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付録:現代語訳「養老令」全三十編:

第八 戸令 全45条中23〜45条

(最終更新日:00.03.26

 − 目次 −




 

○23 応分条


相続財産を分割する際には、家人奴婢{氏賎は範囲外}、田宅、資財{功田・功封は直系男女のみに入れること}、を総計して、方法を作ること。嫡母、継母、及び嫡子に、おのおの2分{妾は女子の分に同じ}。庶子に1分。(各相続人の(?))妻家の所得は分割の限りにあらず。相続人である兄弟のうちのある者が亡くなっている場合は、その子が父の分を承けること{養子もまた同じ}。兄弟が皆、亡くなっているならば、それぞれの子が均分すること。姑(相続人の父の姉妹)と姉妹は、未婚であれば、それぞれ男子の半減分とすること。{すでに嫁いでいても、財産分与を経ていない者はまた同じ}。寡妻妾は、男がなければ、夫の分を承けること{女の分は上に同じ。もし夫・兄弟、皆、亡くなっているならば、それぞれ一子の分に同じ。男があるも無いも等しくする。これは、夫の家に在って志を守る者についていうものである}。もし同財共居しようと欲するとき、及び、死亡者の生存中に処分して証拠が明確であるときには、この令は用いない。


 

○24 聴婚嫁条


男の年は15、女の年は13以上で、結婚を許可すること。


 

○25 嫁女条


娘を嫁がせる場合は、皆、先ず、祖父母、父母、伯叔父姑(父方のおじ・おば)、兄弟、外祖父母に報せること。次に、舅(母方のおじ)従母(母方のおば)、従父兄弟(いとこ)、同居共財しておらず、また上記の親族がなければ、いずれも娘の希望に任せて、婚主(婚姻をつかさどる人)とすること。


 

○26 結婚条


婚約がまとまってのち、3ヶ月経過しても理由無く成婚に至らない場合、及び、逃亡して1ヶ月以内に帰還しない、もしくは外蕃(異国)に没落して1年以内に帰還しない、及び、徒罪以上の犯罪を犯した場合、女家が破談を欲したならば許可すること。すでに成婚した場合でも、夫が外蕃に没落して、子供がある場合は5年、子供がない場合は3年以内に帰還せず、また、逃亡して、子供がある場合は3年、子供がない場合は2年以内に出てこなければ、いずれも改嫁を許可すること。


 

○27 先姦条


婚前交渉があってのちに結婚したならば、婚前交渉が赦免された場合でも、なお離婚させること。


 

○28 七出条


妻を棄てるには、以下の7つの理由があること。1には、子がないこと。2には淫乱。3には舅姑に仕えない。4には口舌。5には窃盗。6には妬忌。7には悪疾。皆、夫が手書して棄てること。尊属は、近親と同じく連署すること。もし文字が解らなければ、書指(署名代りに指の長さと節の位置を写し描いたもの)で証拠の印とすること。妻を棄てる状況があるといえども、3つ棄てることのできない理由がある。1には、妻が舅姑の喪をつとめ終えたとき。2には結婚したときに賤しくて、後に貴い身分となったとき。3には帰す実家がないとき。しかし、義絶、淫乱、悪疾を犯したならば、この令にかかわらない。


 

○29 先由条


妻を棄てることは、先ず、祖父母、父母に報せること。もし祖父母、父母がなければ、夫は自由にすることができる。皆、その妻家より将来するところの見在の財を返還すること。もし使用していた婢に子があれば、また返還すること。


 

○30 嫁女棄妻条


娘を嫁がせたり、妻を棄てたりすることが、正当な親族によって行われなかった場合、成婚ならず、離婚をなさない。正当な親族が後で知って、3ヶ月以内に、不当なものとして理を糺す手続きを取らなかった場合には、皆、それ以上論ずることはできない。


 

○31 殴妻祖父母条


夫が、妻の祖父母、父母を殴り、また、妻の外祖父母、伯叔父姑、兄弟姉妹を殺した、もしくは、夫妻間の祖父母、父母、外祖父母、伯叔父姑、兄弟姉妹同士が互いに殺し合った、また妻が、夫の祖父母、父母を殴り罵り、夫の外祖父母、伯叔父姑、兄弟姉妹を殺傷した、また夫を害そうとしたならば、赦にあってその罪が許されたとしても、皆、義絶(縁が途絶えた=強制離婚)とすること。


 

○32 かん寡条


配偶者に先立たれた者、親や子が無く孤独な者、貧窮者、老疾者が、自活することができない場合は、近親者に収養させること。もし近親者がなければ、坊里に預けて安置供給させること。もし路上に在って病を患い、賦役に任じることもできなければ、当地の郡司が収容し、村里に預けて安養させること。こうして医療を加え、併せて事情を検討審問すること。つぶさに本籍属すところを注記すること。病が癒えた日に、前の居住地へ移送すること。


