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[現代語訳「養老令」全三十編]

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付録:現代語訳「養老令」全三十編:

第十九 衣服令 全14条

(最終更新日:00.03.26

 − 目次 −




 

○01 皇太子条


皇太子の礼服〔らいぶく〕
礼服の冠。黄丹〔おうだん〕(紅がかった梔子〔くちなし〕色)の衣。牙の笏〔しゃく/こつ〕。白い袴。白い帯。深紫の紗の褶〔ひらみ/うわみ〕(枚帯〔ひらおび〕。袴の上に着ける襞〔ひだ〕の少ない裳の一種)。錦の襪〔しとうず/しとうづ/したぐつ〕(裏沓〔したぐつ〕。現代のくつ下に似たもの)。烏皮〔くりかわ〕(黒い革)の【革昔】〔くつ/せきのくつ〕(革底を何枚も重ねて作られているくつ)。


 

○02 親王条


親王の礼服
一品の礼服の冠。{四品以上は、品ごとにそれぞれ別制がある。}深紫の衣。牙の笏。白い袴。絛〔くみ〕(組み糸)の帯。深緑の紗の褶。錦の襪。烏皮の【革昔】。{綬〔じゅう/じゅ〕(瑞玉を連携した組み紐)、玉珮〔ぎょくはい/ごくはい〕(身に着ける玉。日本の制は現代では不詳)を帯びること。}


 

○03 諸王条


諸王の礼服
一位の礼服の冠。{五位以上は、位、及び、階ごとに、それぞれ別制がある。諸臣もこれに準じること。}深紫の衣。牙の笏。白い袴。絛の帯。深緑の紗の褶。錦の襪。烏皮の【革昔】。二位以下五位以上は、いずれも浅紫の衣。それ以外はみな一位の服と同じ。{五位以上は綬を帯びること。三位以上は玉珮を加えること。諸臣もこれに準じること。}


 

○04 諸臣条


諸臣の礼服
一位の礼服の冠。深紫の衣。牙の笏。白い袴。絛の帯。深縹〔ふかはなだ〕(青いGパン色)の紗の褶。錦の襪。烏皮の【革昔】。三位以上は、浅紫の衣。四位は深緋〔ふかあけ〕(深い茜色)の衣。五位は浅緋の衣。それ以外はいずれも一位の服と同じ。大祀〔だいし〕(大祭祀)、大嘗〔だいじょう〕、元日に着用すること。


 

○05 朝服条


朝服〔ぢょうぶく〕
一品以下、五位以上は、いずれも黒の羅(薄い絹織物)の頭巾〔ときん〕(かぶりものだが現代では不詳)。衣の色は礼服と同じ。牙の笏。白い袴。金銀で装飾した腰帯〔ようたい〕。白い襪。烏皮の履〔くつ〕(革底がひと重のくつ)。六位は深緑の衣。七位は浅緑の衣。八位は深縹の衣。初位は浅縹(ストーンウォッシュのような薄いGパン色)の衣。いずれも黒の縵〔まん〕(文〔あや〕のない絹)の頭巾。木笏。{職事についていうもの。}烏油〔くろつくり〕(光沢のある黒釉のことで、おそらくは黒漆)の腰帯。白い袴。白い襪。烏皮の履。袋(朝服之袋。位袋。現代では不詳)は服色に合わせること。親王は緑、緋の緒。一品は4つの結〔むすび〕(緒に付けた結び玉)。二品は3つの結。三品は2つの結。四品は1つの結。諸王の三位以上は、諸臣と同じ。正四位は深緋。従四位は深緑。正五位は浅緋。従五位は深縹。結びは諸臣と同じ。諸臣の正位は紫の緒。従位は緑の緒。上階は2つの結。下階は1つの結。ただし一位は3つの結。二位は2つの結。三位は1つの結。緒によって正従を区別して、結によって上下を明らかにする。朝庭の公事にはきちんと着用すること。


 

