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付録:現代語訳「養老令」全三十編:

第十 賦役令 全39条中01〜14条

(最終更新日:00.04.02

 − 目次 −




 

○01 調絹【糸《いとへん》+施の旁】条


調の絹〔かとり〕、【糸《いとへん》+施の旁】〔きぬ〕(=あしぎぬ)、糸、綿〔わた〕、布は、いずれも郷土の所出に応じること。正丁1人に、絹〔かとり〕、【糸《いとへん》+施の旁】〔きぬ〕(=あしぎぬ)、8尺5寸(2m52cm)、6丁で疋を成すこと{長さ5丈1尺(15m12cm)、広さ2尺3寸(68cm)}。美濃の【糸《いとへん》+施の旁】〔きぬ〕(=あしぎぬ)は、6尺5寸(1m93cm)、8丁で匹を成すこと{長さ5丈2尺(15m41cm)、広さは絹〔かとり〕・【糸《いとへん》+施の旁】〔きぬ〕(=あしぎぬ)と同じ}。糸8両、綿1斤、布2丈6尺(7m71cm)。いずれも2丁で【糸句】〔く〕、屯、端を成すこと{端の長さ5丈2尺(15m41cm)、広さ2尺4寸(71cm)}。望陀〔もうた〕の布は、4丁で端を成すこと{長さ5丈2尺(15m41cm)、広さ2尺8寸(83cm)}。もし調を雑物で輸納するならば、鉄10斤(6kg)、鍬3口{口ごとに3斤(1.8kg)}。塩3斗、鰒〔あわび〕18斤(10.8kg)、堅魚〔かつを〕35斤(21kg)、烏賊〔いか〕30斤(18kg)、螺〔つび/つい〕(貝の種類。巻き貝かはまぐりかサザエか)32斤(19.2kg)、いりこ(なまこのはらわたを煮て干したもの)26斤(15.6kg)、雑魚の楚割〔すはやり〕(魚肉を細長く割いて塩干したもの。サキイカならぬサキウオ)、雑魚の【月肅】〔ほしを/ほしいを〕(=乾魚)100斤(60kg)、紫菜〔むらさきのり〕48斤(28.8kg)、雑「海菜」〔もは〕(藻類)160斤(96kg)、海藻〔め/にきめ〕(わかめ)130斤(78kg)、滑海藻〔あらめ〕(わかめじゃないもの)260斤(156kg)、海松〔みる〕130斤(78kg)、凝海菜〔こるもは〕(てんぐさの類か)120斤(72kg)、雑魚の「きたい」(乾肉)6斗、海藻根〔まてがいのね/めかい(/めかぶ)〕8斗、未滑海藻〔かちめ〕(乾燥後、臼で搗いて粉にしたアラメか)1石、 沢蒜〔ねびる〕(湿地に生える蒜)1石2斗、嶋蒜〔あさつき〕(沢蒜と似たもので、いずれもふつうの蒜(=家蒜)とは違うところに生えるもの)1石2斗、鰒の鮓〔あわびのすし〕2斗、貽貝〔いかい〕の鮓3斗、白貝〔おふ〕の「なまり」(塩と楡の皮粉で漬けたものか)3斗、辛螺〔あぎ〕の頭打〔かふち〕(貝の殻の頭を割穿して貝のまま漬けたものか)6斗、貽貝〔いかい〕の後折〔しりおり〕(貝の殻の尻を割穿して貝のまま漬けたものか)6斗、海細螺〔したたみ〕(小さな巻き貝か)1石、うに6斗、「かせえ」(棘のないうに類か)6斗、雑魚の鮨〔すし〕(塩に漬けて発酵させたものか。鮓〔すし〕も同じ)5斗、近江の鮒〔ふな〕5斗、煮塩の年魚〔あゆ〕4斗、煮堅魚〔にかつを〕(なまり節の類か)25斤(15kg)、堅魚煎汁〔かつをいろり〕(煮込んだ煮汁を煎ったもの)4升。次丁2人、中男4人は、いずれも正丁1人に準じること。調の副物〔そはつもの〕は、正丁1人に、紫3両(112.5g)、紅3両(112.5g)、茜2斤(1.2kg)、黄連2斤(1.2kg)、東の木綿〔ゆふ〕12両(450g)、安芸の木綿4両(150g)、麻〔を〕2斤(1.2kg)、熟麻〔にを〕10両16銖〔しゅ〕(400g)、「けむし」(麻の一種)12両(450g)、黄蘗〔きはだ〕7斤(4.2kg)、黒葛〔つづら〕6斤(3.6kg)、木賊〔とくさ〕6両(225g)、胡麻の油7勺、麻子〔まし〕の油7勺、荏〔え〕の油1合、曼椒〔ほそぎ〕の油1合、猪の脂〔いのあぶら〕3合、脳〔なづき〕1合5勺、漆3勺、金漆〔こしあぶら〕3勺、塩1升、雑肉の「きたい」(乾肉)2升、堅魚煎汁〔かつをいろり〕1合5勺、わさび1升、青土〔そに〕(染料か)1合5勺、橡〔つるばみ〕(染料か)8升、紙6張{長さ2尺(59cm)、広さ1尺(30cm)}、筺柳〔はこくさ〕(筺を編む材料か)1把。7丁に、席〔むしろ〕1張、苫1張、鹿角1頭〔づ〕、鳥羽〔とりは〕1隻〔しゃく〕、砥〔と〕1顆〔か〕。2丁に、簀〔す〕1張。3丁に、薦〔こも〕1張。14丁に、樽〔こむか〕(木製の甕〔みか〕の意か。和名抄には、酒樽、脚のある酒器のこと、とある)1枚{3斗受けるもの}。21丁に、樽1枚{4斗受けるもの}。35丁に、樽1枚{5斗受けるもの}。京及び畿内は、みな正丁1人に、調の布1丈3尺(3m85cm)。次丁2人、中男4人は、各々正丁1人と同じ。


