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(雇役丁の雇用料支払いの基準とする)1日の標準仕事量(の算出法)は、4月・5月・6月・7月を長功〔ちょうくう〕(の時期)とすること。{布1常を織るごとに4功を得る。}2月・3月、8月・9月を中功(の時期)とすること。{1常につき5功を得る。}10月・11月・12月・正月を短功(の時期)とすること。{1常につき6功を得る}
(別勅や臨時の)造営がある場合、及び、賃金で雇って製造・製作する類には、担当の役所はみな、まず必要量の総数を記録して太政官に申告すること。
個人の邸宅について、みな楼閣を建てて人の家を覗き見てはならない。宮内で造営、及び、修理することがある場合は、みな陰陽寮に日を選ばせること。
軍器を製作するならば、みな手本見本に依ること。製作年月、及び、担当の工匠の姓名を彫り記させること。もし(弓箭など)彫り記すことができない場合は、この令を用いない。
錦、羅、紗、〓〔うすきつむぎ〕、綾、紬〔あつきつむぎ〕、紵〔てづくり〕の類は、みな幅1尺8寸、長さ4丈を匹〔ひち/ひき〕とすること。
在京(諸司)の造営、及び、(行事等のため)備蓄する雑物については、毎年諸司は、来年の必要量を総計して、太政官に申告すること。主計に回すこと。あらかじめ(それらの)貢納を課す国を定めて備えること。もし法に依って元からの定数があり、増減してはならない場合は、この令を用いない。毎年、常に支給されるが必要量に足らない、及び、支給される以外に、さらに別に必要なことがあって、追加ないし(他から)流用すべき場合は、また太政官に申請すること。
白丁について、(鍛冶・工作等の)特殊技能を有する場合には、毎年、計帳のついでに国司が調査して、帳に付けて民部省に報告すること。
兵器庫に備蓄した器仗は、錆びたり綻んだり切れたりすることがあれば、3年に1度修理すること。もし給出によって破壊したならば(?)、いずれも事情に応じて検討して修理すること。在京(の兵器庫)の場合は、必要な物資・人力は太政官に申告して事に当たること。在外の場合は、その地の兵士、及び、防人を充てること。必要物資には当国の官物を用いること。
在京で造営するとき、(縫製・舂米など)婦人労働を用いる場合は、みな縫部司に製作担当させること。もし製作量が多いとき、及び、軍事に用いるなどで、縫部司の人員では労働力不足ならば、太政官に申告して、京内の婦女を充てること。
土師器・陶器類が、使用によって損壊したならば、1年間に10分の2までの損耗は許可すること。それ以外は(各官司の責任で)補填すること。
京内の大きな橋、及び、宮城門の前の橋は、いずれも木工寮が修営すること。それ以外は京内の人夫を充てること。
津・橋・道・路〔おおじ〕は、毎年9月半ばに着工してその地(の国司(?))が修理すること。10月に終わらせること。要路が陥壊し、水をせき止め、通行不能になったならば(?)、時期に関わらず、必要な人夫を計算して充て修理すること。その司がよく判断できない場合は申請すること。
官船を置いているところは、みな便宜に応じて安置すること。いずれも覆いをかぶせること。必要ぶんの兵士を派遣し看守させること。損壊に応じて修理すること。修理に耐えない場合は、帳に付けて申上すること。主船司の船は、船戸に分番で看守させること。
官私の船は、毎年つぶさに、種類、積載量、廃棄したか見在か、使用に耐えるかどうか、を明らかにし、朝集使に預けて兵部省へ申達すること。
官船を使用したとき、もし損壊することがあったならば、事情に応じて修理すること。もし修理するに耐えず、造り替えるべき場合は、あらかじめ必要な労働力、費用を計算して、太政官に申告すること。
大河に近く、堤防があるところは、国郡司は、時折、検行すること。もし修理すべき場合は、秋の収穫が終わるごとに、修理の仕事量の多少を計算して、堤防付近に住む人から遠くに住む人の順に動員すること。人夫を徴発して修理すること。もし暴水氾濫して堤防を損壊して、急に人の迷惑になるようなことがあったならば、即刻修営すること。期日に拘わらない。500人以上を働かせるときは、取りあえず働かせ取りあえず申告すること(?)。{もし急に(人員を)要する場合は、軍団の兵士もまた動員して働かせることができる。}働かせるときには5日を超過してはならない。
堤の内外、併せて堤の上には、たくさん楡〔やまにれ〕、柳、雑樹を植えて(補強し)、堤堰〔せき〕の資材に充てること。