− 目次 −
在京の文武の職事、及び、太宰、壱岐、対馬には、みな官位によって禄を給付すること。8月から正月に至るまでに、上日が120日以上ならば、春夏の禄を給付すること。正従一位に、【糸《いとへん》+施の旁】〔きぬ〕(あしぎぬ)30疋、綿30屯、布100端、鍬140口。正従二位に、【糸《いとへん》+施の旁】〔きぬ〕(あしぎぬ)20疋、綿20屯、布60端、鍬100口。正三位に、【糸《いとへん》+施の旁】〔きぬ〕(あしぎぬ)14疋、綿14屯、布42端、鍬80口。従三位に、【糸《いとへん》+施の旁】〔きぬ〕(あしぎぬ)12疋、綿12屯、布36端、鍬60口。正四位に、【糸《いとへん》+施の旁】〔きぬ〕(あしぎぬ)8疋、綿8屯、布22端、鍬40口。従四位に、【糸《いとへん》+施の旁】〔きぬ〕(あしぎぬ)7疋、綿7屯、布18端、鍬30口。正五位に、【糸《いとへん》+施の旁】〔きぬ〕(あしぎぬ)5疋、綿5屯、布12端、鍬20口。従五位に、【糸《いとへん》+施の旁】〔きぬ〕(あしぎぬ)4疋、綿4屯、布10端、鍬20口。正六位に、【糸《いとへん》+施の旁】〔きぬ〕(あしぎぬ)3疋、綿3屯、布5端、鍬15口。従六位に、【糸《いとへん》+施の旁】〔きぬ〕(あしぎぬ)3疋、綿3屯、布4端、鍬15口。正七位に、【糸《いとへん》+施の旁】〔きぬ〕(あしぎぬ)2疋、綿2屯、布4端、鍬15口。従七位に、【糸《いとへん》+施の旁】〔きぬ〕(あしぎぬ)2疋、綿2屯、布3端、鍬15口。正八位に、【糸《いとへん》+施の旁】〔きぬ〕(あしぎぬ)1疋、綿1屯、布3端、鍬15口。従八位に、【糸《いとへん》+施の旁】〔きぬ〕(あしぎぬ)1疋、綿1屯、布3端、鍬15口。大初位に、【糸《いとへん》+施の旁】〔きぬ〕(あしぎぬ)1疋、綿1屯、布2端、鍬10口。少初位に、【糸《いとへん》+施の旁】〔きぬ〕(あしぎぬ)1疋、綿1屯、布2端、鍬5口。{家令は1級降す。ただし、文学は降する限りにあらず。}秋冬もまたこのようにする。
禄は、春夏2季のは、2月上旬に給付すること{糸1【糸句】〔く〕を以て綿1屯に代えること}。秋冬2季のは、8月上旬に給付すること{鉄〔くろがね〕2廷を以て鍬5口に代えること}。
内舎人、及び、別勅により才伎を以て諸司に長上する場合は、みな当司の判官以下の禄に準じること{本人の位階がその官司の主典より上ならば、少判官に準じること。それ以外はいずれも大主典に準じること。}。
行守(官位相当していない職に任じられている場合)は、いずれも行守の所(任じられている職)により給付すること。もし1人が複数の官を兼帯しているならば、禄は禄の高いところについて給付すること。
禄を給付すべき官吏に、もし犯罪があって、除免官当すべき場合は、推劾されており科断を終えてない場合は、その禄の給付を停止すること。裁断が終わるのを待ち、校定して、しかる後に給付すること。私罪の下上、公罪の下中は、半年の禄を奪うこと。
初任の官吏は、勤務日数が規定に満たない場合でも、みな初任の禄を給付すること。
禄を奪うことは、半年分を徴収した場合には、60日を期限として提出し終えること。1年分を徴収した場合には、120日を期限として提出し終えること。もし期限内に恩に遭った場合、及び、別勅によって復任した場合は、いずれも徴収を免除すること。このとき給付にあたっては、復任の日から計算を開始すること。
兵衛は、6ヶ月中に、上日上夜がそれぞれ80日以上ならば、禄を給付すること。有位は大初位に準じること。無位は少初位に準じること。{授刀の舎人もまたこれに準じる。}
