに話して馬鹿にされる読者がかわいそー。
しかし、この程度のことも分からず嘘っぱち書いてよくお酒の評論家面してるよなー。
毎日も毎日だぜ、天下の毎日じゃなかったの?以前からこの回答者ウソばっかり書いてんだから、他からも当然指摘されていると思うよそれをそのままにしているってことは「毎日」もそれだけのものか・・・・と思われるぜ。

2001・5・3 日本酒やウイスキー、ワインと一緒にビールの売上げも落ちてきている。醸界新聞の試算によれば、平成12年度の酒類に関する消費金額の前年比は、清酒93・8%、焼酎100・4%、ビール95・0%、ウイスキー類88・9%、果実酒類88・9%、その他113・0%、酒類全体で97・7%となっている。
 その他の増加は缶チューハイなどのリキュールと「発泡酒」のお陰とみていいだろう。発泡酒が伸びてビールが減った、というわけである。「軒先貸して母屋取られる」か。
 先日、TVでビールと発泡酒2種類ずつ飲ませて、どっちか当てることをやっていたが、始まる前は自信満々だった出席者30人ほどの内、全部分かった人は3人ほど。結局、大半の人はビールでも発泡酒でもよく分からないで飲んでいるということだ。味が大して変わらないのなら、そりゃ安いほうを買うわな。まして、ビール会社も発泡酒発売当時からすれば、どんどんビールに味を近づけているんだからますます、発泡酒が売れるよな。しかし、元々今の日本のビールなんて副原料(コーンスターチ、米、糖類、香味料など)を使って造ってる代物なんだもの、ただ、酒税法上、麦芽の使用比率の違いだけでビールと呼べず、発泡酒とされているものと大して差はないんだもんね。
 将来は、日本のビールもドイツのように、副原料のない造りのものだけが“ビール”というようになって、あとは全部“発泡酒”となっちゃうんだろうなー。
 日本酒だって醸造酒と呼ばれるのは「純米酒」しかないのだけど、ほかの「レギュラー酒」のように混ぜ物ありのお酒はビールにおける「発泡酒」と同じかというと、これがまた違うんだよね。ビールと発泡酒は味が殆ど同じだけど、純米酒とレギュラー酒とでは全然味が違うもんね。(^。^)

2001・5・3 3月20日の新聞に“アメリカのプロゴルファー、タイガーウッズが「ベイヒル招待」で今季初優勝したのだが、初日35位と振るわず、その夜、ツアー中はアルコールを一切口にしないといわれるウッズが親友のマーク・オメーラに誘われ一杯やり、翌日から立ち直り最終日トップに立ち優勝した。適度な飲酒が気分をリラックスさせたのか”という風な記事が載っていた。そして彼が飲んだお酒が「日本酒」だったとも。
日本酒メーカーさん、こういう記事をもっと宣伝に使わなきゃ。
タイガー・ウッズが日本酒を飲んで不振から立ち直った!!日本酒の気分転換効用は洋酒よりスゴイ!」てさー、混ぜ物酒を醸造酒といって憚らない厚かましさがあるんだから、これくらいどんどんいうべきだと思うけどなー。

2001・6・1 5月30日、東広島市、アクアパーク体育館で開催された、「全国新酒鑑評会」一般公開に行って来ました。今年から、国税庁醸造研究所が独立行政法人となり名前も「酒類総合研究所」と変わり、内容も昨年までと少し変わった。
 昨年までは、原則として全国の国税庁各局単位で審査された上位入賞酒が出品されていたが、今年からは出品フリー(出品料15750円)となり例年より200数十多い、1133点が審査された。また、今年から、1部:「山田錦」以外の原料米使用、あるいは「山田錦」の使用率が50%以下のもの、2部:「山田錦」50%以上使用のもの,とに分けたのだが1部の出品は74点であった(そのうち金賞は6個)。入場料も1000円必要になったが、今年の入場者は公式発表によれば1835人で、今までで一番多かったようだ。
 小生は、前々日から九州で仕事だったので当日の朝、東広島入りしたのだが、9時の開門に間に合わず、10:30ようやく到着。時間的に全部の利き酒が出来ないので取り敢えず、入賞酒から利き酒し、その後1部の出品酒中心に利き酒して回った。
 全体的には、結審の日から何日か経っているせいか、はたまた独自のバイオ酵母の使用比率が高くなっているせいか、ダレているものが多かったようだ。入賞酒も、どちらかというとおとなしく、以前のようにインパクトのあるものが殆ど無かった。ま、是はここ数年いわれてきていることだけど、それにしても金賞酒といえどあんまり飲みたいと思うのが少なかったね。小生の基準で一番金賞酒らしかったのは福島の「大七」くらいだったね。他に上げるとすれば、「笹一」(山梨)、「四季桜」「惣誉」(栃木)、「真澄・真澄工場」(長野)、「吉野川」(新潟)、「月桂冠・昭和蔵」(京都)、「福寿・福寿蔵」「八重垣」(兵庫)、「鳳陽」(宮城)、「春霞」「刈穂」(秋田)、「北の庄」(福井)、「虎の尾」(愛媛)、金賞を逃したが「賀茂泉」「雨後の月」(広島)などは良かったように思う。
 しかし、何のために1部,2部に分けたのかさっぱり判らない。二つに分けたのなら、それぞれ別固に金賞を選ばなければ意味が無いし、それなら今までとどこが違うの?ッてことだよね。今までだって原料米は自由なんだからさー。「山田錦」使ったほうが金賞取りやすいってことを敢えて、ことさら強調するためにやったのかい?ッて思っちゃうよね。
 因みに、今年の金賞獲得数1位は新潟県の30、2位:長野県25、3位:兵庫県19、4位:山形県16、5位:秋田県14でした。

2001:7・16アルコールや糖類などを添加したお酒は酒税法でいうところのリキュールにしたほうがいいと言い続けてきたが、リキュールを造るにはリキュール製造免許が必要となるので、酒造メーカーが国税庁に免許申請をしても中々おろしてくれないと不満を漏らしていたのだが、ここにきて風向きが変わってきたようだ。広島局がいくらでもリキュール免許を下ろしてくれることになったのだそうだ。広島国税局管内の岡山県が火付け源と聞く。広島国税局管内の蔵元は即、リキュール免許あるいは雑酒免許をとり、とりあえず普通酒をリキュールとして売り出して欲しい。確かに酒税はリキュールの方が少し高くはなるが、清酒枠を外され副原料の使用も可能なのだから単価を下げることは難しいことではないだろう。付け香、着色だってOKだしな。
 
早い者勝ちだよ。最初にやってド〜ンと宣伝すればいい。戦後の代用品日本酒はもう止めましたって。

2001・8・15 昨年の9月8日付けのこの記事の中で、ウソばっかり書いているQアンドAのことを取り上げたが、この回答者、最近、ちくま文庫から「決定版・日本酒がわかる本」というのを出したようだ。その中で、まだ懲りずに「純米吟醸酒は吟醸酒ではない」とのたまわっている。「吟醸酒は、アル添してこそ吟醸酒なのです」と。「純米吟醸酒は時代に迎合した酒、純米吟醸酒は今の醸造技術ではムリとして造らない酒蔵もあります」だって。「ちなみに、造り手側は皆、純米吟醸酒は吟醸に非ずということを知っているのです(知らない蔵はモグリ)」「純米吟醸酒と書いてある酒を、吟醸酒と思って飲むな」とまで書いている。他に醸造アルコールを毛嫌いする人の中に、醸造用乳酸を否定する人はいないのはなぜかしらだと。醪が出来上がった後に添加するアルコールと、“もと”を健全に育てるために添加する乳酸と一緒にするなよな。※おまけにこの醸造用乳酸、石油から作られていると書いてるが、今は乳酸の殆どは別な物、方法で作られていると、化学薬品メーカーの方からレクチャー受けたことを付け加えておく。前回はイニシャルで書いたが今回は余りにも日本酒を知らなさ過ぎるこの作者、実名で書く。蝶谷初男さん、あんたもっと日本酒を勉強しろよ。
※「醸造用乳酸」の件に関しては訂正有りですので2003・1・17の項を参照してください。
2001・9・20 石川県金沢市の「福光屋」さんが、今年の造りから全て純米酒にするそうだ。2万石造る大きな酒蔵さんが純米酒宣言だものナー。エライ!!。元々、特定名称酒しか造っていない蔵だが、全て純米酒にする理由が、「本醸造酒」を説明することの面倒さと、純米にすることで蔵人のやる気、目の色が変わった、の2つだそうだ。しかし、どうせやるならもっと、大きな声出してもらいたいなー。業界の1部にしか聞こえてこない感じだもんナー。何か他の蔵に遠慮しているようで歯がゆさを少々感じないでもない。ずっと「醸造酒宣言するところ出でよ」といってきた小生にとって嬉しいことだが。もっとも、この蔵の「黒帯」(本醸造)は2年ほど寝かせて出荷しているので、商品としてオール純米となるのは2年後だが。
これで、オール純米酒で行く蔵が、埼玉「神亀」・茨城「郷乃誉」・兵庫「富久錦」そして石川「福光屋」ということになる。
富山県の「よしのとも」も純米酒蔵だと聞いたので確認したところ、タンク1本だけ普通酒を造っているんだそうだ。昔から普通酒を飲んでいる地元の顧客向けなのだろうが、それを切れないところに現代の酒蔵の縮図を見るようだね。普通酒はリキュール、日本酒は醸造酒といえる時代がいつ来るんだろう。

2001・10・14 以前あった「日本酒大賞」の代わりかどうか知らないが、昨年あたりから「日本酒イメージリーダー」なるものを酒造組合中央会が発表している日本酒のイメージ向上にいいタレントを選ぶようで、今年は片平なぎさが選ばれた。別に彼女がどうということはないが、先の日本酒大賞もそうだったけど、日本酒向上にどれだけ寄与してんだろう。日本酒大賞に関しては3000万円かかっているという話を聞いたがそれだけ金かけて効果ゼロじゃなー。
因みに、先日行われた山形県のメーカーの研修会で、昨年のイメージリーダー知っていますかという問いに答えられた人は皆無。日本酒関係者すら誰も知らないイメージリーダーって一体何なんだろう?酒造組合中央会さん、もっと他にお金をかけるところがあるんじゃないの?

2001・10・17 今年の冬は、造りを休むという蔵が増えそうだという。昨年までの在庫が掃けないというのがその理由だが、売れないんだねー、日本酒。先日の「純米酒フェスティバル」などを見ていると、何で?と思ってしまうほど、お客さんは美味しい日本酒に群がっているのにね。消費者は、確実に戦後の代用品に「NO!」といっているのが見えているのに、業界は何の手段も講じてこなっかったツケがきているんだろうけど、エイズや狂牛病にみる、お役人の動きと同じだね。
造りの指導にしても、未だに炭使え、炭使えの馬鹿の一つ覚えの念仏だし、酒の渋を取るため、あの薬品使え、この薬品使えとくる。そんな物使う前に、渋の出ない造りを指導するのが先生じゃないのかい?
利き酒だけの為の鑑評会の酒造り指導、そりゃ先生にとってイイ成績上げれば自分の将来のためかもしれないけど、それ以前に、吐く酒じゃなく、飲む酒の質向上、美味しい酒の造り指導が先じゃないのかなー。小生の周りを見ても、美味しい日本酒を飲む層は確実に増えているよ。

2001・10・20 18年前に発行された業界紙を見ていたら、某大手メーカーのお偉いさんの言葉が出ていた。曰く「伝承的な清酒を造っていては、清酒は博物館で保存されるような商品になってしまう。清酒は伝統的でなければならないが変化しなければならない。製法は合理化されなければ産業として生き残れない
確かに、肉体労働部分の省力化は必要で、過去に於いて殆どの蔵が行ってきてはいるし、精米機の改善による米の高精白可能時代になり「吟醸酒」という素晴らしいお酒も商品として消費者を楽しませてくれている。しかし、「伝承的な清酒を造っていては、博物館行きの商品になる」とは何を言っているのだろう。伝承的であるからこそ「日本酒」なのではないのか。
今、彼ら大メーカーが造っている、液化仕込みなどの安酒が、その伝承的清酒から外れた、産業として生き残る為の商品だとすれば、お笑いだよな。伝承的清酒から外れたものを大量に造った結果が、消費者の日本酒離れを呼び込んでるんだからね。それこそ、「日本酒は“醸造酒”といいながら、アルコールや糖類をブッ込んで造っている不思議なお酒」として博物館に保存されるべき代物だろう。
18年前といえば昭和58年、その年の日本酒の製造石高は670万石でやや売上に翳りがでてきてはいるものの、まだ深刻さはない頃だろう。{因みに最高が昭和48年度の850万石、平成12年度は560万石(いずれも、アルコール20%換算)}
装置産業化により肥大化したメーカーの、自分に都合のいい、ある意味では、液化仕込みなどの言い訳にしか聞こえない説が、当時、他のメーカーに「ごもっとも」として受け止められたとしたら、こんなに笑える悲劇はないよね。
日本酒業界はいつになったら目を覚ますのだろう。メーカー側が目を覚ませないのなら、消費者側から行動するしかない。年々減っている日本酒の売上の実態が、消費者の行動ではあるのだけど、それすらメーカー側は、自分達のせいではなく、麦酒やワイン、焼酎のせいだと思っているんだから浮かばれないね。

