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付録:現代語訳「養老令」全三十編:

第十七 軍防令 全76条中52〜76条

(最終更新日:00.04.02

 − 目次 −




 

○52 辺城門条


辺城門(辺境に設けている城門)は日の出後に開いて日没前に閉じること。もし事情があって夜開く場合には、警備体制を設けた上で開くこと。もし城主(城を担当する三関の国司)に公事(外交上の用事)があり、城を出て検行する場合には、ともに出てはならない。管鎰〔かんいつ〕(鍵)は、城主が自ら管理すること。鑰〔やく〕(鍵)を使って開閉する人は、慎重に重要な家柄(眷属など)の人を選抜して充てること。


 

○53 城隍条


城隍(城堀)が崩れ落ちたならば、兵士を動員して修理すること。もし兵士が少なければ、付近の人夫を動員するのを許可すること。閑月(農業が暇な月)に合わせて修理すること。崩れ落ちた部分が多すぎて急時の守固に欠ける場合には状況に応じてすぐに修理すること。仕事を終えたならばつぶさに記録して太政官に申告すること。動員する人夫は、みな10日以上働かせてはならない。


 

○54 置関条


関を置いて守固すべき場合は、いずれも置いて、兵士を配し、分番して勤務・非番すること。三関には、鼓吹・軍器を設置し、国司(いわゆる関司で、〔さかん〕以上)は分担して守固すること。配置する兵士の数は別式に依ること。


 

○55 防人向防条


防人が防(防御地)に向かうにあたって、もし家人奴婢、及び、牛を連れて行きたいと願うことがあれば、許可すること。


 

○56 齎私粮条


防人が防に向かうにあたっては、おのおの私的に食料を持参すること。津より出発する日には状況に応じて公粮を給付すること。


 

○57 上道条


防人が上道(本国を出発)して以後、行路にあって死亡・逃走した場合、人を差し替えてはならない。


 

○58 将発条


防人が出発しようとするとき、罪を犯して身柄を拘束されている場合、及び、公私の訴訟に関わっている場合で、徒刑に至るようでないならば、状況に応じてすぐに量刑決裁して発遣すること。罪が徒以上に至るならば、人を差し替えること。


 

○59 欲至条


防人が到着するとあれば、所在の官司(防人司)は、前もって配置計画を立てること。防人到着後の1日に、すぐに勤務を終えた人と武器等を交替配備して終わらせること。担当の場所は季節ごとに代わる代わるして、苦楽が均等であるようにすること。


 

○60 旧防人条


勤務を終えた防人を替え終わったならば、すぐに路程の食料を給付して(故郷へ)発遣すること。新人が欠けたり少なかったりすることがあって、元の数のぶんだけ充当できないとしても、安易に勤務を終えた人をもって留め補ってはならない。


 

○61 防人番還条


防人が防に向かうとき、及び、(防人としての)当番から帰郷するときに、路上で病気にかかって、それ以上進んで行くのに耐えないことがあったならば、すぐに側近くの国郡に預けて、食料ならびに医薬を給付して救命治療すること。行程に耐えるほど治るのを待って、然る後に発遣すること。そうして本籍地及び前にいたところへ移すこと。死亡したならば、状況に応じて棺を給付して焼き埋葬すること。もし資財があれば、兵部省に申し送って、本人の家へ持って帰らせること。


 

○62 在防条


防人については、防にあって守固する以外に、それぞれ防人の多少を量って、当所の側近くに空閑地(休墾地)を給付すること。水陸の都合のよい場所(?)に応じて斟酌して営種すること。併せて雑菜類をもって防人の食に供すること。耕作に必要な牛力は太政官が給付すること。収穫の苗子は、毎年数を記録して、朝集使に預けて太政官に報告すること。


 

○63 休假条


防人が防にあるときには、10日に1日の休假〔きゅうけ〕(仮の休み=休暇)を許可すること。病気になったならばみな医薬を給付すること。火内の1人を遣わして、療養に専念させること。


 

○64 蕃使出入条


蕃使(異国からの使節)が出入するときや、囚徒、及び、軍物を伝送するにあたって、人を防援(守役人)に用いるならば、みな数を量って(?)所在の兵士をあてて逓送すること。


 

○65 東辺条(または縁辺諸郡人居条)