○06 制服条


制服〔せいぶく〕(有位の人の朝服と区別して無位の人の服をいう。)
無位は、みな黒の縵の頭巾。黄の袍〔ころも〕。烏油の腰帯。白い襪。皮の履。朝庭の公事できちんと着用すること。朝夕には通じて草鞋〔わらぐつ〕(皮履(?))をはくことができる。{家人奴婢は橡墨〔つるばみすみぞめ〕(紺黒色)の衣。}


 

○07 服色条


服色〔ぶくしき〕は、白、黄丹、紫、蘇方〔すおう〕(暗赤色)、緋(茜色)、紅(鮮明な赤)、黄橡〔きつるわび〕(木蘭色。黄・赤・紅の雑色)、【立鳥】〔そび〕(薄黒い赤。かわせみ(そび/そい)の腹毛の色)、蒲萄〔えびぞめ〕(葡萄色。濃い赤)、緑、紺、縹、桑〔くわぞめ〕(薄黄)、黄〔きぞめ〕、摺衣〔すりぞめころも〕(草染めの、青または萌黄色)、秦〔はりぞめ〕(榛〔はん〕の木の皮または果実で染める。赤茶色っぽい色か)、柴〔しばぞめ〕(枝葉染めか。黒ずんだ緑か桃色)、橡墨〔つるばみすみぞめ〕、このような類は、(自分の)該当する色以下は、合わせて着用することができる。


 

○08 内親王条


内親王の礼服
一品の礼服の宝髻〔ほうけい〕(不詳だが、男子の冠に対するもので、金や玉で髻〔もとどり/たぶさ〕を飾る)。{四品以上は、品ごとにそれぞれ別制がある。}深紫の衣。蘇方深紫の紕帯〔そえおび〕(紕帯とは縁飾りのある帯。この文意は不詳だが、深紫に蘇方の縁飾りを施した帯か)。浅緑の褶。蘇方、深紫、浅紫、緑の纈〔ゆわた〕(括り染め・絞り染め)の裙〔も〕(下裳。女性用の裳)。錦の襪。緑(青い皮に緑の布で作る)の【革昔】。{(くつの)飾りは金銀を用いる。}


 

○09 女王条


女王〔にょおう〕の礼服
一位の礼服の宝髻。{五位以上は、位、及び、階ごとに、それぞれ別制がある。内命婦〔ないみょうぶ〕(五位以上の女官)もこれに準じること。}深紫の衣。五位以上は、みな浅紫の衣。それ以外は内命婦の服制に準じること。ただし褶は内親王と同じ。


 

○10 内命婦条


内命婦の礼服
一位の礼服の宝髻。深紫の衣。蘇方深紫の紕帯。浅縹の褶。蘇方、深紫、浅紫、緑の纈の裙。錦の襪。緑の【革昔】。{(くつの)飾りは金銀を用いる。}三位以上は、浅紫の衣。蘇方、浅紫、深緑、浅緑の纈の裙。それ以外はいずれも一位に準じること。四位は、深緋の衣。浅紫深緑の紕帯。黒【革昔】。{(くつは)銀を用いて飾る。}五位は、浅緋の衣。浅紫浅緑の紕帯。それ以外はみな上に準じること。大祀、大嘗、元日に着用すること。{外命婦〔げみょうぶ〕(五位以上の官人の妻)は、夫の服色より以下のものを任意に着用すること。}


 

○11 朝服条


朝服
一品以下、五位以上は、宝髻、及び、褶、【革昔】、を取り去ること。それ以外はいずれも礼服と同じ。六位以下、初位以上は、いずれも義髻〔ぎけい〕(カツラの一種)を着用すること。衣の色は男夫のものに準じること。深緑浅緑の紕帯。緑、縹の纈の紕裙〔そえも〕。{初位は纈を取り去ること。}白い襪。烏皮の履。四孟〔しもう〕(1・4・7・10月の最初の日)に着用すること。


 