2001・11・29 来年度から
「亀の尾」が無くなっちゃうんだって。エッ!て思っちゃうよね。「亀の尾」、今はいくつかの農家が栽培しているし、その人たちが皆、ヤーメタって言うはずはないし。“亀の尾”のお米は存在するけど「亀の尾」という名前が無くなっっちゃうんだそうだ。
どういうことかというと、「亀の尾」というお米が今まで農水省に登録されていなかったからもう来年から「亀の尾」は無いことにして「一般粳米」として扱われるんだそうだ。
今から約120年程前に山形県で「阿部亀治」が発見して育種し、戦前は日本はおろか朝鮮にまでその栽培地域が広まったという名品種の「亀の尾」、戦後は残念ながらその栽培の煩雑さから他品種に取って代わられ、姿を消すのだが、それと供に食米としての登録も消滅したのだという。昭和55年に新潟県の久須美酒造・久須美記廸氏が「亀の尾」の籾を手に入れ復活させたことは広く知られるところだ。その後、いくつかの蔵が「亀の尾」での酒造りを始め、現在では50社ほどが「亀の尾」のお酒を醸しているのだが、そのうちのどの蔵も農家も「亀の尾」の登録をしてこなかったらしい。なるほど、これだけ「亀の尾」が酒造好的米として認められてきているにもかかわらず、国指定の「醸造用玄米」に指定されていないわけだ。何故指定されないのか不思議に思っていたのだが法律的には「亀の尾」は存在していなかったのである。
それでは、来年登録すれば、と誰しもが思うのだが農水省はもう登録を受け付けないのだという。コシヒカリ、ササニシキ、美山錦、五百万石などなど現在流通している食米、酒米のどちらにも大部分その血が流れているという「亀の尾」じゃないの。「山田錦」「雄町」と並んで現在の酒造家にとってこれから大きな可能性のある酒米じゃないの。それをこの世から抹消しようというのだ。そりゃ農水省はお酒とは関係ないお役所だから「亀の尾」1種くらい有っても無くても関係ないのだろうが・・・。
それじゃ、来年から原料米「亀の尾」とラベルに書けないのかというと、そうでもないのだという。お酒は大蔵省管轄だからお米と何ら関係ないので「わしゃ知らん」ということらしい。飲む側からすれば、今まで通り何も変わらないのかもしれない。しかし、日本酒業界はこういった農水省のやり方に対し何らかの抗議、行動をすべきなのではないのか。「亀の尾」はこれからの日本酒にとって無くてはならない品種だとアピールすべきではないのか。農水省は「亀の尾」の登録を許可すべきではないのか

12月1日 昨日、山形県「鯉川」佐藤社長とお会いして「亀の尾」の件を話したところ、山形県は「亀の尾」の登録が成されているとのこと。お米の登録というのは県単位なのかと驚く。他の県は未登録のようだが。又詳しい情報が入れば書きます。

12月6日 今日連絡があり、1日に書いた件は少し訂正します。山形県でも銘柄として「亀の尾」はやはり使えないようだ。ただ特定酒米品種として「亀の尾」の文字が使えるというのだが・・・・後日又詳しく。

12月8日 山形県JA全農庄内本部によれば、国の検査上は「亀の尾」は存在せず、銘柄名は「その他品種」となるのだが山形県全農庄内本部では品種名として「亀の尾」と記載して検査しているので、検査済みの「亀の尾」を使用する場合、出来上がったお酒に「亀の尾使用」と記載してもOKであるという。

山形県全農庄内本部を通さなかった場合、また、他県の農家がメーカーに直接“亀の尾”を納入している場合はどうなるのだろう。

2002:1月30日 先日の新聞によると、平成13年ビール+発泡酒課税出荷状況によれば、発泡酒のシェアが3割を超えたという。31・3%というからほぼ1/3が発泡酒というわけだ。この不景気だから安いものへシフトするのは当たり前だけど、それだけ発泡酒の味がビールに近づいてきたということだろう。発泡酒が出始めた頃は不味かったもんなー。今でも、ビールしか飲まない人の話を聞くと発泡酒は不味いといってるけどね。しかし、ビールの世界もだんだん日本酒の世界に近づいてきてるねー。何故かって?代用品が幅を利かせてきてるってところがさ。日本酒の世界は9割くらいが代用品だけど、ビールもどんどんその世界になってきて、酒税法が改正されずこのままいけば、発泡酒(代用ビール)のシェアが日本酒と同じく9割になる日も近いかも。

日本酒はだんだん代用品の方が減ってきてはいるけどね。もっとも、ドイツからすれば日本のビールは大方、代用品だけど。
日本人は代用品の好きな国だね。というより、今の日本酒を戦後の原料不足時代に造られた代用品などとは思わずに飲んでいる人が殆どということなんだけどね。 「本物」を知らない、というより安けりゃ何でもいいという、悲しい舌の人種に成り下がってしまうのかなー。2月21日追記:今日聞いた話だと、コンビにあたりでは発泡酒のシェアは70%近くになっているそうだ。

2月20日 昨日の新聞に、アサヒビールが協和発酵の酒類事業を200億円で買収するという記事が載っていた。サントネージュワイン、さつま酒造などの子会社も一緒に買収されるので、「大五郎」「かのか」などの焼酎がアサヒ傘下になるわけだ。これによって、アサヒはチュウハイなどの低アル飲料が業界5位から3位、焼酎は2位、ワインは3位と各部門で主要な地位に着くことになる。

協和発酵といえば、茨城県・土浦工場で日本酒を造っていたはずだけど今は撤退しているんだそうだ。日本酒を造らなくなってからのアサヒの買収劇。アサヒにとって日本酒は儲かる商品じゃなかったのだ。日本酒業界、どうする?もう、儲かる商品じゃないとみられて・・・。篠田次郎先生の言葉を借りれば日本酒は「裏通り商品」になってしまったのだよ。“表通り”に並べられるように努力しなきゃ。日本酒造組合中央会に頼っていたんじゃ潰れるよ。中小企業は中央会から飛び出して、新しい行き方を模索した方がいいと思うけど。
   4月23日 この項についての付け足しだが、アサヒは4月15日、旭化成の焼酎、低アルコール飲料部門も買収した。旭化成の清酒と原料用アルコール部門は除かれている。やはりアサヒの頭の中には日本酒が利益を生み出す商品という考えはないんだね。

月15日 娘が大学に入り、合格発表の日に大学から貰ってきたパンフ類の中に大学生活のしおりみたいなのがあったので、読んでみるいろいろな奨めの中に「飲酒の奨め」という項目があった。お酒の種類を説明したり、飲み方のアドバイスなどが書かれているのだが何と、お酒の種類説明の中に「日本酒」がないのだ。ビール、焼酎、ワイン、ウイスキー、カクテル、サワー、この6種しか書かれていないのだ。「国酒」だ「国酒」だと浮かれている間に大学生の頭の中からアルコール飲料として「日本酒」が消えてしまっていたのである。飲んでも美味くない酒ばかり造ってきた結果がこれなんだぜ。情けないよなー。美味しい日本酒を少しでも皆に知ってもらおうと小生も漫画に描いたり、教室を開いたりしているし、また各地で色んな方々が日本酒の美味しさを広めてくれているのだが、このパンフを見てホント、がっかり来た。中央会はこういうことを知っているのかねー。低アル酒ばかりが若者向けじゃないよ。本当の“醸造酒”としての日本酒の美味しさを若者にアッピールしなくちゃ、日本酒の先はないぜ。
5月26日追記 その後、新入生のコンパなどがあり、娘にみんな何飲んでる?と聞いたところ、やはりビールやチュウハイが多いが日本酒も飲んでいるとのこと、少し安心したのだが、ちょっと待てよ、である。新入生は白紙の状態で色々なお酒を飲むのだろう。それが上級生になるにつれ日本酒を飲まなくなり、先のパンフのごときになってしまうのである。先ず飲んでみた日本酒の不味さに、次第に敬遠されて行くというパターンなのだ。業界の皆さん考えなくちゃ。最初は飲んでみるけど、最終的にはいーらない!の形になる日本酒って一体何なんだと。美味しければ飲み続けてくれるよ。

4月23日 大手メーカー「K正宗」の広告を見て首をひねってしまった。「丸米仕込み・美味冷酒」と書かれているのだが、この“丸米仕込み”って何だか分かります?某社の杜氏さんに聞いてみても首をひねられてしまった。吟醸酒などを仕込むお米は確かにしっかりと精米されているので、見た目は小粒の真珠のように丸い形をしているけどこのお酒は2リットルパックで1437円というから吟醸酒じゃないし、何を称して“丸米”といっているのだろう。小生の結論は同じ安酒でも、白糠やくず米ではなくちゃんとした形のあるお米で造っていますよ、ということなのだろうということ。いわゆる液化仕込みじゃありませんよといっているのだろうか。しかし、こんな訳の分からない言葉を使う意味ってあるのだろうか。融米造り、焙炒造り、姫飯造りとかいった類と同列にあるのだろうが新語を使えばいいってもんじゃなかろうに。暗に、他の会社の安酒パックはちゃんとしたお米が原料じゃないよっていっているのかな。

6月12日 酒造組合中央会から各蔵元に次のような通達が来たそうだ。
 ・純米酒に関して、現行の精米歩合70%以下という制限を撤廃する。
 ・精米歩合表示は義務付けるものの、10%幅も可能。例えば60〜70%
  というように。

 ・本醸造酒についても純米酒と同様の表示要件。
 これを聞いて、大手が今出してきている「米だけの酒」などが純米を名乗れることになるのだが、米粉や屑米、破砕米などで造っても純米なのかと疑問をもったが、これらを使用した場合、「純米」「米だけの酒」を名乗れないのだという。お米は現行の3等米以上を使わなければダメらしい。
 先日飲んだ、特Aの山田錦で造った90%精米のお酒の面白さ、亀の尾95%の濁りの旨さを知っているから、それらが純米を名乗れる環境というのは賛成なのだが、しかしなー、並行複醗酵がなされているかどうか分からないような液化仕込みの酒が本来の日本酒、純米酒を名乗れるのもなー。
 精米歩合の10%幅に関しても、ほんの数%で大きな差が出るお酒造りで、10%幅というのもインチキくさい。70%精米のお酒と60%精米のものでは、現行では純米酒と吟醸酒の差があるんだぜ。それを70%精米なのに60〜70%と書いてあれば消費者はどう思うのだろう。50〜60%だって純吟と大吟の差があるんだぜ。70%精米でも60%ものと勘違いしてしまうよな。
 まっ、大手は安い3等米で80%くらいの精米歩合のお酒を造って純米酒と名乗りたいんだろうが、それが美味しければ消費者は買うし、不味ければ売れないだけの話だが、ますます、本醸造酒が売れなくなるだろうね。普通酒のパック酒が安売り競争でどんどん安くなり、今度の改めで純米酒もうんと安くなって出てくるだろうからね。
実際、小生の日本酒教室で、ある地方銘醸蔵の本醸造酒と、大手のパック酒を飲み比べてもらったところ(覆面で)、パック酒のほうが値段が上といった人が14人中9人もいたからね。しかし、大手の為の規約改正としか思えない発想がよくたくさん会員がいるだろう中央会の総会で通るものだね。というより、中小の組合員の意見なんて多数であってもただの騒音としか見てもらえないのかな。そんな組合なんか止めちゃえよ。.

