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官地(=私有地以外)で宿蔵物(=埋蔵物)を拾得したならば、みな拾得した人に帰すこと。他人の私地(=口分田・墾田など私財と見なされる土地)で拾得したならば、地主と半分にすること(ただし地主の父祖が埋めたものの場合は子孫である地主に帰属する)。形製の珍しい古器(つまり銅鐸といった発掘品)を拾得したならば、ことごとく官司に送って、(拾得者には)対価を酬いること。
畜産〔きゅうさん〕(=家畜)が人を【角弓_】〔つ〕いたならば両角を切ること。人を踏んだならば繋ぎ付けること。人をかじったならば両耳を切ること(いずれも癖のある家畜を識別するための処置)。狂犬があれば、殺すのを許可すること。
皇親及び五位以上は、帳内・資人、及び、家人・奴婢等を派遣して、市や肆〔いちぐら〕を定めて、興販〔こうへん〕(=商売)してはならない。市に於いて売買し、出挙〔すいこ〕し、また人を派遣して外処〔げしょ〕で貿易し、往復させた場合には、この限りではない。
私用の行人〔ぎょうにん〕(=旅行者)について、五位以上が駅を宿泊利用したいと願ったならば許可すること。もし辺境にあって、及び、村里がない処では、初位以上及び勲位もまた許可すること。いずれも(そこで)安易に供給を受けることはできない。
文武官〔もんむかん〕の人は、毎年正月15日に、いずれも薪〔みかまぎ/たきぎ/まき〕を進納すること。{長さ7尺(約21cm)。20株〔しゅ〕をもって1担〔たん/にない〕とすること。}一位に10担、三位以上に8担、四位に6担、五位に4担、初位以上に2担、無位に1担。諸王もこれに準じること。{無位の皇親はこの範囲ではない。}帳内・資人は、それぞれ本主〔ほんじゅ〕に納めること。
進薪の日は、弁官、及び、式部・兵部・宮内省、共に(薪の数や品質の良し悪しを)監督して、主殿寮に貯納すること。
後宮及び親王に炭〔あらすみ〕を供給するについては、10月1日より開始して2月30日までに供給し尽くすこと。薪は必要量を知り量って供給すること。供進〔ぐしん〕される炭はこの限りではない。
蕃使(=異国からの使節)が往還するにあたっては、大路の側近くに、(蕃使と)同国の蕃人を置いたり、同色〔どうじき〕(=同じ出身地)の奴婢を連れ歩(?)いてはならない。また伝馬子〔でんめし〕(=伝馬の馬子)及び援夫〔えんぶ〕等に充ててはならない。
罪を犯して死刑に処せられた人の父子を配没〔はいもつ〕(=没官〔もっかん〕して公奴婢として配置)するにあたっては、禁内の供奉(=内膳など身近にお仕えするもの)、及び、東宮の所の駈使に配してはならない。
官戸・奴婢が死亡したならば、所司は検校して、年の終わりにまとめて報告すること。
官戸・奴婢は、旬ごとに休假〔くけ〕1日を許可すること。父母が亡くなったならば、假〔け〕30日を給付すること。産後15日。懐妊したとき、及び、3歳以下の男女の親であれば、いずれも軽役に従事させること。
官戸・奴婢を使役に充てたならば、本司はきちんと功課を立てて案記すること。(奴婢食料を)無駄に(支給して)公粮〔くうろう〕を費やしてはならない。(※奴婢食料の支給については「倉庫令」の現存しない部分に規定があったらしい。)
官戸・奴婢について、3歳以上には、毎年衣服を支給すること。春は布の衫〔ひとえのきぬ〕、袴〔はかま〕、衫〔ひとえぎぬ〕(※同字だが「ひとえのきぬ」とは別物か)、裙〔も〕を各1具。冬は布の襖〔あわせのきぬ/ふすま〕、袴、襦〔あわせのきぬ/はだぎ〕(※襖とは同訓異字)、裙を各1具。みな(身長の(?))長短に応じて数えて支給すること。
外官について、親属・賓客があって逗留した場合に、官物を用いて遇してはならない。
外任〔げにん〕の官人(=外官)は、親属・賓客を同伴して任所に赴任し、及び、田宅を所有・経営して百姓(=一般人)と利を争ってはならない(つまり経営活動を行ってはならない)。
公廨〔くげ〕の雑物(=公廨とは元は官庁の舎屋のこと。転じて、そこに収められている収蔵物を指して言うようになった)は、みな本司に自ら(出挙の状況を(?))勾録〔こうろく〕させること。費用見在〔げんざい〕の帳(=運用帳簿(?))は、年の終わりに1度、太政官に報告すること。(太政官は帳簿の)到着に随って勾勘〔くかん〕(=監査(?))すること。
僧尼については、京国(=京や諸国(?))の官司が6年ごとに籍を3通造ること。それぞれ出家した年月、夏臈〔げろう〕(=修業年数)及び徳業〔とくごう〕(=修得した経論)を表記し、式に依って印すること。1通は職国〔しきこく〕(=京職や諸国(?))に留めること。それ以外は太政官に申し送ること。(太政官は)1通は中務省に送ること。1通は治部省に送ること。使用する調度(造籍に用いる紙や墨など(?))はいずれも寺の人数に準じて物を納入させること。
檻穽〔かんせい〕(=狩猟用の罠・落とし穴)を作り、及び、機槍(=仕掛け槍)を設置する場合、交通を妨げたり人を傷つけたりしてはならない。
正月1日、7日、16日、3月3日、5月5日、7月7日、11月大嘗の日を、みな節日〔せちにち〕とすること。(節会に参集した群臣へ節禄を)あまねく賜うについては、臨時に勅を聴くこと。
大射〔おおいくは〕(=天皇観覧のもと建礼門で行う群臣の射礼〔じゃらい〕)は、正月中旬に、親王以下、初位以上が、みな射ること。その儀式(=式次第)及び禄は別式に従うこと。