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[現代語訳「養老令」全三十編]

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付録:現代語訳「養老令」全三十編:

第二十三 廐牧令 全28条

(最終更新日:00.03.26

 − 目次 −




 

○01 廐細馬条


〔うまや〕では、細〔さいめ〕(=上馬)1疋、中〔ちゅうめ〕2疋、駑〔ぬめ〕(=下馬)3疋に、それぞれ丁(馬丁)を1人割り充てること。穫丁〔かくちょう〕(飼料を採る要員)はごとに1人。毎日、細には、粟1升、稲(=半糠米)3升、豆(=大豆)2升、塩2夕を与えること。中には、稲もしくは豆2升、塩1夕。駑には、稲1升。干し草はそれぞれ5圍。木の葉は2圍。{周3尺を圍とすること。}青草は(干し草の)倍にすること。みな11月上旬より干し草を与え始めること。4月上旬よりは青いものを与えること。乳牛には、豆2升、稲2把を与えること。乳を取る日に与えること。


 

○02 馬戸分番条


馬戸〔めこ〕は、(次丁以上が)分番して上下(=交替勤務)すること。調の草は、正丁に200圍、次丁に100圍、中男に50圍。


 

○03 官畜条


官畜〔かんきゅう〕(ここでは牧を除く馬寮の馬)を、脂〔あぶら〕・薬で療病させるについては、所司(左右馬寮)があらかじめ必要数を計算して、季ごとに1度支給すること。


 

○04 牧馬帳条


の長帳(の管理運営にあたる牧長と文書事務にあたる牧帳)には、庶人のうち、清幹で検校がつとまる人を取ること。外6位(以下の外位の人)、及び、勲位(ここでは勲七等以下)については、またここから取るのを許可すること。


 

○05 牧毎牧条


〔うまき〕には、ごとに長1人、帳1人を置くこと。群〔ぐん〕ごとに牧子〔ぼくし〕2人。牛は、みな100疋単位(2歳になって校印(=焼印作業)する以前の子は数に入れない)で群とすること。


 

○06 牧牝馬条


の牝〔めうま〕は、4歳で遊牝〔ゆびん〕(=交尾)すること。5歳で繁殖義務年齢に入れること。牝牛は3歳で遊牝すること。4歳で繁殖義務年齢に入れること。それぞれ母畜の数を100%として、毎年、子畜60%(の繁殖責任数)を(牧子に)課すこと。3歳で遊牝して駒を生んだならば、別に簿にして報告すること。


 

○07 毎乗駒条


牛について、(1群の繁殖責任数よりも)駒(=仔)2疋、犢〔こうし〕(=仔牛)3頭を超えるごとに、その牧子に稲20束を褒賞すること(20束を、牧子2人のうち、首の牧子の取り分:従の牧子の取り分が、2:1或いは10:9になるよう、また首従不明のときは均分に、分け与える)。の長帳(牧長と牧帳)には、管轄するところの群を通計して褒賞すること。


 

○08 死耗条


牛が死耗〔しこう〕(自然な死亡によって減少)したならば、毎年10%を減少許容数として論じること。病死は、周辺の私畜〔しきゅう〕と照らし合わせて、死亡率が同等であれば、病死として減少許容数の範囲とするのを許可すること。


 

○09 失馬牛条


にあって、官の牛を(誤って、或いは不当に)死亡させたならば、いずれも100日の期限を与えて(代替の牛を)探し求めさせること。期限までに捕らえられなければ、それぞれ失った当時の估価〔こけ〕(=相場価格)に準じて、(その価格を)10分して処分すること。7分は牧子から徴収すること。3分は長帳から徴収すること。欠員がある場合、及び死亡した場合には、ただ現在いる人の分を徴収すること。廐にあって(誤って、或いは不当に)死亡させた場合には、主帥〔しゅそち〕(=当番の馬部)は牧長に準じること。飼丁〔かうよほろ〕は牧子に準じること。失してまた得たならば、追徴した代価を返還すること。不当な扱いで死損させた場合は、もとの畜に準じた牛で徴収・填備させること。


 

○10 駒犢条


にある駒・犢〔こうし〕が2歳になったならば、毎年9月に、国司が牧長と共に現場に立ち合って、官の字の印(畜産印)を以て、左の髀〔ひ〕(=股の外側)の上に焼印すること。犢は右の髀の上に焼印すること。いずれも焼印をし終えたならば、つぶさに毛の色、歯歳(=年齢)を記録して、簿〔ふ〕(ここでは登録帳簿)を2通作成すること。1通は国に留めて案(=控え)とすること。1通は朝集使に持たせて太政官に申告すること。


 

○11 牧地条


の地は、つねに正月以後(2月以前)に、1面から順番に焼いていくこと。草が生えるまでに全てを完了させること。郷土の風土条件が普通と異なるところ、及び、(山林・竹林といった)焼くことのかなわない処は、この令を用いない。


 

○12 須校印条


を校印(=焼印作業)するときは、まず牧子をもって(その人員に)充当すること。それで足らなければ、国司が必要な人手の数を計算して、周辺に住む人を取って充てること。


 

○13 牧馬応堪条


について、乗用に堪える場合は、みな軍団に付けること。当団の兵士のうち、家が富裕で飼養に堪える人を選んで、(飼養者に)充てること。その人の上番(=軍団への交替勤務)、及び種々の駈使を免除すること。


 

○14 須置駅条


諸道に駅〔やく〕を置くについては、30里(約16km)ごとに1駅を置くこと。もし地勢が隔たっていたり険しかったりする場合、及び、水や草がない処であれば、便宜に応じて安置すること。里の数を限らない。乗具、及び蓑・笠等は、それぞれ置いているの数に準じて備えること。