8月15日 上記の記事に対して、液化仕込みは大手のものだけではなく、杜氏を雇えなくなった小さな蔵の生き残りの為の仕込み方法だ、という意見を頂いた。確かに、今までの造りを省略した液化仕込みは、人数少ない、小さな蔵にとっても生き残りの為の手段としての仕込み方法かもしれない。しかし、それが本当の生き残りの為の選択としてベストなのだろうか。杜氏を雇えないのなら、自分が杜氏をやるべく勉強して、本来の日本酒をしっかり造った方がいいと思うのだが。安易に走るのはいい。でも、これからは“本物”を売っていく時ではないのだろうか。将来を見据えてどっちを選ぶかは、蔵の当主本人だから苦言を呈する筋合いではないが・・・。

8月15日 8月12日付の読売新聞・夕刊の1面トップで「西酒造の“ちびちび”は焼酎と呼べぬ、国税が罰金」と報じた。この焼酎に微量のバニラエッセンスが無表示のまま添加されていたというのである。酒税法違反として、今年の5月頃、50万円以下の罰金を科したとも書かれてある。翌13日には「南日本新聞」が同じことを記事に取り上げている。それによれば、このような件があったかどうか、守秘義務があるので一切コメントしないと熊本国税局。また西酒造の西専務の言葉として「罰金など払っていない」「読売のコメントは話した内容と違う」とも。
一体これはどういう事なのだろうか。読売の記者はどこからこのような案件を探し出してきたのだろうか?夕刊とはいえ、1面トップの記事である。その記事が、根拠のないものだとしたら何のためにこのようなニュースを流したのか。西酒造をタメにすることが目的か。売れてるところを叩けということなのか。読売の記者がそういった勢力に利用されたということなのだろうか?何か後味の悪い記事である。
8月17日 上記の続き。
読売新聞が書いた、バニラエッセンス(香料)混入の件、罰金を払った件、製品没収などは誤報。添加していたのは、一種の酸で、醪への添加については熊本国税局からはOKが出ていたとのこと。ただ、最近になって国税庁の見解としてこれらの酸の添加は不可とされたこともあり、また、他蔵からの指摘などもあり指導を受けたようだ。
しかし、このようなことを、読売の記者が、小さな蔵を潰すことにもなりかねないような記事に仕立て上げるとは少々情けない。例え、取材時に感情的な行き違いがあったとしてもだ。初めから意図的なものがあったのだろうかと疑いたくなる。客観的な記事を書くのが新聞記者ではないのか。

8月28日 先日TVを見ていたら、何処かの地方の河川がホテイアオイの脅威にさらされているという。画面には、川面一杯にホテイアオイが生い茂り、背丈が1メートル以上もあると女性のレポーターが現物を持ち上げていた。ホテイアオイといえば、金魚鉢に浮いている可愛らしいものを思い浮かべるが、これだけ巨大になれば少々引き気味になる。毎日10トン除去しているが間に合わないのだそうだ。繁殖力が凄いらしい。外国では、紫色の花をつけるので「紫の悪魔」とかいっているそうだ。その番組の中で、このホテイアオイを原料にした焼酎があると紹介していたのだが、これをみて、以前この欄でも書いた、アマゾンの雑草でエチルアルコールを作る話を思い出した。ホテイアオイはただで採取出来る原料だよね。もしかしたら、このような繁殖力の強い植物が、今の醸造アルコールの原料になっているのかもしれないとフト思ったのだ。実際、ホテイアオイで焼酎を造っているのだから、醸造アルコールの原料として問題ないんだろうねー。こんなことを考えるのも、業界が醸造アルコールの原料を公表しないからなんだよね。どうなってんのかな。

10月19日 今月の6日に開催された「純米酒フェスティバル2002in秋」も盛会で1300人近くのお客様に喜んでいただいたのだが、当日参加者に書いて頂いたアンケートの結果には少々驚いたというより「ホンとかよー」といった呆れに似た感じであった。アンケートの一つに「日本酒には防腐剤が入っていると思いますか」という項があったのだが、入っていると思っている人が全体(670名)の17、7%で分からないと答えた人は55、2%、両者合わせると72、9%の人が正確な知識が無いということになる。数年前の小生のアンケート結果でも30%の人が入っていると答えていたから日本酒への知識の薄さは驚くほどのことではないのだが、この“使用されている”と答えた人の中で1番高い比率だったのが酒販店(25%)、次いで料飲店関係者(24、1%)だということにはびっくりしてしまった。お酒を扱っている、いわゆる業界関係、プロといわれる人たちが1番日本酒の知識が薄いということなのだ。ちなみに1番低い比率だったのは20〜30代の女性である(14%)。自分たちが売っている商品に対しての知識もないままに売られているのが日本酒なのである。こんな世界だから商品管理なんて期待するほうがおかしいのかも。売れないはずだ。造る方も何の情報提供もしてこなかったツケがもろ表れているね。因みに、低アル酒の好き嫌いでは、好きと答えた人は12、8%、瓶の容量では圧倒的に720mlに支持が来ている(56、3%)。紙パック(0、9%)、300ml(9、9%)は人気が無く1升瓶は12、3%の支持であった。

11月30日 先日発売された小生の新刊本「ツウになるための日本酒毒本」の中で、「液化仕込みで出品酒を造っているところがあるのだろうか」(P30)と書いた所、都内のSさんよりメールをいただき、愛知県の福井酒造「四海王」が液化仕込みのお酒で出品しているとのご指摘をいただいた。確認してみると全国新酒鑑評会では過去10年で4回金賞を獲っている。市販されている多くの液化仕込みのお酒は、液化率を上げるため80℃〜90℃あたりが最適温度の酵素剤を使用するため、造ったお酒を火入れ(60℃台)した時その酵素は失活せず、それが貯蔵時にお酒を変質させるので限外濾過という超精密濾過でその酵素を除去しなくてはいけない。それで、その酵素より分子サイズが大きい旨味成分まで濾過され、味も素っ気もないのっぺりとしたお酒が出来るというわけだ。
 一般の液化仕込みの液化率が99%程度になるのに対し、この福井酒造の場合は、50℃前後が最適温度の酵素を使い60〜70%の液化率なのだそうだ。火入れでその酵素も失活するので限外濾過の必要も無く味が薄くなるということもないというのだ。
 液化仕込みが安酒に利用されているという現状は紛れもない事実ではあるが、例外もあったわけだ。しかし、飲んで見なければ判らないということで、この蔵のお酒を何処かで仕入れて飲んだら又感想を書きます。

2003・1月17日 2001・8・15のこの欄で、醸造乳酸は殆ど石油から作られていない、と書いたが、今日Sさんからメールを頂き、最近公開された武田キリン食品のHPによれば、いまだ乳酸は「有機化学的手段による石油からの合成による合成法」と「醗酵により植物から生成する醗酵法」の両方で作られているとのこと。この両方の手段で作られた乳酸が醸造用資材規格適合品として販売されているのだという。
乳酸には自然界に元々存在したものがL型、有機化学的に生成されたものがD型とされていて、合成法で製造されたものにはL型とD型が混在するのでDL型と呼ばれるそうだ。
醗酵法によるものはL型で毒性はないが、D型とDL型には毒性があるという。(規格を満たしていればDL型の毒性は人体への影響はないレベルらしいが)
Sさんは私見として 
1)酒造メーカーに対して「醗酵法による乳酸を使用しよう」と呼びかける 2)醸造用資材規格協議会(事実上の事務局は日本醸造協会)に対して、醸造用乳酸はL型乳酸だけに限定するよう規格の改定を求める とおっしゃっている。
醸造アルコールの原料もそうだが、この乳酸に関しても又造りに関しても日本酒は表に出れば消費者の不信を買うことが多々ありすぎるようだ。こういったことがじわじわと日本酒衰退へのボディブローとして効いてきているのだと思う。早くすっきりとして出直さなくては本当に気が付いたら日本酒全体が「幻の酒」になりかねないよ。

1月22日 2000・6・12の記事の中で醸造アルコールの原料である「廃糖蜜」に関して書いてありますが、この廃糖蜜に関して認識不足のところがありましたので、ここに訂正させていただきます。記事の中で「サトウキビの絞り粕に残った糖分を醗酵させ・・・」とありますが、「サトウキビから何回か結晶として砂糖を採った残りの液体にある残存糖分を醗酵させ・・・」と訂正します。過去出版した漫画や書物の中でもこの認識で書いていましたので併せて訂正させていただきます。

3月7日この冬もいくつかの酒蔵を見学させていただいた。その中で聞いた話だが、指導に来る鑑定官の先生が蔵に来ても醪を一切見ないで経過表だけ見て数字が計画どおりに行っているかを見るだけなのだという。数字でいい酒かどうかわかるのかね。頭で知った数字が合えばそれでいいってなもんじゃないだろう。昔の先生はいい悪いは別にして泊り込んでも醪の姿を見ながら徹底指導したという。確かに昔ほど今の造りは腐造などの危険は少なくなっている。とはいえ、蔵個々で造りが違うのだし、実際の醪を見ながら自分も勉強していくということもあるだろうに。その上、もっと驚いたのはこういう先生の中に麹室の中で煙草を吸う者がいるというのだ。おいおい、それはないだろう。
ある蔵ではもう、鑑定官の指導は受けていないのだという。そうだよなー、こんないい加減な人に来てもらう必要ないもんなー。
 もう一つ、今回の蔵見学でビックリしたことがある。秋田県本荘市にある「由利正宗」さんにお邪魔した時だが、この蔵では
醪の櫂入れを一切止めたというのだ。どの蔵に行っても、蔵人がタンクに入っている醪を櫂でかき回している姿を見るのは当然というか当たり前の風景なのだが、この蔵ではそれが無いのである。一般に醪の内容物を均一化するために櫂入れをするのだがこの蔵の高橋杜氏の話によれば最初に空気穴を通す程度で、あとは一切櫂入れをしないという。タンクの中で醗酵が始まるのだが、それぞれの個所で醗酵力の違いが出ても、何もそれを均一化する必要は無いというのだ。醗酵の強い所も弱い所もあっていい、最終的にはそれぞれの醗酵が一つになってお酒になるのだから自然に任せればいいというのである。搾る時も、醪の色々な成分の数字に関係なく、表面の表情を見て決めるという。櫂入れをやめた一つの理由として、丁寧に消毒しても櫂棒には細菌がついているもの、そういった菌を醪の中に入れずに済むというのだ。もちろん杜氏さんを含めた蔵人の労働力が減少したことはいうまでもない。
こういったことに踏み切れた理由の一つとして、醗酵力の強い自家酵母を育てているといったこともあるのだろうが、この仕込み法が普及すれば蔵人の省力という意味では画期的なことだろう。出来たお酒の旨さは保証付である。
この高橋杜氏は山内杜氏であるのだが、実は“三無い”杜氏でもある。櫂入れなし、加水なし、濾過なしの“三無い”なのである。この蔵の吟醸酒はすべて「無濾過原酒」というわけ。何で折角出来たお酒を薄くして不味くする必要があるのだと高橋杜氏はいう。まったくである。

3月22日 櫂入れを止めた「由利正宗」の話を前回書いたのだが、その後何人かの人と話をしたり、メールを頂いたりした。戦前からこの櫂入れ無用論があり、又それに対する反論も出ている。昭和41年刊行の技術書では密閉タンクの蔵では櫂入れが面倒なのでしばしば櫂入れ全廃行われているとも書かれているそうだ。
櫂入れ全廃を手抜きと見るか、そうならばそれによる蔵人の気の緩みがないとはいいきれないのだが・・・。「由利正宗」ではそれがプラスになっていると見えるのだが。
 先日お会いした蔵元も櫂入れを止めたということだったが。

4月15日 「全国新酒鑑評会」という言葉がそろそろ気になってくる頃だ。今年も金賞を目指して全国のメーカーさんたちはお金と時間と労力を費やしていることだろう。「金賞受賞蔵」、この文字、魅力あるんだろうなー。しかし最近耳にしたこれらの出品酒製造に関しての話はあまり気持ちのいいものではない。いくつかのお酒をブレンド、酵母違いの数種を混ぜ合わせているといった話は以前から聞くところだが、昨年のお酒までブレンドする所があるという話は聞き捨てならない。“新酒鑑評会”に何故古酒ブレンドありなんだ?蔵によっては幾種類かのブレンド違いのお酒を鑑定官の先生にみてもらい、今年はこれでいこうみたいなお墨付きをもらって出品酒を決めるらしいのだが、そういった鑑定官の先生は古酒ブレンドを見抜けないのかね、それとも判っていてもそれが出品酒として金賞を取れそうなお酒だったらOK出すのかね?
何十年もアル添酒を醸造酒といって憚らない人たちだから、古酒を混ぜたって新酒というのが当たり前か。しかし、金賞受賞が確かに蔵の宣伝にはなるかもしれないが、それを指導した鑑定官の先生の手柄として、先の天下り(?)に役立つだけじゃないのかね。消費者の口に入るお酒の品質には殆ど関係が無いといってもいいもんね。

