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内侍司〔ないしのつかさ〕
尚侍〔ないしのかみ〕2人。{職掌は、常侍、奏請(=奏上して勅を請うこと)・宣伝(=勅を宣し伝えること)に供奉〔ぐぶう/ぐぶ〕(=(身近で)お仕え)すること、女孺を検校(=監督)すること。併せて、内外命婦の朝参(=朝礼)、及び、禁内の礼式を知ること。}
典侍〔ないしのすけ〕4人。{職掌は尚侍と同じ。ただし、奏請・宣伝することはできない。もし尚侍が不在ならば、奏請・宣伝することができる。}
掌侍〔ないしのまつりごとひと〕4人。{職掌は典侍と同じ。ただし、奏請・宣伝することはできない。}
女孺〔めのわらわ〕100人。
蔵司〔くらのつかさ〕
尚蔵〔くらのかみ〕1人。{職掌は、神璽、関契〔げんけい/かんけい〕(=軍の通行証)、供御〔ぐご/くご〕(=天皇御用の物品・食事)の衣服〔えぶく〕・巾櫛〔こんしち/きんしつ〕・服翫〔ぶくがん〕(=双六・囲碁など)のこと、及び、珍宝、綵帛〔さいびゃく〕(=染絹・白絹)、賞賜のこと。}
典蔵〔くらのすけ〕2人。{職掌は尚蔵と同じ。}
掌蔵〔くらのまつりごとひと〕4人。{職掌は、出納、綵帛、賞賜のこと。}
女孺10人。
書司〔ふみのつかさ〕
尚書〔ふみのかみ〕1人。{職掌は、内典〔ないてん〕(=外典(儒教経典)に対する称で仏教経典のこと)・経籍〔きょうじゃく〕(=儒教の古典)に供奉すること、及び、紙・墨・筆・几案〔きあん〕(=机か。※本来「几」や「案」は脇息〔きょうそく〕の類)・糸竹〔しちく〕(=弦楽器・管楽器)のこと。}
典書〔ふみのすけ〕2人。{職掌は尚書と同じ。}
女孺6人。
薬司〔くすりのつかさ〕
尚薬〔くすりのかみ〕1人。{職掌は、医薬に供奉すること。}
典薬〔くすりのすけ〕2人。{職掌は、尚薬と同じ。}
女孺4人。
兵司〔つわもののつかさ〕
尚兵〔つわもののかみ〕1人。{職掌は、兵器に供奉すること。}
典兵〔つわもののすけ〕2人。{職掌は尚兵と同じ。}
女孺6人。
【門+韋】司〔みかどつかさ/いし〕
尚【門+韋】〔みかどつかさのかみ〕1人。{職掌は、宮閤(=宮門・閤門)の管鑰〔かんいち/かんいつ/かんやく〕(=鍵)のこと、及び、出納のこと。}
典【門+韋】〔みかどつかさのすけ〕4人。{職掌は尚【門+韋】と同じ。}
女孺10人。
殿司〔とのもりのつかさ〕
尚殿〔とのもりのかみ〕1人。{職掌は、輿繖〔よさん〕(=行幸の際の乗り物や雨蓋)、膏〔こう〕(=肉脂)、沐〔もく〕(=入浴)、燈油、火燭、薪炭に供奉すること。}
典殿〔とのもりのすけ〕2人。{職掌は尚殿と同じ。}
女孺6人。
掃司〔かにもりのつかさ〕
尚掃〔かにもりのかみ〕1人。{職掌は、牀席〔しょうしゃく/しょうせき〕(=敷物)、灑掃〔れいそう/さいそう〕(=洒掃=清掃し水を打つこと)、鋪設〔ふせつ/ふせち〕(=設営)に供奉すること。}
典掃〔かにもりのすけ〕2人。{職掌は尚掃と同じ。}
女孺10人。
水司〔もいとりのつかさ〕
尚水〔もいとりのかみ〕1人。{職掌は、漿水〔こみず/あわもい〕(=粟で醸した発酵飲料)、各種の粥をたてまつること。}