 

○33 国守巡行条


国守は、毎年1度、属郡を巡行し、風俗を観て、古老に古事等を問い聞き、囚徒について記録し、裁判の不正を正し、政ごとや刑罰の得失を詳しく視察し、百姓の憂い苦しむところを知り、敦くは五教を諭し、農の功を勧め務めさせること。部内に、好学、篤道、孝悌、忠信、清白、異行にして、郷閭に聞こえの高い人があれば、推挙して上京させること。不孝悌にして、礼を乱し、常を乱し、法令に従わない者があれば、糺して捕らえること。郡内に、拓けた田畑があり、産業が盛んで、礼教が設けられ、禁令が行われていれば、郡領の能とすること。閑散として、農事が荒れ、盗みが起こり、獄訟が繁くある場合は、郡領の不とすること。もし郡司が、官に於いて、公廉であり、私腹を肥やさず、色を正して節操を保ち、謙虚であるならば、必ず慎重に目に留めておくこと。心持ちが貪欲で穢らわしく、へつらいいつわって名声を求め、公節無くして、私門が繁栄していくようなことがあれば、これもまた慎重に目に留めておくこと。政績の能不、また、行状の善悪は、皆、記録して考状に入れ、それを以て、考課すること。政事を侵害し、考課を待たぬ場合には、事情に応じて糺弾推問すること。


 

○34 国郡司条


国郡司は、管轄の部内の検校に向かうにあたっては、百姓の送り迎えを受けたり、産業を妨げたり廃したり、また、供給を受けて煩擾させるようなことをしてはならない。


 

○35 当色為婚条


陵戸官戸家人、公私の奴婢(公奴婢私奴婢)は、皆、同種同身分間で婚姻すること。


 

○36 造官戸籍条


官戸奴婢は、毎年正月に、本司・色別(身分種類別)に、おのおの籍を2通作ること。1通は太政官に送ること。1通は本司が保管すること。工作・書算・医術等の技術を持つ場合には、種類別に具体的に注記すること。


 

○37 良人家人条


良人家人が、不法に身分をおとしめられ、賎に充てられて、奴婢と結婚させられて男女を生んだ場合、後に訴え出て免除されることができたならば、生んだところの男女は、いずれも良人及び家人の身分に属させること。


 

○38 官奴婢条


官奴婢では年66以上及び癈疾となった者、また、没官となるも戸を為すことを認められた者は、いずれも官戸とすること。年76以上となった場合は、いずれも放して良人とすること。{任意に希望するところの籍に附けること。反逆の縁坐で80以上になった者はまた良人に属すのを許可すること}。


 

○39 放家人奴婢為良及家人条


家人奴婢を放して、良人及び家人とした場合には、これを本籍地に報告し、申牒〔しんちょう/しんぢょう〕(=上申)して、旧籍から除き新籍に附けること。


 

○40 家人所生条


家人の生んだところの子孫は、相承して家人とすること。皆、本主が任意に駆使すること。ただし、同時期にその全員を集めて駆使したり、売買することはできない。


 

○41 官戸自抜条


官戸家人、公私の奴婢(公奴婢私奴婢)で、略奪され外蕃に没落していた者が、自ら抜け出し帰還することができたならば、皆、放して良人とすること。略奪されたのではなく、また主に背いて外蕃に入り、後に帰還した者は、おのおの、官・主に返還すること。


 

○42 為夫妻条


官戸陵戸家人、公私の奴婢(公奴婢私奴婢)が、良人と結婚して生んだところの男女は、賎であるとの実情を知らなかった場合には、良人に属させること。皆、離婚させること。逃亡して生んだところの男女は、皆、賎に属させること。


 

○43 奴姦主条


家人、奴が、主及び主の五等以上の親族と(婚外)情交して生んだところの男女は、おのおの没官(官が没収=官有の賎)とする。


 

○44 化外奴婢条


異国人である奴婢が、自ら我が国に帰化したならば、ことごとく放して良人とすること。すぐに本貫を定め籍に附けること。本主の先から帰化したといえども、本主が自分の奴婢と認定することはできない。もし、異国の人で、はじめから我が国で賎に充てられた場合に、その二等以上の親類が、のちに帰化したならば、代価を払って良人とするのを許可すること。


 

○45 遭水旱条


水害干ばつ、蝗などの災害に遭い、作物が実らない所で、糧食が少なく賑給すべきときには、国郡は実情を検討し、あらかじめ太政官に申告して奏聞すること。




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