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度(=長さの単位)は、10分〔ぶ/ぶん〕を寸とすること。10寸を尺とすること。{1尺2寸を大尺〔だいしゃく〕の1尺とすること。}10尺を丈〔じょう〕とすること。量(=容積の単位)は、10合を升とすること。{3升を大升〔だいしょう〕の1升とすること。}10升を斗とすること。10斗を斛〔こく〕とすること。権衡〔ごんこう〕(=重さの単位)は、24銖〔しゅ〕を両とすること。{3両を大両の1両とすること。}16両を斤〔こん〕とすること。
土地の測量、銀・銅・穀類を量るときには、みな大を用いること。これ以外は、官私ことごとく小の方を用いること。
度量権〔どりょうけん〕(=度量衡)を用いる官司には、みな様〔ためし〕(=標準原器)を支給すること。その様はみな銅で作ること。
土地の測量について、5尺を歩〔ぶ〕とすること。300歩を里とすること。
月の六斎の日(毎月8・14・15・23・29・30日)には、公私みな殺生を禁断すること。
陰陽寮は、年ごとにあらかじめ来年の暦を造ること。11月1日に中務省に申し送ること。中務省は奏聞すること。内外(=京内・京外)の諸司(上級官司)にそれぞれ1本支給すること(被管の下級官司は所管の上級官司から写しを支給される)。いずれも年の前に所在に到着させること。
陰陽寮の諸々の生〔しょう〕を取るについては、いずれも医生〔いしょう〕に準じること。成業年限、及び、束脩〔そくしゅ〕の礼〔らい〕は、統一的に大学生と同じ。
秘書(=遁甲太一式のような方術書の類)、玄象の器物(=銅渾儀のような天体観測用器物の類)、天文の図書(=星官薄讃のような星座関係の書物類)は、安易に持ち出してはならない。観生〔かんしょう/かんじょう〕(=観天文生=天文生)は、占書(=天文占いの書物)を読むことはできない。天文を仰ぎ観て見た所(の妖祥)は漏泄してはならない。もし徴祥・災異があれば、陰陽寮が奏(=天文密奏)すること。終わったならば、季ごとに封をして中務省に送って、国史に記入すること。{送ったものには占言を記載してはならない。}
国内に銅・鉄を産出する処があるとき、官司が採掘しないならば、百姓(=一般人)が私的に採掘するのを許可すること。もし銅・鉄を納めて庸調に換算したならば許可すること。それ以外の禁処(=禁止区域)でない場所については、山川藪沢の利用は、公私ともに(平等に)すること。
山沢に、異宝(=めのう・琥珀の類)・異木〔いもく〕(=沈香・白檀・蘇芳の類)、及び、金・銀、彩色、雑物があるというところを知ったならば、国用に供するに堪えるようであれば、みな太政官に報告して奏聞すること。
(どこかの)公私の材木(ただし未加工の原木段階のもの)が暴水のために漂失して、(その漂木を)拾ったならば、いずれも岸上に積んで、はっきりとした標榜を立てて、最寄りの官司に報告すること。持ち主が判明することがあれば、5分の1を報賞すること。30日の期限を過ぎても持ち主が判明することがなければ、拾った人に与えること。
水を引いて田の灌漑を行うならば、みな下(※この語の解釈は諸説ある)より始めること。順序に従って用いること。渠〔みぞ〕に沿って碾磑〔てんがい〕を造りたいと願ったならば国郡司に報告すること。公私の差し障りがなければ許可すること。渠・堰〔せき〕を修理するときは、まずそれら用水路を利用している家の人を使役すること。
要路(=人の往来が頻繁な道路)の津済〔つわたり〕について、橋を渡しがたいような処では、みな船を置いて(人々を)運び渡すこと。津に到着した先後によって(渡す)順番とすること。国郡の官司が検校すること。また人夫を指定して、その度子(渡子)〔どし/わたしもり〕に充てること。2人以上、10人以下。2人ごとに、船をそれぞれ1艘。
庁上及び曹司(=八省及びその他官司)の座(=座席)は、五位以上にはいずれも牀(床)〔ゆか〕(=倚子・床子などの、背もたれのない木製の腰掛け)・席〔むしろ〕(=現代の感覚では「ござ」。腰掛けの上に敷く)を支給すること。その方法は別式に従うこと。
在京の諸司の主典以上には、毎年正月に、いずれも座席を支給すること。以下(史生〔ししょう〕・掌〔じょう〕など)には、壊れるに応じてすぐ支給すること。
官人等が、使(を務めること)によって賜〔たまもの〕を給禄されたとき、使の事が中止になった場合には、賜った物はいずれも追徴する範囲にない。罪を犯して追還〔ついげん〕(=呼び還す(?))ことがあったならば、賜った物はいずれも徴納すること。
訴訟(の提訴期間)は、10月1日に開始し、3月30日に至るまでに検校すること。それ以外はしてはならない。もし提訴に急を要する侵奪があれば、この限りではない。
家長が存在するとき、子孫弟姪等は(家長の許可なく)安易に、奴婢・雑畜〔ぞうきゅう〕・田宅、及び、その他の財物を、私的に自ら質に入れたり売ったりすることはできない。もし互いに許可を確認せず(?)に、違反して安易に与えたり買ったりした人は、律に依って罪を科すこと。
公私が財物を出挙〔すいこ〕(=利子付き貸与)したならば、任意の私的自由契約に依ること。官司は管理しない。60日ごとに利子を取ること。8分の1を超過してはならない。480日を過ぎた時点で1倍(=100%)を超過してはならない。家資〔けし〕(=家の資産)が尽きたならば、役身折酬〔やくしんせっしゅう〕(=債務不履行を労働によって弁済)すること。利を廻〔めぐら〕して本〔もと〕とする(すなわち複利計算)してはならない。もし法に違反して利子を請求し、契約外の掣奪〔せいだつ/ひきうばい〕(=私的差し押さえ)をした場合、及び、無利子の負債(=債務不履行の際、役身折酬による弁済ができない)の場合は、官司が管理すること。質は、持ち主に対して売るのでなければ安易に売ってはならない。もし(特定期間内、令義解によれば480日+60日を過ぎて後に)、利子を合計しても本〔もと〕(質物の価格)に達しないときには、所司に報告して、持ち主に対して(?)売るのを許可すること。余りが出たならば返還すること。もし債務者が逃亡した場合、保人〔ほうにん〕(=身柄保証人)が代償すること。
稲粟〔とうぞく〕を出挙したならば、任意の私的自由契約に依ること。官司は管理しない。そうして1年を1期間として判断すること。1倍(=100%)を超過してはならない。官司(の出挙)は半倍(=50%)すること。いずれも旧本〔くほん〕(=本〔もと〕の値)に従って?)、さらに利子を発生させたり、複利計算してはならない。もし家資〔けし〕(=家の資産)が尽きたならば、また上の条に準じること。
出挙は、当事者間の合意に基づいて、私的に自由契約させること。利子の取り方が条の規定を超過したならば、任意に個人が糺して報告すること。利物はいずれも糺した人に報賞すること。