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[現代語訳「養老令」全三十編]

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付録:現代語訳「養老令」全三十編:

第十八 儀制令 全26条

(最終更新日:00.03.26

 − 目次 −




 

○01 天子条


天子。{祭祀で称するもの。}
天皇。{詔書で称するもの。}
皇帝。{華夷(国内(華)国外(夷))に対して称するもの。}
陛下。{上表(=天皇に文書を奉ること)で称するもの。}太上天皇〔だいじょうてんのう〕。{譲位の帝を称するもの。}乗輿〔じょうよ〕。{服御〔ふくご/ぶくご〕(天子の用いる物品)をいうもの。(転じて、天子の代名詞とする。)}車駕〔きょが〕。{行幸をいうもの。(転じて、天子の代名詞とする。)}


 

○02 赴車駕所条


車駕の所(行幸の出先)に赴くことを、行在所〔ぎょうざいしょ〕に詣(で)る〔もうでる/まいる〕、と言うこと。


 

○03 皇后条


皇后・皇太子以下、率土〔そちど/そつど〕の内(国内の庶人)は、天皇・太上天皇に上表する(=天皇に文書を奉る)ときには、臣妾〔じんしょう〕名称〔みょうしょう〕すること(「臣」ないし「妾」と自称し、続けて自分の名を言う)。{対揚(対面して称揚)するときには、名称(のみ)すること。}皇后・皇太子は太皇太后・皇太后に対して、率土の内は三后・皇太子に対して、上啓するときには、殿下と称すること。自称するときには、みな臣妾とすること。{対揚では名称すること。}


 

○04 車駕巡幸条


車駕が巡幸するとき、及び、還るとき、百官の五位以上は辞迎〔じげい〕(出発時の見送りが辞、帰還時の出迎えが迎)すること。留守〔るしゅ〕(留守番)の人は、辞迎の範囲でない。もし宿泊をしない場合(つまり日帰り)は、この令を用いない。


 

○05 文武官条


文武官の初位以上は、毎月1日に参朝して、それぞれ所属する司の前月の公文書を報告すること(=告朔(視告朔)〔こうさく〕の儀式)。五位以上が朝庭の机の上にまとめて置くこと(?)。すぐに大納言が進奏すること。もし雨に逢ってぼろぼろになったり、また泥で汚れたりしていたなら、いずれもそこで停めること。{弁官が公文書を受け取ること。全てまとめて中務省に納めること。}


 

○06 文武官条(※前条と同名)


文武官の三位以上は、假使〔けし〕(休暇または使者となるとき)に、立ち去るときにはみな奉辞〔ぶうじ〕(退去時の対面)すること。還ったときにはみな奉見〔ぶうけん〕(還参時の対面)すること。五位以上は、勅をうけたまわって使者に発つときに辞見するのを、またこのようにすること。また、外官の三位以上は、失誤があってのことでなく任を去って京に到着したならば、これもまた奉見すること。


 

○07 太陽虧条


日蝕の時は、有司(陰陽寮)は前もって奏すること。(このとき)皇帝は政務をお執りにならない(=廃朝)。百官はそれぞれの本司を守ること。事務を執らず時を過ごして、日蝕が終わったなら退朝すること。皇帝の2等親以上、及び、外祖父母、右大臣以上、もしくは散一位の喪に、皇帝が政務をお執りにならないこと3日。国忌の日{先皇の崩日のうち、別式に依って廃務(天皇及び諸官司が事務を廃して執らないこと)すべきものをいう。}、3等親、百官三位以上の喪にもみな、皇帝が政務をお執りにならないこと1日。


 