5月26日以前、大手メーカーのGがその広告の中で「お燗のできる初めての純米酒です」と書いていたので小生の漫画の中で批判したことが有ったが、最近やはり大手のKの広告を見て少々腑に落ちない文面があったので一言。曰く「酒母が違う、だから旨い」 K「山廃仕込み」は、古くから杜氏たちに伝えられてきた伝統的な醸造技術、以下略。確かに「山廃仕込み」は古くからではあるが、どのくらい古いかというと、山廃仕込みが嘉儀金一郎らによって開発されたのが明治42年、実地指導が始まったのが翌年43年とある(「日本の酒の歴史」研成社)。ということは今から93年前である。100年近いから古くからというのは判る。だけどね、現在大方の蔵で採用されている「速醸もと仕込み」だって同じ明治43年に江田鎌治郎により考案され実地指導されているんだよね。だったら、ことさら「山廃仕込み」が“古くから伝えられれた伝統的な醸造技術”というのはなんかなー。
速醸仕込だって同じ歴史があるのだから今の造りは大方“古くから伝えられた・・・」ということになる。
「古くから杜氏たちに・・・・」というんなら、「生もと」造りだろう。福島県「大七」のように昔ながらの「生もと」造りをしている蔵なら「酒母が違う、だから旨い」「山廃仕込み」は、古くから杜氏たちに伝えられてきた伝統的な醸造技術、といっても何ら不思議は無いんだけどね。確かに「山廃仕込」は生もとの一つではあるけど、明治42年に簡略形生もととして新しくできたものだからね。
とはいえ別に「山廃仕込」を否定しているわけじゃないよ。山廃で美味しいお酒は色々有るからね。速醸と同じ歴史の山廃をことさら「古くからうんぬん・・・」ということもないのに、と思っただけ。
6月8日もう一つ、大手メーカーの広告に一言。Hの生貯蔵酒の広告を見ていてなんか違和感を感じるのは小生のみではないだろう。曰く「朝一番、出来具合を生で確かめる 生の旨さは生だけが知っている ひんやり香り立つ生貯蔵酒」 
ちょっとお酒を勉強した人なら「生貯蔵酒」は生でないくらいの事は知っているだろう。搾ったお酒を生のままで貯蔵し、出荷時に火入れするお酒が生貯蔵酒なのだが、1回火入れするってことはもう生じゃないんだよね。それなのになんでこの生貯蔵酒が「生のうまさは生だけが知っている」ってことになるのかね。Hは生貯蔵を“生酒”として売っているのかね。こんなことやってるから、飲み屋で「生酒」を頼むとこの「生貯蔵酒」が出て来るんだよ。

6月19日先日、大阪の酒販店さんからメールで関西版の新聞に連載されている記事を送っていただいた。JALの乗務員で「空飛ぶきき酒師」と名乗るU嬢さんの蔵元探訪記事なのだが、その中に5月13日の記事だが、和歌山県の蔵を訪ねたもので、「精米歩合は高くなく、純米大吟醸でも40%だそうだ。どの蔵でも大吟醸は米を磨いて造るのにと聞くと・・・・」とある。何気なく読み過ごすところだったが、大吟醸酒の精米歩合40%というのは精白が悪い数字なのだろうか。もっともこの文の中の「精米歩合は高くなく」は正確には「精米歩合は低くなく」あるいは「精白歩合が高くなく」と書くべきところだろうが・・・。一瞬、精白歩合40%(精米歩合では60%)の間違いかとも思ったのだがそれなら大吟醸であるはずがないし。(株)フルネット発行の「地酒人気銘柄ランキング」最新版をみてみると「大吟醸酒ベスト40(純米大吟も含む)」の中で精米歩合が40%未満の銘柄は14で全体の35%である。40銘柄の平均精米歩合は40・41%である。ということは精米歩合40%のお酒は吟醸酒の中でもぐっとお米を磨いているお酒だと思うのだが。
このUさんにとっての大吟醸酒はどれだけ磨けばいいのだろう?確かに精米歩合が20%台や、最近では10%台のものまで出てきてはいるけど、それは少数派だろう。
この記事の中の40%という数字がもしかして誤植で違う数字が入っていたのならごめんなさいだが。

6月29日「白鶴」の生貯蔵酒の広告であれ、っと思ったのが「生貯蔵酒・しぼりたて」。
「しぼりたて」って搾った直ぐのお酒てことだよね。「生貯蔵酒」というのは搾ってから生である期間貯蔵して、それから火入れして出荷するお酒のことだけど、この生貯蔵酒は貯蔵していないってことかね。夏向き商品だけにどうしても「生」という字を使いたくて、生でもなく、貯蔵もしていないただの搾り立て1回火入れの酒を「生貯蔵酒」といっているのかね。

8月2日ここのところ、木桶での仕込みがいくつかの蔵で行われている。長野県桝一市村酒造場セーラ・マリ・カミングスさん提唱の「桶仕込み保存会」なるものも出来ているようだ。何社かの桶仕込みのお酒を飲んでみたが、いわゆる樽香のするものはない。いわれてみればそうかなーといった程度のもので消費者から見れば値段が高いだけで木桶で仕込んだというメリットを何も感じない。どうせ桶仕込を復活させるのなら、昔のように貯蔵も木桶でやらなきゃ意味がないのではないのかな。確かに貯蔵も木桶だと火落ち菌などの管理の問題が難しいかもしれない。昔の木桶で造っていた時代のお酒は樽香があったはず。ホーローに変わったとき、樽香をつけるために壊した樽材や杉材を入れたり樽香剤を入れたりもしたという。折角木桶や樽で仕込んでも樽香がしなければ消費者からすれば、だから何なの、としか思われないのではないのか。物珍しさだけでのお酒はいかがなものかと思ってしまう。昔のように蔵元が裕福で、パトロンとして地元の文化人などを育てた頃なら、木桶職人育成として木桶仕込みに取り組むのも結構なことだと思うけど、今のご時世、木桶にお金をかけていられる蔵はどのくらいあるのだろう。
8月2日アメリカでも日本酒が飲まれてきているということは耳にするし、いくつかのメーカーが海外に日本酒を売ろうと熱心に動いていることも聞く昨今である。「幻の日本酒を飲む会ニュース」の最新号(8月1日号)によれば今年4月のアメリカによる“SAKE”の輸入量のデータでは、中国から44292g、韓国から112423g、日本から193647g、合計350362gという。
日本から行っているものは全体の55・2%でしかない。アメリカが日本酒、“SAKE”として輸入している44・8%は韓国、中国産のお酒なのである。アメリカで日本酒として飲まれている85%がアメリカ産というからおよそ全体の7%が中国、韓国産“日本酒”なのだ。しかも韓国産の蒸留酒を日本酒に近いアルコール度数にして“SAKE”として売られているという。(日本と違って醸造酒と蒸留酒の規定が厳しいアメリカでホンマかいなとは思うが)
「日本酒」って何なんだろう。国税庁よ、日本酒造組合中央会よ「日本酒」の定義を早くしっかりと作らないと滅茶苦茶な“SAKE”が世界を席捲してしまうよ。あげくが、今の日本といっしょに「日本酒」の評判がガタ落ちになって元も子もなくなるというお笑い。「お酒テラピー」なんて子供だましのようなことやっている場合じゃないよ。アルコールや糖類をブッ込んでも醸造酒だなんていってる業界にゃ何の危機感もないのかね。目先の売上だけにしか目が行かない、売れなきゃ安くするしか能がない・・・じゃどうしようもないよ。


10月6日昨日、椿山荘で開催された「純米酒フェスティバル2003秋」も無事終了し美味しい日本酒のファンの多さを改めて再認識した1日であったのだが、この中である男性がやって来て新潟県のKとTのこと描いたことありますよねという。似顔絵がどうのといってたので、Kの蔵元の似顔絵は描いたけどTの蔵元は面識もないので描いたことない、と答えていたらどうやら似顔絵ではなくそれらのお酒の記事のことらしい。Kのことは過去に書いているけどTの方はあまり記憶にないので、書いたとしたらお酒の漫画を描き始めの頃じゃないのかということをいったら、ぶつぶついいながら、僕はTのことよく知っているのでちゃんと調べて書いてもらいたい、間違ったことを書いているとかいう。くどくなりそうなのでその人の連れの人がスイマセンと引っ張っていったのだが、小生も飲んだお酒のことを書くときはある程度は調べて書いているのでそんな大きな間違いを書いてきてはいないはずと家に帰って過去の作品を調べてみたのだが、Tのことは取り上げていない。その人は、誰か他の人の書いたものを小生が書いたものと勘違いしていたのだろう。
 また、若い人が小生のところに来て、先生、昨日神田の「五穀家」で飲んでたでしょうという。いや、というと首をかしげて、じゃ、どこどこのどこ屋で飲みませんでした?と聞いてくる。昨日は家にいてどこにも行ってないよ、というとしきりに、おかしいなーを連発しネット上でそういう話が出ていたという。3日前なら五反田で飲んだけど、といったのだが納得しがたい顔で離れていった。小生を名乗る誰かが、あるいは小生に似た誰かが「五穀家」などで飲んでいたのだろうか。評判を落とすことをやってくれなければいいのだけれど、それにしてもあまり気味のいい話じゃないね。

10月25日
 今月は「日本酒の月」ということで、各マスコミに日本酒メーカーの広告が目に付く。しかし、広告を出せる大手メーカーの宣伝は相も変わらず、お金や景品で釣るだけの能無し広告、どうしようもないね。15年、いや20年位前かもしれないが、そんな景品にお金をかけるくらいならもっと原料米に金かけていい酒造れよという声が髣髴と沸きあがったものだが、まっ、今の大手の酒造りじゃ、品質云々以前だもんなー。ゲッゲッ・・・・、ゲ・・・を買うとさ、さ、三千円がポンと当たるとか、宝くじが当たるとか、聞いていて情けないというか悲しくなるね。また、若い男がお酒を飲んでいる後ろから、某俳優が目隠しして「わかるでしょ〜」。その頭の中に浮かぶ画面が褌姿の半裸の男じゃ買う気も起こらないんじゃないの。大手メーカの大半は赤字だと聞く。高い広告費を払ってまで宣伝しなきゃ売れないんだろうけど、その広告費がまた足を引っ張る悪循環。広告代理店だけが笑っている図だね。

11月4日 日本酒造組合中央会のHPを覗いてみると、その中に用語検索の欄がある。これで「普通酒」「一般酒」を検索しても該当なしで出てこない。日本酒といわれるものの中で7割以上ものシェアを占めているお酒の用語検索が出来ないのだ。中央会はこれらのお酒を日本酒と認めていないのかね、と思いつつ「三増酒」を検索するとちゃんと出てきた。いわく、三倍増醸酒の略称。すなわち増蒸酒のこと。
見て笑っちゃたね。だって「増蒸酒」だぜ。本来は「増醸酒」と書かなければならないところだろ。それを「増
酒」ときたもんだ。中央会さんもアルコールや糖類他をぶち込んだ酒は「留酒」と認めたのかね。単なる変換間違いなんだろうけど笑っちゃうよなー。もし、この項を受け持った人が意識的に皮肉ってやったのならパチパチ拍手ものだけどね。もうチュウハイなどとの競争力をつけるために「普通酒」はリキュールにして、清酒の足かせをはずして自由に造らせたらどうかね。副原料、着香、着色OK、その方が売れるよ。そして本醸造はもうお役御免。日本酒は吟醸と純米酒の2本立て。その方が判りやすくていいと思うけどね。焼酎が売れるのは値段ばかりでなく判りやすさもあると思うよ。甲類と乙類のみ、後は原料の違いだけでしょう。日本酒は複雑すぎだよ。

12月3日 
今日、中央会のHPを見てみたら「増蒸酒」が「増
酒」に変わっていた。やっぱりただの変換間違いだったのかね(笑)

12月27日 昨日の朝刊に日本酒の広告が載っていた。大手メーカーを中心に20社のお酒が紹介されていたのだが、それをみてなんか違うよなーと思ったのは小生のみか。一応お酒や蔵のコメントがあり、お酒のデータが書かれている。原料米の酒類、アルコール度数、日本酒度、酸度などが書かれているのだが,そのお酒の原材料名が何も書かれていないのである。確かにお酒によっては純米大吟醸○○とか特別純米△△と書かれているものもあるから分かる人にはこれらのお酒の原材料が「米・米麹・水」と思うだろうが、一般の多くの飲兵衛氏はそういったことも知らない人たちが多いのである。
 この広告に載っている大吟醸や本醸造などのようにお米と米麹、水の他に醸造アルコールが原料として使われていることを知っている人たちは少ないのである。ましてや日本酒度とか酸度なんてのは「何?これ」の世界である。日本酒度や酸度を書く前に先ず、原材料名を書くべきだろう。
 確かに酒税法で酒瓶のラベルの中に原材料名を書かなくてはいけないからきちんと小さい字で(笑)記載されてはいるが、それ以外の広告とかのものには大方原材料名は書かれていないのが現実だ。日本酒は醸造酒といってきた業界だから醸造アルコール(エチルアルコール)入りなんて書くことが憚れるのかね。今回に限らず今までの日本酒広告には書かれていなかったと思うが、メーカー側は本醸造とか純米とか書いてあるから分かるだろうというかも知れない。しかし、その本醸造酒や純米酒ということすら消費者はその意味するところを知らない人が大半なのだ。今まで情報提供を大してしてこなかった業界だから消費者は日本酒のことをほんとに知らないよ。知らないから、しめしめといった按配でアルコールやブドウ糖、酸味料などをぶっこんだお酒を造って来たのかね。
 人の口に入る飲料なのだから広告にもきちんと原材料名を書くべきじゃないのかなー。
 同じ広告の中で、日本酒の飲み方として柑橘系の果物の絞り汁を入れて飲む方法を薦めているけど、まっ、人の好みは様々だからいいけど、俺はやだね。
2004
1月15日知り合いのGさんから以下のようなメールをいただいた
ついに日本酒が焼酎に負けたそうで、その折りの新聞にのった中央会のコメント「酒風呂も提唱して消費拡大しようとしたのに…」は、あきれと嘆きと怒りとを人々に呼んだと思います。風呂に入れてまでして増やそうとしてだめだというのなら、つぎは「日本酒で車を洗おう」「日本酒を庭にまこう」とでも「提案」するのかしら……。昔読んだ本に杜氏さんのコメントとして「店で、残すぐらいなら、注文するな」とあるのが今も印象に残っています。どんな思いで、中央会のコメントを聞くのかしら。」
本とあきれてしまうよね。量さえ出ればいいというお酒の造り方が今の日本酒業界の惨状を生んでいるのに、それが何もわかっていないんだね。お役人が天下ってきているような中央会だから、本当の消費者の声が聞こえる耳を持たないのだろうけど、一体いつになったら目が覚めるんだろう。
何でだろう〜、何でだろう〜、日本酒売れないの何でだろう〜

