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付録:現代語訳「養老令」全三十編:

第二十八 捕亡令 全15条

(最終更新日:00.03.26

 − 目次 −




 

○01 囚及征人条


〔しゅ〕(=収監されている人。被疑者・告発者を含み、犯罪の有無を問わない)・征人〔しょうにん〕(=征討軍に従う人)・防人〔ぼうにん/さきもり〕衛士〔えじ〕・仕丁〔じちょう/しちょう〕・流・移(=移郷)の人が逃亡したとき、及び、寇賊〔こうぞく〕に入った(=謀反を実行した)ならば、最寄りの官司に届け出ること。逃亡者の現住所ないし本籍地、及び、逃亡地点の隣接国郡に告げて追捕〔ついぶ〕すること。報告を受けた処は、さらにその郷里(=生まれ故郷)・隣保〔りんほう〕(=四隣五保=いわゆる隣り組)に(命令を)下して、捜索・捕捉させること。捕捉したならば、本司(征人なら行軍所・防人なら防人司・流移人なら配所を管轄する国司、など)に送って法により刑を科すこと。逃げられた処も捕捉した処も(?)、いずれも太政官に報告すること。


 

○02 有盗賊条


盗賊が発生した、及び、殺人傷害が起こったならば、すぐに最寄りの官司・坊里に通報すること。通報を聞いた処は、付近の兵〔つわもの〕及び人夫を率いて、発生地点から跡を探って直ちに追捕すること。もし(賊が)別の処が管轄する隣接地域に潜入したならば、それらの地域と共同で追捕すること。もしさらに他の地域へ潜入したならば、そこを管轄する官司と話し合って逃亡経路を量ること。(見当を)付け終わったならば、隣接地域の人の帰還を許可すること。発生地点(の官司)が使っている人は、逃亡経路が判明するのを待つこと。逃亡経路が不明となった地点を管轄する官司は、さらに詳しく捜査すること。もし賊が、甲の地域に住み乙の地域で傷盗した場合、及び、屍が2つの地域の境界上にあったならば、両地域が話し合って共同で追捕すること。もし犯人であるとの明白な証拠を得られなかった場合は、(自白させるために)拷問を加えてはならない。


 

○03 追捕罪人条


罪人を追捕するとき発する人夫・兵は、みな事情に応じて(人数を)検討すること。遂行達成可能な人数にすること。その地域に軍団があるならば、互いに連絡を取り合って(罪人を)討撲すること。もし独力で制することができなければ、近隣の国郡に告げること。報告を受けた処は、はっきりと事実を把握して、すぐ兵を発し連絡を取り合って(罪人を)排除すること。馳駅〔ちやく〕して申奏すること。もし(助力を求められた国郡が、迅速な活動を)怠り遅れて機急に赴かず、賊の逃亡を成功させるに至った場合、及び、追討して捕らえられなかった場合、当処は事状を記録して奏聞すること。賊を捕らえた・捕らえなかった国郡軍団について、みな考に附けること。


 

○04 亡失家人条


家人奴婢・雑畜・貨物を紛失したならば、みな官司に届け出て案記〔あんぎ〕(=書類として記録)すること。もし拾得されたとき、証拠書類がはっきりしていれば、みな本主に返還すること。


 

○05 糺捉盗賊条


盗賊を告発・捕捉したならば、(盗賊から)徴収する倍贓〔ばいぞう〕(=正贓〔しょうぞう〕(=盗品などの不法所有物)に加えて徴収する盗品と同価値の財物)は、みな告発・捕捉した人に報賞すること。家が貧しく徴収すべき財物がない場合、及び、法によって倍贓を徴収できない場合は、いずれも差し押さえた正贓を計算して、5分の2を告発・捕捉した人に報賞すること。官人が職務外で告発・捕捉した場合、並びに、共に盗みをしたり、事情を知って(いながら罪を隠匿して)いた人が自首・告発したならば、また報賞の例に依ること。


 

○06 有死人条


死人があって、身元不明の場合は、最寄りの官司に報告して突きとめること。当該地域に埋葬して、【片旁】〔ぼう〕(=木標)を上に立てて、その年齢・性別・人相・所持品等を書いて、家族を探させること。


 