○08 祥瑞条


祥瑞があった場合、もし麟鳳亀竜〔りんふうきりゅう/りんほうきりゅう〕(麒麟・鳳凰・仙亀・神竜といった)の類で、参考図書を調べると大瑞に相当するならば、直ちに表奏すること。{その表(報告)は、祥瑞である物の種類・名称、及び、出所を明らかにしたならば、虚飾の言葉を陳べたりいたずらに噂を取り上げたりしてはならない(?)。}上瑞以下は、いずれも所司(治部省)に報告して、(翌年の)元日にまとめて奏聞すること。鳥獣の類は、生け捕りにすることがあったならば、その本性に従って山野に放つこと。その他はみな治部省に送ること。もし(慶雲のような)掴まえることができないもの、及び、木連理〔もくれんり〕(樹木が他の樹木と連なっている)の類で、送ることができない場合は、所在の官司が真偽を確かめて虚偽でなければ、つぶさに図を描いて進上すること。賞すべき場合は、臨時に勅を聴くこと。


 

○09 元日条


元日には、親王以下の人(つまり天皇・太上天皇・三后・皇太子以外)を拝賀してはならない。ただし親戚、及び、家令以下(が行う場合)は禁止の限りではない。もし元日でないときに(たとえば授位任官のお祝いなど)致敬〔ちきょう〕する(=避けられず臨時に拝す)べきことがあったならば、四位は一位を拝し、五位は三位を拝し、六位は四位を拝し、七位は五位を拝すること。これ以外(位階の高い年少者が位階の低い貴人や年長者を拝するなど)は、任意に個人の礼に従うこと。


 

○10 在路相遇条


路上で人と行き合ったとき、三位以上は親王に遭ったならば、みなより下りること。{それ以外は拝礼に準ずること。下馬してはならない場合(二位以上が親王に遭ったときや三位が一位に遭ったときなど)は、みなを駐めて道の脇に立つこと。}本来なら下馬すべき場合であっても、(天皇の行幸や三后・皇太子に)陪従しているならば下馬しない。


 

○11 偶本国司条


郡司は、本国の国司(史生以上)に遭ったならば、みなから下りること。ただし、(郡司が)五位の場合は、(国司が)同位以上でないときは下馬しない。もし官人(京官の主典以上)が本国において(当国の国司に)遭ったなら、同位は下馬すること{もし拝すべき場合は下馬の礼に準ずること。}。


 

○12 庁座上条


朝堂の座に着いているとき、親王及び太政大臣が現れたならば座から下りること(五位以上は牀席から下り立つ、六位以下は座席を避けて跪く)。左右大臣・当司の長官に対してはすぐに座を動くこと。それ以外に対しては動かない。


 

○13 儀戈条


儀戈〔ぎか〕(=儀式に用いる頭の平たい戟〔げき〕)(の数)は、太政大臣に4竿〔かん〕左右大臣にそれぞれ2竿、大納言に1竿。


 

○14 版位条


版位〔へんい〕(座席等の目印の名札)は、皇太子以下(庶人まで)は、縦横7寸(21cm)厚さ5寸(15cm)(?)。題名にはその品位を書くこと。いずれも漆塗りの字(墨に漆を混ぜる)。


 

○15 蓋条


蓋(きぬがさ)は、皇太子は、表を紫、裏を蘇方〔すおう/すわ〕(赤紫)、頂と四隅を錦で覆って房を垂れること。親王は紫の大きな纈〔ゆわた〕(絞り染め)。一位は深い緑。三位以上は紺。四位は縹〔はなだ〕(Gパン色)。{四品以上、及び、一位は、頂と四隅を錦で覆って房を垂れること。二位以下は錦で覆うこと。ただし大納言以上は房を垂れること。}いずれも裏は朱色。房には同じ色を用いること。


 

○16 祖父母条


祖父母父母が、重病、及び、牢獄に繋がれているときは、婚姻してはならない。もしその祖父母父母が、婚姻・婚礼を許したなら、宴会(披露宴)をしてはならない。


 

○17 五行条


国郡は、みな五行の器(各種の器)を作ること。必要に応じて用いること。いずれも官物を用いる(公費で作る)こと。


 