2月25日昨日の夜NHKで売れなくなった日本酒のことを取り上げていた。某メーカーがアンケートを採った結果、一升瓶のデザインがダサイ、もっと健康のことを考えてほしい、くさい、などの意見が多かったとある。まっ、いろいろな意見があるのはいいが、実際、世界の酒類、例えばビール、ワイン、ウイスキー、焼酎、老酒、ウオッカなどの中で健康のことを考えて造っているお酒があるのだろうか。結果的にワインのポリフェノールがどうとか、焼酎の香りが血液をサラサラにしてくれるとか勝手に言ってるだけで
初めから健康に留意して造られたものではないだろう。どのお酒だって過ぎれば毒になるし適度に飲めば身体に良いのだ。それを日本酒業界はこぞってやれ健康志向だ日本酒と健康を積極訴求だのと下らんことばっかりやっている。そんなことより、何回でも言うが、本物を造ればいいだけの話だ。昔(戦前)にもどればいいだけの話だろ。業界が保守的だというなら徹底的に保守になれよ。江戸、明治の酒造りに戻れよ。木桶造りだって仕込みだけでなく貯蔵までやれよ。何やっても中途半端だから駄目なんだよ。料理との相性なんか考える必要だってないさ。旨い酒造ってくれれば日本酒に合わない料理なんかないさ。日本酒業界、しっかりしろよ、情けないぞー。

3月2日 先日、ある若者からメールをいただいた。彼は以前某酒造メーカーに勤めていたのだが、現在はお米の生産を行っている。酒造会社を辞めた理由が、現在の酒造りに疑問を感じたからだという。造ったお酒に
ジャブジャブとアルコールをブッ込み、ブドウ糖を添加し、お酒が真っ黒になるまで活性炭を使う、そんな酒造りが嫌になって辞めたのだという。その後そのメーカーの社員は全員辞め、彼のところにもう一度戻ってきてほしい旨の催促があったらしいが日本酒(真の醸造酒)ではなく清酒(混ぜ物日本酒)しか造る気がない会社なので固辞したとのこと。その蔵元は若い社員が辞めていったことの理由が「仕事がきついから辞めたのだろう」と早朝の仕込みをやめ、その町の冬の風物詩でもあった、蔵から早い朝に立ち上る白い蒸気が今期から見ることが出来なくなっているそうだ。彼はいう、その土地の温暖な気候からすれば、早朝の低い温度の中で自然の冷気で蒸し米を冷まし、仕込むということが、強制的に冷風を機械で浴びせるより酒質上からいってもずっといいことなのだと。冷風を機械で浴びせることで風の当たる表面は急速に冷えるものの、内部はまだ温かいということがあり、いい冷却にはならないのだ。彼は続ける。何をピンボケなことをやっているのだろうと。若者たちはきついから辞めたのではない、続けることに誇りを見出せないから辞めたのだと。美味い“日本酒”を造っているのだという自覚があればきつい仕事でも続けるでしょう、「○○の安酒」と地元で揶揄されるような酒を造らなければならないのなら私だって「労働条件をよくしろ」といいたくなります。そして彼はこう締めくくっています。自分たちの手で造ったお酒が讃えられ、喜ばれ、地元の誉とされたら、どんなにきつくてもヘッチャラだ、蔵人だってどんどん集まります、と。魂を売ってしまった日本酒業界よ、この若者の声を何と聞く。

3月6日 どうでもいいことだけど、ちょっと気になったので。今週発売(3月11日号)の週刊文春、山本一力さんのエッセイ「にこにこ貧乏」の中に大阪の「時空館」で江戸時代の巨大な輸送船「菱垣廻船・浪華丸」を見たことが書かれている。その中で「・・・灘の銘酒も運んだだろう。・・・灘酒も目一杯揺れたに違いない・・・」という文章が出てくる。「菱垣廻船」は1619年頃に開始されお酒のほか油や、綿やいろんなものを江戸に運んだのだが、お酒は1644年頃よりお酒専用の「樽廻船」で運ばれるようになる。灘の酒が江戸に入るようになるのが1704年頃とされているから、1600年代、菱垣廻船によって上方から江戸へ運ばれたお酒は伊丹や池田のお酒だと思うのだよね。灘酒が江戸に運ばれる頃は菱垣廻船ではなく樽廻船になってからのことだから。江戸といえば灘酒と思うけど、灘酒が江戸で評判をとるのは江戸時代の後半分なんだよね。

3月25日 ずっと、アルコールや糖類などの添加されたお酒はリキュールにしろといってきた。搾った純米酒にアルコールを入れるのではなくまだ醪のうちに入れるのだからリキュールではないという人がいるそうだ。百歩譲って、リキュールでないとしても、そんなもの醸造酒のはずはないだろう。日本酒の種類も多いということも消費者離れの一因だとも書いてきたが、焼酎にも負けたこの際、日本酒も焼酎と一緒に仲良く
甲類と乙類」に分けたらどうだろう。甲類はアル添日本酒、乙類が純米酒である。消費者にはお好みのほうを選んでもらえばいい。リキュールといわれなくてもすむしね。消費者にとっても分かりやすくて便利だと思うけど。ビールだって麦芽の使用比率と副原料の違いで、ビールと発泡酒に区別されているんだしさ。日本酒だけが原料や製法が違っても同じ日本酒じゃーね。日本酒の酒類は甲類か乙類、後は吟醸か否かでいいんでないの。もう本醸造酒も普通酒もなし。

5月30日 化粧品会社のマックスファクターが女性の全身美容液SK-Uシリーズに
吟醸酒をイメージした香りの「Ginjyo」を発売したと先ごろのニュースで出ていた。酒蔵の杜氏の手がすべすべとして白いことから、酵母から抽出した成分を配合したそうだが、香りは山形県「出羽桜」の吟醸香だという。いままで日本酒は臭いとまで言われてきたのに女性向けの化粧品の香りに吟醸酒の香りを持ってくるとは、マックスファクターの快挙であろう。業界はこれを見逃す手はないよ。まったく畑違いの業界から日本酒への応援団が出来たのだから。マックスファクターが「Ginjyo」という言葉を広めてくれるのだから。日本酒の中の吟醸酒は日本酒の救世主でもあるのだから、もっとも吟醸酒を否定してきた大手蔵もなかったわけではないが、今回の外部から届いたチャンスをしっかりものにしなくちゃね。

6月23日 先日、岡山県の酒販店さんからメールをいただき、彼の仲間の中で「何が本物の日本酒か」という議論になったが意見を聞きたいという。現在、日本酒は普通酒から純米大吟醸酒まで9種あるが、酒税法でアルコールや糖類などの副原料を認めているのだから、これらの副原料を使っても清酒(日本酒)だといっているのだから、普通酒、本醸造酒、特別本醸造酒、純米酒、特別純米酒、吟醸酒、純米吟醸酒、大吟醸酒、純米大吟醸酒すべてが本物の日本酒ということだろう。いってみれば議論の余地は何もないのだ。ただ、どの本もまた業界の方々も言っているように
日本酒は醸造酒だというのなら、純米酒しかないのである。どれが本物かなどと議論されるようなあやふやなものを消費者に提供しているからそっぽを向かれるのだ。日本酒はリキュールなのか醸造酒なのか、それとも両方のタイプがあるというのかはっきりさせなよ。戦後の緊急避難の策であるアル添、糖添などが時代の要請したものかも知れないが、酒造界の新技術なんかであるものか。

10月24日 業界誌に某メーカーが自己ブランドの日本酒を開発したと出ていた。そのメーカーの女性スタッフと「自分の自己ブランドを高めて、エッセンスのある女性」を目指すグループのメンバーとで共同開発したお酒で、飲んで美味しいお酒だそうだ。ターゲットは自分のスタイルを持ち、いろんな意味で“本物”を目指す20〜40代の女性なのだそうだ。
本物を目指すというからてっきり「純米酒」と思いきやアルコール添加のお酒(笑)。メンバーたちの曰く「カッコいい本物」、だとさ。前項にも書いたが、日本酒がリキュールというのなら何も文句は無いさ。だけど敢えて「本物」を目指したっていうんなら「醸造酒」といってもらいたかったね(蔑)。しかもアルコール度が13〜14度というから飲む前から味がわかるような気がする。

先日読んだ何かの記事の中に、某大手メーカーの社長が「
うちは清酒を造っているのではなく、清酒に似たアルコール飲料を造っているのだ」といっていたという。ハハハ、本音が出たというところだろうけど戦後50数年“清酒に似たお酒”を我々は飲まされてきたわけさ。このことに関してはずっと言って来たことだけど、造る側がはっきり言ってくれて、どうかねこれで消費者も目が覚めたでしょう。みんな馬鹿にされてんだよ。まっ、少しずつ気が付いた消費者がいるから日本酒(似非日本酒)が売れなくなってるんだけどね。

12月11日 先日、某所で飲んだ時の話。高〜いお酒の話しが出て、飲んだけど普通のお酒でしたよ、という。聞けば1升
10万円のお酒らしい。で、もう一度買ってみたけどやっぱり10万円という味じゃなかったという。このお酒、小生も過去に何度か飲んだことがあるのだが、10万の価値があるかどうかは別にしていいお酒であることは間違いない。で、その購入したお酒のラベルはどんなものだったかと聞くと、小生が知っているラベルとは様子が違う。10万のものには、他のラベルにはないマークが付いているのだが、話し相手は、そんなマークは付いていなかった、という。もし彼の記憶違いでなければ、多分、その蔵の1万円のお酒である。売った酒屋が知らぬはずはあるまい。単純に計算すれば9万円丸儲けってか。10万円の酒買ったけど不味かったといわれちゃ、その蔵が可哀想。蔵の1番いいお酒だからこそその値段を付けたわけだから。こういうことをする酒屋がいるんだねー。情けない。

12月23日 ここ数年で新しく世に出た銘柄がいくつかある。福島県「飛露喜」もその一つである。今や、愛酒家の中で知らない人がいないといってもいいだろう。このお酒の立ち上げに携わったものとして、嬉しい限りなのだが、最近、この酒の世に出た経過が間違っているものになっているのが目立つ。雑誌や、飲料店などのHPでこの酒の紹介がされているのだが、その中でこのお酒を発掘した人が酒販店であるK商店の社長となっている。どこでこんな嘘が定着してしまったのだろう。真実は、(株)フルネット・中野繁社長がNHKで放映された正月のドキュメント(会津坂下町の酒蔵を取材したもの)を見たところから始まるのだ。蔵を訪れ、詳細は省くが、いくつかの助言の末に「飛露喜」が誕生したのである。「飛露喜」という酒名も中野社長自ら命名したものだ。出来た酒を東京の二つの有名居酒屋に置いてもらい、客の反応を確かめた上で、7つの酒販店に頭を下げてお願いして(何せ無名のお酒なのだから)売ってもらったのである。それが、何でKさんになってしまっているのか?確かにKさんは最初にお願いした7店の一つではあるがただそれだけの話。有名な中国の諺ではないが、最初に井戸を掘ってくれた人の恩を忘れるどころか、別の人に変えてしまっているのは一体誰なんだ。
 本とはあまりこういうことは書きたくないのだが、ここではっきりしておかないとこのお酒の立ち上げに係わった中野社長、堀江先生、そして小生の3人が今まで嘘を言ってきたことになるからだ。
2005
3月1日某HP上で以下の文章を見つけた。新聞には実名が書かれているがあえてKさんとした。
この文章は1、2年前の朝日新聞福島版に載ったものの1部を抜粋したものだ
「前は略・・・番組を、東京都多摩市のKさんが見ていた。広く知られた地酒専門店「K商店」の社長だ。Kさんから、電話で励まされた。「うまい酒を造れ」。試しに造った酒を送った。「この味では、首都圏では勝負出来ない」。厳しい言葉が返ってきた。
 当時、日本酒の世界では「十四代」が新風を巻き起こしていた。山形県村山市の高木酒造が造る芳純な酒。評判を聞きつけ、初めて口にした健司さんは、奥行きのある味に圧倒された。「こんなうまい酒は、おれには造れない」。悔しさが、逆にバネになった。
 酒米の五百万石を大吟醸なみに削った。酒米を水につける時間をタイマーできっちり計った。可能な限りの投資をし、蔵の設備を新しく変えた。
「喜びの露が飛ぶ」。そんな思いが込められた酒は、口に含めば、うまさが小宇宙のように広がる味に仕上がった。「端麗辛口」で一世を風靡(ふうび)した新潟県の酒とは、明らかに異なる独自の風味。
 99年、こうして出来た「特別純米無ろ過生原酒・飛露喜」をKさんに送った。Kさんからの返事は「100本もらおうか」。3日後、「またもらおうか」。相次ぐ注文にラベルを印刷に回す余裕はなく、
母親の浩江さんが一枚一枚、「飛露喜」と筆で手書きした。毎日書き続け、母親はけんしょう炎になった。
そうか、蔵元自身が嘘の発信源か。

