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付録:現代語訳「養老令」全三十編:

第二十六 喪葬令 全17条

(最終更新日:00.03.26

 − 目次 −




 

○01 先皇陵条


先皇の陵は、陵戸を置いて守らせること。陵戸でなくして守らせたならば、10年に1度交替すること。墓域の内側は、埋め葬ったり、耕したり牧畜したり伐採・採取してはならない。


 

○02 服錫紵条


天皇は(一般人のように服喪をしないので)、本服(=本来なら喪に服すべき)2等以上の親の喪のためには、錫紵〔しゃくじょ〕(=薄墨色の麻の細布衣)を(3日)着用される。3等以下(の親)及び諸臣の喪のためには、帛衣〔びゃくえ〕(白い練絹衣)を除き、雑多な色を用いられる。


 

○03 京官三位条


京官の三位以上が、祖父母・父母、及び、妻の喪に遭った場合、四位が父母の喪に遭った場合、五位以上が亡くなった場合、いずれも奏聞すること。使(=弔使)を派遣して弔わせること。{殯斂〔ひんれん〕(=死者に用いる棺・衣等の支給)の事は、いずれも別式に従うこと。}


 

○04 百官在職条


百官が、在職中に亡くなったならば、当司は分番して喪(葬儀)に会〔え〕すること。親王、及び、太政大臣・散一位は、治部省の大輔が葬儀のことを執り仕切ること。左右の大臣及び散二位は、治部省の少輔が執り仕切ること。三位は治部省の丞が執り仕切ること。三位以上、及び、皇親は、みな土部〔はじべ〕(=諸陵司に所属)が礼制〔らいせい〕(=凶礼。喪事の儀礼)を示すこと。{内親王・女王、及び、内命婦もまたこれに準じること。}


 

○05 職事官条


職事官が亡くなったならば、賻物〔ふもち/ふもつ〕(=死者に贈る品物)は、正従一位に、【糸《いとへん》+施の旁】〔きぬ〕(あしぎぬ)30疋、布120端、鉄10連。正従二位に、【糸《いとへん》+施の旁】〔きぬ〕25疋、布100端、鉄8連。正従三位に、【糸《いとへん》+施の旁】〔きぬ〕22疋、布88端、鉄6連。正四位に、【糸《いとへん》+施の旁】〔きぬ〕16疋、布64端、鉄3連。従四位に、【糸《いとへん》+施の旁】〔きぬ〕14疋、布56端、鉄3連。正五位に、【糸《いとへん》+施の旁】〔きぬ〕11疋、布44端、鉄2連。従五位に、【糸《いとへん》+施の旁】〔きぬ〕10疋、布40端、鉄2連。六位に、【糸《いとへん》+施の旁】〔きぬ〕4疋、布16端。七位に、【糸《いとへん》+施の旁】〔きぬ〕3疋、布12端。八位に、【糸《いとへん》+施の旁】〔きぬ〕2疋、布8端。初位に、【糸《いとへん》+施の旁】〔きぬ〕1疋、布4端。みな(官職の高下など立場に関わりなく)本位によって給付すること。散位の、三位以上には、3分の2を給付すること。5位以上には半分を給付すること。太政大臣に【糸《いとへん》+施の旁】〔きぬ〕50疋、布200端、鉄15連。親王及び左右の大臣は一位に準じること。大納言は二位に準じること。(誰かが)もし戦場で死んだならば、みな(この)職事の例に依ること。別勅で賜う物はこの令には拘わらない。無位の皇親は従五位に準じて、3分の2を給付すること。{女もまたこれに準じること。}(割り算の)端数は切り上げて給付すること。


 

○06 賻物条


賻物は、(1人に対し)2つの給付基準がある場合、多い方に従って給付すること。


 

○07 官人従征条


官人が、征討・駕行、及び、使の旅先で死没したならば、みな(賻物の他に)殯斂〔ひんれん〕(=死者に用いる棺・衣等)の調度を給付すること。


 