 

○02 調皆随近条


調は、みな近いものから合成すること。絹〔かとり〕、【糸《いとへん》+施の旁】〔きぬ〕(あしぎぬ)、布の、両方の頭(首端と尾端)、及び、糸、綿の嚢〔つつみ〕には、つぶさに、国、郡、里、戸主の姓名、年月日を注記して、それぞれ国の印を押印すること。


 

○03 調庸物条


調庸の物は、毎年、8月中旬より輸納を始めること。近国は10月30日より、中国は11月30日より、遠国は12月30日以前に輸納を終えること。もし調庸が本国を出発する前に、死亡者があれば、その人の物は返却すること。運脚(運搬人夫)は、均しく庸調の家から出させること。みな国司が領送すること(=貢調使)。実物を運ばずに、京内での品物の売買によってまかなった物を提出してはならない(これはたとえば、鉄を輸納すべきところで、実際に鉄を運んで来ずに、京内で別の品物等を売って鉄と買い換え、その買い換えた鉄、つまりもともと京にあった鉄、を提出するようなことをしてはならない、ということ)。


 

○04 歳役条


正丁の歳役は10日。もし庸を取るならば、布2丈6尺(7m71cm){1日に2尺6寸(77cm)}。留役(所定の10日を超えて役に留めること)するならば、その日数が30日を満たしたら、租調ともに免除すること{役日がそれより少ない場合は、見役日(実際に働いた日数)を計算し、それに応じて免除すること}。正役を通じて、いずれも40日を超過させてはならない。次丁2人は正丁1人と同じ。中男、及び、京、畿内は、庸を取る対象としない。丁が役に赴く日には、長官が自ら親しく点検し、併せて、衣粮を選んで、もれなく備えること。しかる後に発遣すること。もし当国郡の人を雇い、または、家人を代役として派遣したいと欲したならば許可すること。代役が劣弱な場合はしてはならない。そうして、送る簿の名の下に、つぶさに代役の人の本籍、姓名を注記すること。匠については、同種技能に巧みな人を雇って代役させたいと欲したならば、また許可すること。


 

○05 計帳条


計帳が到着したならば、毎年8月30日以前に、民部省に渡すこと。主計寮は、庸の多少を計算して、衛士、仕丁、采女、女丁等の食に充当すること。それ以外は、みな、役民の雇直〔やといちから〕(雇用料)及び食に配分すること。9月上旬以前に太政官に申告すること。


 

○06 義倉条


一位以下、及び、百姓、雑色の人等は、みな戸の粟を取り、これを以て義倉とすること。上上の戸に2石、上中の戸に1石6斗。上下の戸に1石2斗。中上の戸に1石。中中の戸に8斗。中下の戸に6斗。下上の戸に4斗。下中の戸に2斗。下下の戸に1斗。もし稲とする場合は2斗、大麦〔ふとむぎ〕ならば1斗5升、小麦〔ほそむぎ〕であれば2斗、大豆〔まめ〕なら2斗、小豆なら1斗を、それぞれ粟1斗に充当すること。みな田租と同時に徴収し終えること。


 

○07 土毛条


土毛〔ども〕(当国で「生えた」もの)を臨時に用いる際は、いずれも当国の時価に準じること。このとき基準の価には郡稲を用いること。


 

○08 封戸条


封戸には、みな課戸を充当すること。調庸は全て給付すること。田租は2分して、1分は太政官に入れること。1分は主に給付すること。


 

○09 水旱条


田は、水害・干ばつ・虫害・冷害などに遭ったり、作物が実らなかったりしたものについては、国司は実情を検討して、つぶさに記録して、太政官に申告すること。10分のうち5分以上の損失がある場合、租を免除すること。7分損失した場合は、租調を免除すること。8分以上損失した場合は、ともに課役も免除すること。もし桑・麻が損尽(=全損)したならば、それぞれ調を免除すること。すでに役を終えていたり、すでに輸納していた場合には、来年分から削るのを許可すること。


 

○10 辺遠国条


辺遠の国の、夷人の雑類がいるところについては、調役を輸納する場合は、事情に応じて斟量すること。必ずしも華夏〔かが〕(夷に対して、支配者と同じ文化を持つ地域)と同様でなくてもよい。


 

○11 【益蜀】符条


課役を免除する際は、みな、【益蜀】符〔けんぷ〕(課役を【益蜀】除する符)の到着を待ち、しかる後に免と注記すること。符が到着しない場合でも、位記を調べれば明確な実情がある場合には、また免除すること。雑任が解任されて、本国帳に附けた場合には、みな本司が解いたときの日月に依って次の徴収の規則に準拠すること。


 

○12 春季条


春季に本国帳に附けたならば、課・役はいずれも徴収すること。夏季に附けたならば、課を免除し、役は従事させること。秋季以後に附けたならば、課・役ともに免除すること。偽ったり、名をごまかしたり、隠れたり、避けたりして、課役を免れた場合は、附けた早晩(はやさおそさ)に限らず、みな、当年の課役を徴収すること。逃亡の者を附けた場合もまた同様とする。


 

○13 口及給侍条


課口、及び、侍〔じ〕を給付された老疾の人が死んだ場合、里長は、10日以内に、死家と死亡日月を注記して、国郡司に報告し、印記すること。


 

○14 人在狭郷条


狭郷に在る人が、寛郷に遷って就労したいと願ったならば、本拠を去ること路程が10日以上ならば、復〔ふく〕(賦役の全免)を3年、5日以上ならば、復2年、2日以上ならば、復1年とする。ひとたび遷って後は、さらに移転することはできない。




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