3月22日 先日聞いた話である。酒類販売管理士(正式名はこうだったかな?)を取るための講義を受けた人がいうには、
日本酒の賞味期限は6ヶ月でそれを過ぎたらショウケースからよけなさいといわれたという。酒販店のみならず、今はいろんな業者が、例えばカメラ屋とか、が酒販免許を取ればお酒を売れる時代である。しかし、一体誰が日本酒に賞味期限があるといっているのだろう。ならば、熟成酒はありえないことになる。確かに賞味期限をラベルに書いているメーカーも存在はするが、半年で飲めなくなるような腰の無い酒を造っていると自ら言っているようなものと違うのかね。お燗による温度もそうだが、熟成も日本酒を美味しくするための手段として一般ユーザーに浸透してきているはずだが、お役人様にあらせられては、そういうお酒を飲んだことがないのかね。タップリ税金を払ってくれている大手メーカーのお酒を飲んでいるのかな。

5月28日 「全国新酒鑑評会」公開利き酒会に参加してきた。532の入賞酒と落選した20ほどのお酒を利き酒してきたが、今年は飲んで旨いというか味わいのあるものが金という傾向にあったようだ。その中で特に良かったのは秋田県、次いで山形。今まで秋田はつまらない形での金太郎飴みたいに同じような酒質で出してきていて、批判ばかりしてきたように思うが、今年は秋田の出品酒すべてというわけではないがグーである。
 帰って、記者会見の内容を聞いたのだが、その中で出品酒を純米で出して来ている蔵があるのだが、その蔵の公表をしないのだという。全体の5〜6%が純米というから大体50〜60社が純米大吟醸を出しているらしいのだがそのうち金賞が1割、5、6社だそうだ。何故、純米酒出品の蔵を公表しないのだろう。数が少ないからだというらしいが、ならば米の違いで1部、2部に分けて、それぞれ公表しているのは何故だ。1部などは10%にも満たない数字ではではないか。出品する際にアル添か純米の記載事項があるのならどうして純米蔵を隠す必要があるのだ。公表することで、これからも純米で出す蔵が増えこそすれ減ることは無いだろう。純米出品が増えちゃまずいとでもいうのかね。まさか、どこかのアホ作家のようにアルコール添加しなければ吟醸酒とはいえない、純米吟醸酒は格下の酒だ、などと思っているんじゃないだろうね。
6月4日 いろんな話が流れてくる。上記の「何故、純米酒で出品している蔵を公表しないのか」という件だが、出品する際の書類に「純米」か「アル添」かを書く欄があるからすぐにわかるので公表することも簡単なのであるがそれをやらない。一般的に考えれば不思議な話である。
 出品酒を出す場合、その審査する日程を考えてそのあたりにお酒のピークが行くように搾る時期なども考慮されると言うことだが、そういった細かいことを考えても、送ったお酒が審査されるまである期間が過ぎる。その間、出品酒は冷蔵庫で低温管理されているわけではない。当然温かい日もあるだろう。なるべく温度差のない部屋に置いてあるとしても、日々の温度差によるその影響は少なくないだろう。昔は「
新酒鑑評会」ということで出品酒は「生」で出していた。それが、品質の変化で入賞できなくなることが出てきたため火入れしたお酒を出す蔵が出始め、現在では殆どの蔵が火入れで出しているようだ。以前は、一般公開で利き酒すると生出品の酒の中にはひどい酒、腐卵臭のする酒になっていたりもしたことがあったが。現在では変質を防ぐために(香りを出す、すっきりとした飲み口にするといった理由もあるが)アル添酒出品が当たり前になっている。(“純米酒”しかなかった戦前は出品酒に関しても純米だったのだろうか?あとで調べてみよう)今回利き酒した中ではっきりと変質してしまったものがあった。蔵元の話では100%純米で出したのだそうだ。純米で出すことはそれだけ変質の危険が大きいということである。ならば、純米だけ冷蔵管理にすればと思うが、そんな不公平なことを元お役人がするわけがない。それならば出品酒すべてを冷蔵管理すればいいのだが、そんな設備はないという。じゃあ作れよ、といいたくなる。出品料や一般公開参加料を上げればいいだけの話さ。といっても絶対にやらないね。本音は「純米でなんか出すなよ、入賞したければ、金が欲しければアル添だよ」であるから。今年金賞を獲ったと思われる数点の「純米酒」はたして100%純米であったのだろうか???

8月3日 業界紙に某有名メーカー社長が記事を寄せているのだが(8月1日号)その中に以下のアルコール添加容認の記述がある「・・・
次にアルコール添加の問題だが、江戸時代から柱焼酎の技術があったこと、消費者に評判のよい大吟醸にも使われていること、シェリーやポートなど外国にも蒸留酒を利用した人気のある醸造酒があることなどから、純米酒に限ることはない。・・・」
 「柱焼酎」に関してはこの欄(2000年2月16日)で書いているのでそちらを見ていただけば分かると思うが、次の、消費者に評判のいい大吟醸・・・?それをいうなら「消費者に一番売れてる普通酒」を例に出しなよ(侮)。一番売れている日本酒だからそれに倣って日本酒にはすべてアルコール・糖類・酸味料を入れましょうといいなよ。外国に蒸留酒を利用した醸造酒だって?シェリーやポートワインはアルコール添加した時からもう醸造酒であるわけがないだろう。それを醸造酒と言い切るのだからアル添日本酒を醸造酒として輸出したいのかね。
何回もいうようだが日本酒が醸造酒でないのなら何を入れようがそんなことは構ったことではない。好き勝手に売ればいいことなのだ。それこそ「純米酒に限ることはない」だ。しかし、どの本を見ても「日本酒は醸造酒」と書かれてあるぜ。さっさと業界は日本酒はリキュールだといいなよ。申し訳程度に本来の醸造酒である「純米酒」がありますといいなよ。こんなこといっているうちは日本酒お手上げ状態が続くね。
「おばかーさんね、アルコール無しじゃ生きて〜行け〜ない〜、ラーブAL、ラーブAL、なみだ〜の日本酒〜」てか。
9月25日 2003・12・3の項で日本酒造組合中央会のHPの中の検索用語「三増酒」の説明で以前「すなわち増
酒のこと」と書いてあったのをようやく直して「増酒」になったねと書いたが、今日久し振りにこのHPをのぞいてみたらまた元の「増酒」に戻っている。この欄(2003・11・4)で笑ったらその後直してあったのにまたわざわざ「増蒸酒」に戻したってことは、俺の方が間違っているのかね(*^_^*) 「三増酒」は「三倍増醸酒」の略だからどうみたって「増醸酒」だよなー。以前も書いたがこのHPを担当している人がどうしても「増蒸酒」と「蒸」の字を使うことで、こんな酒は醸造酒ではなく蒸留酒だと主張したくてあえてそうしたのかなー。
相変わらず、
一番売れている「普通酒」の説明は無いけどね。

10月14日 今日のお昼のTV「みのもんたのお昼は思い切りテレビ」の中でガンへの免疫力を高めるものとして米麹があげられ、それを利用したものとして
米味噌・日本酒・酒粕紹介されていた。この番組などでと取り上げられたワインや焼酎が売り上げを伸ばしたことはご承知の通りである。大々的ではないにしろやっと日本酒が取り上げられたことを業界関係者はどう利用するのだろう。ガンの予防にいいとされたのだよ。しっかり売上増加に利用しろよな。

11月26日 今週発売の「週刊文春」(12月1日号)をみていたらJTのPRコラム欄でちょっとびっくりの記事があった。翻訳家のIKさんが書いているのだが、トンでもな勘違いをしている。文章は、夕食時に必ずお酒を飲むということから始まっている。1日ごとにいろんなお酒を飲むらしい。その中でも日本酒が悪酔いするというのだ。おいおいと思いながら読み進むと、
日本酒には醸造酒と純米酒の2種があると仰る。純米酒がほぼ米だけから造られているのに対して、醸造酒にはたいてい醸造アルコールが添加されている、とこの方は続ける。醸造アルコールが悪酔いの原因のようだから今は純米酒に切り替え、不自然な酔いから開放された、といい業界は純米酒に全面移行することを真剣に考える時期に来ているのではないかと結ぶ。いつから醸造酒がアルコール添加酒になったんだ?醸造酒とは何も添加しないお酒、つまり純米酒こそが醸造酒だろ。醸造アルコールが入っているから醸造酒とはちょっと勘違いもひどいんじゃないか。最後の「純米酒移行説」には同感だが、もっと言葉の意味を正しく使っていただきたいね。エッセイストとも肩書きに書いているのだから、文章専門家だろ。お年は分からないけどこんな勘違いされたらアッパッパーだぜ。ところでこの方は、焼酎は乙類しか飲まないのだろうか?甲類も飲んでいるのならこちらも悪酔いするはずだよね。だって甲類焼酎は醸造アルコールそのものだぜ。しかし、担当の編集者も編集者だよなー、こんな初歩的な知識もないのかね。

 
2006・2月17日 酒税法が改正され日本酒の酒税が少しだけ少なくなるようだ。おまけにアルコールなどの副原料の添加量も今までより少ない形で制限されるという。簡単にいえば、今までの半分の量にしなさいということだ。それに伴って「三増酒」は清酒からはずされることになった。「三増酒」を混ぜた普通酒は期限付きでこれも清酒から排除されるようだ。少しは進歩したといえるのかもしれないが、問題なのはアルコールの添加量を半分にしたところで、本質は変らない。今までのリキュールという点で。それなのに、日本酒をワインと一緒に「醸造酒類」の中に入れてしまうというのはいかがなものか。「純米酒」のみを「醸造酒類」とするのなら何も問題はないが、すべての日本酒を「醸造酒類」にしてしまうとは・・・。これで「本醸造」も醸造酒だという馬鹿がきっと出てくるんだろうね。国税庁のお墨付きを貰ったって・・・。
日本酒の範疇から消される今までの三増酒を混ぜた普通酒も可哀想といえばいえるが、世界に勝負できる「普通酒」を造ったらどうかね。現在輸出に使われる日本酒の殆どは純米吟醸酒だろう。何故、日本で一番造られ売られている「普通酒」でないのか、今の「普通酒」じゃ世界に通用しないからだろ。そういった酒を日本の消費者に必死こいて売ってんだぜ。日本人もなめられたもんだね。「米だけの酒」の旨い普通酒を造って売ったらどうかね。当然今の普通酒より単価は高くなるだろうけど、純米吟醸よりは安いだろう。

3月1日 5月からの酒税法改正で副原料の添加量が白米総量の50%以下になるらしいと書いたが、これはまだもめているらしい。というのも、例えば1トン仕込みのお酒なら、副原料をアルコールのみにすれば500キロのアルコールをぶち込めるということだ。白米1トンから取れるアルコールの量は350リットルとされるから、500キロもぶち込めば三増酒とまではいかなくとも、二増程度のお酒になるわけだ。こんなものが醸造酒類の中に入るんだぜ。これはいかがなものかと国税庁の中でも異論が出て、25%くらいにしようというらしい。果たしてどうなりますやら。どうせならゼロにするのが本当というかまっとうな醸造酒の世界なのにね。

8月16日 暇なのでテレビ映画を観た。「二人で歩いた幾春秋」(昭和37年)という木下恵介監督、佐田啓二、高峰秀子主演のものだが、戦後復員してきた旦那が妻の疎開先の甲府で道路工夫として職を得、妻も役場の小遣いさんという設定での日常生活を描き、最後一人息子が苦労して京都大学を出るまでの昭和21年から37年までの物語だ。丁度小生の生まれた頃から高校生までの頃の話ということで昔を思い出しながら観ていたのだが、その中で主人公の先輩が脳溢血で倒れ、その後の主人公夫婦の会話が「あんたもあまり飲まないようにせなああなるよ」「焼酎は身体に悪いから、飲むならこれからは日本酒にしなさい」といったものだった。少なくとも40数年前の日本では焼酎は日本酒より身体に悪く、脳卒中にもなりやすいというのが常識だったのだ。その後も大学の先生などが焼酎を飲む方が日本酒を飲む人より肝臓疾患になりやすいなどという論文も発表されている。それなのに何故、何時の頃からか日本酒は身体に悪く焼酎の方が健康的だなどといわれるようになったのだろう。テレビの後押しがあったにしてもこう見事に逆転したターニングポイントはどの辺にあったのだろうか。
因みにこの映画の中で一人息子の恋人役として若き日の倍賞智恵子が出ている。

