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口分田の班給は、努めて身近な至便なところにすること。隔越してはならない。もし国郡の区画変更が原因で、地が他の境に入れられたり、また、ばらばらに入り組んだりした場合には、従来の区画を元に受給するのを許可すること。在所に田がなければ、離れた郡で受給するのを許可すること。
田は、6年に1度班給すること{神田、寺田は、この限りにあらず}。もし死亡を以て田を退いた者については、次の班年に至るごとに、すぐ収公すること。
公に返還する田は、皆、主が自ら量って、1段として返還させること。削ったり重ねたりして割き返してはならない。前から削られたりしていたのならば許可すること。
班給にあたっては、班給の年ごとに、正月30日までに太政官に申告すること。10月1日より開始し、京国の官司が、あらかじめ検討して簿を作ること。11月1日になったならば、受給者を全て集めて、対面して同時に受給すること。2月30日までに終わらせること。
田の受給にあたっての優先順位は、先に課役に、その後で不課役に。先に無いものに、その後で少ないものに。先に貧しい者に、その後で富める者に。
田が交錯することがあって、両主が交換したいと求めたならば、本部に報告し、判定して、田簿から除附するのを許可すること。
官人百姓は、いずれも田宅園地をもって、捨施し、また、売易して、寺に与えるてはならない。
官戸、官奴婢の口分田は、良人と同じ。家人、私奴婢は、郷の寛狭に応じて、いずれも3分の1を班給すること。
田が、水によって侵食された場合、旧の水流が変化し、新たに耕作可能な土地が出現した場合は、まず侵食された家に班給すること。
荒廃して3年以上になる公私の田を借佃しようという者がある場合、官司に報告し、判決を受けて借りること。隔越している場合でもまた許可すること。私田は3年経ったら主に返還すること。公田は6年経ったら官に返還すること。満限日に、借りた人の口分田が足らない場合、公田であれば、そのまま口分田に充当するのを許可すること。私田はそうしてはならない。官人が、所部の境界内に空閑地があり、耕作を願ったならば、任意に営種するのを許可すること。交替、解官の際は、公に返還すること。
係争中の田について、判決によって得たとき、後に改判したとしても、それまでに耕したり植えたりしていたならば、苗は植えた人に入れること。耕したけれども植えてはいない場合には、その功力(耕作の労力)を報いること。断決を経過しないまま、強いて耕したり植えたりしたものならば、苗は地判に従わせること。
在外の諸司の職分田は、大宰の帥に10町。大弐に6町。少弐に4町。大監、少監、大判事に2町。大工、少判事、大典、防人の正、主神、博士に1町6段。少典、陰陽師、医師、少工、算師、主船、主厨、防人の佑に1町4段。諸々の令史に1町。史生に6段。大国の守に2町6段。上国の守、大国の介に2町2段。中国の守、上国の介に2町。下国の守、大上国の掾に1町6段。中国の掾、大上国の目に1町2段。中下国の目に1町。史生は前述の如く。
郡司の職分田は、大領に6町。少領に4町。主政、主帳に各々2町。狭郷は、(事情に応じるものとし、)当然のようにこの数を満たしてはならない。
駅田は、みな駅に近いものから班給すること。大路に4町。中路に3町。小路に2町。
在外の諸司の職分田は、交替以前に植えたものは前の人に入れること。もし前の人が自ら耕したけれども植えてはいない場合は、後の人は、その功直に報いること。闕官の田は、公力を用いて営種すること。その際にある当年の苗子(作物と実)は、新人が到着した日に、数に依って給付すること。
外官は、新任で到着したならば、秋の収穫に及ぶ頃までに、式に依って給粮を給付すること。
畿内に官田を置くにあたっては、大和、摂津に各々30町。河内、山背に各々20町。2町ごとに牛1頭を配給すること。牛は1戸に1頭飼養させること{中中以上の戸をいう}。
官田は、丁役(労働(?))したところについては、宮内省は、毎年あらかじめ、来年に植えるところの種類、及び、町段の多少に応じて、式に依って功を量って、太政官に申告して支度・配当すること。上役(役目を終える日(?))には、国司が、役月の閑要に応じて、事情を裁量して(駆使の者などを)派遣配当すること。田司は、年ごとに交替すること。宮内省は、年の終わりに、収穫の多少を校量して、考課評定すること。