典水〔もいとりのすけ〕2人。{職掌は尚水と同じ。}
采女〔うねめ〕6人。
膳司〔かしわでのつかさ〕
尚膳〔かしわでのかみ〕1人。{職掌は、御膳を知ること、進食の際に先嘗(=毒味)すること、膳羞〔ぜんしゅう〕(=(美味しい)料理。ごちそう)、酒醴〔しゅらい/しゅれい〕(=酒・醴〔こざけ〕(=甘酒))、諸々の餅〔もちい〕、蔬〔くさびら〕(=野菜類)・菓〔くだもの〕(=木の実)を惣摂〔そうせつ〕する(=すべ治める)こと。}
典膳〔かしわでのすけ〕2人。{職掌は尚膳と同じ。}
掌膳〔かしわでのまつりごとひと〕4人。{職掌は、典膳と同じ。}
采女60人。
酒司〔さけのつかさ〕
尚酒〔さけのかみ〕1人、{職掌は、酒を醸すこと。}
典酒〔さけのすけ〕2人。{職掌は尚酒と同じ。}
縫司〔ぬいとののつかさ〕
尚縫〔ぬいとののかみ〕1人。{職掌は、衣服を裁縫すること、纂組〔さんそ〕(=帯や紐を編んだり組むこと)のこと、併せて、女功〔にょくう〕(=婦人労働。※ここではその出来具合)、及び、朝参を知ること。}
典縫〔ぬいとののすけ〕2人。{職掌は尚縫と同じ。}
掌縫〔ぬいとののまつりごとひと〕4人。{職掌は、命婦の参見〔さんげん〕(=(普通の日の)天皇の接見に参上すること)、朝会〔ちょうえ〕(=元日・朔日の朝礼)の引導のこと。}
宮人の職員は、諸司(=ここではいわゆる後宮十二司)の掌〔しょう〕以上をみな職事〔しきじ〕(=ここでは官位相当のある官職(※ただし、官位令には規定されておらず、それぞれ特定の位に「準じる」形であり、男官の職事官とは別)、ないしは毎日出勤を原則とする官職。)とすること。その他を散事〔さんじ〕(=ここでは官位相当のない官職、ないしは分番(=交替勤務)を原則とする官職。※男官の散位(散官)とは別)とすること。それぞれ、半月ごとに沐假〔もくけ〕(=洗髪のための休暇)3日を支給すること。考叙の法式は、統一して長上(=(男官の)職事=毎日出勤を原則とする官職)の例に準じること。{東宮の宮人、及び、嬪以上の女竪〔にょじゅ〕(=東宮の妃以下嬪以上)も、これに準じること。}
内親王〔ないしんおう〕、女王〔にょおう〕、及び、内命婦〔ないみょうぶ〕(=本人の位階が五位以上)が朝参に行立する次第は、それぞれ本位に従うこと。外命婦〔げみょうぶ〕(=五位以上の官人の妻)は夫の位の順序に準じること。もし諸王以上(=親王・諸王)が臣の家に娶って妻と為した場合はこの例に該当しない(※その妻は内親王・女王の列には加われず朝参できない)。
親王(※内親王も含む)、及び、その子(※内親王と諸王(以下)との間の子は除く)には、みな乳母を給うこと。親王には3人、その子には2人。養われる子の年が13歳以上ならば、乳母が死亡したとしても代わりを立て替えることはできない。(乳母の)考叙はいずれも宮人に準じること。それ以外の(親王家の)女竪は考叙の範囲にない。
(畿内の)諸氏は、氏ごとに女貢〔にょぐ〕すること(=氏女〔うじめ〕)。みな年齢30歳以下13歳以上を限度とすること。氏の名ではないといえども、自ら進仕することを願えば許可すること。采女を貢すについては、郡の少領以上の姉妹、及び、娘の形容端正な人をもってすること。みな中務省に上申して奏聞すること。