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式部省配下の大寮で、『文屋之司〔ふみやのつかさ〕』『ふみやつかさ』とも言い、学生〔がくしょう〕の教育を担当します。
『勧学田』を持っており、これで学生の給費(菜料・燈油料など)を賄ったようです。
学生は原則的に、五位以上の人の子弟や史部〔ふひとべ〕(=神祇・太政官のサカン)の子ですが、八位以上の人の子弟でも希望すれば入学を許されます。
★ 学問所は、「大学寮」の他に「陰陽寮」、地方諸国に置いた「国学」があり、その他に、諸家の建てた私立の学校にも公(おおやけ)の職員が定められていたようです。これらは大学寮内にあったりして、別館としての機能を持っています。
学科は「〜道」と呼ばれ、大学寮には、紀伝道、明経道、明法道、算道、の4道があります。
(大宝令の頃は、明経(その頃は経業と言っていました)、算、の他に、音、書、などもありました。)
中国史と中国の文章を学ぶ科です。
経書を学ぶ科です。
法律学科です。
算術学科です。
中国の字音を学ぶ科でした。
書法を学ぶ科でした。
左弁官局 → 式部省 → ▲ 大学寮
別当 ↓ 頭(1名) → 助 → 大允 → 大属 権助 少允 少属
文章博士(1名) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−→ 文章得業生 (紀伝博士) 文章生 擬文章生 博士(1名) → 助教(2名) → 直講(2名) → 明経得業生? (後世は明経博士) 明経生? 明法博士(2名) → 明法得業生(2名) 明法生(2名) 算博士(2名) → 算得業生(2名) 算生(30名) 音博士(2名) → 音生 書博士(2名) → 書生
※「得業生」「算生」「書生」などの「生」はいずれも[しょう]と読みます。みな「学生」です。
四部官(四等官・四分官)の上にあり、大学のことを取り扱います。
もとは上官(上の役所)である式部少輔が兼任していましたが、醍醐天皇の頃からは、親王や大臣が兼任するようになります。
【別当】=他の本来の任務とは別に事に当たる、の意です。
従五位上
正六位下
正七位下
従七位上
従八位上
従八位下
従五位下
正六位下
正七位下
正七位下
従七位上
従七位上
従七位上
学生〔がくしょう〕の『寮試〔りょうし〕』(=寮で行う年末試験)、「釈奠〔せきてん〕」(=孔子・顔回〔がんかい〕などを祭る儀式)を担当します。定員は1名。
紀伝・詩文を担当して教授する令外の官職です。特に才名のある人を選任します。定員は1名。
経書を教授する令外の官職です。後世になると、明経博士というようになります。定員は1名。
中原・清原の二氏の世業で、代々、大外記となってから任じられます。
明経博士を補佐して経書を教授する令外の官職です。経書に通じている人を選任します。定員2名。
明経博士・助教を補佐して経書を教授する令外の官職で、「毛詩〔もうし〕」「尚書〔しょうしょ〕」「左伝〔さでん〕」「礼記〔らいき〕」から出題される10問の試験に及第した人を任じます。定員2名。
法律を教授する令外の官職です。
後世は、中原・坂上〔さかのうえ〕の二氏の世業となります。
算術を教授する職です。
後世は、三善・小槻〔おづき〕の二氏の世業となります。
中国の字音を教授する職です。
書法を教授する職です。
※ これらの博士、助教・直講には職田が給付されます。(※「俸給」参照)
才器の認められる学生〔がくしょう〕で、文章道志望者がいるとします。
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大学頭の監督のもと、「史記」「漢書」から5問が出題され、3問以上に通じていれば及第。
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『擬文章生〔ぎもんじょうしょう〕』(略して『擬生〔ぎしょう/ぎそう〕』とも言います)に補されます。
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宣旨によって、上官(上の役所)の式部大輔・少輔が詩作を出題し(=『省試〔しょうし〕』)、文章博士と共に採点します。
この際の出題役は『問答博士〔もんどうはかせ〕』と言います。
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及第すれば『文章生〔もんじょうしょう〕』(『文人〔もんじん〕』『進士〔しんし〕』とも言います)に補されます。
(※ ここまでの学生には「菜料」「燈油料」などの給費が出ます。これを『学問料』『給料』などと言い、また、こうした給費学生を指しても『給料』と言います。)
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さらに詩作試験を受けます。
(※ この試験は「桂を折る」という表現もするようで、「燈油料が欲しいからまだ桂は折らないよ」てな感じに使います。由来は不明。桂は燈火と関係あるのかな?)
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及第すれば『文章得業生〔もんじょうとくぎょうしょう〕』(『秀才〔しゅうさい〕』『博士〔はかせ〕』とも言います)となります。
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『方略〔ほうりゃく〕の宣旨』を貰い、『方略試』を受験します。
『方略試』はこのルートを通った人が受験する官吏登用試験で、国政の根本テーマ....「なぜ中国の〜の時代には賢者が多く出たのか出なかったのか」といったことですが....に対する解答(方策)を『方略の策』という論文で提出するものです。
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及第すれば、叙位任官に預かることができます。つまり、学生の身分卒業、です。
明法・明経・進士・秀才などの難試験に及第した人を指して『成業の儒〔せいぎょうのじゅ〕』『大業の儒〔たいぎょうのじゅ〕』と言います。
[和憩団欒房(ブログ)]の方へ、文章道/紀伝道関連の補足をいただいています。そちらも併せてご参照ください(1999/09/25〜29の投稿)。