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付録:現代語訳「養老令」全三十編:

第七 僧尼令 全27条

(最終更新日:00.03.26

 − 目次 −




 

○01 観玄象条


僧尼が、天文の玄象を観察し、偽りの災祥を説き、語ること国家天皇に及び、百姓を妖惑し、併せて、兵書を習読し、人を殺し、性交し、盗み、また、詐って聖道を得たと称したならば、律に依って、俗人として官司に付して、罪を科すこと。


 

○02 卜相吉凶条


僧尼が、吉凶を占い、また、まじないや巫術によって病を癒したならば、皆、還俗とする。仏法に依って、持呪して病を救うは禁止の限りにあらず。


 

○03 自還俗条


僧尼が自ら還俗したならば、三綱の場合はその貫属(出家以前の本籍)に記録すること。京にある者は僧綱に報告し、その他は国司に報告すること。また、治部省民部省に申告して僧尼名籍から除籍し、戸籍に付けること。もし三綱及び師主が隠して申告しないまま30日以上が経過したならば50日苦使する。60日以上ならば100日苦使する。


 

○04 三宝物条


僧尼が三宝物を官人に贈答し、もしくは、徒党集団を構え、徒衆を擾乱し、また、三綱を罵り辱め、長宿(=長老宿徳)を犯し欺いたならば、100日苦使する。もし集まって事を論じた際に、正直な語り口で、理を以て陳述し諫めた場合にはこの限りにあらず。


 

○05 非寺院条


僧尼が、寺の院に所在せずに、別に道場を立てて、衆を集めて教化し、併せて、妄りに罪福を説き、また、長宿を殴撃したならば、皆、還俗とする。国郡の官司が、知っていながら禁止しなかったならば、律に依って罪を科すこと。乞食する者があった場合、三綱は連署して、国郡司に報告すること。精進練行であるということを存知ている場合には、判決で許すこと。京内では玄蕃寮に報告して知らしめること。午刻以前に、鉢を捧げて告げ乞うこと。これ以外では、物乞うことはならない。


 

○06 取童子条


僧については、近親郷里より、信心の童子を取って供侍することを許すこと。童子の年が17に至ったならば、各々、本色(元の身分)に還すこと。尼については、婦女のその意志がある者を取ること。


 

○07 飲酒条


僧尼が、酒を飲み、肉を食い、五辛を服したならば、30日苦使する。もし疾病の薬分として用いるならば、三綱はその日限を給すること。もし酒を飲んで酔い乱れ、また人と闘打したならば、各々還俗とする。


 

○08 有事可論条


僧尼は、有事に論ずべからず。所司を経由することなく安易に表啓を奉り、また、官家を擾乱し、妄りに嘱請したならば、50日苦使する。再犯ならば100日苦使する。もし官家及び僧綱が、断決に不平があり、理に屈滞することがあって、申論すべきことがあるときには、この限りにあらず。


 

○09 作音楽条


僧尼は、音楽を作り、また博打をしたならば、100日苦使する。碁・琴は規制の限りにあらず。


 

○10 聴着木蘭条


僧尼には、木蘭・青碧・皀・黄及び壊色等の色の衣の着用を許可すること。それ以外の色、及び、綾、羅、錦、綺は、いずれも着用してはならない。違反したならば、それぞれ10日苦使する。安易に俗衣を着けたならば100日苦使する。


 

○11 停婦女条


寺の僧房に婦女を泊め、尼房に男夫を泊めて、1宿以上を経たならば、その由来するところの人を10日苦使する。5日以上ならば30日苦使する。10日以上ならば100日苦使する。三綱が知っていて許したならば由来するところの人と罪を同じくする。


 

○12 不得輙入尼寺条


僧は、安易に尼寺に入ってはならない。尼は、安易に僧寺に入ってはならない。師主を観省し、また、死病を看問し、斎戒、功徳、聴学することがあるならば許可すること。


 

○13 禅行条


僧尼は、禅行修道があり、寂静を願う意志があり、俗に交わらずに山居を求めて服餌(神仙不死薬を服用すること)しようかと欲したならば、三綱は連署すること。在京の場合は、僧綱・玄蕃寮に報告すること。在外は、三綱・国郡に報告すること。真実を検討し記録し、太政官に申告して、判定を仰いで公文を下すこと。山居の付属するところの国郡は、所在の山を知っておくこと。その他の場所へ向かってはならない。


 