○18 元日国司条


元日には、国司はみな配下の郡司等を率いて、庁(朝堂・大極殿ないし国庁)に向かって朝拝〔ちょうはい〕(拝賀)すること。それが終わったならば、長官は拝賀を受けること。宴の場を設けるのは許可すること。{食には当所の官物、及び、正倉(正税)を充てること。使用量は別式に従わせること。}


 

○19 春時祭田条


春時の祭田の日には、郷の老者を集めて、郷飲酒礼を行うこと。人々に長を尊び老を養う道を知らしめること。{酒肴等の物は公廨〔くげ/くうげ/くがい〕(官物・正税)を出して供すること。}


 

○20 遭重服条


(有能な人について)重服〔じゅうぶく〕(父母の喪)に遭ったときに、情を奪って(服喪の解任を行わず)職を続行させることがあったなら、服を終わるまでは、他人の喪を弔わず、(お祝い等の)賀をせず、宴に出席しない。


 

○21 凶服不入条


喪服を着用して公門〔くうもん〕(宮城門、及び、駅家・厨院を除く内外諸司の門)に入らないこと。喪に遭ってなお職を続行させられるときは、朝参のところでは位色〔いしき〕に依ること。家に在るときはその服制に依る(喪服を着用する)こと。


 

○22 行路条


道路小道では、身分の低い人は尊い人に譲ること、若い人は老いた人に譲ること、立場の軽い人は重い人に譲ること。


 

○23 内外官人条


内外の官人について、その位と蔭をかさにきて、ことさらに(自分の役所の)憲法に違反する(礼を失したり逆らう)ことがあれば、六位以下、及び、勲七等以下については、情状を酌量して(それに応じただけの)決笞(笞の決罰)を許可すること。もし長官がいなければ(五位以上かつ罪人より二位以上の)次官が決笞するのを許可すること。諸司の判官以上、及び、判事弾正の巡察、内舎人、大学の諸々の博士、文学等は、決笞の範囲にない(?)。


 

○24 帳内資人条


帳内・資人について、蔭位〔おんい〕があるとしても、本主の意に適わない場合は、杖罪以下を本主が任意に決すること。{四位以下は、ただ笞のみ決することができる。}


 

○25 五等条


五等親は、父母、養父母、夫、子(養子含む)を一等とすること。父方の祖父母、嫡母(父の正妻)、継母(嫡子から見た父の後妻である正妻)、伯叔父姑(父方のおじ・おば)、兄弟、姉妹、夫の父母、妻、妾、姪(兄弟の子である甥・姪)、孫(息子の子)、子の妻を二等とすること。父方の曾祖父母、伯叔の婦(父方のおじの妻)、夫の姪(夫の兄弟の子である甥・姪)、従父兄弟姉妹(父方のおじの子=おじ方のいとこ)、異父兄弟姉妹、夫の祖父母、夫の伯叔姑(夫の父方のおじ・おば)、姪の婦(兄弟の子である甥の妻)、同居している継父、夫の前の妻妾の子を三等とすること。父方の高祖父母(父方の曾祖父の両親)、従祖祖父姑(父方の祖父の兄弟姉妹であるおおおじ・おおおば)、従祖伯叔父姑(父方のおおおじの子=父の父方のいとこ)、夫の兄弟姉妹、兄弟の妻妾、再従兄弟姉妹(父の父方のいとこ男性の子=またいとこ)、外祖父母(母方の祖父母)、舅姨〔きゅうい〕(母方のおじ・おば)、兄弟の孫、従夫兄弟の子(父方のいとこ男性の子)、外甥〔げしょう〕(姉妹の子)、曾孫(息子方の男孫の子)、孫の婦(息子方の男孫の妻)、妻妾の前の夫の子を四等とすること。妻妾の父母、姑の子(父方のおばの子=おば方のいとこ)、舅の子(母方のおじの子)、姨の子(母方のおばの子)、玄孫(息子方の男孫の男子の子)、外孫(娘の子)、娘聟〔むすめむこ〕を五等とすること。

五等親図
 

○26 公文条


公文(公文書)に年を記述する場合は、みな年号を用いること(干支等を用いない)。




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