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【納言】=言を納める=下の言葉を上に奏上し、上の言葉を下に伝える、という意味で、言葉のパイプ役を務める職です。『ものまうすつかさ〔ものもうすつかさ〕』とも言います。
一般に「納言」とだけ言った場合には「大納言」「中納言」を指し、職掌がかなり異なる「少納言」は含みません。
通常、俸給は位階に対してのみ下されるもので、職に対する俸給は原則的にないのですが、「納言」へは特別に、職に対する俸給も支給されます。(※これについての説明は「予備知識」にある「俸給」の「上級官吏に与えられる俸給」という項を参照ください。)
上下の言葉の伝達役であり、大臣・中納言・参議と共に政治を会議し、敷奏〔ふそう〕や宣旨のこと、侍従、献替〔けんたい〕を担当、また、大臣のいない時には代行して「太政官」の政務を執り行います。(このうち、「侍従」の担当については、常に兼帯しているとは限らないようです。)
和名で『おほい〔おおい〕もの申す司』とも言います。
定員はちょこちょこ変わって、養老令では4名 → 705年には2名(代わりに新しく「中納言」を3名設けました) → 宇多天皇の代は「権大納言」一人を増員して3名 → 8名 → 後鳥羽天皇の代には6名となっています。(※ 南北朝以降は「権〔ごん〕官」だけになって、正員はなくなります。)
人数が多いので、首席の大納言は『一の大納言』、新任の大納言は『新大納言』、その他の大納言は姓を付けて「平大納言」「源大納言」のように呼び分けました。(では、同姓の人がいた場合、どうなったんでしょう(^^;? 実例があったかどうか調べてみる必要がありますが、おそらく兼任してる職や住まいに縁のある呼び名になっただろうと思います。)
『権〔ごん〕大納言』 =員外の大納言、の意で、「かずより外〔ほか〕の大納言」「かずの外〔ほか〕の大納言」などとも言います。
丞相(=大臣)に次ぐ、の意です。
天皇の命令の可否を検討し、上下の言葉のパイプ役ともなったことから言います。
705年、大納言が2名に減らされた際、代わりに置かれた令外の官職で、職掌は大納言と同じです。ただし、大納言のように、大臣の代行をすることはできません。
こちらも定員がちょこちょこ変わって、3名 → 10名 → 後鳥羽天皇の代には8名となっています。(※ 南北朝以降は「権〔ごん〕官」だけになって、正員はなくなります。)
この中納言までの職(大臣・大中納言)には、護衛・駆使のための資人〔とねり〕が俸給として付けられます。
ご存知「黄門さま」です(^^)
中国の秦・漢の職名で、宮門の闥〔とびら〕が黄色だったことから「黄門」といい、黄闥〔こうたつ〕(黄色い扉)の内側で仕事をしたから「黄門侍郎〔じろう〕」((((^^;とも言いました。
中納言に任じられるには、原則的に、以下のどちらかの条件を満たしていなければなりません。
文字通り「政治を参議する」ことから来る職名で、場合によっては「侍従」を兼帯することもあります。借字で「三木〔さんぎ〕」と書いていることもあるようです。
「参議」という職が正官として初めて置かれたのは 731年ですが、807年、それを廃止して六道(七道のうち西海道を除いたもの)に1名ずつ置く「観察使〔かんさつし〕」と改め、3年後の 810年嵯峨天皇の代に再度「参議」に戻して8名設置します。令外の官職のうちでは早い時期から置かれたものです。
通常、俸給は位階に対してのみ下されるもので、職に対する俸給は原則的にはないのですが、朝廷の要職であるということから例外的に、三位相当以上の職、及び「参議」は、職に対する俸給も特別に支給されたようです。(※これについての説明は「予備知識」にある「俸給」の「上級官吏に与えられる俸給」という項を参照ください。)
和名です。
※ 大臣を指す「おほいまうちぎみ」などと混同しないよう注意。
本来、「大臣」の唐名ですが、大臣と同様に(または大臣の如く)政治を参議することから、こう言ったのではないか、といわれます。
公文書には正式な「参議」という職名を署名しますが、通常は「宰相」と呼ぶことの方が多いようです。
人数が多いため、姓を付けて「平宰相」、近衛中将を兼ねていれば「宰相中将」、新任であれば「新〔しん〕宰相」というふうに呼び分けました。
やはり本来は、「大臣」の中国名です(「官職要解」によると、『白氏文集』では「三公」=「相公」としてあり、『文選』には「曹操は丞相(=大臣)である故に相公と謂う」とあるそうです)が、日本で、参議を「相公」と呼ぶのは「宰相公」の略ではないか、といわれているようです。
「相公」という呼び方を使うときには、小野篁〔たかむら〕=野〔や〕相公、大江音人=江〔ごう〕相公、三善清行=善〔ぜん〕相公、というふうに姓の一字だけを取って中国風に呼び分けます。
※太政大臣を指す「相国」、左右大臣を指す「相府」と混同しないよう注意が必要です。
定員8名だったことから来ています。やくらの[くら]も「座」の意です。
参議に任用されるには、原則的に、以下のいずれかの条件を満たしていなければなりません。
准大臣、権中納言、などと同様、一時的なものです。多くの場合、四位の人がなります。
これは職名ではなく、「参議ではないけれども参議であってもおかしくない人だよ」というニュアンスの言葉です。以下のいずれかを指します。