［トップページ］ ［更新のお知らせ ( What's New )］ ［和憩団欒房(ブログ)］ ［参考文献リスト］ ［資源栞 ( リンク集 )］ ［官制大観総目次］ ［予備知識 総目次］［官制の沿革 総目次］［官職 総目次］ ［役所名５０音別索引］
［神祇官］ ［太政官］ ［八省］ ［職〔しき〕］ ［坊］ ［寮］ ［司］ ［監］ ［署］ ［台］ ［府］ ［所］ ［使］ ［外官］ ［下級職員・その他］

典薬寮

　−　目次　−

• 典薬寮
• 管轄（被官）
• 典薬寮職員構成
  • 典薬寮四部官（四等官・四分官）
    • 典薬頭
  • その他の職員
    • 侍医
    • その他の医者
    • 〜博士
• 付属施設

典薬〔てんやく〕寮

宮内省配下の小寮で、医薬を担当し、和名で『くすりのつかさ』とも言います。

宇多天皇の代に『内薬〔ないやく〕司』を吸収します。

『薬園』『茶園』『枸杞〔くこ〕園』『御井』『乳牛院』『明堂殿〔みょうどうでん〕』などの施設が付属しています。

●　管轄（被官）

　　右弁官局　→　宮内省　→　▲　木工寮
　　　　　　　　　　　　　　　△　大炊寮　→　供御院
　　　　　　　　　　　　　　　△　主殿寮
　　　　　　　　　　　　　　　△　典薬寮
　　　　　　　　　　　　　　　△　掃部寮

●　典薬寮職員構成

頭（１名）→　助→　大允→　大属→　史生→　寮掌→　使部
　　　　　　　権助　少允　　少属

　　　　　　　　　　　　　　　　　　乳牛院別当→　乳師預
　　　　　　　　　　　　　　　　　　侍医→　医師
　　　　　　　　　　　　　　　　　　権侍医

　　　　　　　　　　　　　　　　　　医博士→　医得業生
　　　　　　　　　　　　　　　　　　女医博士
　　　　　　　　　　　　　　　　　　針博士
　　　　　　　　　　　　　　　　　　針師
　　　　　　　　　　　　　　　　　　按摩博士
　　　　　　　　　　　　　　　　　　按摩師
　　　　　　　　　　　　　　　　　　呪禁博士
　　　　　　　　　　　　　　　　　　呪禁師
　　　　　　　　　　　　　　　　　　薬園師

●　典薬寮四部官（四等官・四分官）

　・　カミ

『頭〔かみ〕』

従五位下

　・　スケ

『助〔すけ〕』

従六位上

『権助〔ごんのすけ〕』

　・　ジョウ

『大允〔たいじょう／だいいん〕』

従七位上

『少允〔しょうじょう／しょういん〕』

従七位上

　・　サカン

『大属〔だいさかん〕』

従八位下

『少属〔しょうさかん〕』

大初位上

○　『典薬頭』

医薬診療、薬園管理を担当する職です。定員は１名。

医術に長けた人を任じますが、後には、和気〔わけ〕氏（垂仁天皇の皇子鐸石別命〔ぬてしわけのみこと〕の子孫を称す家）・丹波〔たんば〕氏（後漢霊帝の子孫を称す家・坂上〔さかのうえ〕氏の支流）の世職となります。

●　その他の職員

○　『侍医〔じい〕』

現代でも通用する侍医の言葉通りです。「内薬司」が典薬寮と合併するまではそちらに属していました。定員４名。

普段は『薬殿〔くすりどの〕』にいますが、天皇が殿上の間に出たときには「小板敷〔こいたじき〕」まで上がります。（※小板敷までなので『半殿上』の身分と表現するようです。）

下に「権侍医」「医師」があります。

○　その他の医者

「針師」「按摩師」「呪禁師」などがあります。

【呪禁〔じゅごん〕】＝悪気を払う「まじない」、呪文。

※　典薬寮以外でも、六衛府や木工寮・鋳銭司といった寮・司には「医師」がおり、「国医師」（詳細は不明）という職もあります。

○　〜博士

「医博士」「女医〔にょい〕博士」「針博士」「按摩博士」「呪禁博士」などがあり、学生〔がくしょう〕の教習を担当する技術教育職です。（【女医】＝婦人科、の意です。）

医博士は職田４町、針博士は職田３町を給付されます。（※「俸給」参照）

付属施設

『薬園』

薬草を栽培します。

『茶園〔ちゃえん〕』

お茶を栽培します。

『枸杞〔くこ〕園』

枸杞を栽培します。

『御井〔みい〕』

薬草を洗い製薬するための井戸です。

『乳牛〔にゅうぎゅう〕院』

別当・乳師預などの職がありますが、詳細は不明。

『明堂殿〔みょうどうでん〕』

「明堂図」（※どんなものか不明）を納めている所です。