東辺・北辺(東海道・東山道・北陸道の蝦夷と接する地域)、西辺(西海道の隼人と接する地域)にある諸々の郡の人居は、みな城堡の中に安置すること。営田の場所にはただ庄舎(農具保管・耕作時の宿泊用の小屋)のみを置くこと。農繁期になって、(強壮で)営作に耐えるようであれば、城堡を出て庄田で就労させること。収穫を終えたならば城堡に連れ帰ること。城堡が崩れ落ちたならば、当地の居戸〔ここ〕(居住している戸)を修理に働かせること。農閑期に合わせて修理すること。


 

○66 置烽条


〔ぶう/ほう/とぶひ〕(のろし)を置くのは、みな互いの距離40里(約21km)。もし山岡で隔絶し便宜上安置すべきことがあれば、相照らし見ることができるようにさせること。必ずしも絶対に40里と限定するものではない。


 

○67 烽昼夜条


烽は、昼夜、時を分けて伺い眺めること。もし烽を放つ場合には、昼は烟〔えん〕(煙)を放ち、夜は火を放つ。烟を1刻(30分)放ち尽くし、火を1炬〔こ〕放ち尽くすまでに、前方の烽が応答しない場合は、すぐに脚力(徒歩連絡員)を派遣して前方の烽に通告すること。伝報(応告)を失した理由を問い知って、速やかに所在の官司(前方の烽が属すところの国司)に報告すること。


 

○68 有賊入境条


賊があって境に侵入したときに烽を放つ場合、賊衆の多少、烽の数の節級(1〜4炬)はいずれも別式に依ること。


 

○69 烽長条


烽には長を2人置くこと。3烽以下を管理監督すること。ただし境を越えることはできない。国司が、管内の人で重要な家柄であり管理監督の任務に耐える人を選考して充てること。もしいなければ、双方を通じて、散位・勲位を任用すること。分番して勤務・非番すること。3年に1度交替させること。交替の日に、新人を教えて全般を理解させること。然る後に交替すること。烽を修理する場合は、みな、烽子〔ぶうし/ほうし〕を働かせること。公事でない限り、安易に守るところを離れてはならない。


 

○70 配烽子条


烽には、それぞれ烽子を4人配置すること。もし丁がないところでは、いずれも次丁を取ること。近いところから順に遠いところへと(烽子候補を)及ばせること。均分して(2人1組で)当番に配置すること。順番に勤務・非番すること。


 

○71 置烽処条


烽を置くところの火炬〔かこ〕(発火材)は、それぞれの距離25歩(約44.5m)。もし山が険しく土地が狭いことがあって、25歩を満たすことができないところでは、照応するに明確であるようにすること。必ずしも距離の遠近を限定してはならない。


 

○72 火炬条


火炬は、乾燥した葦を芯にすること。葦の上に乾いた草を用いて節〔ふし〕を縛ること。縛ったところの周囲には、肥えた松明〔しょうみょう/たいまつ〕を差し挿むこと。いずれも使用のための貯〔もうけ〕(準備品)を10具以上、舎の下に架(棚)を作って積んでおくこと。雨に濡らしてはならない。


 

○73 (放烟貯備条)


烟を放つために準備しておくものとして、艾〔よもぎ〕、藁、生柴(生木)等を採収し、それらを混ぜ合わせて烟を放つこと。藁・柴等を貯めておくところには、みだりに人に火を放たせたり、また、野火を延焼させることがないようにすること。


 

○74 応火筒条


(後方からの)火に応答する火筒は、もし(通報が)東に向かっているならば、応じる烽の筒口は西に開くこと。もし西に向かっているならば、応じる筒口は東に開くこと。南北もこれに準じること。


 

○75 白日放烟条


昼に烟を放ち、夜に火を放つときには、まず筒の裏を見ること。到着した報せを確実に錯覚してないと確認してから、然る後に応答すること。もし昼に天が曇り、霧が起こって、烟を眺めても見えないような場合は、すぐに脚力を走らせて、互いに前方の烽に通告すること。霧が開けたところでは、式に依って烟を放つこと。烽を置いてあるところでは、烽の周囲2里(約1km)にわたって、みだりに烟火を放ってはならない。


 

○76 放烽条


烽を放つにあたって、違漏(烽の数を間違える、野焼きを見間違えて烽を放つ等の類)があったなら、元に放ったところ、伝報を失ってしまった状況を、速やかに所在の国司に報告すること。検察して事実がわかったならば、駅(やく)を発して奏聞すること。




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