10月25日 業界新聞に、来年の「全国新酒鑑評会」に関しての酒類総合研究所の記者会見記事が載っていた。それによれば今までは東広島市の大きな体育館で開催されていた「公開利き酒会」は、日本酒造組合中央会と共催で池袋のサンシャインシティにおいて6月7日に開催されるのだそうだ。それはいいのだが、需要開発の一環として市販酒の出展も対象としているという。おまけに「普通酒」の出展は?という質問に「中央会と協議する」と応えたという。過去の鑑評会の歴史の中で「市販酒」の出展は議論されてきてはいるが、出品酒の管理環境を一定にするという困難な問題があるため実現できなかった経緯がある。今回のまたぞろ出て来たこの手の提案は、その問題をクリア出来る妙案でもあるというのだろうか。しかし、「普通酒」の出展はないだろう。確かに「日本酒」といわれている中で一番多く作られているお酒の普通酒だが、中央会のホームページに説明さえされていない「普通酒」を鑑評会の対象に本気でしようと思っているのかね。そんな質問には即その場で却下する位の見識はないのかね。中央会の意見は大手メーカーの意見であるから、市販酒=普通酒を出展したいというのは分かるけど、吟醸品質を競い合ってきた鑑評会、未来品質を作り出してきた鑑評会という歴史をどう思っているのだろう。そういえば鑑評会が始まってしばらくの頃、なかなか優等賞を獲れない大手メーカーが「我々は市販酒で勝負してきているのに、地方の小メーカーは少生産の吟醸品質酒を出品しているのはおかしい」とボイコット寸前までいったことを思い出す。因みに6月7日は平日で開催時間が14時から19時なのだそうだ。数年前、中央会のお偉いさんが「うちはサラリーマンに情報を流す気はありません」といったことがあったが、この開催時間を見てもその流れは消えていないんだね。開催会場は天井も低くひどい場所だよとは、某氏の言葉だが果たして来年の新酒鑑評会公開利き酒会はどうなるのやら。

2007:5月3日 先日の「酒々日記」で、熊本の居酒屋で飲んだ時、お酒のメニューの中の酒名「志太泉」が「志田泉」になっていて、注意したら地元の酒販店が作ったものだといっていた、と書いたが、昨日静岡の某酒販店のHPを見たらこちらでも「志田泉」となっている。一瞬、蔵元のある地元静岡の酒屋が書いているのだから、地元バージョンとして「志田泉」という銘柄もあるのかと思ったが、掲載されている写真が「志太泉」と書かれた一升瓶だったので、やっぱり書き間違えなのだ。この店の扱い商品かどうかは定かではないが、自分が商売をしている県のお酒の名前くらい間違えないで欲しい。熊本の件もそうだが、酒販店というお酒のプロがこんな間違いをしているようじゃ蔵元が可哀想だね。

7月16日 猫も杓子も「カップ、カップ」といっていた一頃から比べれば、カップ酒の話題が減ってきたように思うのだが世間のカップ酒需要はどうなっているのだろう。透明カップから来る光による変化、そして蓋の密閉性の悪さから、中のお酒の変質がひどく、特に吟醸酒などの上級酒の味の変化が大きく、消費者に対しては決して優れものの容器とは言えないものだったが
先日「カートカン」という凸版印刷が売り出している容器をみて、これを日本酒容器として利用できないものかと思った。「カートカン」とは缶の形をした紙の飲料容器で、容器の内部に透明ハイバリアフィルム「GLフィルム」を使用することで、美味しさを損なわず、内容物の劣化を長期間抑えることが出来るという。電子レンジでの加熱もOKなのでそのままお燗付けも可能という訳だ。リサイクルもOKだ。容器への印刷もガラス瓶よりズッと楽だろう。運搬上も瓶よりは軽くなるし運送時の破損もなくなるからいいことずくめなのだが、ネックはメーカーがこの充填機を新規に購入しようとすれば結構お高いということだ。消費者からすれば蔵から出たままの味を安心して飲めるし保存も楽だろうこの容器を一般的に日本酒の容器として使用するということになれば、凸版印刷の充填工場に酒造免許を取ってもらいこちらで充填してもらうということも可能なのではないか。・・・と素人考えだが、どこかの酒造メーカーさんでやってみてはどうだろう。

2008
 1月4日
たまたま調べることがあって「越乃寒梅」先々代社長・石本省吾氏を検索していた所、「越乃寒梅」の説明をするのにいろんな所のHPで「石本酒造は先々代石本省吾氏が昭和17年国策で3倍醸造酒が全盛の頃にも、儲けに走らず 本物志向の酒造りを行い、他の酒が糖類とアルコール添加で甘く、べっとりとした酒が 多い中で旨味のあるすっきりとした辛口の酒造りをしていました。 ...」という文章が出てくる。この出典は一体どこなんだろう。三倍醸造酒が国策として取り入れられたのは戦後の昭和24年だぜ。三増酒が開発された満州では確かに昭和17年という年代だが、日本の国内では昭和17年はまだアルコール添加が認められただけだぜ。しかも昭和24年には「越乃寒梅」も初めだけこの三倍増醸酒の試醸に加わっているんだよ。
そういえば、この検索の途中で栃木の酒屋さんのHPの「愛乃澤」の項の中で「
夏子の酒」の作者である高瀬 斉(あきら)さんも絶賛の・・・・とあったけどおりゃ「夏子の酒」の作者でもないし、「あきら」でもないよ。斉は「ひとし」と読んでくれ。確かにこの「愛乃澤」を以前誉めたことはあるし、昨年秋の鑑評会で県知事賞を取った純米酒はとても素晴らしかったよ。どうせHPで書くのならきちんと調べて書いてくれよな。

1月27日今日の読売新聞の朝刊にお燗酒の楽しみ方みたいな記事が載っていた。日本酒スタイリストとか肩書きのついたK氏(昔はワインの世界にいたよね)の話が載っているのだが、その中で「生酒以外はお燗が出来ます」だって。おいおい生酒はお燗して駄目なのかね。うちの勉強会じゃ生酒、勿論活性生酒だってお燗して美味しく頂いてますよ。
 第一、市販されているお酒は大概生酒を2度火入れという超熱燗して冷ましたものだろ。いってみれば超熱燗の燗冷ましじゃないのかね。何で生酒は燗付けしていけないんだろう。

4月29日 昨今、日本酒の海外輸出が盛んで、色々な蔵元が海外参りに忙しそうだ。業界新聞を見ても海外で日本酒知識の啓蒙に力を入れるといった記事が目に付く。輸出結構、外人に日本酒の知識を広めるのも結構、どんどんやってほしい。ただ、海外だけでなくもっと日本人にも知識の啓蒙やってよ、といいたいね。皆さんが普段飲んでいる日本酒は「普通酒」といって、アルコール、ブドウ糖、酸味料などが混ぜ合わさったものですよ、とかどんどん教えてやってよ。外人さんには純米吟醸酒という美味しいお酒飲んでもらってますとか
・・・(~_~)。冗談は別として、ほんと、国内で売るほうも飲むほうも日本酒の知識なんて殆ど持ち合わせのない人ばかり、業界側が「普通酒」を売らんがためにあえて教えずに来たのではないのかと思うくらいだね。確かに、一生懸命いいお酒を広めて、消費者啓蒙に励んでいる蔵もあるけど、一握りの力じゃ中々動かないね。「普通酒」飲んでる層は大体60歳以上の人が多いのではないのかね。彼らだって後何十年も飲み続けるわけじゃないだろう。せめて、残りの飲み人生くらい、飲み量だって減っていくのだから、もっと美味しいお酒がありますよ、そちらを飲んだらいかがですか、と教えたらどうかね。戦後からの「普通酒」しか知らないで死んでいくのは可哀想でないかい。
 いいお酒と飲み比べても「普通酒」の方がいいというのならそれまでだけどね。

7月26日
 焼酎は連続式蒸留焼酎(焼酎甲類)と単式蒸留焼酎(焼酎乙類)に分けられているが、最近はこの両方を混ぜた混和焼酎というものが店頭に並べられている。それはいいのだが、容器を見ると「芋焼酎」とか「麦焼酎」などと書かれてある。消費者はそれらを見て「芋焼酎」「麦焼酎」と思って買うわな、当然。安いし。ラベルの横に小さな文字で「甲類乙類混和焼酎」と書かれたものなんか目に入らんさ。入ったとしても、その意味するところなんか考えんだろう。例えば甲類焼酎95%、乙類焼酎5%の混和率、つまり芋なら芋焼酎(乙類)がたったの5%しか入っていなくとも「芋焼酎」と容器に書いてもいいってことなんだよね。横に「甲乙混和焼酎」と書いておけば。これって今流行の偽装じゃないのかね。当然芋や麦100%焼酎より、値段は安いから消費者はこっちに手を出すよね。100%乙類業者はたまらんだろうね。
甲類のエチルアルコールは海外で生産した粗留アルコールを輸入して国内で再留したものだが、これは外国産表示しなくてもいいというか、国産アルコールとして出回っている。これに反して乙類焼酎は海外で生産したものを国内で再留したとしても、国産とは言えず海外表示が必要なのだという。これもおかしな話だよなー。


2010・4・17 小生の会も含め、最近はお燗を楽しむ流れが大きくなっている。以前は生酒や吟醸酒などは冷やで飲め、お燗などもっての他という輩が結構威張っていたのだが、そういった連中は日本酒はどんなお酒でもどんな温度でも飲んで楽しめるのだということを知らない可哀想な人たちと、我々の周りの仲間たちは活性濁りだってお燗にして楽しんできた。「ミニかんすけ」のようなお燗器も飲み屋などで普及して来て楽しい限りだ。
 先日ある利き酒会に行って来た。近年こうした会でもお燗酒の楽しさをアピールし始めていることは大いに結構だし、参加している方々も喜んでいるのだが、どうもお燗をする温度帯が40℃以下のぬる燗程度というのが大方の酒蔵ブースでのやり方のようだ。お酒によって、50℃を超える熱燗の方が美味しくなるケースも多々あるし、45℃前後が美味しく感じられるものもある。もっと蔵元も
自分のお酒を一番美味しく飲める温度帯というものを見つける努力をした方がいいんじゃないのかなー。せっかく燗の楽しさをアピールするのならせめて30℃台、40℃台、それ以上といった3段階くらいの味を試させてもらえる努力を見せてほしいなー。
 お酒の利き酒会などでそこまで手は掛けていられないよ、とおっしゃるかもしれないが、そうした努力がされてこなかったことが日本酒を低迷させてきた原因の一つでもあるんだよ。今、心あるメーカーは造りという現場での品質管理に力を入れて来ているし、また出来た製品の貯蔵、出荷、発送といったところまで品質管理への目配りがしっかりとなされ始めて来ている。いいお酒をいい形で消費者へ、という意気込みがひしひしと感じられる蔵も多くなってきているのは確かだ。しかし、低迷を続ける日本酒を元気付けるには、そこから先の努力がもっともっと必要なのだと思うよ。美味しいお酒を造ることは一番大切なことだけど、それ以上に消費者に対するサービス精神が欠けていたら商売人としてやはりどこか半端もんといわれても仕方がないんじゃないのかな。お燗の話は一例だけど売り手だけに任せるのではなく造り手がもう少し動かなくてはね。


2011・10・12 「ステーキハウスでワインより日本酒が売れているお店があるぞ」
 先日京都でご一緒した東京、浅草橋近くのベルモントホテルの総料理長、Mさんの話です。ホテルの1階にあるステーキハウス「柳鳳」で今はワインより日本酒の方が喜ばれているという。今まではステーキを頼む人はビールとワインが定番だったお店なのだが、最近日本酒を置き始めたのだそうだ。純吟クラスの生原酒などがメインだが、最初日本酒を勧めると「えっ、何でステーキに日本酒なの?」と訝しがられるものの、試しに飲んで頂くと「美味しい」ということで皆さん
ワインより日本酒の瓶を空けるようになったのだそうだ。以前から言ってきたことだが、美味しい日本酒は洋の東西を問わずどの料理にも合うお酒なのだ。ステーキにワインといった杓子定規的な頭でワンパターン化するより、食中酒の幅を広めた方が楽しい食事タイムとなること請け合いだ。「柳鳳」のように“いい、美味しい日本酒」を仕入れるルートを持っているからこそ出来ることではあるのだが、日本酒業界もこうした例を参考にもっと商圏を広げる努力をしないといけないのじゃないのかな。