○14 任僧綱条


僧綱{律師以上をいう}を任じるには、必ず、徳行があり、よく徒衆を伏し、道俗が願い仰いでおり、仏法を堅持する人を任用すること。推挙するところの徒衆は、皆、連署して太政官に牒すること。もし集団で組して扇動し、みだりに無徳の人を推挙することがあったならば、100日苦使する。一度任じて以後、安易に交替してはならない。もし、過罰があり、また、老い病して、任に堪えぬ場合には、すぐに上記の法に依って選び替えること。


 

○15 修営条


僧尼が、苦使に当たる罪を犯したときには、功徳(経典・仏具など)を修営させ、仏殿を料理(修理)させ、また、清掃などに使うこと。功程(毎日の仕事量=ノルマ)を決め与えておくこと。もし三綱がおもねり組みして使役しなかった場合はすぐに、赦して苦使を執行しなかった日数に準じて罰苦使すること。本人の病や父母・師主の病・喪などの理由があって赦すには、いずれもその事情を審査し、真実を確認し、しかる後、要請に依ること。もし理由ばかりあって実状がないのを安易に赦した場合には、安易に赦した人は、妄りに要請した人と罪を同じくする。


 

○16 方便条


僧尼が、詐って方便をなし、法名を俗人に移し与えた場合、還俗とする。律に依って罪を科すこと。由来するところの人も同罪とする。


 

○17 有私事条


僧尼は、私事の訴訟をして官司に詣り来たならば、一時的に、俗形に依って事に参加すること。佐官以上及び三綱が、衆事もしくは功徳のために官司に詣るときには、床席を設けること。


 

○18 不得私蓄条


僧尼は、私的に園宅財物を蓄え、また売買や営利を生む行為をしてはならない。


 

○19 遇三位已上条


僧尼は、道路で三位以上に遭ったならば、姿を隠すこと。相手が五位以上であれば、乗馬している場合にはを駐めて道側に立ち、揖(〔ゆう〕=胸の前に両手を組んでする礼)して過ごすこと。もし徒歩であるならば姿を隠すこと。


 

○20 身死条


僧尼等の死亡は、三綱が月ごとに国司に報告すること。国司は、年ごとに朝集使に持たせて太政官に申告すること。京内は、僧綱が、季節ごとに玄蕃寮に報告すること。また年の終わりに太政官に申告すること。


 

○21 准格律条


僧尼に犯罪があったとき、格律に準じると徒1年以上の罪となる場合には還俗とすること。還俗の際に没収する告牒を以て、徒1年ぶんに充てるのを許すこと。もしそれ以上の罪があるならば、律に依って科断すること。もし100杖以上の罪を犯しているならば、杖10ごとに苦使10日に替えること。罪が還俗に至らない(=苦使に処せられる)と還俗するとに限らず、判決を終えるまでは、いずれも散禁すること。もしこの苦使の条制以外のことで罪を犯して(=内律違反を犯して)還俗とまでには至らない場合、仏法に依って、三綱に、事を量り科罰させること。還俗したり罰を受けた人は、属す寺の三綱及び衆事を告訴することはできない。ただし、もし謀大逆、謀叛、及び、妖言して衆を惑わした場合には、この限りでない。


 

○22 私度条


私度、及び、他人になりすまして官度を受け、すでに還俗の判決を受けてなお、法服を着用したならば、律に依って科断すること。師主、三綱及び同房の人も、事情を知っていたならば、それぞれ還俗とする。同房でないとしても、事情を知っていながら容止して1宿以上を経過したならば、皆、100日苦使する。僧尼が、事情を知っていながら浮逃の人を居止して1宿以上を経過したならば、これもまた100日苦使する。この罪は、この条文と律の条文とに依り、罪の重い側の条文に依って論じること。


 

○23 (教化条)


僧尼は、俗人に経像を授け、門ごとに歴訪して教化したならば、100日苦使する。このとき、俗人については、律に依って論じること。


 

○24 出家条


家人奴婢等が、もし出家することがあり、のちに罪を犯して還俗、または自ら還俗したならば、いずれも追跡して旧主に帰すこと。おのおの元の身分に戻すこと。私度の人は、たとえ経業があっても、度したとは見なされない。


 

○25 外国寺条


僧尼が、100日苦使の罪を犯すことがあって、それを3度経たならば、在所を改めて、外国〔げこく〕の寺に配すること。したがって、畿内の寺に配入することはできない。


 

○26 (布施条)


斎会には、奴婢、牛、及び兵器を以て、布施に充てることはできない。僧尼も、これらを安易に受納することはできない。


 

○27 焚身捨身条


僧尼は、焚身・捨身といった宗教行為を行うことはできない。もし違反した場合、また由来するところの者は、いずれも、律に依って科断すること。




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