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[現代語訳「養老令」全三十編]

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付録:現代語訳「養老令」全三十編:

第八 戸令 全45条中01〜22条

(最終更新日:10.09.27

 − 目次 −




 

○01 為里条


戸は、50戸を以て里とすること。里ごとに長を1人置くこと。{職掌は、戸口を検校し、農桑を課し植えさせること。非違を禁察し、賦役を催し使役すること}。もし山谷の隔たりが険しく、位置が離れており、人口が少ない所には、便宜に従って考えて置くこと。


 

○02 定郡条


郡は、20里以下16里以上を以て、大郡とすること。12里以上を上郡とすること。8里以上を中郡とすること。4里以上を下郡とすること。2里以上を小郡とすること。


 

○03 置坊長条


京は、坊ごとに長を1人置くこと。4坊に令を1人置くこと。{職掌は、戸口を検校し、非盗を督察し、賦徭を催し使役すること}。


 

○04 取坊令条


坊令には、正八位以下の、明廉強直にして、時の政務に堪える者を採って充てること。里長・坊長には、いずれも白丁の清く正しく、強堅な者を採って充てること。もしその里・その坊に人材がなければ、比隣の里・坊より選び用いることを許すこと。{もし八位以下の者で、その意志があれば許すこと}。


 

○05 戸主条


戸主には、皆、家長を以てなすこと。戸の内に課口があるならば課戸とすること。課口がなければ不課戸とすること。{不課というのは、皇親、及び八位以上、男年16以下、また、蔭子、耆、癈疾、篤疾、妻、妾、女、家人奴婢をいう}。


 

○06 三歳以下条


男女は、3歳以下を黄とすること。16以下を小とすること。20以下を中とすること。男は、21を丁とすること。61を老とすること。66を耆とすること。夫がなければ寡妻妾とすること。


 

○07 目盲条


ひとつの目が盲目、両耳が聞こえない、手に2つの指がない、足に3つの指がない、手足に大きな親指がない、頭にできものができて髪が禿げ落ちている(白癬寄生性匍行疹やハンセン氏病による脱毛か)、久漏〔もるやまい〕(身体が腐り、そこから膿汁が出て止まらない病気。重度の痔瘻か)、下重〔げじゅう〕((男子の)陰核が張腫して歩行困難となる病気。陰嚢ヘルニアまたは陰嚢水腫)、大【《やまいだれ》+嬰】【《やまいだれ》+重】〔だいようしゅう/だいえいしゅう〕(【《やまいだれ》+嬰】は頸部の腫れもの(風土性甲状腺腫瘍の一種)、【《やまいだれ》+重】は足の腫れもの(象皮病)。その大きなものができている場合)、こうした類(の人)は、皆、残疾とすること。癡〔おろかひと〕(重度の精神発達遅滞)、唖(発語不能の言語障害)、侏儒(いわゆる小人症)、腰背部の骨折や脊髄損傷等による不自由がある、一支廃(1本の手足が不具)、こうした類(の人)は、皆、癈疾とすること。悪疾(=癩病。ハンセン氏病)、癲癇と精神異常、二支廃(2本の手足が不具)、両目が見えない、こうした類(の人)は、皆、篤疾とすること。


 

○08 老残条


老残(老丁・残疾)は、いずれも次丁とすること。


 

○09 五家条


戸は、皆、5家で相互に保(守)ること。1人を長とすること。以て相互に検察させること。非違をなすことのないこと。もし、遠くの来客が宿留することがあり、また、保内の人が行詣する所があるならば、いずれも、同保に話して知らしめること。


 

○10 戸逃走条


戸が逃走したならば、5保に追訪させること。3年以内に捕らえられなければ、計帳から除くこと。その土地は公に収還すること。収還までの期間は、5保及び三等以上の親類が、均分して耕作・収穫すること。租調は代行して輸すこと。{三等以上の親類というのは、同里に居住する者をいう}。戸の内の口が逃げたならば、同戸が代行して輸すこと。6年以内に捕らえられなければ、これもまた計帳から除くこと。その土地については、上記の法に準ずること。


 

○11 給侍条


年80及び篤疾には、侍を1人給付すること。90に2人。100歳に5人。皆、子孫を優先的に充てること。もし子孫がなければ、近親を採ることを許すこと。近親がなければ、外より白丁を採ること。もし同家の中男を採りたいと欲する者には、いずれも許可すること。郡領以下の官人は、しばしば巡察すること。もし供侍が法に適っていない場合は、便宜に従って推決すること。篤疾が10歳以下で、二等以上の親類があるならば、侍は給付しない。