 

○15 駅各置長条


駅には、それぞれ長を1人置くこと。駅戸〔やくこ〕のうちの家口〔けく〕の富裕で丈夫な人を任用すること。1度置いて以後、ずっと長く仕えさせること。もし死亡した、老いた、病気になった、及び、家が貧しくて任に堪えないようなことがあれば、立て替えること。交替する日に、及び鞍具が(正当な理由なく)不足していたならば、いずれも前任者から徴収すること。もし辺境地域で、蕃賊に掠奪され、力で制圧できる状態でなかった場合は、この令を用いない。


 

○16 置駅馬条


諸道に駅馬〔やくめ〕を置くについては、大路(太宰府までの山陽道)に20疋、中路(東海道・東山道)に10疋、小路(その他の道)に5疋。使が稀にしか訪れない処は、国司が考慮しておくこと。必ずしもすべて足りている必要はない。みな筋骨強壮なものを取って充てること。ごとにそれぞれ(駅戸の)中中の戸に飼養させること。もしを欠失することがあれば、駅稲を使って買い替えること。伝馬〔でんめ〕は郡ごとに各5。みな官のを用いること。もし無ければ、当処(=その郡)の官物を使って買い充てること。総じて家が富裕で兼丁(=2人以上の正丁・中男)がある人を選んで預けること。飼養して、(国司の赴任や罪人の移送などの)送迎に供させること。


 

○17 水駅条


水駅〔すいやく〕について、を配置しない処は、繁閑を考慮して、駅ごとに船4隻以下、2隻以上を置くこと。船(の数)に応じて丁を配置すること。駅長は陸路に準じて置くこと。


 

○18 乗駅条(または騰過条)


駅、及び、伝馬に乗って、前所(=次の駅ないし郡家)に到着し乗り換えることについて、いずれも(乗り換えずに)通過してはならない。(乗り換えの)がない処については、この令を用いない。


 

○19 軍団官馬条


軍団の官〔かんめ〕は、本主〔ほんじゅ〕(=そのの飼育にあたっている兵士)が、郷里の近辺10里(約5km)以内で調教したいと願ったなら許可すること。家にあって不当に死失させてしまった場合は、(本主が)60日以内に備え替えること。死亡したり、家が貧しくて用意できない場合は、この令を用いない。


 

○20 駅伝馬条


駅伝馬は、毎年国司が点検すること。甚だしく老いている、病気であるなど、乗用に堪えないことがあれば、便宜に応じて貨売〔けまい〕(=貨財と交換で売却)すること。そうして得る対価がもし(新しいを買うのに)足りなければ、駅馬は駅稲を添え(て買い換え)ること。伝馬は官物で買い換えること。


 

○21 公使乗駅条


公使が、駅及び伝馬に乗るにあたって、もし足りなければ、私〔しめ〕を充てること。私が、公使によって死亡した場合は、(正当な理由のあるなしに関わらず)官が(官をもって)補償すること。


 

○22 乗伝馬条


官人が伝馬に乗って使に出た(すなわち、公用の旅)ならば、(通過・)到着する処(の郡家)は、みな官物を用いて(食料・宿等を)供給すること。駅使には3駅ごとに供給すること。もし(駅と駅の間の)山が険しく間隔が遠く離れている処では、駅ごとに供給すること。


 

○23 国郡条


国郡が拾得した闌畜〔らんきゅう〕(=放れ牛)は、みな当界(=その郡内)の中で主を探させること。もし2季を経るまでに主の確認がなければ、まず伝馬に充てること。もし余りがあるならば売りに出すこと。得た対価は官に入れること。在京の場合は、2季を経るまでに主の確認がなければ、売りに出すこと。得た対価は贓贖司〔あがもののつかさ〕に送ること。後に主の確認があった場合、調査して事実であるとわかったならば、その元の値を返還すること。


 

○24 闌遺物条


闌遺〔らんい〕の物(=拾得物)は、5日以内に所司(具体的な届け出先は捕亡令第15条「得闌遺物条」で規定)に届け出ること。贓畜〔ぞうきゅう〕(=六贓の牛=不法に入手された家畜類)は、贓畜を入れるべき相手が決定していないときは、在京の場合は京職に預けること。決定した日に、もし没官〔もっかん〕(=官に没収)すべき場合は、売りに出すこと。在外の場合は前の条に準じること。


 

○25 官私馬牛条


官私の牛の帳(駅馬帳・百姓馬牛帳・兵馬帳など一国内の種類別の馬牛帳)は、毎年、朝集使に預けて、太政官に送ること。


 

○26 官馬牛条


官の牛が死んだならば、それぞれ、皮・脳〔なづき〕(=馬の脳髄)・角・胆〔い〕(=牛の胆嚢)を取ること。もし牛黄〔ごおう〕(=病気の牛の胆に生じる一種の結石で、薬として特に珍重された)を得たならば、別にして進上すること。


 

○27 因公事条


公事によって官私の牛に乗って、正当な理由があって死なせてしまった場合、(それが目撃者の)証言によって明らかであれば、いずれも徴収を免除すること。皮宍〔かわしし〕(=皮と肉)は所在の官司が売りに出すこと。その代価を本司(その牛が所属していた国郡司または駅)に送納すること。もし不当な理由で死失したならば、(その官人から、牛の元の値から皮宍の代価を引いた差額を)徴収すること。


 

○28 官畜条


官畜が、道中、病み疲れて前に進めなくなった場合は、留めて付近の国郡に預け、飼養し救療させること。草及び薬は、官が支給すること。癒えたならば、専使を発遣して所司に送り還すこと。死んだ場合は、当処の公用に充てること。




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