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予備知識:

俸給

(最終更新日:00.03.26

 − 目次 −




 

俸給


俸給は原則的に、位階に対して支給されます。
ということは、ある年、職や役に任じられていない場合でも、位階さえあれば俸給が与えられたということになります。

平安以降になると、皇族や公卿(三位以上の人)などには、位階に対する基本の俸給とは別に、身分階級に対する年俸も支給され、その他、三位以上に相当する上級職や博士職に対しては、職に対する俸給も支給されます。

また、国司職には国司収入があります。
(※国司はみな地方に赴任しているわけではなく、特に時代が下ると、在京の高位高官が各地の国守(=国司の長官)職をも兼任し、地方へは代理人(目代〔もくだい〕など)を派遣するようになります。これらについての詳細は「国司」参照。)

そんなこんなで、大臣職にある人などは現代の物価にして2億円とかいったレベルの年収になったようです。

俸給の種類には、直接的なものとしては、『位封(品封)・職封・功封』などの封戸〔ふこ/ふご〕(=戸口=民の納める税=租庸調)、『位田・職分田・功田』などの田地、その他、禄〔ろく〕(=布や鍬〔くわ〕)、資人〔とねり〕(=護衛・駆使のための従者)、米、料(=お金)などがあり、間接的なものでは『年給』があります(年給は現代で言うものとは違います。後述)。

封戸を支給することを『食封〔じきふ〕』と言い(混同しやすい言葉ですね)、封戸からの「租」の半分、及び、「庸・調」の全ては、封戸を与えられた人の収入となります。


 

封戸〔ふこ/ふご〕の種類(租庸調)


 『租』

民から徴収する田圃の収穫(=米)です。

 『庸』

民から徴収する布または米です。
【庸】は【傭】と同義で、本来は労働してもらうところなのだが、物品によって代わりとしてやろう、というものです。

 『調』

成人男子の人頭税として民から徴収する諸国の特産物(海産物・繊維製品・鉱物など)です。
(人頭税とは、個々人の事情に関わらず、軒並み負担させる方式の税です。)


 

位階俸給



 『品封〔ほんぷ〕

親王に与えられる封戸。

 『品田〔ほんでん〕

親王に与えられる田地。

 『帳内〔ちょうない〕

親王に与えられる使用人。


 『位封〔いふ〕

三位以上の諸王・諸臣に与えられる封戸。

 『位田〔いでん〕

五位以上の諸王・諸臣に与えられる田地。(※ 女子の位田はこの1/3です。)

 『位禄〔いろく〕

四位・五位の諸王・諸臣に与えられる絹・綿・布。(※ 女子の位禄はこの1/2です。)
つまり、三位以上であれば与えられるはずの「位封」に代わるものです。

 『資人〔とねり/しじん〕』(位分資人)

五位以上の人に与えられる護衛・駆使のための従者で、内八位以下の子を充てます。
ただし、三関(鈴鹿関のある伊勢・不破関のある美濃・愛発関のある越前)及び大宰府管内(西海道諸国島)、陸奥、石城、石背、越中、越後の国の人を充てることは許されていません。
資人には他に中納言以上の職に与えられる職分資人があります(後述)。
(※随身〔ずいじん〕役の「舎人〔とねり〕」とは別のものです。)


 『季禄〔きろく〕

春夏の二季に「職事官〔しきじかん〕」(=有位で職に就いている人)に与えられる絹や綿。

 『馬料〔めりょう〕

毎年、上日〔じょうじつ〕(=出仕日数)によって有位の人に支給される馬の飼育料。



親王及び位階別俸給表
(※ 時代によって違いますので、大宝令以降の、だいたいの目安とお考えください。)

(品)
位封
(品封)
位田
(品田)
位禄季禄馬料資人
(帳内)
あしぎぬ綿ようふ
庸布
あしぎぬ綿くわ
ひき
とん
たん
じょう
ひき
とん
たん
こう
一品60080------160
二品45060------140
三品30050------120
四品22040------100
無品150?------?
正一 225〜30080-3030100140〜14450
100
従一 195〜26074-3030100140〜14450
100
正二 150〜20060-20206010030
80
従二 128〜17054-20206010030
80
正三 98〜13040-1414428020
60
従三 75〜10034-121232〜366020
60
正四 -24101050350〜3608822307
40
従四 -2088433007718307
35
正五 -1266362405512205
25
従五 -844291804412205
20
正六 ---335152500-
従六 ---334152500-
正七 ---224152350-
従七 ---223152350-
正八 ---113152200-
従八 ---113102200-
大初 ---11210250-
少初 ---1125250-

(「増補新修国語総覧」及び「新訂官職要解」より。
 なお、季禄について、年間の値か季毎の値かは不明です。)


 

身分俸給

 

