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中務省配下の大寮で(※時代によって小寮の扱いになっていることもあります)、『うちのくらのつかさ』とも言い、天皇の座所に近い倉庫を担当します。また、「内蔵」には雑物を納めてあるため、后入内や饗饌などの儀式の準備、装束のこと等、種々の用を勤めます。
『官職要解』に「大蔵は、内蔵に対する称で、雄略天皇の御代、神物を納める斎蔵〔いみくら〕と、御物を納むる内蔵との外に建てたのが始めである。」とあり、また「金銀、そのほかの品物を諸国より貢献したものは、まず大蔵省へ納め、それより内蔵寮の倉庫に分けて入れたのである。大蔵、内蔵は、履中天皇の頃、すでに分かれたことが『古語拾遺』に見えている。」とあります。
履中・雄略天皇とかの時代記述は鵜呑みにすべきではないと思いますが、参考までに。
左弁官局 → 中務省 → ▲ 大舎人寮 ▲ 図書寮 ▲ 内匠寮 ▲ 内蔵寮 ▲ 縫殿寮 △ 陰陽寮
頭(1名)→ 助(1名)→ 大允(1名)→ 大属(1名)→ 史生→ 寮掌→ 価長→ 使部→ 各種の職工 権頭(1名) 権助(1名) 少允(1名) 少属(1名)
従五位上(ときに従五位下)
正六位下(ときに従六位上)
正七位下(ときに従七位上)
従七位上
従八位上
従八位下(ときに大初位上)
金銀・珠玉・宝器・錦綾や天皇・皇后の装束、諸社に奉幣する料物のことなどを担当します。定員は1名。
天皇家の財や装束を扱う要職なので、はじめは、弁官・蔵人頭・近衛次将(中少将)など、前途有望な人を任用していましたが(本人ばかりでなく妻の身分までも問われたようです)、その後、御用の品が派手になって寮の入費が不足してくると、不足ぶんを自費で補うことのできるような収入の多い国司の兼任職となります。こんなわけで、内蔵頭は、自邸内に「御服所〔ごふくどころ〕」を設けて女工を置き、そこで裁縫させることもあったようです。
時代が下ると、山科・高倉の二家の世業となります。
市での交易・物価を管理担当する職です。買い上げ・払い下げの際の価格を定めるのも価長でした。
内匠寮の職工と同様、織手〔おりて〕、典履〔てんり〕、典革〔てんかく〕、その他、さまざまな職工があります。
いずれも倉庫を管理する役です。また、御倉町には「小舎人」という役があり、これも倉庫を担当するものです。(※蔵人所の「小舎人」も参照してみてください。)