 

○12 聴養条


子がない場合には、四等以上の親類の、子の世代に合致する者を養うのを許可すること。すぐに本属(本籍のある官司)に報告して、旧から除き新戸籍に附けること。


 

○13 為戸条


戸の内より、口を析出して、新しい戸を作りたいとの願いがあったとき、中男になっていない場合、及び、寡妻妾は、いずれも析出することはできない。分けるときには、この令は用いないこと。


 

○14 新付条


新たに戸籍に附けるときは、皆、保証を取り本籍のない理由を問うこと。逃亡や、詐り、なりすましでないことを確認し、しかる後に許可すること。先のものと 2ヶ所に本籍があるならば、本国(本来の国)に属すものと定めること。ただし大宰の部内、及び三越、陸奥、石城、石背等の国では、現住所に属すものと定めること。もしそれらの国の2ヶ所に本籍があるならば、先の本籍に属すものと定めること。法に依れば析分できない例であって、(争乱等による)失郷のために本籍より分けたり、事情に応じて合戸したりする場合は、また同様に処置すること。


 

○15 居狭条


戸は、土地の足りない郷に居て、余地のある(豊かな)所へ移り住もうと願うとき、国境を出ないならば、本郡に申牒〔しんちょう/しんぢょう〕(=上申)すること。当国が処分すること。もし国境を出るならば、太政官に申請して報せを待つこと。国郡は、閑の月に領送すること。付領し終えたならば、おのおの太政官に申告すること。


 

○16 没落外蕃条


外蕃(異国)に没落していた人が帰還したとき、及び、化外の人(異国人)が帰化するとき、所在の国郡は衣食を給付すること。状況をつぶさにして飛駅を発して申奏すること。異国人は、余地のある国の本籍に附けて安置すること。没落の人は、旧の本籍に属すこと。旧の本籍がなければ、任意の近親の籍に附けること。いずれも、食料を給付して逓送し、前所に達するようにすること。


 

○17 絶貫条


浮逃して籍が絶えた者、及び、家人奴婢、放されて良となった者が、もし良と訴え出て免れることができたならば、いずれも所在地の籍に附けること。もし本籍に帰還したいと願うならば許可すること。


 

○18 造計帳条


計帳を作るには、毎年6月30日以前に京国の官司は、所部の手実(=戸主自らの実状申告書)を請求すること。つぶさに家口、年紀(=年齢)を注記すること。もし全ての戸が郷になければ、すぐに旧の籍に依って転写すること。併せて居ない理由を顕わすこと。手実を収受し終わったならば、式に依って帳を作り、連署して、8月30日以前に太政官へ申し送ること。


 

○19 造戸籍条


戸籍は、6年に1度作ること。11月上旬より着手し、式に依って検討作成すること。里ごとに1巻とすること。全部で3通写すこと。つぎ目に皆、その国、その郡、その里、その年の籍と注記すること。5月30日までに終えること。2通は太政官に申し送ること。1通は国に留めること。{雑戸陵戸の籍は、さらに1通写して、それぞれ本司に送ること}。用いるところの紙・筆等の調度は、皆、当該の戸に出させること。国司は用いるところの量を計算して、臨時に斟酌すること。百姓を侵損することはできない。籍が太政官に到着したならば、いずれもまずすぐに納めて、その後検討せよ。もし増減を隠没して矛盾するところがあれば、状況に応じて推問すること。国が、錯失したと承認したならば、すぐに省籍に、つぶさに事の理由を注記すること。国もまた、帳籍に注記すること。


 

○20 造帳籍条


戸口については、帳籍を作るついでに、年齢を計算し、丁・老・疾に当たるとなった場合は、課役を徴し、または免除し、また、侍を給付すべき場合は、皆、国司自ら形状を審査して、以て簿に定めること。ひとたび定めて以後、さらに審査してはならない。もし詐欺の疑いありと疑わしい場合は、また事情に応じて見定めて、以て帳籍に附けること。


 

○21 籍送条


籍は、太政官に送る場合は、当国の調使に持たせて送ること。もし調を京に入れないならば、専用の使いを立てて送ること。


 

○22 戸籍条


戸籍は、常に5回分(=30年分)を保管すること。遠年のものは、次のものの作成に従って破棄すること。{近江の大津の宮の庚午の年の籍は破棄しない}。




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