『年給』


平安以降、取り入れられた年俸制度で、毎年、除目・叙位の際に支給される『年官』『年爵』を言い、『年料給分』の略です。太政大臣以下、職や位階によって等差がありました。

ただし、朝廷が給料を支払うというのではなく、支給された『年官』『年爵』を誰かに売ることで『年料』(=年間に必要とする食料・物資)としなさい、というものです。


 『年官』

毎年、除目の際、京官とは別に国司を任じられますが、そのときに、天皇を含む皇族、及び、後宮の女性(女御・尚侍・典侍)・公卿(三位以上の人)などに対し、本人の職とは別に、俸給として一定数支給される職(下級国司である「掾〔じょう〕」「目〔さかん〕」・下級京官である「史生〔ししょう〕」)を言います。
また、サカンなど本人の部下(使用人)を加配して行くこともこのうちに含まれます。
(※下の「太政官別俸給表」も参考にしてください。)

支給された職に就く人を推薦することで、その『任料』(=職を得るための料金)を所得とします。

 『年爵』

叙位の際、上皇・三宮〔さんぐう〕(太皇太后・皇太后・皇后)・女院〔にょいん〕(出家した、もと三宮)などに対し、本人の位階とは別に、俸給として一定数支給される従五位下の位を言います。

支給された従五位下に叙される人を推薦することで、その『叙料』(=位階を得るための料金)を所得とします。


外戚などは、場合によって、三宮に准じた数の年官・年爵が与えられることがあり、その待遇を指して『准三宮〔じゅんさんぐう〕』と言います。


 

職で得られる俸給

 

上級官吏に与えられる俸給


三位以上に相当する職には、以下のような俸給が支給されます。

また、四位相当でも、朝廷の要職である「参議」などは支給があったようです。
(※ 参考:「太政官別俸給表」


 『職封〔しきふ〕

『食封[じきふ]』の一種で、職に対して与えられる『封戸〔ふこ〕』です。地方の戸口(『封戸[ふこ]』)のことで、地租の半分とその他の貢賦全てを所得とすることができます。

 『職分田〔しきぶんでん〕』『職田〔しきでん〕

職に対して与えられる田地です。
大宝令(養老令?)の頃は、これと、外官(国司など)に与えられる田地とを区別して、『職田』/『公廨田〔くげでん〕』と言い分けたようですが、時代が下ると、一括して『職分田』と言うようになります。

 『資人〔とねり〕』(職分資人)

大臣・大納言、及び、中納言の職に対して与えられる護衛・駆使のための従者で、位分資人(五位以上の人に与えられる資人)とは別に与えられます。位分資人の場合と異なり内八位以上の子を充てることも許可されますが、三関(鈴鹿関のある伊勢・不破関のある美濃・愛発関のある越前)及び大宰府管内(西海道諸国島)、陸奥、石城、石背、越中、越後の国の人を充てることは許されていません。
(※これも随身役の「舎人〔とねり〕」とは別のものです。)



太政官別俸給表
(※ 時代によって違いますので、平安中期以降の、だいたいの目安とお考えください。)
官職相当職封職分田資人年官
定期的に加給されていきますじょう
さかん
ししょう
史生
太政大臣一位2250〜300040300隔年ごとに加給113
左右大臣二位1500〜200030200隔年ごとに加給112
内大臣二位800??隔年ごとに加給112
大納言正三位600〜800201003年ごとに加給111
中納言従三位200〜300?303年ごとに加給111
参議正四位下60?-五節に舞姫を献じた翌年に加給111

 

博士(※「陰陽寮」「大学寮」)に与えられる俸給


 『職分田』....陰陽博士・天文博士・医博士:4町、暦博士・針博士:3町


 

その他の職に対する俸給


いろいろな種類があるようですが、わかるものだけ。


 『職分田』

たとえば、甲斐・信濃の「牧監」:6町、など。

 『大粮〔たいろう〕

米や塩で、『史生〔ししょう〕』『使部〔しぶ〕』などの下級役人に、日々の食料として支給されます。

 『菜料・燈油料』

学生〔がくしょう〕に対して支給されます。

 『要劇田・要劇料』

多忙な職に対して支給されます。


 

臨時ボーナスなど


これもいろいろな種類があるようですが、わかるものだけ。


『功封・功田〔こうふ・こうでん〕

国家功労者に与えられる封戸・田地です。
功田は功労レベルによって継承世代が規定されており、大功をおさめた場合は永代継承、上功:曾孫まで、中功:孫まで、下功:子、に継承することができます。

『時服〔じふく〕

毎年、春・秋、または、夏・冬の2季に支給された衣服。

『節禄〔せつろく〕

絹や綿で、毎年、元旦・正月七日・正月十六日・九月九日・新嘗会などの行事に参列した人に与えられます。




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