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官職:司:

内膳司

(最終更新日:97.07.10

 − 目次 −




 

内膳司〔ないぜんし〕


宮内省の配下で、供御(=天皇の食事)の調理を担当します。和名は『うちのかしはで〔かしわで〕のつかさ』で、「内膳」は大膳職の「大膳」に対するものです。

いくつかの役所(進物所・御厨子所・贄殿)を内包しており、それぞれに別当以下の職があります。

また途中、同じ宮内省配下の『園池〔そのいけ〕司』を吸収しています。


 

● 管轄(被官)


  右弁官局 → 宮内省 → 大膳職〔だいぜんしき〕
               木工寮〔もくりょう〕
               大炊寮〔おおいりょう〕
               主殿寮〔とのもりょう〕
               典薬寮〔てんやくりょう〕
               掃部寮〔かもんりょう〕
               正親司
               内膳司 → 進物所
                     御厨子所
                     贄殿
               造酒司
               采女司
               主水司

 

● 内膳司職員構成


  内膳司:  別当
        ↓
        奉膳(1名)→ 典膳  → 膳部 → 令史→ 史生→ 使部
        正(1名)   筑摩御厨長
                江長(畿内5国に各々)
                網曳長(畿内5国に各々)

  進物所:  別当    → 預
                女官

  御厨子所: 別当    → 預   → 膳部 → 滝口(鵜飼・江人・網代)
                小預    所衆

  贄殿:   別当    → 蔵人  → 預

 

○ 『内膳別当』


大中納言の兼任職です。


 

● 内膳司四部官(四等官・四分官)


 ・ カミ

『奉膳〔ぶぜん〕

正六位上

『正〔かみ/せい〕

正六位上


 ・ スケ


 ・ ジョウ

『典膳〔てんぜん〕

従七位下


 ・ サカン

『令史〔さかん〕

大初位上


 

○ 『内膳奉膳〔ぶぜん〕』『内膳正』


どちらも内膳司のカミで、供御に関する一切(毒味も)を担当します。

もとは『正』はなく、高橋・安曇〔あずみ〕の2氏を『奉膳』として、この2名に管理を担当させましたが、その後、他氏からもカミを任じることになって『正』を置きました。
つまり「奉膳」は高橋・安曇の2氏に限られ(ただし、安曇氏は桓武天皇の頃に断絶しますので、最終的には高橋氏(のちの浜島氏)の世職となります)、その他の氏がカミを勤める際は「正」となります。

定員は(安曇氏が滅んだので)「奉膳」「正」各1名ずつです。


 

○ 『典膳〔てんぜん〕


『膳部〔かしわでべ〕』以下と共に調理を担当します。


 

釜殿(竃殿)〔かまどの〕・御膳所〔ごぜんどころ〕・料理所〔りょうりどころ〕


いずれも内膳司に属する建物です。

釜殿は「内膳屋〔ないぜんのや〕」とも言って、神代伝来という釜(「平野」「忌火〔いんび〕」「庭火〔にわび〕」)が据えてあり、里内裏へ移転する際などには必ず一緒にこれも移したようです。

主殿寮の釜殿(かなへ殿)の項も参照してみてください。


 

進物所〔しんもつどころ〕


こちらも供御を担当する役所で、内裏の内にあります。

別当は、公卿(=三位以上の人)、または近衛中少将の兼任職で、その下の預は奉膳が兼任します。

他に女官もあり、その長があって、これも別当と呼んだようです。


 

御厨子所〔みずしどころ〕


天皇の朝夕の食事、及び、節会の酒肴を担当する役所で、内裏内の後涼殿にあります。

別当は、四位以上の殿上人、または内蔵頭の兼任職で、その下の預〔あずかり〕民部大輔が兼任します(預は、のちには奉膳になるのとは別の高橋氏の世職となります。
ちなみに、奉膳になる高橋氏は磐鹿六雁命〔いわかむつかりのみこと〕の子孫を称す家、こちらの高橋氏は武内宿禰〔たけしうちのすくね〕の子孫です)。

また、時代が下ると小預〔こあずかり〕という職も置かれ、これは大隅氏の世職となります。

預の下に所衆〔ところしゅう〕、膳部〔かしわでべ〕があり、膳部の下に滝口〔たきぐち〕があります(武士の「滝口」と単語は同じですが、全く別のものです)。この滝口は漁師職で、鵜飼・江人・網代などの種類があり、それぞれに長もあったようです。


 

贄殿〔にえどの〕


諸国の貢産物を納める役所です。別当、蔵人、預〔あずかり〕といった職がありますが詳細は不明。





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