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付録:現代語訳「養老令」全三十編:

第二十七 関市令 全20条

(最終更新日:00.03.26

 − 目次 −




 

○01 欲度関条


関を越えたいと願ったならば、みな本部(=居住地の国郡)・本司(=所属官司、及び、京職)に告げて、過所(=通行許可証)を申請すること。官司は検討し、然る後に判給すること。帰りには(?)、来文〔らいもん〕(=往きの過所)に(帰り用の(?))申請書を添えて検討し給付すること。もし来文の他に付加事項があるならば、実情を検討して許可すること。(過所を発行した官司は)日別にまとめて案(控え)とすること。もしすでに過所を得ており、理由があって30日出かけない場合は、元の過所をもって申請し、あらためて給付すること。もし道中、何か事情があれば、最寄りの国司に報告すること。(国司は)詳しい事状を関に送ること。所部でない(=管轄外である)としても、来文があればまた給付すること。もし船・筏で関(ここでは長門と摂津)を経由するときは、また過所を申請すること。


 

○02 行人出入条


旅行者が、関・津を出入したとき、みな到着順をもって先後とすること。停滞してはならない。


 

○03 行人度関条


旅行者が関を越えたならば、みな過所に記載されている関名によって確認許可すること。もし行く(はずの)所でなく、別の異なる関に向かったならば、関司〔げんじ〕は便宜を図って(?)その入出を許可することはできない。


 

○04 齎過所条


旅行者が、過所を携え、及び、駅伝馬に乗って、関を出入したならば、関司は確認許可して、過所または官符を写して控えを作ること。実際の過所、及び、駅鈴・伝符は、いずれも旅行者に渡して、自ら携行させること。駅鈴・伝符は、年末に目録を作って、太政官に申し送って、総検査すること。


 

○05 丁匠上役条


丁匠が上役するとき、及び、庸調の脚〔よほろ〕(=運脚)が関を越えたならば、みな本国の歴名〔りゃくみょう〕(=名簿)に拠って、ともに送ったところの使(つまり丁匠や運脚)を確認して通過許可すること。役を務め終えて帰還するときには、はじめ来たときの姓名・年齢を調べて、同一人物であれば帰還を許可すること。


 

○06 弓箭条


弓箭兵器は、いずれも(本邦以外の)諸外国と交易してはならない。東辺北辺(つまり蝦夷と接する辺境)には鉄冶〔てつや〕(=鉄の精錬所)を置いてはならない。


 

○07 蕃客条


異国の使節が初めて関に入ったときには、所持している物があれば全て、関司が、使節の接待を担当する官人とともに、つぶさに記録して、所司(治部省)に報告すること。1つの関に入れて以後、それ以上検査してはならない。もし関のない処であれば、初めて国司に報告する場合も、またこれに準じること。


 

○08 官司条


官司が交易するよりも前に、私的に(本邦以外の)諸外国と交易してはならない。通報者があって品物を取り押さえたならば、その物を二分して、ひとつは通報者に賞すこと、ひとつは没官する(=没収して官物にする)こと。もし官司がその所轄内で摘発押収したならば、みな没官すること。


 

○09 禁物条


禁物〔きんもつ〕(=国外持出禁止品)は、国境から持ち出してはならない。もし異国の使節が入朝して、別勅で賜ったものは、国境から持ち出すのを許可すること。


 

○10 関門条


関門は、いずれも日の出に開くこと。日の入りに閉じること。


 

○11 市恒条


市は、恒に午の時(正午を挟んでの前後2時間)に集まること。日の入り前に、鼓〔つづみ〕を3度撃って解散すること。{毎度、各9回打つこと。}


 

○12 毎肆立標条


市は、肆〔いちぐら/し〕(=商品を陳列する場所=売場・店舗)ごとに標を立てて行名〔ぎょうみょう〕(=取扱商品名。絹肆、布肆など)を記すこと。市司は、商品の時価に準じて(上中下の)3等級を作ること。10日に1簿〔ふ〕(実売価格の記録)を作ること。市に在って案記すること。季ごとにそれぞれ本司(左右京職)に報告すること。


 

○13 官私交関条


官が私と交易するとき、(銭以外の)物をもって対価としたならば、(その物の値は)中等の価格に準じること。その場に存在しない贓物〔ぞうもつ〕(=盗品などの不法所有物)の価格を評定する場合も、またこのようにすること。


 

○14 官私権衡条


官私の権衡〔ごんこう〕(=さお秤)・度(=物差し)・量(=ます)は、毎年2月に、大蔵省に行って精度検査をすること。京でない場合は、所在の国司に行って精度検査をすること。然る後に使用を許可すること。


 

○15 用称条


〔しょう〕(=天秤)の使用にあたっては、みな格〔きゃく〕(=横木に物を掛け下げる道具)に掛けること。斛〔こく〕(=容量1斛のます)の使用にあたっては、概〔がい〕(=とかき/ますかき)を使うこと。粉麺〔ふんめん〕(=米紛・麦紛)は称にかけること。


 

○16 売奴婢条


奴婢を売る場合には、みな本部(=居住地)の官司に報告して、(売渡証文を書いて)保証を取り、立券して(=官司の判署した正式の証文を作って)、価格を付けること。{馬牛は、ただ保証だけを請求して、(官司の判署を要しない)私券を立てること。}


 

○17 出売条


販売するものについて、粗悪品(欠陥品や名目と異なる品質のまがい物)を売ってはならない。横刀・槍・鞍・漆器の類は、それぞれ製作者の姓名を記銘すること。


 

○18 在市条


市に在って商売するとき、男女は坐〔ざ〕を別にすること。


 

○19 行濫条


粗悪品(欠陥品や名目と異なる品質のまがい物)を交易したならば、没官(=官に没収)。寸法が公定規格に足りない物の場合は、持ち主に返すこと。


 

○20 除官市買条


官が購入する場合を除いては、みな市に於いて交易すること。(たとえ市の中であっても、他の肆(=売場・店舗)などに)居ながらにして、物主を呼びつけ、時価に違背した値段を付けてはならない。官私に拘わらず、互いに時価を付けること。時価とかけ離れた値段を付けてはならない。




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