○07 官私奴婢条


官私の奴婢(官奴婢私奴婢)が逃亡して、1ヶ月以上経過して捕捉したならば、(持ち主が捕捉者に、その奴婢の価値の)20分の1を報賞すること。1年以上ならば、10分の1を報賞すること。年齢70歳以上、及び、【《やまいだれ》+隆】〔りゅう〕疾(=癈疾〔はいしつ〕以上)で使役することができない人について、また併せて、奴婢が逃げて前主に捉えられたとき、及び、関津が捕捉したならば、報賞もそれぞれ半減していくこと。もし奴婢が(幼いなどの理由で、自分の)主を知らなければ、【片旁】〔ぼう〕(=木標)を立てて(公示して主を)呼び出すこと。1年以内に(主が)認識されることがなかった場合は、判定して官に入れる(=公奴婢とする)こと。(捕捉者への)報賞は官が酬いること。もし主が認められたならば、報賞の値を徴収して返還すること。


 

○08 捉逃亡条


逃亡の奴婢を捕捉したならば、5日以内を期限として最寄りの官司に送ること。取り調べてそれが事実であれば、(奴婢の)価値を評価計算して、令に依って徴収・報賞すること。捕捉者が直接本主に送りたいと希望したならば任意にすること。もし官司に送って、現在、本主がいない場合に、報賞すべきならば、10日以内は、捕捉者に(奴婢の)食糧を送らせること。もし捕捉者を報賞できない場合、及び、10日以上主が現れない場合は、いずれも官が(奴婢に)食糧を支給すること。(奴婢の)能力に応じて固役〔こやく〕(=禁固して使役)すること。


 

○09 逃亡奴婢条


逃亡の奴婢を捉えて、官に送る前、(5日の)期限内に死失したならば、(死なせた)罪を許し報賞はしない。すでに官司に引き渡して、本主に渡さないうちに、さらに(奴婢が)逃亡して、(別の捕捉者が)重ねて捉え送ったならば、報賞を3分して、1分は前に捉えた人に与え、2分は後に捉えた人に与えること。もし(官司から)逃げて主家に帰ったならば、なお(官司から逃走しなかった場合の報賞の)半額を(本主から)徴収し、(捕捉者に)与えること。


 

○10 逃亡奴婢条


逃亡の奴婢が、死罪を犯して、誰かに捉え送られたとき、恩に会って死を免除し、官・主に返還されたならば、令に依って徴収・報賞すること。もしそのまま死刑に処せられた場合、及び、賤を解放してにされたならば、(捕捉者への)報賞を徴収しない。


 

○11 平奴婢価条


逃亡の奴婢の値を評価計算することについて、みな奴婢(当人)をもって、官司にて評価すること。もし60日経過するまでに、酬うべき報賞が(用意でき)なければ、本主が捕捉者とともに(奴婢を)売却し、それを分けて報賞させること。


 

○12 訴良人条


奴婢であると訴え、官司に到着する前に誰かに捉え送られた場合、事情を追求検討して、であると訴えようとしたことが事実だとわかったならば、(結果的に敗訴し)良身分への回復がなかったとしても、みな報賞してはならない。


 

○13 博戯条


博打で賭けた財物について、その席に存在する物(牛のようなものはその場になくても在席扱い)、及び、賭場を開き、寺銭〔てらせん〕(=賭場の参加賃)を取って得た物について、誰かに告発されたならば、その物はことごとく告発した人に報賞すること。物を賭けた人、及び、寺銭を取り賭場の胴元となっている主人が、潔く自首したならば、また報賞の例に依ること。官司が逮捕したならば、半減して報賞すること。残りは没官(=官に没収)すること。ただし、賭けによって財物を得た人が自首した場合は、報賞の範囲にない。その物はことごとく没官すること。


 

○14 両家奴婢条


2つの家の奴婢が、共に逃亡して交わって男女を生んだならば、いずれも母方(の主)に属させること。盗まれた奴婢を、事情を知っていて買い、(自分の)奴婢に充てたならば、生まれた男女は、みな本主(もとの持ち主)に入れること。{事情を知らなかった場合は、母方に入れること。}


 

○15 得闌遺物条


遺失物を拾ったならば、みな最寄りの官司に送ること。市に在って拾ったならば、市司に送ること。衛府が巡回していて拾ったならば、それぞれの本衛へ送ること。拾った物はみな門の外に掛けること。持ち主が名乗り出たならば、書類を確かめて保証人を立てて返すこと。書類がない場合でも、証拠がはっきりとして明白であるならば、またこれに準じること。30日が経過するまでに、持ち主が名乗り出なければ、(門外に掛けておいた遺失物を)収納すること。遺失物の種類・形状を記録して、門に【片旁】〔ぼう〕(=目標を立てて公示)すること。1年を経過するまでに名乗り出る人がなければ、没官(=官(贓贖司)に没収)すること。帳簿に記録し、官(太政官(?))に上申して処分方法を聞くこと。没官の後に、現物が存在していて、持ち主が現れ名乗り出たとき、証拠がはっきりしているならば、返還すること。




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