○08 親王一品条


親王一品には、方相〔ほうそう〕(=方相氏。中国の古神に扮して疫を逐う人(ここではその装具))・【車需】車〔にしゃ/きくるま〕(=喪葬車。車に載せた喪屋)を各1具、鼓〔く〕(=つづみ・たいこ)100面、大角〔だいかく/はらのふえ〕(=大きい角笛)50口〔く〕、小角〔しょうかく/くだのふえ〕(=小さい笛)100口、幡〔ばん〕(=流れ旗)400竿〔かん〕、金鉦〔こんしょう〕(=かね)・鐃鼓〔にょうく/ふりつづみ〕(=不詳だが、小さな鐃〔どら〕の一種)を各2面、楯7枚、発喪〔ほちあい〕(=挙哀〔こあい〕と同じ。棺の側で死者に哀悼の意を捧げるため哭声を放つ礼)を(埋葬の日を含めて)3日。二品には、鼓80面、大角40口、小角80口、幡350竿。三品、四品には、鼓60面、大角30口、小角60口、幡300竿。【車需】車、鐃鼓、楯、鉦、及び、発喪の日は、いずれも一品に準じること。諸臣の一位、及び、左右の大臣は、みな二品に準じること。二位、及び、大納言は、三品に準じること。ただし、楯・車を除くこと。三位には、【車需】(=車のない喪屋)1具、鼓40面、大角20口、小角40口、幡200竿、金鉦・鐃鼓各1面、発喪1日。太政大臣には、方相・【車需】車を各1具、鼓140面、大角70口、小角140口、幡500竿、金鉦・鐃鼓各4面、楯9枚、発喪5日。その他(帷帳〔いちょう/ゆいちょう〕(=棺を蔽う白布の帳〔とばり〕)など)の装具、及び、遊部〔あそびべ〕(=死者の凶魂を鎮めるのを専門とする氏)については、いずれも別式に従えること。五位以上、及び、親王について、いずれも、【車需】具、及び、帷帳を借りたり、もしくは私的に準備したいと願ったなら許可すること。{女もまたこれに準じること。}


 

○09 皇都条


皇都及び道路の側近くには、いずれも死者を埋葬してはならない。


 

○10 三位以上条


三位以上、及び、別祖(=分立した氏の始祖)・氏宗〔ししゅう〕(=氏の長)については、いずれも墓を営むことができる。それ以外はしてはならない。墓を営むことができる場合でも、大蔵〔だいぞう〕(=火葬・散骨)したいと願ったならば許可すること。


 

○11 皇親及五位以上条


皇親、及び、五位以上が死亡したならば、いずれも臨時に、(必要人員を)量って送葬夫〔そうそうのぶ〕(=葬送・造墓のための人員としての公民の雑徭)を支給すること。


 

○12 立碑条


墓にはみな碑を立てること。具官(=帯びる官職全て)姓名の墓、と示すこと。


 

○13 身喪戸絶条


人が死亡して、戸が絶え親族もない場合は、所有していた家人〔けにん〕奴婢、及び、田宅・資材は、四隣五保(いうなれば隣り組)が共同で管理運営すること。財物は供養に使ってしまうこと。家人奴婢は解放して良人〔ろうにん〕とすること。もし死亡者の存命中に処分して、証人・証拠書類が明らかならば、この令は適用しない。


 

○14 親王条


親王、及び、三位以上が、暑月に亡くなったならば、氷を支給すること。


 

○15 薨奏条


百官(散官・女官・無位皇親等全てを含む)が死亡したならば、親王、及び、三位以上は、薨と称すこと。五位以上、及び、皇親は、卒と称すこと。六位以下、庶人に至るまでは、死と称すこと。


 

○16 喪葬条


(資力が足らず)喪葬で、(身分にふさわしい)葬礼を準備できないとき、貴い身分は賤しい身分と同じ程度にすることはできる。賤しい身分が貴い身分と同じにすることはできない。


 

○17 服紀条


服喪の期間は、君(天皇・太上天皇)・父母・及び、夫、本主(帳内・資人が仕えるあるじ)のために1年。祖父母・養父母に5ヶ月(1ヶ月30日と単純固定計算するので=150日)。曾祖父母・外祖父母・伯叔姑・妻・兄弟姉妹・夫の父母・嫡子に3ヶ月(90日)。高祖父母・舅姨・嫡母・継母・同居の継父・異父兄弟姉妹・衆子・嫡孫に1ヶ月(30日)。衆孫・従父兄弟姉妹。兄弟の子に7日。




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