○12 制服条


宮人〔くうにん/くにん〕(女性官人)は、深緑以下を合わせて着用することができる。{紫の色より以下は、少々用いるのは許可すること。}緑、縹、紺の纈、及び、紅の裙は、四孟、及び、朝夕に着用すること。もし(父親が)五位以上の女〔むすめ〕は、父の朝服を除いて以下(=未満)の色は、通じて着用することができる。庶女〔しょにょ〕(女性庶民)の服は、無位の宮人と同じ。


 

○13 武官礼服条


武官礼服
衛府の督(長官)・佐(次官)は{兵衛の佐はこの範囲にない。以下もこれに準じること。}、いずれも黒の羅の冠。黒の【糸委】〔おいかけ〕(冠のひも)。牙の笏。位襖〔いおう〕(襖とは、襴〔すそつき〕(衣服の下部に付ける別布のすそ)を付けず、袍の両腋の下を縫ってないもの。位によってこの襖に等級があったものか)。繍〔ぬむもの〕の裲襠〔りょうとう〕(中国の両当鎧を布帛で儀式化した衣服。貫頭衣の一種)を加えること。{兵衛の督は雲〔くもがた〕の錦。}金銀で装飾した腰帯。金銀で装飾した横刀〔おうとう〕(大刀の一種)。白い袴。烏皮の靴〔け/けのくつ/かのくつ〕。{兵衛の督は赤い皮の靴。}錦の行【《滕》の水を糸に】〔むかばき〕(通常は皮製で、すそがひらひらするのを押さえるために向こうずねを覆って着けるもの)。


 

○14 武官朝服条


朝服
衛府の督・佐は、いずれも黒の羅の頭巾。位襖。金銀で装飾した腰帯。金銀で装飾した横刀。白い襪。烏皮の履。志〔し/サカン〕以上は、いずれも黒の縵の頭巾。黒の【糸委】。位襖。烏油の腰帯。烏装〔くろつくり〕の横刀。白い襪。烏皮の履。{祭祀・宴会等の儀式で集まる日には、錦の裲襠、赤い脛巾〔はばき〕(後世でいう脚絆)を加えること。弓箭を帯びること。履に代えて鞋〔かわわらぐつ〕をはくこと。}兵衛は、黒の縵の頭巾。黒の【糸委】。位襖。烏油の腰帯。烏装の横刀。弓箭を帯びること。白い脛巾。白い襪。烏皮の履。{祭祀・宴会等の儀式で集まる日には、挂甲〔うちかけのよろい〕(小札を縅〔おど〕した甲〔よろい〕)を加え、槍を帯びること。紺の襖に代えて位襖を着けること。履に代えて鞋をはくこと。}主帥は、黒の縵の頭巾。黒の【糸委】。位襖。烏油の腰帯。烏装の横刀。白い脛巾。白い襪。烏皮の履。{祭祀・宴会等の儀式で集まる日には、挂甲を加えること。弓箭を帯びること。位襖に代えて縹の襖を着けること。履に代えて鞋をはくこと。}いずれも朝庭の公事にはきちんと着用すること。衛士は、黒の縵の頭巾。桃染めの衫〔ひとえぎぬ〕(かたびら)。白い布帯。白い脛巾。草鞋。横刀、弓箭、もしくは槍を帯びること。{祭祀・宴会等の儀式で集まる日には、朱の末額〔まっこう〕(抹額。下級武官が着用するもので、細纓〔さいえい〕(纓とは冠の後ろに付いたしっぽ状のもの。細纓はねずみのヒゲみたいな筋状)の冠の縁に結ぶ絹の鉢巻。後世のかぶとの真向〔まっこう〕の名の由来となったもの)、挂甲を加えること。桃染めの衫に代えて黒の衫を着用すること。}朔節の日(四孟や祭祀・宴会等の儀式の日)にはきちんと着用すること。朝夕には、桃染めの衫、及び、槍を取り去ること。督以下、主帥以上の袋は、文官に準じること。




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