宮人に禄を給付する場合は、尚蔵は、正三位に準じること。尚膳、尚縫は、正四位に準じること。典蔵は、従四位に準じること。尚侍、典膳、典縫は、従五位に準じること。尚酒は、正六位に準じること。尚書、尚薬、尚殿、典侍は、従六位に準じること。尚兵、尚門(韋)は、正七位に準じること。尚掃、尚水、掌蔵、掌侍は、従七位に準じること。掌膳、掌縫は、正八位に準じること。典書、典薬、典兵、典門(韋)、典殿、典掃、典水、典酒は、従八位に準じること。それ以外の散事(=ここでは官位相当のない官職、ないしは分番(=交替勤務)を原則とする官職。※男官の散位(散官)とは別)について、有位は少初位に準じること。無位は布1端を減じること。{給付、徴収については、いずれも男に準じること。}
食封は、一品に800戸。二品に600戸。三品に400戸。四品に300戸。{内親王は半減すること。}太政大臣に3000戸。左右大臣に2000戸。大納言に800戸。{もし病気・親の喪・父母に侍する等の理由で解官した場合、及び、致仕(=定年退職)の人は半減すること。}正一位に300戸。従一位に260戸。正二位に200戸。従二位に170戸。正三位に130戸。従三位に100戸。これより下、五位以上は食封の例にない。正四位に、【糸《いとへん》+施の旁】〔きぬ〕(あしぎぬ)10疋、綿10屯、布50端、庸の布360常。従四位に、【糸《いとへん》+施の旁】〔きぬ〕(あしぎぬ)8疋、綿8屯、布43端、庸の布300常。正五位に、【糸《いとへん》+施の旁】〔きぬ〕(あしぎぬ)6疋、綿6屯、布36端、庸の布230常。従五位に、【糸《いとへん》+施の旁】〔きぬ〕(あしぎぬ)4疋、綿4屯、布29端、庸の布180常。{女は半減すること。}理由なく2年以内に上に仕えない場合は、給付を停止すること。中宮の湯沐に2000戸。東宮の1年の雑用料に、【糸《いとへん》+施の旁】〔きぬ〕(あしぎぬ)300疋、綿500屯、糸500【糸句】〔く〕、布1000端、鍬1000口、鉄500廷。
皇親は、年齢13歳以上ならば、みな時服料(衣服費用)を給付すること。春は、【糸《いとへん》+施の旁】〔きぬ〕(あしぎぬ)2疋、糸2【糸句】〔く〕、布4端、鍬10口。秋は、【糸《いとへん》+施の旁】〔きぬ〕(あしぎぬ)2疋、綿2屯、布6端、鉄4廷。{乳母を給付している王には、【糸《いとへん》+施の旁】〔きぬ〕(あしぎぬ)4疋、糸8【糸句】〔く〕、布12端。}
嬪以上は、いずれも品位に依って、封禄(品封・位封・位禄)を給付すること(女子半減の規定を適用しない)。春夏は、号禄(嬪・夫人・妃という号に対する季禄)を給付すること、妃に、【糸《いとへん》+施の旁】〔きぬ〕(あしぎぬ)20疋、糸40【糸句】〔く〕、布60端。夫人に、【糸《いとへん》+施の旁】〔きぬ〕(あしぎぬ)18疋、糸36【糸句】〔く〕、布54端。嬪に、【糸《いとへん》+施の旁】〔きぬ〕(あしぎぬ)12疋、糸24【糸句】〔く〕、布36端。{もし官帯しているなら(通常の季禄と)累計して給付すること。秋冬もまたこのようにする。(秋冬のぶんは)綿をもって糸に代える(糸24【糸句】〔く〕を綿24屯に代える)こと。}
五位以上は、功によって封を食んでいる場合、本人が亡くなったときには、大功は、半減して3世までに伝えること。上功は、3分の2減らして2世までに伝えること。中功は、4分の3減らして子に伝えること。下功は、得ることができない。
寺は、食封の例にない。もし別勅を以て仮に封じる場合は、この令に制約されない。{仮というのは5年以下をいう。}
令条以外で、もし特別に封じたり、増したりすることがあれば、いずれも別勅に依ること。