11・9日
先日、某利き酒会で全員が低評価の点数だった特別純米酒があった。ブラインドでの利き酒だったので始めは何の銘柄かは分からないのだが、利き酒が終わりその銘柄を教えてもらった。大手メーカーSのものだった。それはそれで別に驚くこともないし、やはりねといった点数結果だったのだが、瓶に書かれた数字を見て?と皆さん首をかしげた。精米歩合が65%だったからだ。「特別純米酒」を名乗る場合、精米歩合60%以下ではなかったかという疑問がわいてきた。
 この蔵のHP上でこう書かれていた。
<酒米に最も適したお米・山田錦のみを使用しています。(この要因が特別純米酒である「特別な製造方法」として定義されています>と。
 国税庁の特別純米酒の項に「精米歩合60%以下又は特別な製造方法(説明表示要) 香味、色沢が特に良好 麹歩合15%以上」とある。
「山田錦」使用が“特別な製造方法”に当たるということが腑に落ちない人は多いだろう。
 もう少し調べてみると、“特別”を名乗る条件として、
精米歩合60%以下の場合と醸造用玄米の使用割合が50%超である場合、とある。何か江川の“空白の1日”を見たような気がした。
 この蔵のHPでのこのお酒の説明にはアルコール度14・5、コクのあるタイプ(醇酒)とあった。これだけ加水して、どこにコクがあるというのだろう。純米酒としての面白さはどこにも見つけられない。ましてや特別純米酒を名乗るだけの良さはない。利き酒した10人全員が低い点数を入れたことからでも推し量られる。
 以前は「米だけの酒」は酒税法上、純米酒を名乗れない安い“純米酒”にしか付けなかったけどね。


2012・3月4日
 先日伺った酒蔵で不思議な光景を目にした。外の太陽光がさんさんと当たる一角に透明瓶に入れられた4合瓶が10数本並べられているのだ。中にはちゃんとお酒が入っている。聞いてみると、某団体からの要望で、劣化酒、いわゆる日向臭の付いたお酒の見本を作っているのだとか。そんなもん自分で酒買って作れよ。酒蔵でなければ出来ないものなら仕方がないけど、ただ太陽に晒しておくだけの事だろが、自分たちの勉強会に使うのだろうが何でそんなことまで蔵元の手を煩わせるのか情けなさすぎる。どうせ酒代はおろか手間賃なんか払う気はないのだろう。勉強会、高い金取ってんだろ。

10月31日
 先日耳にした話だが、日本酒造組合中央会が原料米表示に関してお達しを出したそうだ。その中身というのが、例えば
山田錦で醸したお酒なら「山田錦使用」だけではなくきちんとその使用割合を書きましょうというものだ。「山田錦100%使用」とか「山田錦60%」とかだ。
 普通お酒のラベルを見ると%数字は(アルコール度数と)精米歩合くらいだろう。「精米歩合50%」とかだ。「原料米・山田錦」とか「原料米・美郷錦」とあれば誰だってそのお酒を作るために使用したお米は100%「山田錦」であり「美郷錦」だと思うよね。中央会といえば殆んど大手さんの意向と思っていいのだが、大手さんは「山田錦使用」と書いた場合100%使用ではないということなんだね。
 もっとも、酒税法では、「原料米の品種名」で
“表示しようとする原料米の使用割合が50%を超えている場合に、使用割合と併せて、例えば、山田錦100%と表示できます”とあるから、使用割合が51%の場合でも「山田錦使用」と書いてもいいわけだ。その場合使用割合も書かなければならないのだから、敢えて今回中央会が使用割合を書きましょうと通達を出したということは「100%使用でないのに使用割合を書かないでいる蔵がある」と言うことを自ら認めたようなものだね。表示に関して酒税法違反をしている蔵があるということなんだね。ふ〜ん。真面目な蔵のお酒しか飲まないからどうでもいいけどね。とは言え我々一般消費者は100%使用かどうかなんてわからんもんなー。

2013・7月31日
 (株)フルネット 中野社長が提起した“特定名称酒疑惑”なるものがあるのだが、国税庁はこれをほっかむりした。
 何社かの特定名称酒に酒税法上決められている“精米歩合”の記入が省かれているという問題だ。正確に言うと、ラベルには“特定名称酒”(本醸造、純米、吟醸など)の文字が一切書かれていない商品があるのだが、その会社のHPには純米だ、大吟だと書かれていたり、酒販店のHPでも特定名称酒としての記述をして売っているというものだ。消費者がそのお酒を買ってラベルを見ても何も特定名称酒をうかがわせる記述は無いのだから酒税法上はこのお酒は「普通酒」ということになる。「久保田」「村佑」といった銘柄がこれに当たるのだが、前者の場合は「百寿」「千寿」「万寿」などとは書いてあるもののお酒の種類を特定するものは書かれていない。後者もしかり、ただラベルの色違いと「D」「J」などとアルファベット一文字が小さく書かれているのみ「D」は大吟、「J」は純米ということらしい。メーカー側からすれば「中身はちゃんと純米なら純米、吟醸なら吟醸だから問題ない」という。しかしそれを証明するものはないでしょう?ということだ。週刊朝日で取り上げられていたが、その中で弁護士曰く「景品表示法では中身が違わなければ問題ない」といっているが、この問題は景品表示法ではなく“酒税法”での問題である。いくらメーカーが中身は違っていないといってもそれを証明する手段がないのだからね。確かに精米歩合を書いてあるからと言ってそれで中身が特定名称酒なのかは消費者には調べようがないが、それでも最低限の目安にはなる。それさえ自分勝手な都合を言って記入しないというのは消費者を馬鹿にしている行為だぞ。
 国税庁は「個々の問題に関しては対処しません」といっているようだが、過去の問題視された「常きげん」「浪花正宗」などの件は「個々」じゃないのかね。


11月15日
 酒々日記でも書いたが灘の老舗「富久娘」が偽装をやらかし社長が弁明これ勤めていたが、最近のホテルなどの食材偽装や先般の「常きげん」「浪花正宗」と続いて懲りない面々がまた一つ増えた。特定名称酒に使用してはいけない安米を使っていたり、純米酒にアルコールを添加していたりというどうしようもないインチキなのだが、その言い訳として社長は「醸造アルコールを混ぜたのは“日本酒として理想的な度数に調整するため”と話した。
 理想的な度数というのはそれぞれの感じるところだろうが、この蔵のHPを覗いて見ると「純米酒」のアルコール度数が14〜15度と記載されている。この蔵の純米酒の理想の度数がこの数字なのだろうが、6,7年前から偽装をやっているというのだからこの純米酒もアル添した結果の14〜15度だろう。ということは醪を搾った時は何度だったのだろう。余程加水して増量した結果、薄っぺらになり過ぎてアルコールを足したということなのだろうとは直ぐに推測が成り立つ。麹を造る時に安い米を混ぜたとも言っていたが、そんな混ぜ米で麹を造ったっていい麹が出来るはずもないではないか。戦前戦後近くの米の無い時であるまいし。旨い酒を造って消費者に喜んでもらおうという意識が一切ないんだねこの蔵は。インチキしてもいいから安く沢山出来ればいいという社是の下で造っているとしか思えないね。他の蔵からもこういった話が続出しないことを願うばかりだ。


2014・1月24日
 「酒々日記」にも書いたが、昨年来日本酒業界でも偽装問題が取り沙汰されたが、日本酒を“醸造酒”と言っていることこそ偽装じゃないのかね。およそ7割の日本酒がアルコールやブドウ糖などの副原料を添加されているんだぜ。何でこれが“醸造酒”なのよ。こういたことの方をもっと問題視しなくちゃいけないんじゃないのかね。30年間言い続けて来たけど業界は蛙の面にションベンだ。

8月16日
 ◆インターネット上の質問箱の中に「清酒の最初は?」という質問に答えての解答に下記の様なものがあった。
  <清酒・日本酒の定義が難しいところですが,大雑把に定義すると,西暦150年頃にはあったでしょう。 山廃仕込み・段掛けがそれです。
  三国志の曹操さんが,彼の支配する土地で発明した酒の醸造法「九?春酒法」で造ったお酒を後漢の献帝にさし上げた上奏文が現存しています。「九?春酒法」は「段掛け方式」の元です。
 山廃仕込み(段掛け)と「九?春酒法」をお調べになることを お勧めします。きっとよりおいしく飲めるでしょう。>
 誰が答ているのか知らないがよくもこんなブッタマゲた回答を書けるもんだと感心してしまった。
「山廃仕込み=段掛け」というのもすごいが、これが西暦150年頃にあったというんだからぶっ飛ぶよなー。「山廃仕込みは」明治42年に嘉儀金一郎氏らによって開発されたのだよ。


12月3日

 (株)フルネット発行の「Jizake topics」にもあったが、大手酒蔵「澤の鶴」社長が先月外国人記者クラブで講演し「海外の国酒と言われるお酒のそれぞれのシェアがフランスのワインで54%、イタリアのワインが60・4%、ドイツのビールが80・4%、それに比べて我が国における日本酒のシェアは8・8%と低いのは謎だ、何でこんなに低いのか。真の要因は役所の政策的な問題だ」と述べ、「@税収の道具とされて来たA級別制度の廃止B小売酒販免許の自由化」をその理由として挙げている。なにをおっしゃるお馬鹿さんではないか。真の要因は大手メーカーが戦後の“日本酒風アルコール飲料”である“三増酒”を憶面も無く売り続けてきた結果ではないか。今だ日本酒と言われているものの6割以上を占める“普通酒”(経済酒)の不味さが日本酒のシェアを下げているということに気付かないふりをし、役所の政策に責任転化するとは、情けなさ過ぎる。こんな頭のトップしかいないのでは日本酒の将来は無い。


2015・5月16日
 昨日の夕方、テレ朝のニュース番組の日本酒のことを取り上げていた中で男性のコメンテイターが以前は日本酒を飲めなかったが、ある時搾り立てのお酒を飲ませてもらい日本酒の美味しさを知った、日本酒は搾り立てが一番美味しくその後、味が落ちて行く、日本酒が美味しくないという先入観で見ないでほしいというようなことを話していたが、搾り立てが一番美味しくあとは味が落ちるって…、秋上りという言葉も知らずに日本酒を語って欲しくないね。先入観で話しているのはあんただよ。

2016・4月12日
 酒税法で決められた量以下の醸造アルコール(醸造アルコールは間違い)を添加したお酒が「本醸造酒」だが酒粕から採った米アルコール(粕取り焼酎)を添加したものは特定名称酒を名乗れないらしい。“醸造アルコール”の定義は「でんぷん質物又は含糖質物を原料として発酵させて蒸留したアルコールをいうものとする」とあるが“酒粕”は「でんぷん質」「含糖質物」でないのかね。一般的にはサトウキビからの廃糖蜜が原料と言われる「醸造アルコール」だが現在は廃糖蜜以外の訳の分からないものを原料とした粗留アルコールを輸入して作るアルコールが大半だろう。焼酎が醸造アルコールに入らないというのなら、醸造アルコールってそもそも昔の甲類焼酎とどう違うのかね。甲類はOKで乙類は駄目ということなの? 訳の分からない原料より、素姓のしっかりとした米焼酎の方が米由来のお酒添加に相応しいと思うけどね。
 アル添論者は江戸時代の「柱焼酎」をその根拠に出して来るが、それなら「本醸造酒」も米焼酎添加にしなければおかしいよね。米原料のアルコールだからそれを添加しても“醸造酒、純米酒”だなんて言い出す蔵なんかないだろう。
 米由来のアルコール添加で「本醸造」を名乗れなく「越乃寒梅」では「特醸」、「福小町」では「オリジナリー福小町」として「普通酒」として出さざるをえなようだ。まっ美味しければそれでいいんだけれど何のための「特定名称酒」なのかね。


11月29日
 醸造酒である日本酒とワインの税率を変え(ワインの税をを上げ日本酒の税を減らす)、同率にするらしい。同じ醸造酒なのに何故二者に差があるという批判があったからこれに関しては日本酒業者は賛成だろう。
 酒税法を変えるのなら「普通酒」のあり方もそろそろ考えるべきではないのかね。小生が長年主張して来たことだが日本酒を醸造酒タイプとリキュールタイプの2者に分けるということだ。ビールがビールと発泡酒に分けられている様に。「普通酒」をリキュールにすることで「清酒」という縛りが取れ色々なタイプの普通酒が可能になり今の普通酒より売れると思うのだが。
 ワインも国産の原料のみで醸されたものは「日本ワイン」を名乗れるようだが、現在国産ワインを名乗るワインの中でこれを名乗れる国内で収穫されたブドウのみを使用した果実酒は18・4%らしい。それ以外の国産ワインは外国製の果汁を使用しているのだという。日本酒を名乗るのも国産の原料だけでと決めたのだから外国産の醸造アルコールを添加したものはどうなの?などということはさておき、せめて「普通酒」をリキュールとするくらいの改正を断行してほしいね。そのシェアを毎年落としている「普通酒」のためにも…ね。

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